黒川あかねと話すだけ 作:推しの子ハピエンで終わりそうですかね?
よろしければ今話も読んでください(((o(*゚▽゚*)o)))♡
「それでね! かなちゃんはね!!」
「うんうんそうだね。それもまたかなちゃんだね」
始めての邂逅から早数週間。夏も盛ってきており、あと数日で夏休みだと言うところであったが、今日も今日とても二人は校舎裏に集まり昼食をとっていた。
「本当に聞いてる?」
「うんうんそうだね。聞いてるよ。あかねさんのその髪型もかなちゃんを真似してるんだよね」
「え? わかるの?! そうなんだよ!」
「うぇ?」
正直なところ少年は夏の暑さと、あかねの「有馬かな」に対する熱さで脳みそまで焼かれていた。
故に髪型についても、特別考えることもなくもはや反射で言っただけであった。見当はずれなことを言えば少しは収まってくれるかと思ったが、残念ながら少年の思いは叶うことはない。
あかねの髪型は有馬かなをリスペクトしたものだったのだ。
むしろ発する熱が高まった様な気さえする。いや、実際さらに熱が入ったことに間違いない。
「でも最近テレビにも出てないし……何してるんだろう」
ほとんどの情報を右から左に聞き流していた少年だが、あかねの少し落ち着いた様子を見て流れが変わったことを確信した。
「僕はテレビ見ないからわからないけど、芸能活動はやめてないんでしょ? だったらまだ頑張ってるんじゃないのかなぁ」
「君にかなちゃんの何がわかるの?!」
「面倒臭い彼女かな?」
いや、この場合はオタクか。と続ける少年。顔を少し横に向ければ、この暑い中身体を乗り出しほとんどくっつく様な距離で熱弁を振るうあかね。
もはや少年には、暑さと熱さで何も頭に入ってこない。なんなら知識の厚さも加えて、
「私かなちゃんと共演するのが夢なんだ」
さっきまでの雰囲気とはまた違った様子を見せるあかね。少年はあかねのことが心配になった。
情緒大丈夫かなと。有馬かなだけに。
「え? 素人が?」
「素人じゃないけど」
少年は少し熱が引いたと思えば、一瞬で極寒の地に放り込まれた気がした。
自らのギャグと、あかねのブリザードもかくやと言う視線によって。
「あかねさん芸能人だったの?!」
「『劇団ララライ』ってところに入ってるんだ。自分で言うのは恥ずかしいけど、『若きエース』って言ってもらえるくらい演技は得意だよ……演技はね」
自虐的に言うあかね。主にコミュニケーション能力とかリーダーシップとか、いわゆる自己主張の類が苦手なのである。
得意であればクラスでちょっと、ちょこっと浮くなんてことはない。
「エース……すごいね! じゃあ新聞は? 新聞に載ったことある!?」
自虐的に言ったそれ対して少年は何か言うでもなく、異様な新聞推しをしてくる。
テレビを見ないと言っていたから、新聞で情報を仕入れているのだろうと納得した。
「新聞は……ないかなぁ」
しかし、いくら天才的な才能があるとは言えただの劇団員が新聞に載るなど、よっぽどのニュースでない限りない。それもあまり良くない方の。
少年はそれを聞いても特に気落ちした様子もなく、キラキラした目をあかねに注いでいる。
「じゃあ何か演技して!」
出た。とあかねは思った。あかねの演技は情報を集め、考察と洞察によってキャラクターの中身を暴き憑依する。そういう演技が得意なのだ。
しかし、それをこの少年に言うのもなんとなく癪に触る。
よってあかねが次に発するのは、
「私の演技はそんなに安くないんだよ」
誤魔化しである。それも納得できるであろう言い訳。
変なものを見られたくないと言う意地と、明確な題がないのになんの役をやればいいんだと言う怒り。
いい感じに混ざったことで発せられた言葉が先のアレである。
「ま、そっか。プロの技だもんね。そう簡単には見せられないって言うのも納得。無理言ってごめんね」
少年の聞き分けの良さに申し訳なくなったあかね。なんだかんだ言ってこの少年は友達なのだ。せっかくできたのに嫌われたくないと言う思いから、つい溢れてしまう。
「……夏休み、見学に来てみる?」
見学? とあまり内容を理解できていない少年に、勢いで行ってしまった事を若干後悔しつつも伝える。
「『劇団ララライ』の稽古の見学に来てみる? ってこと」
「いいの?! 僕一般人も一般人だよ?」
「許可もらってからじゃないとはっきりは言えないけど、どう?」
「招待してくれるならいく! ダメそうならダメで気にしないよ」
「じゃあ今日のお稽古の後に聞いてみるね」
とっくに昼食など終えている二人だが、仲良く並んで話している。
お互い教室に帰ればベクトルは違えど気疲れ──片方は気疲れで済むかは疑問だが──する身。いくら外が暑いとは言え、少しの風と日陰で話すのは心地よさがあるのではないだろうか。
☆☆☆☆☆
「観にきていいか聞いてきたよ」
「お、どうだって?」
「いいらしいよ」
やったーと喜ぶ少年に、あかねはただしと加える。
「スタッフさんとか演者さんの邪魔しちゃダメだよ」
「うん? そりゃ当然だよ。僕のことをなんだと思ってるの?」
「あと、金田さんって言う劇団の代表の人が、話したいだって」
「うん???」
少年の顔には困惑がありありと映っていた。僕知り合いだっけ? と明らかにおかしなことを言い始める始末。しかし、あかねもなぜ少年に見学の許可が出て、その上で代表と話すことになっているのか教えられていない。
「でも怖い人じゃないから大丈夫だよ」
「んー、ならまあ、大丈夫…………か?」
いつにも増して、不安そうな少年。
それもそのはず、彼の脳内では昭和の親父よろしく頑固親父な代表に、「うちのエースと仲良いらしいな? 何処の馬の骨かしらねぇが二度と近づくんじゃないねぇぞ!」と詰められていると言う妄想が繰り広げられていた。アホである。
「私の演技期待しててね?」
いつか演じたヒロインの演技をしながら少年に言った。
今まで話していたあかねとは別人の様な仕草、雰囲気に驚いた少年は少し固まり、楽しみにしていると答えた。そして何かを思い出したかの様にハッとして、横に置いてあったファイルから色紙を取り出しサインペンと共にあかねに差し出した。
「さっきの演技を見てファンになりました。サインください」
あかねは、一瞬何を言ってるんだコイツはという思考になったが、確かにさっき演技をしたと思い出し少し驚いた。
「こうやって直接描いてあげたのは三人目だよ」
笑顔で受け取り、さらさらとサインを描いていく。
まさか同じ学校の、しかもクラスも違うよくわからないまま友達になった男の子にあげるとは思ってもいなかった。
「何くんへって書いて欲しい?」
「うーんこういうのもらうの初めてだからなぁ。普通はフルネームなの?」
「私もこうやって描いたことないからわかんない」
「…………じゃあ緋彩くんへでお願いします」
「……はいできたよ」
「おーありがとう! めちゃくちゃ大切にする! 額縁に飾ってもらうよ! 大女優直筆のサインです! って」
完成すると大袈裟なまでに喜ぶ姿を見て、あかねはとても気分が良くなった。さながら大女優になった気分である。
実際見せたのはさっきの一言だけだが。とはいえ、その一言で少年を魅了したわけなので大女優というのも間違いではないのだろう。
英雄は眼で殺し、役者は眼で狂わすのだ。
ついついいい気分になり調子に乗ったあかねは、写真を撮るのもファンサービスだと思い提案した。もちろん少年も、それに喜びぜひ撮らせてほしいと頼んだ。
「…………自撮りを二人で撮るのってどうやるんだろう?」
「……私が知ってるわけないじゃん。友達と写真なんていつぶりだろうなぁ」
さっきまでの威勢はどこへやら。二人の間に浮ついた空気はなかった。
片や友達を撮ることはなく撮られるときはプロ。片や写真を撮るときは言われるがままに撮られてた男の二人組。
残念ながらどちらにも撮影技術は存在しなかった。
なんとか写真を撮ることには成功したが二人とも疲労困憊と言った様子。
「プロの人ってすごいとは知ってたけど、こんなにすごかったんだ」
「加工しまくりの写真送ってきてなんだコイツとか思ってたけど、二人が上手く写真に収まってるだけですごかったんだ」
ただでさえじめじめとした夏の空気が、より一層湿度の高い空間となっている。チャイムがなり、二人は正気に戻った。
次は写真を上手く撮れる様になっておこうと約束して、教室へ戻っていった。
オリ主→緋彩くん
色紙は女優だと聞いてサインしてもらおうと思ったが、演技も見てないのにもらうのは流石に失礼だとギリギリで気がつく。
演技を見たらやばかったのでサインしてもらった。
黒川あかね
父母に次いで直接サイン書いた(ってことにします)
キャラクターの原型留めてる?留めてなかったらごめんなさい。
何かあれば感想でアドバイスください(土下座)
読んでくださりありがとうございます!!
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