黒川あかねと話すだけ 作:推しの子ハピエンで終わりそうですかね?
誤字報告もすごく助かっています!
今回の話は、緋彩くんを
あとは、会話だけの部分を書きたかった。
「僕が普段何してるのか?」
「うん。私は放課後お稽古に行ってるけど、緋彩くんは部活も入ってないんでしょ? 何してるのかなぁって」
「ふっふっふー実は僕もお仕事をしてたわけなんだなぁ!」
「お仕事? アルバイトってこと?」
「うん。そんな感じ。今度来る? いつでも開いてるよ」
「私だけ知られてるのは不公平だし、今度覗きに行くね」
「放課後とか会わない休みの日は大体いるよ」
「緋彩くんが働いてる姿……想像できないなぁ」
「会計するところに座ってるだけだから、見てても面白くはないよ」
「そう? 私は緋彩くんを見てるだけで楽しいよ」
「僕はあかねさんの道化師か何かなの?」
「役者を楽しませる役者なんて、緋彩くんはすごいね」
「僕はそんなのじゃない!」
「うんうんそうだね。緋彩くんはそんなのじゃないよね」
「…………まあいいさ。僕の仕事着姿に見惚れるなよ!」
「特に意味はないけど、美人は三日で飽きるって言うよね」
「それ僕が言われる側なの?」
「特に意味はないって言ったよ」
「あかねさんも僕のことを美人って思ってると考えたら、プラスか?」
「そっちにいくんだ」
「ポジティブシンキングは人生において大切だぜ」
「じゃあ緋彩くんは人生楽しくて仕方なさそうだね」
「楽しいね! 全く友人に恵まれたよ」
「ふふ、そう?」
「そうとも。賢くて、気遣いができて、教え方がうまくて、美人! もしかして、何か漫画のキャラクターだったりする?」
「緋彩くんも似たような感じじゃない? 料理上手もそれに追加してさ」
「……確かに! 僕は少女漫画に出てくるスパダリだった?」
「うーん、私はここまでポジティブじゃなくていいかなぁ」
☆☆☆☆☆
「本当にここでアルバイトしてるのかな」
少し前の会話を思い出していたあかね。緋彩が働いているという場所にやってきたのだが、目の前に建っているのは少し寂れた商店街にある本屋。
ちらほらと出入りしている人がいることからやっているのだろうが、どうにも入りにくい。
出入りしているのが、キラキラ女子高生や中学生などで気後れしてしまっている。小学生なら入りやすいのに。
「わわっ!」
手にしていたスマホ送られてきたメッセージの通知に驚くくらいには、緊張していた。
『あってるから入っておいで』
まるであかねの場所を知っているかのようなメッセージに首を傾げる。
「どこから見てるんだろう?」
とはいえここでずっと躊躇っていたのでは埒が開かないと思い、意を決して店へと入る。
緋彩が聞いていたとしたら、たかだか店に入るだけだろうに何をそこまでと言っているだろう。
「こ、こんにちはぁ」
「ようやく入ってきたんだ。いらっしゃいあかねさん」
奥の方から緋彩の声が聞こえる。緋彩以外に人のいる気配はない。
恐る恐ると言った感じであかねは、声のする方へと向かう。
「? どうしたのそんな恐る恐る来たみたいな感じで」
「キラキラした子たちが出入りしてて、私は入りづらかったんだよぉ」
「いつどんな角度で見ようと、絶対あかねさんの方がキラキラしてるから気にしなくていいと思うけど」
顔を合わせて始めの一言とは思えないぜと言う緋彩。
「もっと僕の格好を褒めるべきじゃないかな?」
「あ、眼鏡? 急にかけてどうしたの? もしかして眼鏡イコール賢いみたいに思ってた?」
「違う。書店の受付はエプロン付けて眼鏡かけるのが基本だろ」
「ごめん。緋彩くんの店員さんに対するイメージがよくわかんないや」
自分の想像よりもアホな事を考えていたらしい緋彩に、流石のあかねさんも呆れた様子。
いや、いつも呆れていたか。
「やれやれ、これだから素人は」
「確かにこう言うところで働いたことはないから素人だね」
「あ、なんか買ってく? ノートとかあるよ」
「急に雑な宣伝!? というか何でノート? 本屋さんなのに本を勧めないの?!」
緋彩の適当な感じの勧めに、思わずつっこむあかね。
きょとんとした顔をしたと思うと軽く緋彩は言う。
「僕なりの気遣いってやつだよ。役作りにノートとか使うんじゃないかって思ってさ」
「確かに結構使うけど、私そんなこと教えたっけ?」
「いや、教わってないよ」
「じゃあ何でわかったの?」
「簡単なことだよあかねくん」
ウィンクをして頭を人差し指でトントンと叩きながら言う。
あかねは緋彩の仕草にイラッと来たが、とりあえず言わせてあげようと黙って続きを促す。
「君が役作りを始めたと教えてくれた時、それまではほとんど汚れていなかったシャツの袖や、手の……手の、手の……手のここがちょこっと汚れてたんだよね」
手のひらの側面である掌外沿という部分を指して言う。
「だから携帯のメモとかじゃなくて、ノートとか裏紙を使って書いてるんだろうなって思ったわけだよ」
「…………ず、随分よくみてるんだね」
「まぁね! 僕の観察眼ならこれくらいは余裕だよ」
「私緋彩くんにちょっと引いてる」
「なんでっ?!」
普段役作りの自分の行いと洞察力や諸々を棚に上げて、あかねは自分の肩を抱いて見せる。
「おい、僕をそんな目で見るな」
「そんなこと言われても……私のことそんな風に観てたんだ」
「まて、誤解が生まれそうな言い方はやめろ!」
「もしかして手が好きな人だったりするの?」
「僕に変な属性を盛ろうとするな」
「顔が良くても許されないことってあるんだよ」
「おかしい。僕は善意でノートをすすめたというのに」
「地獄への道は善意で舗装されてるらしいよ」
「それはまた違う話では……?」
緋彩はがっくりと肩を落としてカウンターに伏せる。
「それで? 冷やかしにきたの?」
「む、緋彩くんは失礼だなぁ。本屋さんって聞いてたから、ノートとメモ帳を買うつもりできてたよ」
「やっぱりそうじゃないか!」
「私が言っておいたならいいんだけど、当てられちゃうのはちょっと……もしかしてストーカーだったりする?」
「やめろ僕はストーカーじゃない。確かにあかねさんのことは好きだけど、そこまで過激なやつじゃない」
「嬉しい、けどごめんね。私今は恋人募集してないんだ」
「ファンね! 大女優黒川あかねのファンってことね?!」
「大胆な告白にてっきり私、惚れられちゃったのかと思ったよ」
「ツッコミにくいネタを続けようとしないでくれ!」
ニヤニヤと楽しそうに笑いながら話すあかねとは対照的に、緋彩は疲れた顔をしていた。
おかしい。始めの頃はもっとオドオドしていてツッコミ担当だったのに。今では僕がツッコミしている。
「話は変わるけど」
と、あかねがノートとメモ帳をかなりの量を会計に持っていきながら話し出す。
「うん…………なんか多くね?」
思っていた以上の冊数に驚く緋彩。これくらい普通だよとあかねが答えたことで、そういうものかと納得した。本当にそれが普通なのか謎である。
「女の子がたくさんいたね」
「うん? どこに?」
「このお店だよ」
「そうかな? 僕が小さい頃からあんまり変わってないよ?」
「小さい頃から……」
「元々はというか、このお店はお爺ちゃんが店主なんだよね」
「そうなの?」
「そう。それで小さい時からここに座ってたから、言ってみれば僕は看板娘ならぬ看板息子と言ったところか? それにモールで買うよりも安いんだよ」
何よりイケメンな僕がいるから女の子にそこそこ人気なんだよね! と続ける。
「女の子が多いっていうけど、実際は男も普通に来るし、お爺ちゃんが店番してる時はご老人の方々が多いし」
「ふーん」
「今日はたまたま女の子が多かっただけだね」
「ふーん」
「それがどうかした?」
「別に何でもないよ」
あかねの態度に、はて、何かしたっけなと悩む緋彩。心当たりは先ほどの買いに来たものを当てたことくらいである。
「あ、別に友達でも何でもないよ」
「別に気にしてないよ」
「お客さんだよ」
「だから気にしてない!」
「照れちゃってぇ、こうやって会うのは君だけだよあ・か・ね」
無駄にキメ顔と良い声で、ニヤニヤとしながらあかねを揶揄う。先ほどまでとは形勢逆転と言ったところだろうか。
揶揄われていることに気がつくと途端にムカついてきた。やられっぱなしでは居ないのが黒川あかねである。この男に報いを与えようと決心する。
一体何が彼女をそこまで駆り立てるのか。
「緋彩くんは私に男の子の友達ができても嫌じゃないの?」
「え? 急に何?」
「答えて!」
「僕以外に友達できてよかったね? あ、あとは悪い男に引っ掛けられてないか心配するわ!」
普段緋彩が自分のことをどんな目で見ているのか、気になる返事だった。
悪い男? これでも自分の観察眼には自信があるのだ。簡単に引っかかるわけない。
「なんだかんだ言ってちょろそう」
「私のことなんだと思ってるの?」
「悩んでる時に助けられたらころっと行っちゃいそうなイメージ」
あかねは、やはり緋彩は失礼なやつであるという確信を持った。人を何だと思ってるんだ。そもそも悩みの程度によっては、誰でもあり得る話では?
「……こんなに話し込んじゃったけど、お店は大丈夫なの?」
「うん。好きな時間に閉めていいって言われてるから平気」
「もう閉まってるの?」
「あかねさんが入りにくそうにしてたからね」
「気にしなくてよかったのに……なんだか申し訳ない気持ちになってきたよ」
「大丈夫。お爺ちゃん曰くこのお店は道楽だって言ってたから」
「もしかして緋彩くんのお家はお金持ち?」
「うーん、多分?」
歯切れの悪い返事をする緋彩。よれば、親が何の仕事をしているか詳しく知らないらしい。神社関係であることは確からしいが。
言い方は悪くなってしまうが、稼げる職業ではないだろう。
緋彩も不思議がっていた。
「ま、そんなことは気にしなくていいよ」
「緋彩くんが気にしないならいいのかな? ……いっか」
「あ、ちょっと待っててお菓子持ってくる」
店の裏側に消えていく緋彩を見送りふと思う。
あれ? 仕事姿見に行くって話だったのに、仕事してるところ見てない。何しに来たんだっけ?
「はいどうぞ」
お盆に煎餅とチョコレート、クッキーにかりんとう。飲み物はサイダーという、おばぁちゃん家に行くと出してもらえる物が並べられた。
「ありがとう。いただきます」
「どーぞ。ちなみに僕のおすすめはかりんとう」
「かりんとうってわざわざ買って食べようと思わないなぁ」
「もったいないよ! ここに来たら食べてくといいよ。めちゃくちゃ美味しい」
「ならありがたくいただいておくね」
「ん…………サイダーはコップに入れて飲むタイプ? 欲しいなら持ってくるよ」
「ううん。缶のままで大丈夫だよありがとう」
くぴくぴとサイダーを少しずつ飲む緋彩。たくさんお菓子を持ってきた割には、本人はあまり食べていない。
「どうしたの? そんなに私を見て」
やっぱり私のことが好きなんじゃ……と距離を取る。
緋彩ははぁ、と呆れたようにため息をついて否定する。
「美味しそうに何でも食べるなぁって」
「…………今までは一人で食べてたから」
緋彩の言葉に恥ずかしそうにあかねは答える。思いもよらない返事でついこぼれてしまった。
それを聞いた緋彩は、あっ(察し)的な表情をしてから慈愛に満ちた眼をあかねに向ける。
「……よしよし。これからは僕が一緒に食べてあげるからね」
「うう……嬉しいし喜びたいけど、なんでか喜びたくないぃ」
「うんうんいいよ気にしないでね。いつでも呼んでくれたら行くからね」
「いつか、いつかは私
僕はあかねさんに紹介できるほどの友達いないけどなぁと思いつつも、あかねが自分に紹介するほどの友達を想像できなかった緋彩。
あかねの影響で、有馬かなのファンになりかけている緋彩は、かなちゃん連れてきてくれないかなぁと考えている。
「とりあえず悪い男連れてこないでね」
「いつまでそれ引っ張るの!? 私引っかからないって言ってるじゃん!」
顔を真っ赤にして怒るあかねを笑う緋彩。だからもっとヒートアップするんだぞ。
「わかった。変なこと考えられないように、私が今日はみっちり数学を教えてあげるよ!」
「なっ! それは禁止カードだぞ!」
「うるさい。早くノートと教科書持ってきて」
「…………はぁい」
ぽいっとメガネを放り、飲み終わった缶とお菓子のゴミを持って奥へと消える。すごく嫌そうな顔をしていたがあかねによれば、「私を馬鹿にした罰だから当然」とのこと。
それで勉強を教えてあげることになるあたり、あかねが女神であることは疑いようもない事実だ。
「持ってきました………………何遊んでるの?」
「遊んでないよ。数学の先生って眼鏡かけてるイメージあるでしょ? そういうことだよ」
緋彩が道具を持って戻ってくれば、あかねは先ほどの眼鏡をかけて教師っぽい雰囲気を出していた。
「それ遊んでるっていうんだよ」
「でも似合ってるでしょ?」
「…………僕と同レベルの知性になってしまったか」
「ほら、緋彩くんの好きな女優が普段とは違う格好してるよ。喜んでもいいんじゃないかな?」
「あかねさんってなかなか愉快な子だね」
そんな事を話しつつ勉強を始める二人。
緋彩の祖父が帰ってくるまで続いたようだ。
月下緋彩
実は某カラスにもあったことがあるが、カラスは緋彩のポジティブパワー的なサムシングに耐えられず巻き込みを断念。
ストックのお菓子は、おばあちゃん家に行くと出してもらえるようなやつ。教室でもかりんとう食べてる。本当にクールキャラか?
黒川あかね
悪い男に引っかかりそう(緋彩談)本人は強く否定。
仲良くしてる友達が、自分よりも仲がいい子がいるかもって思うとモヤモヤした気持ちになるのは、誰にでも経験があるはず。それ。
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