【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
本来ゆるすぎさんのポケモンを描いて行かなきゃならないと思っているのですが、申し訳ありません。やりたいネタがあると少しだけ尺を頂く場合があります。
youtube:https://www.youtube.com/watch?v=oQd9LhOkkIo
ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm43392689
ヒョウタとの2度目の戦いに見事勝ち、最初のジム戦を突破することに成功したゆるすぎ一行。
その歩は次なる目的地、谷間の発電所へと向かっていた。
私達もいつもどおり彼らを追う形で旅を続ける。横には私の相棒であるミロカロスのオリオール。いつもの日常だ。
「ところでさ、戦闘中技を言うのってめんどくさいから通しとかしない?Aって言ったらアクアテールとか、かっこよくない?」
「いきなり何言ってんの」
思いつきでふと口にした事をいつも通りめんどくさそうに対応してくれる。
その対応してくれたことに甘えて私は言葉を続ける。
「A!」
元気よく叫ぶ私に対して、ジト目のオーリ。
一瞬だけ考えて、少し恥ずかしそうにしっぽをぷいぷいと左右に振る。
どうやら、ここで無視したらしつこく何度も言うであろう私の性格を見抜いてさっさとやっておくことにしたようだ。
「ほら、早く行こ。あ、ゆるすぎさんまた何か新しくポケモンを捕まえたみたいだよ」
オーリは目が良いので遠くの行動もよく見てくれる。
私も双眼鏡でゆるすぎの方を覗いてみると、確かにポケモンを捕獲したようでボールを嬉しそうに握っている。
そのボールから今捕まえたポケモンを出して名前を考えているようだ。
出てきたポケモンは、ブイゼルだった。
なにか独り言をいった後に端末にポケモンの情報を入力し始める。
「端末に書かれてる名前は…ア・マ・ツ・カ・ミ。アマツカミって入れてるね」
「天津神ねぇ……。でもなんか唇の動きを読むに、別天津神(ことあまつかみ)の事っぽいね。ほら、ポケモンの登録名って五音までだからアマツカミに短縮したっぽいね。」
「コトアマツカミ?」
「そ、別天津神。ほら、日本の神様って高天原(たかまがはら)って天の国出身さんが天津神で、葦原中国(あしはらのなかつくに)、要は今の日本の大地で産まれたのが国津神(くにつかみ)って分けてんのよ」
「ん、それくらいは聞いたことあるけど……別天津神ってのは天津神ってことなの?」
「ん~~~、まぁそうね。そのとおりではあるんだけど、天も地もない位前の頃の神様なのよね。かっこよく言うと天地開闢の始神。うっわ~、言っちゃったよ厨二的セリフ」
「今更気にしないから……で、マスター的にはなんで水ポケモンのブイゼルがコトアマツカミになるって思う?」
「え?聞いてくれちゃうの?」
かけてもないメガネをクイクイとなおす動作をする。
なんだかんだちゃんと話に付き合ってくれてるこの子は、知識に対しての好奇心は人一倍なのだろう。その辺りは親……というかリンリンによく似ている。
「マスター今はコンタクトレンズでしょ。何をなおしてるのよ。あんまりふざけてると話聞かないよ」
「あ~ちょい待ちちょい待ち。ごめんってば。んでね、ブイゼルちゃんが別天津神って名付けられた理由の推測ね。別天津神の中にね三柱の神って特にすごい神様がいるのよ。その中の天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)って一柱。この神様なんだけど……なんの神様だと思う?」
オーリは少し考える。が、皆目検討がつかないという様子だ。
「始めて聞いた名前だし分かるわけないよ」
「でしょうね、私も知らない」
「怒るよ!」
しっぽを地面にビターンと叩きつける。さっきのA……アクアテールの指示よりも余程力強いアクアテールだ。
「まぁまぁ、ようは別天津神ってのはそれくらい始原の神様で、キリスト教におけるGODに近い感じすらあるのよ。そんな天之御中主神……めんどくさいからアメちゃんな。アメちゃんは至高の神って感じなの。日本の神にしては珍しく特定の役目があるわけじゃない」
「……じゃあ始めっからそう言いなさいよ」
頬に空気を入れて膨れている。その顔は可愛いので写真に収めておきたいがここでカメラを出そうものなら今度のアクアテールは私を打ちかねない。
「で、その至高の神のアメちゃんね。至高の神にして天の神。さぁここで第二問!デデン!人間は古来より色んなものに神を見ていたよね。例えば有名な所だと金星。朝に見える金星は明けの明星でルシファーと同一視されて、夜の金星は宵の明星、サタンと同一視されてました」
「うん、それくらいなら私も知ってる」
「お、博識じゃん。んでね、日本もその例外に漏れず。金星は日本だと天津甕星(あまつみかぼし)って神様を見ていたのね。こうして天津神は星に結びつくことも多かったのさ。さてさて、では至高の神のアメちゃんはどの星だったと思う」
オーリは目をつぶって思考を巡らせている。きっと頭の中には夜の星空を思い浮かべていることだろう。シンオウの空は美しく様々な星が見える。何かを考えるにはいい環境だ。
至高の神を思うために思考を巡らせる。なーんてね。
なんて言ったら冷凍ビームでも食らうだろうか。
冷凍ビームと言えばゆるすぎ君の相性表は面白かったな。氷属性の項目に「永」って書いてたんだっけ。オーリに「あんたも永属性の技覚えてて便利だよね」なんて言ってたら人の間違いをおちょくるのはよくないよって窘(たしな)められた。
でも永遠属性とかあったらカッコいいよね。時属性とかかしら?
なんて考えて居たらオーリが目を開けた。
「天における至高。古代に星の高度は関係ない。ならば至高の星とは中心に座する星。つまり、北極星ってことかな」
「ピンポンピンポンピンポーラリス」
「何その正解音……」
「ピンポンとポラリスをかけた渾身のギャグだよ。分かってよ」
「いやそれは分かるけど……はぁまぁいいや続けて」
「んだよぉ~、んで北極星、別名ポラリスね。アメちゃんはこの星とされる事になっていったわけよ。実際は妙見菩薩との習合とかいろいろあるけど今回はその辺省略ね。さて、アメちゃん=北極星として、だ。北極星と言えばあの有名な星座だよね」
「北斗七星?」
「そう、ほあた~!お前はもう死んでいる、で有名なやつね。別名は?」
「……ひしゃく星。そして北極星はその持ち手」
「分かってきたみたいね。柄杓(ひしゃく)と言えば水を汲み、撒く、つまり水の操作を司る。それがアメちゃんみたいな至高の神と名前を結びつければそりゃあもう最高の水使いって願掛けになるじゃない。だから水ポケモンのブイゼルちゃんは柄杓、もとい北斗七星イコールアメちゃん即ち別天津神からアマツガミじゃないかなって」
「なるほどね」
そっけない態度で再びゆるすぎの方を見るオーリ。
だがしっぽの先がフリフリと揺れている。この子は嬉しい時にしっぽを振る犬みたいな習性がある。
まるで興味ないような態度をしてはいるが実際のところは知的好奇心が満たされて嬉しいというわけだ。
やはりこの子の本質はバトルよりもこういったフィールドワークなのだろうな。
しかし、ぐへへ、やはり体は正直じゃのう。
「ところでマスター」
「ん、なんだねオーリ助手」
「ブッブー」
呆気に取られた。
オーリがこんなことを急にファンシーなことを言うことにも、そして急に不正解の効果音が流れることにも。
「ハズレ?何が?」
「アマツガミの名前の由来だけど、ゆるすぎのメモ帳を見るに、NARUT○のイタチの術からだってさ。ほら、ブイゼルがイタチだから」
「ぶー、それだったら別天津神はどっちかっていうとシスイのものじゃん」
唇を尖らせて不満を口にするが名前なんてものは存外そういう直感の方が愛着が湧いたりするものだ。
あんたのオリオールも、私の知る中で最も美しい自然現象から取った物だしね。
ただ……絶対に言ってあげない。美しいものの名前をつけたなんて恥ずかしくて言えるもんか。
「先急ごっか、オーリぃ」
「ん。ところでパチリスはなんでぶちょうなの?」
「部長だから」
「は?」
「課長の上じゃん」
「は?」
「昔居たのよ、課長」
「じゃあ次は常務?」
「知らね」