【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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「なぁアリエル、今ゆるすぎどこに消えたんだ?」
「知るわけないじゃない」
ハクタイシティの自由時間。俺はミミロルのアリエルと一緒に町をぶらついていた。
パーティのメンバーに入っていないポケモンは町の中だと自由に行動させてもらっていたりするが、俺もアリエルも今の所パーティに入っていないのでこうしてぶらりとさせてもらっている。
ゴースである俺は日の当たる街道よりも裏路地といった日の当たらない場所のほうが好きなのだが、アリエルはその逆のようでいつも大通りに連れて行かれる。
「俺はあんまりひと目に付きたくないんだからよ、一人で広い道いけばいいだろ」
「一人じゃつまんないだろ、だから一緒に行こうよ」
「俺は一人でも良いんだけど……」
「あたしが寂しいんだよ。付き合っておくれよ」
というやり取りのもと結局押し切られて俺はこうして日の当たる街道をアリエルと歩くことになった。
陰の者にとって日の光に加えて陽の者のオーラに当てられるのは辛い。だが、そんな事を気にかけずにアリエルは俺にガンガンと話しかけてくる。
好きな食べ物、好きな場所、異性のタイプ、エトセトラセトセトラ。
よくもまぁそんなに喋れるもんだと感心する。
聞かれていることに、一応きちんと返事をしながらも俺は町の売り物などを眺めていた。
そんな時にゆるすぎが遠くに見えた。
「あ、ゆるすぎだ」
「え?どこどこ、せっかくだからなにかおやつでも買ってもらおうぜ」
場所を支持するよりも先に体を掴まれてダッシュする。
恐らく俺の視線の向いてた方向に走っているのだろう。
一方的に話しかけてる割に俺のことはよく見ているようだ。
「おい俺掴んだら毒ガスがつくぞ」
「いーっていーって、んなもん後で手を洗えば良いよ。それよりダッシュダッシュ」
そう、俺は95%がガスでできている。密度がそれなりにあるので掴むことはできるのだが、問題はそのガスに毒が含まれている。
そのせいで野生では俺の姿を見るだけで逃げていく奴がほとんどだった。
ミミロルだって俺を見たら逃げて行くのが普通だった。
それが今、コイツは俺に毒があると知っているのに掴んでくれた。
それが……嬉しかった。触れ合うことを知らない俺に血の通う肉の暖かさを教えてくれた。
けれど、俺は今まで他者と接したことが無い為、そういう時にどういう反応をしたら良いかを知らない。
つい咄嗟に悪態をついたが、それすら跳ね返したアリエルの言葉。
少し、仲間が良いなと思った瞬間。
と、そんな事を思いながら俺を掴んだ手は一層加速する。
そして視線の先のゆるすぎは……突如できた中空の暗がりに入っていきその姿を消した。
「なぁアリエル、今ゆるすぎどこに消えたんだ?」
「知るわけないじゃない」
しばらくすると、再び中空に暗がりができてそこからゆるすぎが出てきた。
「あ、出てきた出てきた。どこに行ってたんだろうね」
「山……いや、地下か」
「え?どうして分かるん?」
「まず持っている道具なんだが、ピッケルとハンマー。これは硬い岩盤を掘削するための道具だから行き先はそれらがある場所に限られる。つまり山か地下ということになる。しかし、ゆるすぎの体には葉っぱのようなものはついていないし、靴も山を歩いたのであれば木の実などを踏み潰して何かしらの色が付くはずだがそれがない。つまり山ではなく、地下である可能性が高い」
アリエルは目をまん丸にしてこちらを見ている。
なにか推理を間違ったからなのだろうか。
彼女の瞳に見つめられることで心臓が高鳴るのを感じる。
「あんた……」
「なんか変なところがあったか?」
「めっちゃ喋れるじゃん。それだけ喋れるんならあたしとももっと喋ろうよ」
「え?あぁ……ってかゆるすぎの行き先とかは気にならないのかよ」
「え~、あんだけニコニコなんだからいい所行ってたんでしょ。それだけ分かれば十分。あんたもそれだけ仲間のことをしっかり見ていてくれてるってのが分かっただけで今日はあたしにとっていい日!さ、帰ろ」
アリエルは俺を掴む手をまだ離さない。
俺はその手の部分のガスの密度をほんの少しだけ高くした。