【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】   作:null cedar

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#1【序章】

youtube:https://www.youtube.com/watch?v=TdFCaOwujgY

ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm43333656

 

ポケセンの設備の一つとしてポケモンを鍛えるジムが存在している。

一昔前まではポケモン同士で戦い合わせる試合形式の訓練方法が流行ったのだが、ポケモンが本来持つ殺意の元で行われるそれは事故がつきものであった。

その為今では安全な器具を使ってポケモンを鍛えることができるジムが流行っている。

とある炎タイプのジムトレーナーも試合では熱くなりすぎてしまうため普段のトレーニングはもっぱらジムを利用している。

トレーナーのポケモンであるブーバーは炎コントロールのトレーニングを一通り終えると、ドリンクを片手に休憩スペースへと入る。そこで同じく炎トレーナーのポケモン仲間であるヒコザル……今ではヒコザルより1つだけ進化したポケモンを見つける。

そのポケモンも一通りのトレーニングを終えているようで、体からは蒸気が上がっている。炎ポケモン特有の熱と運動による熱の相乗効果でまるでその周りだけがスチーム式の加湿器のようになっている。体の汗がどんどんと蒸発していき、水分を取らなければあっという間に体の中がカラカラになってしまうだろう。その為そのポケモンもまたドリンクを口にしている。

休憩スペースに入ってきたブーバーの気配を感じ口にしていたドリンクから口を離し

「よぉ、ブーバー。お疲れさん。」

「あぁ、随分と熱が入っているようだな。筋肉の仕上がり方が数週間前と比べて段違いだ」

「ハッハッハ。俺はまぁ……稼がねぇといけねぇからな。強くならねぇといけねぇんだ」

「息子……か。確か体が弱いから田舎で療養中だったよな」

「フタバタウン……ってところでな。でも田舎の空気があっているみてぇでよ。もう一人で歩けるようになったみてぇだ。今度引き取り手が居たら、人間に飼ってもらって色んな所に旅に出してもらう予定になってんだ」

「そうか、そうすると仕送りも増えることになるな」

「おう、だからこうして俺は強くなってたんまり稼げるようにならねぇとな。いっそ炎のジムトレーナーとかどうだ?もっと大きく四天王、チャンピオンを目指すってのも良いな。なんつっても俺は今ではこのチームの期待のエースだからな!」

「あぁ、そうだな、お前は立派なエースだ。だが、王将は俺だ」

ブーバーは余裕そうな笑みでドリンクを口にする。

しかし、その心のうちでは焦りを感じていた。あまりの成長速度にである。

子を思う気持ちというのはポケモンをここまで強くするものなのだろうか。

このまま強くなりチームを引っ張れる一員になれば本当にジムリーダー、或いは四天王やチャンピオンも夢では無いのではないだろうか。

「もし四天王やチャンピオンになれば、お前の息子の旅の行く末で一緒に戦える日が来るかもな」

「おう!そりゃ楽しみだな!オヤジの強さってのを見せつけてやらねぇとな」

 

 

 

一方時を同じくしてフタバタウンの出口付近。

そこには瞳孔が開いた猿型のポケモン、ヒコザルが空を仰ぎ見ていた。

そのポケモン……否、ポケモンであった物質を見下ろしているのはペンギンのフォルムをしたポケモン、ポッチャマ。その目はヒコザルの目と同様に生気を感じない。しかしポッチャマは確実に生きておりただただ感情が抜け落ちているだけであった。初めての命のやり取りを終え生き延びた。その事はポッチャマに肉体の成長と、心の凍結をもたらせるのであった。

 

それをそばで見ていたのは草タイプのナエトル。しかし、ナエトルはその生命のやり取りを見て動物としての本能なのか、恐怖のあまりその場を一目散に逃げ出してしまった。動物としての本能なのだろう、しかしそれは限りなく正しい。今のポッチャマは一度の殺害を完遂したことで、これから先は良心が咎めることはなくなる。殺しのトリガーを容易く引く存在となったのだ。そこから逃げ出すのは卑怯なことではない。正しいことなのだ。

 

 

そんな死の充満する香りを嗅ぎつけてこの街までやってきた私だが、思いの外面白いことになりそうだ。

「ねぇねぇ、オーリィ……ちょっち質問なんだけどさぁ……あのヒコザルって死んだよね……?」

「えぇ……間違いなく」

この戦いを遠くの草むらからじっと眺めていた私とミロカロスのオリオール。

先刻の山賊崩れを軽くいなした後にこのシンオウ地方までやってきてたまたま少年たちのポケモンバトルを見つけ思わず遠くから観戦していたが、まさかの殺傷に至っていた。

かつて、ホウエンで見た凄惨極まるポケモンバトルを思い出させる戦である。

そして面白いのはその先であった。私も、オリオールも共にそのヒコザルの生命が終わる瞬間を見ていた。完膚なきまでに命を消されていた。

だが、そのポケモンは次の瞬間何事も無く起き上がったのである。

ホウエンでは一度も見たことが無い現象だ。生き返った……とは少し違う印象を受けた。

まるでヒコザルの肉体だけが時を戻したかのように。

そう、肉体という器だけが動いている。そんな風に感じた。神様がほんの少しだけ動くことを許した肉体。目には命が灯っておらず、心もそこには無かった。

「なるほどねぇ……やたら信仰心が強い地方とは聞いていたけど、この辺りは本当に神様がいるのかね。面白い……このシンオウではあのゆるすぎって子を密着取材しちゃいましょっか」

「マスター……また、ゆるすぎって名前の人の密着なんですね」

そういえばホウエンでつきまとってた人と同じ名前だった。つくづく縁があるようだ。

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