【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
youtube:https://www.youtube.com/watch?v=sBbum_jaXzY
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「あんたを捕まえたのは俺たちだけど……どうにもな……すまねぇ、しばらくはお前ぇを歓迎する気になれねぇわ」
「おや、手前さんは確か……パチリスのぶちょうさんでしたな」
森の洋館のテレビの中に潜んでいたポケモン、自称森の洋館の真打ちロトムを捕獲して数日後の事。
森の洋館での散策は無傷というわけにはいかなかった。
体の中にゼロ、即ちゴースを取り込んだだにょーらは「ゴースを捕食した」と勘違いされ同族の恨みを買った。
ガスポケモンである彼らは同族の気配を強く感じるらしく、ドクケイルの体内からゴースの気配を感じたことでそのドクケイル、だにょーらに並々ならぬ殺意を抱くことになる。
自らの命を犠牲とする「呪い」を持ってお体の命を散らすことになった。
だにょーらの死を乗り越え探索は続いた。
森の洋館の二階では小部屋の散策中に、隣の部屋に少女を感じた。
なぜ隣の部屋に居る存在を「少女」と断定できるのか。これに関しては、その場に居合わせないとわからないだろう。
神の視点を持ったかのような感覚。隣の部屋の詳細までが脳内にはっきりと分かる。
そしてその見えないはずの視界にははっきりと少女が映っていた。
しかし、いざ隣の部屋へ行ってみるとそこにはみがわりの技マシン、そしてみがわりにつかう人形のみが置かれているのみで少女の姿はない。
あの少女はなんであったのか。
ゆるすぎ一行は恐怖の感情を抱いたまま探索を続けることになる。
その探索の先にロトムはいた。
捕獲のための戦いの中でアマツカミは命を落とした。
「歓迎できねぇってのは、貴方のお仲間さんをあたくしが手にかけたからですかい」
「あぁ」
「ですが、それはお互い様ではありませんか? あたくしたちは、あの森の洋館で人を避けて住んでいたのですよ。
誰にも迷惑をかけずにひっそりと暮らしておりました。それを土足で踏み込んで奪い、その上でその勝手な言い分は少し通らないのではなかろうか」
「家族って……お前あの人形が家族って言ってんのか?」
ゆるすぎがその洋館から持ち出したのはみがわり、そしてせいぜい森の羊羹、ふしぎのアメくらいだ。
後者二つに関しては食べ物であるため、これを家族というのは流石に話が飛躍しすぎている。
「人形ならば命では無いのでしょうか? あなた方も”視た”はずです。
あの子が歩く姿を。あたくしはね、あの子を喜ばせるためになんでもやった。
テレビに憑依し、ありもしないTVアニメを流した。
洗濯機に憑依し、あの子が持っている服を洗濯した。
オーブンに憑依し、あの子がこねた泥のケーキを加熱した。
どれもあの子を喜ばせるためにやったこと。迷い込んだ人間たちはいつも私のこのケチな技を見てポルターガイストだぁエクトプラズムだぁと勝手な事を言う。
挙げ句図鑑には家電に憑依しイタズラをするたぁ勝手なレッテル付け」
ぶちょうは何も言い返すことができずにただ黙っている。
思い当たることがあるのだろう。
返事が無いため、プラズムの話はまだ続いた。
「あの子は自分の意志で歩き、生活をしていた。それが人形だから、霊だから、或いはその他の超常現象だからと言ってなんなのでありましょう。
自分の意志で動き生活をするあの子は命に相応しいのではありませんか?
あなた方はそれをなんの了承も無しに奪っていきやした。
ならばあたくしもついていくしかありません。ただ、もちろんこれだけのことをしてくれたのですからそれだけの対価を支払っていただきました。
この一件、お互い様ではありませんか」
言いたいことを全部いい終えたプラズムはそっと目を閉じる。
ぶちょうも想いを巡らせ必死に言葉を探す。
お互いに大切なものを奪い合った。
そこに違いは無いのかもしれない。お互い様なのかもしれない。
「けど、先に踏み込んだのはこっちだ。俺たちの方が、悪い、今ならそう思う。
そう思うんだが……それでもやっぱりお前を歓迎することは俺にはできない。
その上で、我儘なんだが、お前の力を貸して欲しい。お前が強いことは俺は認めている」
「それに関しちゃあ、まぁビジネス上仕方ありませんからね。
現状あの子と一緒にいる手段が戦いの道にしか無いのならばあたくしはこの修羅の道を征きましょう。
人形を家族と思う愚かなポケモンでありやすが、この気持を否定されるわけにゃあいきやせん」
「否定する気は……ねぇよ」