【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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「ねぇ、ローポリってさ、前の飼い主さんが嫌だから逃げてきたの?」
にしまつやが話しかけているのはついさっき仲間になったポリゴンのローポリ。老夫婦から譲られる形で仲間になったのだが、どうやら老夫婦よりも前にギンガ団の中で飼われていたらしい。
そのギンガ団の建屋の近くで老夫婦が見つけて保護していたらしい。老夫婦は見つけたポリゴンをギンガ団に連れて行こうとしたようだが、全力で拒否することでなんとかギンガ団に帰る事をま逃れた、ということのようだ。
だが、老夫婦にもポリゴンを飼うほどの専門的な知識もなく困っていたところにちょうどゆるすぎが現れた、というのが事の顛末だったらしい。
飼い主が転々とすることに何かを感じたらしいにしまつやは思わずローポリに尋ねていた。
「飼い主ってのもちょっと違うんだよ。ほら、俺って普通のポケモンと違うだろ?」
ローポリの言う通りポリゴンの見た目は他のポケモン……というよりは生き物全般と比べても異質であった。その体表は平べったい板をつないだような形をしており、本当なのかどうなのかはわからないが人工的に制作されたポケモンであるようだ。
「まぁ確かに珍しいよね。でもだったらなおのことなんで? 大事にされてたんじゃないの?」
「まさか、逆だよ。いろんな事を試されたさ。いろんなプログラムを打ち込まれて、変なアップデートさせられて、碌な結果が得られなかったらダウングレードの繰り返し。体を弄られまくって俺の寿命なんてもうあんまり長くないんじゃないのか?」
「ギンガ団って……あんまりいい印象はないけど、そこまでやるの……? 遺伝子改変なんて重罪じゃない」
「俺の場合は半分は人工物だからな。罪悪感が少ないんだろう。それに俺は電子に介入できる。オンライン上に俺が入り込んであれこれできればアイツラの野望達成の近道になるんだろうよ。ま、それが嫌だから逃げ出したんだがな」
「へ~、なるほどね。……、ねぇもしかして、ギンガ団ぶっつぶしたい?」
「そりゃあ、もちろん? 力さえあれば俺を弄ったお礼をしてやりたいね。利子もつけて」
「だったらやっぱりローポリちゃんは私達の仲間だ。私達はギンガ団ぶっつぶすよ。だから、少しでも戦力が欲しい。ローポリちゃんがその気なら、一緒に手伝って欲しい」
「はは、渡りに船とはこのことだ。アイツラから逃げることができて、復讐のチャンスもあるし、そのための志を同じくした同士が仲間になるなんて」
「それでねそれでね、ローポリちゃんは嫌かもしれないけど……ここにローポリちゃんを強くできるかもしれないアップデートがあるの。本当に強くなれるかどうかは分からない。だから無理にとは言わないんだけど……これ試してみ」
最後の「る」をいうよりも早くローポリはその返事を返した。
「聞くまでもない。やるよ。もとより俺の体は弄られまくってもうあまり先も長くないかもしれないんだ。だったら可能性があるならば全てに賭けたい」
早速ローポリはポケセンのパソコンと接続されアップデートすることになった。
ローポリを構成している板のような体が次第に丸みを帯びていく。今までの生き物とかけ離れた形と比べると幾分かは生命体に近い丸みと質感になった。しかし色はやはり生命とはかけ離れた毒々しいピンク色をしており、体のパーツもそれぞれが接続される事無く宙に浮いている。
これでどれほど強くなったのか。それは今現在の時点ではローポリを含む誰にも分からない。
だが、この直後のダブルバトルにおいて圧倒的な火力を誇るガフエルと肩を並べて戦う時にその進化が伊達では無いことが証明された。
ローポリの放つサイケこうせんはガフエルの念力に勝るとも劣らない威力であり、二人の攻撃が同時に命中したラルトスは、2ターン目を迎えること無くダウンした。
この火力は果たしてプログラムによるものなのか。それともギンガ団を潰したいという祈りから生み出された力なのか。或いはプログラムと心。その対極に存在している二つの要素が同じ方向を向いた事による奇跡なのかもしれない。