【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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仲間が数多く逝った。仲間……か、俺も随分と情に絆されるようになったものだ。かつての俺であれば一緒にいるだけの奴らのことなど知ったことではなかった。然し、文字通り命を賭け戦うあいつらは……或いは生命の輝きそのものだったのかもしれない。
戦場から一人帰ってきたピースは青ざめていた。数々のポケモンを一撃で貫き生命を終了させる魔魚。血を浴び赤く染め上がった姿。輝く鎧のような鱗。聞き及ぶだけでこの世のものと思えないポケモンだった。そのものの名前を聞いては居ないが、一体どれほどの凶悪な面構えなのだろうか。慈悲の一片もなく一撃で躊躇いなく命を終わらせる存在。命を刈り取る者。まさにそれは地獄の使者ではないだろうか。
針により咎人を刺殺し続ける地獄は存在する。名を、大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)。殺生・盗み・邪淫・飲酒・嘘を犯した者が落ちる地獄であり、罪人たちはここでの仕打ちに耐えきれず叫ぶことからこの名がついている。地獄での罪人はたとえ死んでもその刑期が終わるまで生き返されまた殺され続ける。
恐らく彼らを殺したのもそんな刑吏(けいり)だろう。もはや感情なく、理由もなく命を奪い続ける存在。斯様な存在との戦いも今後は視野に入れねばならない。
成らば……俺もこの肉体を捨て、次の次元へ進まねばなるまい。
俺が目指す物は、叫喚地獄の刑吏を上回る存在。本来は阿鼻、無間の最下層を体現したいが何をしているかの具体例が伝わっていない。不確定要素が多いと俺の進化の制度が落ちる。ならば、それよりは上の階層ではあるが叫喚地獄よりも下の階層である焦熱ということになるか。
世界的に見ても神話と炎は結びつきやすい。ゲヘナ、インフェルノ、ムスペルヘイムなど枚挙に暇がない。
かつてにしまつやは俺のことをルシファーみたいだと言った。ルシファーとは昨今では専ら堕天使の名前でのみ通っているが本来の語源であるラテン語では炎を運ぶ者を意味しているという。
俺もルシファーの何相応しく……その身を炎に捧げるとしよう。
誰よりも命を輝かせた彼奴らへ報いるため、この身を炎で清め、俺自らが数多の敵を焼き、味方を照らす熾天使となってみせよう。私はアルファでありオメガである。
炎の石よ、我に力を。
イーブイであるファーは炎の石に願いを込めた。ファーの体内のほのおタイプの遺伝子は炎の石に反応し活性化し激しい熱を帯び始める。その熱はファーを強く熱し、体の色は美しい茶色から、太陽を思わせるオレンジに変貌を遂げた。かつてのたてがみはこれもまた太陽のプロミネンスを思わせる鮮やかな赤みがかった黄色となる。
新たなたてがみはファー自身の熱でゆらゆらとまるで炎のように揺れる。その毛の動きはあたかも天使の羽を思わせる動きだった。
「にしまつや……貴様とじゃれ合うのは悪くなかった。炎を運ぶものたる俺からの送り火だ。アリエル、ゃ、ローポリ、グラライガ、くさぁ、ミスト、ハチみつこ、レジドミラ迷わず逝くが良い」
晴れ渡る空に、目一杯吸い込んだ空気を吹き付ける。吐き出した空気は口元で引火され天への炎の階(きざはし)を象る。まるで雲までかかるのではないかと思われる勢いで吹き出される炎はまさに地面からのエンジェルラダーであった。