【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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レストランななつぼし。食事とポケモンバトルを同時にこなせるレストランである。料理が運ばれるまでの間の待ち時間に戦うことはおろか、食べながらのバトルすら容認される。
「オイラは御飯食べる時はご飯だけに集中したいんだけどなぁ」
「俺もそうだな。目の前の肉に集中したい」
あっかんべーとアザゼルは目の前で戦闘をしながら食事をするカップルを見ながら世間話をしている。
「ところでさ、なんでゆるすぎ君はカップルにいきなりポケモンバトル挑んだんだろう? 仲良く食べてたのにいきなり喧嘩腰にバトル挑んじゃってさぁ、あれじゃ……ヤカラ? っていうんだっけ? そんな感じのやつじゃん」
「いやそれなんだがな……俺もなんかあの二人を見てたらイライラしてくるんだよ。仲の良い男女を見ているとこう……嫉妬のような感情がふつふつと……きっとゆるすぎもそうなんじゃねぇかな」
そんな会話をよそにピースとひびきはダブルバトルに勤しんでいる。バトル中にひびきは相手の隙を伺っていた。チラチラと相手のカップルのテーブルを見ている。
「なんだ、ひびきのやつアイツらの料理が気になるのか?」
「ん~、でもひびきちゃんって肉とか食べないけど?」
指摘の通り、チェリムであるひびきは植物タイプのポケモンのため普段は水と日光で栄養を作っている。時折植物用の栄養剤を飲んだりもしているが、基本的に固形物を口にすることはない。そのため、相手のカップルに運ばれている料理には興味が無いはずである。だが、ひびきはどうしても机の上に視線が吸い寄せられている。
ピースのバブルこうせんによって辺りが泡だらけになり視界が上手く取れなくなったその瞬間にそれは起きた。
そのあるかないかの僅かな隙にひびきはカップルのテーブルツルを伸ばした。そのツルの先は皿ではなく、グラスであった。
「そうか、確かあの男が言っていたな。ドリンクの素材は全て天然素材って。そりゃあ植物ポケモンにとっては栄養を全てドリンクにしてるんだったら……飲みてぇよなぁ」
グラスのドリンクの量が減っていく。しかし、人間が口にする量からすれば大した量ではないため気づかれてはいない。ドリンクを飲んだことは……人間たちには気づかれていなかった。
だが、仲間だけはそのことに気づき、それが原因でその後の事が起きたことに感づいた。
戦闘が終了したその瞬間、ひびきの体は急激に成長した。花弁が形成されその体をまるでマントのように包み込んだ。どうやら人間のドリンクを飲むことで栄養状態が分水嶺を超え進化の粋に達したようだ。
「なるほど、人間の食事ってのは栄養が豊富だから俺たちポケモンの進化の役にも立つのか。だったら……」
アザゼルは辺りを見回す。そこで目についたのはカメラを構えた男が写している肉料理であった。柔らかく焼かれた肉は軽く火が通ってるだけで血も滴るほどであった。しかし、人間の手で食事用に育てられた肉は大自然の野良の肉と違い栄養状態は完璧である。その事は肉の色艶を見るだけで判断できた。
「あの肉……良いな。俺はアレが食いたいわ」
アザゼルはゆるすぎのズボンの端を咥え、そのカメラマンの方へと引っ張っていった。
「多分あれ食ったら俺強くなるからさ。いっちょさっきみたいに因縁つけてくんねぇ?」