【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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ビッパ、ムックル、コロボーシ。この辺りでは珍しくもなんとも無い一般的なポケモン。
それを連れた一般的なトレーナー。なぜこんなごく平凡なパーティに着いていこうと思ったのか。端的に言ってしまえばそれは直感でしか無い。
結局の所いつだって体を動かすのは百の理論より一の直感だ。心がそう感じ取ったから動いた。俺が、あの……ともすればただ気持ち悪いだけのおっさんと言われかねないような若者になぜ心が動いたのか、あの痩せ細った戦闘も得意でなさそうなビッパに心が動いたのか。理論で説明できる者なんて居ないだろう。
だが対面し、戦うことで俺の心が動いた。
何もかもかなぐり捨てて、一戦一戦に全てを賭け、安全性などまるで無い戦い。
こんな安定性のない戦いに未来なんて感じない。
だが、その中に俺は輝きを感じた。だから着いていこうとした。
「だがなビバディ。俺はそんながむしゃらな生き方を全肯定するつもりはない。お前の戦いは工夫も何も無い。お前の名前にもあるようにバディってのは友達や仲間ってのを意味する。お前はお前一人で戦ってるわけでもない。次の戦いではまず俺が先鋒で出るからよくその意味を感じ取れ」
人間の女のルミが勝負を仕掛けて来た時に俺は先んじて大地に立つ。
ルミはビッパを繰り出す。丁度いい。ビバディと条件は同じ。
よーいどんで、このメスのビッパとビバディがやりあえば勝率は五分と五分だろうな。
これ以上無いほどレッスンの条件が整っている。
実際に出てきたビッパを見るとレベルはビバディよりも少し下のように見える。だが、誤差の範囲だろう。
「いいかビバディ。5割の賭けなんて勝ち続けられるギャンブラーはいない。レッスン1だ。まずは自分の有利な状況で戦え」
俺は目の前の相手、メスのビッパに牙を見せる。
明確な殺意をぶつける。実際に強いかどうかはこの時は関係ない。俺が、俺達がお前に対し攻撃をするという意思表示をすれば良い。即ち威嚇。
俺たちの種族はこの威嚇が得意で、相手の戦意を萎縮することができる。
そして相手の気持ちが一瞬萎えた所を俺はすかさず体当たりする。
大したダメージを与えることはできないが問題は無い。少し、ほんの少しだけでも相手の体力を削ることで後に続く者の勝率を大きく上げることができる。
「交代の瞬間は隙だらけだからな。気をつけろよ、ビバディ」
体当たりの反動で大きく後ろに飛び、その勢いを利用しビバディと交代する。
後ろから相手のビッパの鳴き声が聞こえるが今から交代する俺にとっては関係ない。
「良いかビバディ、相手は戦力を削ったとは言えお前と同等の力を持っている。気を抜くなよ」
続いて戦場に立ったビバディのやれることは現状少ない。
その選択肢の中でお互いのビッパは体当たりを選んだ。
ほぼ同格のビッパ同士の同じ技。普通に考えれば相打ち。
だがしかし、最後に立っていたのはビバディであった。
「運が良かった……わけではない。わかるなビバディ」
「あぁ……うん。分かった。僕の体力は多分あの体当たりなら1回は耐えられた。つまり、余程当たりどころが悪くなければ何回やってもこの条件なら勝てる」
勝ち続けられるギャンブラーは存在しない。
ならば俺たちはそのギャンブルの勝率をあの手この手で上げてやればいい。
控えで見ていたコロボーシのみゆきが声をかけてくる。
「随分お優しいんだね。昨日今日あったばっかだってのに」
「どうした、お前も教示してほしいのか?」
「そうだね、考えとくよ」