【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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ポケモン育て屋さん。トレーナーに代わってポケモンを育てる施設である。どこの施設でも共通して言えることは、レベルを上げることを仕事としている。場所によっては愛情をかけずに機械的にポケモンを鍛えているが、ここシンオウの育て屋さんではポケモンの気持ちを尊重し、ポケモンにあった育て方をしている。そのため同時に預かることのできるポケモンの数は多くは無いが、人気は高いため予約は後を絶たない。育て屋さんの主もポケモン一匹一匹と向き合い愛情を注ぐ事を厭わない。
しばらく前に預けられたトサキントのクロノバスも本来の主であるゆるすぎよりも育て屋さんの主人と接した時間が長いほどになっていた。
「よぉクロノバス。オメェは特殊攻撃よりは物理攻撃の方が得意だな。その自慢の角を使った戦い方ができると良いかもしれねぇな」
しかし、クロノバス自身は自らが水ポケモンのためせっかく覚えた水タイプの特殊技も使ってみたかった。もちろん育て屋さんの主人はその気持を分かっていた為、水タイプの技を忘れさせることはしなかった。気持ちを尊重した上で、物理攻撃の戦い方のサポートのできるアクアリングを教えることにした。
「この技なら威力はあまりでなくても体力を回復する効果を得ることができる。いざって言う時に役に立つはずだ。いいかクロノバス。どんな時も自分の体力を大切にするんだぞ」
言いながら、クロノバスの好物であるモーモーミルクを飲料用の容器に注いでくれる。どれだけボロボロになるほどの特訓の後もモーモーミルクを飲めば次の日にはすっかりと体力は元通りになるように感じていた。実際、その栄養価は高く、傷などの治癒には絶大な効果を示すことができていた。注がれたモーモーミルクをコクコクと飲んでいく。まろやかな口当たりと風味豊かな香りが鼻を突き抜ける。体のそこから活力が湧き出ていくのを感じていた。どれだけ疲れていてもモーモーミルクさえ飲めばまた動くことができた。
「モーモーミルクを飲めば元気満タンだ。いいか、戦いのときも一時的に体力を戻したい時はモーモーミルクを飲むんだぞ。油断だけはするなよぉ。いざ戦いにおいて一番の敵ってのは相手ではない。自分の油断と慢心だ。有利なときほど慎重になるんだぞ。一瞬の取り合いをしている生死をかけた戦いでの油断は死に直結する」
クロノバスはその事を常に心に止めていた。
そして、時は現在。
クロノバスは瀕死の状態でバトルを終了し、回復することなく周囲の探索を続けていた。
(回復をしてほしいな……)
そう感じていたが、その願いは届かず、また再び草むらからポニータが飛び出してきた。有利な相手である。しかしこれだけの深手を負っていると危険だ。回復ができないならせめて控えと交代して欲しい。そう考えてはいたが、クロノバスには攻撃の指示が出された。
「ちょ……ちょっとまってくれよ! 確かに有利だけどもしこの一撃でアイツを倒せなかったら俺は……」
抗議の言葉を口にはしたが、トレーナーの指示は絶対である。
そして最悪の事態は発生した。普段であれば一撃で倒せたのかもしれない。しかし、手負いで全力を出せなかった攻撃は紙一重でポニータの命には届かなかった。攻撃を耐えきったポニータの反撃がクロノバスめがけて飛んでくる。
「あぁ……最後にもう一度……飲みたかったな……モーモーミルク」
クロノバスの目には優しかった育て屋さんの主人が見えていた。