【ポケモンプラチナ】失ったポケモンは二度と戻らない。【ポケモン視点】 作:null cedar
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翼が大気を捉え僕の体は空へと吸い込まれる。
高く、高く、もっと高く飛びたい。
この空の向こうには何があるんだろう。
僕の探すものはあるだろうか。
コトブキシティ。
今まで僕がいた森の中からたまにチラチラと見えてはいたがこうして中に入るのは始めてだ。
大きなビルが立ち並び、まるで鉄のジャングルのようだった。
街中には噴水やベンチなどのが並び景観にも気を配っている。生活に余裕がある証拠だ。
山を切り開いて作った街、ということだが、それを聞いてあまりいい気分はしなかった。僕にとっては昔の嫌なことを思い出させる事実だった。
かつて僕らの群れはこのコトブキシティの近くの山の洞穴に住んでいた。
自然にできた洞穴は1年を通して気温も一定で雛を育てるのにも適していた。
しかしある日、突如として住んでいた山の洞穴を追い出された。
イシツブテ、イワークなどのポケモンがスコップやツルハシといった人間が作り出した工具を携え攻め入ってきた。
攻め入った……というよりは僕らは歯牙にもかけられなかった。
僕らを無視して洞窟を掘り始めた。群れの一部の者はそれに反発し攻撃をした。
それが引き金だった。作業員のいわポケモンたちは一斉に僕たちに攻撃を仕掛けてきた。多くの岩雪崩が群れを襲った。
まだ小さかった僕たちはそれに対する力は無く、ただただ僕に落ちてくる岩を眺めることしかできなかった。だけど、その岩たちは僕に落ちることは無く……代わりに僕を覆ったのは群れの大人達だった。ムックルから進化した姿のため、まだムックルでいる僕たちの全身は完全に覆われ、岩での攻撃が僕を傷つけるることはなかった。
だけど僕の体には岩の代わりに赤い液体が止めどなく流れてくる。
僕を覆う体の熱はどんどんと冷たくなっていき、やがてその翼からは力が無くなった。
「逃げて」
最後に僕の耳元で聞こえたその言葉を、僕は……悔しくて情けなくて、それでもそれしか選べなくって……だからどんなに惨めでも生きることにした。
逃げながら聞こえたのは、この洞窟を掘るのは珍しい鉱石・化石などを掘るためだからという理由。
かつてホウエン地方ではそういった珍しい鉱石を集めるために人工的に地質変動を起こすことを企てた奴が居るという噂も聞いたことがある。
人間は時として自らの趣味嗜好の為にこうして先住者の命を踏みにじり蹂躙する。
許せるはずもなく……それでも僕は今こうしてゆるすぎに仕えている。
人間が全て許せないわけではない。僕はその辺りは分かっている。その辺りは今までの野良での生活で分かっている。
ポケモンを連れたトレーナーの多くは信頼関係を築いている。
僕が憎むのは結局の所私利私欲で動く人間と、それを良しとして従えるポケモンだ。