「そんな雑な紹介は初めてっすよ」
「貴方がこの着物を考えていたんですか?」
「あ、はい」
「そんな緊張なさらないで下さい。私、今抜け出してまして…」
「は、はぁ…自分が考えました」
「…ごい」
「へ?」
「すっっごいです!!!!」
凄い興奮気味のお姫様ですこと〜
「で、ではどうぞお楽しみくださ〜い」
「はい!」
対応は店主に任せる。せめて名前ぐらいは知っておきたいけど、俺は裏に籠ってデザインを考える。
「おい、何裏に行こうとしやがる」
「え、だって俺必要です?」
「必要だよ」
「そうですよ!名前ぐらいは知っておきたいじゃないですか!」
「え、えぇ〜…あぁーはい。わかりました」
さっさと選んで欲しい。新しいデザインをたった今考えたから紙に描きたい!
「おい。姫さんが帰るぞって」
「うぇ!?あ、はい!」
「お前またデザイン考えたのか?今度はなんだ?」
「羽織です」
「それ買います!なので、また来ますね!お名前を伺っても良いですか!?」
凄い必死だ…
「橘 渦動です…」
「橘さんですね!私は駒と言います!よろしくお願いします!」
「あ、はい」
何か凄い反応された。店主は物凄いドヤ顔してる。
そしてウキウキで帰られた…
「じゃ、俺この設計を紙に書いて来ますね」
「おう、作らなきゃな!」
「はいっ!」
それにしてもうちの姫さん可愛かったな〜…もう少し育てば俺の時代だとアイドルになれたね。
踊りとか流行らすか??…やめとこ、俺は今影響力があるし。大人しく着物売っておきます。
◆
完成しました。
「ほう、君が橘か」
「うぇ?あ、あ、あっす」
デザインを作り終わったら何か凄いお偉いさんっぽいお侍さんが居たでござる。
「ふん、こんな場所で働いているなんてなぁ〜…ん?あぁいや。別にとっては食おうって訳じゃない。娘が君が考えたデザインを買って大変興奮気味でね。あんなに嬉しそうな娘を見るのは久しぶりだからこちらも嬉しくてね」
「殿、そろそろ本題に」
「あ、あぁ。そうだな」
ちょっと、ん?待って
「橘様、貴殿には最上家の小袖を作って貰いたい」
「あ、はい。要望とかあります?」
「青を下地にした物を欲しい。それとこの国の文化が伝わるようなモノを設計してほしい」
「かしこまりました」
「して、最上家の小袖を作るっていう任を与えられた訳だが…こんな場所では集中して作れまい?」
「あ、いえ」
「作れまい!!??」
「はい」
んー、凄血を感じる。あの子の父親なんだなって思う。
「であるか!なら、うちに来なさい!」
「いや〜あの、仕事が…」
「うちから行きなさい」
これ、断っても勢いで来るんだろうなぁ〜…
「わかりました。行くのは明日以降でも良いですか?」
「問題なかろう!ではな!」
んー、急展開すぎる?
翌朝、店主に昨晩起こった事を伝えたら爆笑された。
「まぁ、頑張れや!」
「頑張ります。あ、これ新しい設計です」
「坊主…本っ当に仕事早いな…」