本来ならあっちでやるべき内容かもですが、アルノさんの世界観をもうちっとだけ掘り下げたかったのでこっちでやりました。
やぁ、『元』独立傭兵のアルノさんだよ。
今はブルートゥのところの船街で昼行燈やっているぜぇ。
いやぁこっちのアリーナで稼いだ金で吸うタバコがうまい!
ここの座敷でゲームしながらの酒もうまい!
ガレージで『スモークチキン』を見上げながらの鶏肉も美味しい!
ここのガレージ、オールマインドのヘリと一緒でシミュレータがあって、ACを使ったゲームができるから楽しいのよ。
いやぁ傭兵は引退したけど、アリーナに参加する都合上ACだけはまだまだ動かすからねぇ。
じいじとブルートゥの仕込みのおかげで、普通にベイラム製の弾とかパーツとか使えるし。
だからコックピット内のタバコ・酒・スモークチキン・暇潰し用ゲーム・毛布のセットはまだ完備してるよ。
アリーナの内容次第では、スコアを競う形で紛争ミッションを再現したきっついのが出てくるからねぇ。
今でも役立っているよ。
さぁて、廊下に出るかぁ。
お酒切れちゃったから、廊下の自販機で買わなきゃ。
「……」
「どうしたんすか兄貴? ……む」
おや。
お隣のガレージから出て来たのは……。
コンゴに、パシッグだね?
「あ、アルノさん?! こ、こっちにいたんすか?!」
おーう。
ひっさしぶりだねぇ。
こうして会うのはルビコン以来だね。
◆
コンゴとパシッグ。
二人共、ベイラム寄りの独立傭兵だね。
よく中立地帯のオールマインドセンターで一緒にギャンブルしたり、後は情報交換とかしたなぁ。
他の奴らはランク1の名前で怯えたりするもんだから、まともにつるんだ数少ない傭兵仲間ということになる。
一時は二人をサポートするオペレーターって勘違いされたこともあったね。
……ボクのスーツとスラックス、やっぱり傭兵らしくないのかなぁ。
でもジャケット&ワンピースのときはだいたい髪下ろしてるのもあってか女子高生判定くらうし、残りのはあれだしなぁ。
「…………」
余談が長くなっちったけど。
その実コンゴとパシッグって、最初から二人でつるんではいなかった。
というかコンゴはルビコン密航前から活動してた奴で、ボクにとってブルートゥと同じ人生を買い戻す前から付き合いだ。
無口なコンゴは、大豊バズーカ二丁とベイラム製拡散バズーカ二門だけ積む極端な四脚タイプ。
単体じゃランク圏外相応の、避けやすいバズーカを振り回すだけの技量がない木っ端だ。
だけど誰かと組めばランク圏内に匹敵する結果と火力を吐きだす、目立たないタイプの有能な傭兵だ。
なにげに勝てないと察したら実績に傷がついてでも撤退して生存を図る、割としたたかな奴だからね。
ルビコンでも数回組んだよ。
一番設けたのはベイラムとドーザーの小競り合いの作戦でね。
ベイラム方として、RaDでもジャンカー・コヨーテスでもない、でもそこそこ大規模なドーザーの勢力を相手に大暴れしたのさ。
あいつと一緒に拡散バズーカで敵MTを爆破するの、楽しかったなぁ。
「ま、待ってくれ! こ、降参だ……降参しますぅ!」
「…………」
「えぇ……」
ちなみに『訥弁』のパシッグ……こと、おしゃべりなパシッグと初めて会ったのもその作戦。
実はこいつ、もともとはドーザーのAC乗りだったのさ。
その作戦でもドーザー側として戦っていたんだけど、ボクら二人でいろんなところ爆破しているうちに降参を申し出て来たのさ。
「お、おねげぇしますチキン・アルノ様! 俺もあんたらも、まだ生きてるから。さっき戦ったのはノーカウントってことでここはひとつ……!」
「……」
「まじかこいつ……ある意味大物じゃん……」
いやどうしようか……って困惑しているうちに、だ。
「…………」
「え、コンゴ? こいつを引き取るって本気かい?」
コンゴが、こいつを引き取るって言いだしたのさ。
いや、コンゴは基本喋らないからその場のノリで察しただけだけどさ……。
「あ、ありがとうございますぅ、兄貴ぃ! この恩、ACの腕で何倍にしてお返ししますぅ……!」
「…………」
「……まぁ、ミッション達成で金にはなるし。別にいっか」
その後は、ベイラムから報酬をもらっておしまい。
コンゴは、自分の相棒となる奴を見つけてホクホクって感じだったね。
もともと一人じゃランク圏外相応ってのは自分でもわかっていて、ずっとバズーカを命中させるため相手の気をひいてくれる相棒を探していたからね。
毎回毎回僚機を雇うよりも、多少あれでも専属僚機となってくれる奴がいた方が何かと安上がりってもんだもんね。
◆
「アルノさん!!!」
それからはコンゴとパシッグのコンビとそこそこつるんだことはあったけど、パシッグ単体と絡んだことはなかった。
だいたいパシッグはずっとコンゴの腰巾着って感じで、基本無口なコンゴの通訳って感じでやっていた。
……ボク以外でコンゴの意思わかる奴あいつだけだから、それだけでも実は結構すごいんだけどね?
だけどやっぱり経緯が経緯ってこともあって、パシッグ単体とじゃぁ流石にうまくは話せなかったよね。
「お願いします! 兄貴を、コンゴの兄貴を助けてくだせぇ……!」
でも、コンゴを助けてくれって土下座してきた時は。
流石にちょっとそういう態度は取れなかったね。
コンゴが死にかけていたのは、ベイラムに雇われて仕事してた時。
その時にアーキバスの部隊に襲われて、一緒にいたパシッグを逃がすため囮になったんだって。
でもパシッグはそれをよしとせず、作戦領域を脱した後すぐボクに泣きついたんだ。
命の恩人を助けてくれって。
「こっちです。こっちに、コンゴの兄貴が……!」
「焦るなパシッグ。MT部隊がいやがる。まずはあっちを蹴散らして安全を確保しなきゃだよ」
「っ! すみません、気が急いていました。すぐにやります」
「手伝うよ。流石にこの状況でコンゴを見捨てるのは趣味じゃない」
パシッグのACは、二丁の短ショットガンをメインにした軽タンクAC。
とにかく地上をすばしっこく走り回ってショットガンを撃ちまくる奴だ。
肩には闇市で手に入れたっていう、大豊の最新式ガトリングキャノンを二門積んで適当にばらまいていた。
バズーカ馬鹿のコンゴといい、実弾特化のこいつといい、なんでこう極端なんだか。
でもまぁ、二人の相性はいいよね。
走り回りながらショットガンで敵の気をひくパシッグと、そんな敵の横っ面をバズーカで爆破するコンゴとで。
「なんだこのAC……ランク圏外じゃないか?」
「馬鹿、そっちじゃない! こいつ、よりにもよってランク1を連れているぞ!」
「なんだってこんな奴がランク1を……?!」
「うるせぇ、邪魔だてめぇら!」
「同意見だね。さっさとご退室頂こう」
その時はボクがコンゴの代わりとして、パシッグの軌道で混乱するアーキバス部隊の頭上に拡散バズーカを叩きつけたね。
勿論ガトリングも重ショも十連装ミサイルも惜しげもなく使いまくって、コンゴ救出の邪魔をする奴をみんなアツアツにしてやった。
「…………」
「兄貴……コンゴの兄貴!」
「…………」
「息がある……兄貴が生きてる! 俺ぁてっきり死んだものかと……ほんとうによかったよぅ、兄貴……!」
その後は、まぁ大したことはなかったね。
思ったよりパシッグの奴が義理堅いことを知れた以外は、珍しくボクは赤字で終わった。
まぁ言葉の件といいアセンの噛み合いといい、ボクの知らないところでそれなりに関係をきちんと築けていたってことだよね。
そういうわけで、赤字の件は一応目をつぶったよ。
あんまり大声じゃ言えないけど、どうせ別の仕事じゃ黒字ばかりだから多少の浪費は問題ないのさ。
◆
と、いうわけでね。
傭兵を引退した今でも、やっぱり二人と会えるとちょっと嬉しいもんだ。
「うんまぁ?! なんだこの味……?!」
ボクのお気に入りさ。
このお好み焼き屋さん、この船の飲み屋街で一番おいしいお好み焼き屋さんなのさ。
特にこのじゃがバター焼きがね、たっぷりマーガリンを染みこませてマヨネーズをたっぷりかけると甘くてうまいんだ。
「…………」
「コンゴの兄貴も気に入ってる……アルノさんの目利きは流石ですなぁ!」
むふーん。
「…………」
「あ、すみません兄貴。確かにすぐ調子に乗るって言ってましたね……」
そこ、聞こえてるよ。
……ところで。
君達は、今どうしてるんだい?
「流石にベイラム寄りの傭兵ではくいっぱぐれるもんで、今は足を洗って配送で食いつないでます。ベイラムのバウンティボード自体が終わっているのも追い風になりやした」
奇遇だねぇ。
ここのみんなと一緒だぁ。
ってことは、二人共ここには何かしらACのパーツを卸しに来たか、もしくはACのパーツを集荷に来たって具合かな。
ブルートゥの運送企業って、基本ACのパーツ配送が主戦力だからねぇ。
今は作業用・探査用・土木用のパーツが強いって言ってたなぁ。
「今は大きな紛争がないですからねぇ、平和なもんですよ」
まったくだ。
傭兵なんていつまでも続けられるものじゃないもん。
「でも、アルノさん今もACには乗ってるんでしょう? こっちのアリーナでトップとったって聞きましたぜ」
まぁね。
ボク、傭兵稼業は死ぬほど嫌いだけど。
ACに乗るのはめちゃくちゃ大好きだから。
今でも楽しくアーマードコアやっているよ。
これにて予定していた分はすべてです。
ここまでお付き合いいただき、改めて御礼申し上げます。
他方、筆者こと上代わちきは、前書きにも言及しました「一般ルビコニアンデス傭兵の話」を配信しております。
もしよろしければ、あちらもお楽しみください。
以下、いつものようにパイロットとACをまとめてあります。
合わせてお楽しみください。
────
独立傭兵コンゴ AC // アダルトドッグ
ルビコンで活動する独立傭兵
コンゴはベイラム寄りの傭兵として活動しており、ベイラムのルビコン進駐の報を聞いて密航してきた。
傭兵間では無口で不愛想な男と知られているが、不思議と人脈は広いという。
ACを操る技量は高くないが、バズーカの火力で実力不足を補う火薬主義者。
独立傭兵パシッグ AC // パピー
ルビコンで活動する独立傭兵
一介のドーザーだった訥弁のパシッグは、ある日ドーザーの勢力争いに敗れて着の身着のまま逃げ出した。
逃げた先で命乞いしたところをコンゴに救われ、以降はコンゴを兄貴と慕い行動を共にしている。
極端な実弾兵装主義の変わり者であり、二丁のショットガンは己の危うさを誇示する脅しの道具である。
アダルトドッグ
独立傭兵コンゴの重量四脚AC
大豊バズーカ二丁と拡散バズーカ二丁を積む、極端なバズーカAC。
フレームは、頭部・コア・腕が大豊製の天槍統一、脚部だけベイラム製の四脚を採用。
ブースターはファーロン製重量向け「BST-G2/P06SPD」、FCSは「TALBOT」、ジェネは積載の都合で妥協した「明堂」。
数値だけならアルノさんの機体より火力があるし耐久力もあるが、何故かランク圏内に入れない程度には操縦技量に優れない。
だがコンゴはある程度割り切っており、基本的にホバー移動しながらバズーカの火力を押し付ける動きのみに注力して戦場を生きてきた。
だがバズーカの命中精度を補正することができず、故に少しでも自身の手に負えないと判断すれば、たとえ実績に傷がついてでもパシッグを連れて撤退していく。
パピー
独立傭兵パシッグの軽量タンクAC。
短ショットガン二丁と肩ガトリング二門を積む、極端な実弾主義AC。
フレームは、頭部RaD製2000、コアRaD製3000、腕部マインドα、脚部エルカノ製軽タンク。
FCSは「TALBOT」、ジェネは大豊製「明堂」。
数値だけならアルノさんの機体より素早く姿勢安定にも優れるが、何故かランク圏内に入れない程度には実績に恵まれない。
だが当人は決してめげておらず、コンゴの兄貴と共に傭兵活動ができればそれでいいようだ。
コンゴが空中ホバーでバズーカ弾を相手へ降り注ぐのに対し、パシッグは地上戦に特化してひたすら実弾をばらまいて相手の気を引く戦法を好む。
基本二丁のショットガンを交互に撃つ以外のことができず、それ故肩武装は何も考えずに弾をばらまけるガトリングを採用している。
ちなみに短ショ二丁やレッドガン御用達の肩ガト二門は闇市で衝動買いしたもので、マインド腕はログハントで入手したものをそのまま使っているだけ。
RaD系フレームやエルカノタンクは、ドーザーとしてのツテで普通に入手。ちなみにFCSとジェネはコンゴと縁を持ってから新たに新調した。
メタ解説
コンセプトはそれぞれ「バズーカでいっぱい爆破したい」「ショットガン二丁を交互に撃ちたい」と言うだけの奴。
多分下手したらイグアスとヴォルタのコンビよりも強いアセンの組み合わせの筈だが、何故か彼らにも及ばないのが不思議。
ゲームシステム的に解釈すると二機ともリペア無しな上、ACのステータスに弱体化補正が入っているため、二機同時でもわりと簡単に倒せる。
パイロットの元ネタは「ダクソ3の無口系主人公と不屈のパッチ」。パッチは、ACfaの「パッチ・ザ・グッドラック」要素よりも「ダクソ3」要素の方が強め。
一方「コンゴ」「パシッグ」の名の由来は両方とも実際の河川。これはベイラム寄りの傭兵であるため、同じくベイラムの部隊であるレッドガンと同じ命名法則を利用したもの。