やぁ、独立傭兵のアルノさんだよ   作:上代わちき

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二話「壁越え支援」

 

 

 

 ルビコン進駐も悪いことばかりじゃないと言ったな。

 撤回する。

 

 やっぱりクソだ。

 

 

 

 壁越え。

 イグアスはうまいことサボりやがった。

 同じようにやられた俺が言えたことじゃねぇが、たかが独立傭兵一匹に熱くなりすぎなんだよ。

 

 MT部隊こそついちゃいるが、ACとしては俺一人での突撃だ。

 はっきりいってたまったもんじゃねぇ。

 

 

 上から砲弾がバカスカ振ってくるもんだから、こっちの手勢はどんどん消えていっちまう。

 これほどふざけた作戦はねぇ。

 

 

 

 

 なぁイグアス。

 ミシガンのいうことは聞いておくもんだぜ。

 

 あいつは本社とは違う。

 むかつくことを平気で言うクソ親父だが、捨て駒にするような真似はしねぇ。

 

 だから、てめぇだけでも……。

 

 

 

 

 

「そこのAC。残念なお知らせです」

 

 んぁ?

 

 

「天国行きのチケット。もう売り切れだってさ」

 

 

 あんた……アルノさん?!

 

 

 

「やぁ、ギリギリ……本当に、ギリギリ生きてそうで何よりだ。ヴォルタ君」

 

 

 

 

 

 

 やぁ、独立傭兵のアルノさんだ。

 ついさっきルビコニアンデスノート、ときたまジャガーノートを吹き飛ばしてきたよ。

 

 なのになんでこっちにもジャガーノートがいるのさ。

 そりゃMT部隊全滅するしヴォルタ君も死にかけるよね。

 砲撃が定期的に降ってくる状況って明らかにタンク殺しだし。

 

 

 

 とりあえず四脚MTをお片付けだ。

 

 

「ぐぁっ?!」

「ラ、ランク1の独立傭兵アルノだ! け、警戒しろぉぉ……っ?!」

 

 ボクのAC「スモークチキン」は、重量逆関節型だ。

 めっちゃ積載して重たいけど、その場でぴょんぴょんしまくれるから砲撃の回避なんてお茶の子さいさいさ。

 

 で、時折キックでMTを吹っ飛ばすのがとても楽しい!

 めっさ重くしてあるうえに逆関節だからキック滅茶苦茶強いんだよねぇ。

 

 

 

「ぐ、数ではこっちが勝って……っ?!」

「な、バズーカ?! ちくしょう、同士が一気にやられて……!」

「ミサイルも飛んできているぞ! 避け……?!」

 

 

 ちなみに肩には十連装ミサイルと拡散バズーカを搭載してるから、雑魚処理も捗る捗る。

 特に拡散バズーカで密集した雑魚どもを吹き飛ばすの、独特の栄養があって脳汁が出るんだよね。

 

 それでも撃ち漏らしがあったらガトリングの弾幕を浴びせたり、QBからの重ショで追撃したりで全部潰すよ。

 重量型なめんな。

 

 

 

 

「すげぇ。これが、ランク1の動きか……!」

「とりあえずヴォルタ君はそこのビルに隠れる! ほら、親切な爺さんからくれた補給物資だ。生憎ボクのACに載せてたもんだから、リペア一個とちょっとの弾薬しかないけど」

「恩に着るぜ、アルノさん……これで、俺はまだ戦える!」

 

 

 この後二人で滅茶苦茶壁越えした。

 

 

 

 

 

 

 というわけでほめてイグアス。

 

 

「いや、その……」

 

 ほーめーて。

 頭もナデナデして。

 ボクイグアス無しじゃ生きてけない。

 

 

 

「頼むからそういうセリフを簡単に吐くな! ……助かった、姉貴。ありがとな」

 

 うん、どういたしまして。

 

 

 

「てめぇが独立傭兵風情に情報漏洩しなきゃ済んだことだろ、サボり野郎。本社のボケどもに口出しされる隙を作りやがって」

「うるせぇ! あんな裏切りかます野良犬が悪いんだよ!」

「いや、まぁ……確かにふざけた裏切り野郎だったけどさ。それとこれは別だろうが」

 

 

 例の独立傭兵レイヴンだっけ。

 あれ、やばいよね。

 

 一応分断したところを強襲したとはいえイグアスとヴォルタ君のコンビを吹き飛ばすし。

 まじやばくね。

 

 

 

「というか、アルノさんよく壁に駆け付けたよな。あれ、独立傭兵は参加できないってことになってたはずだが」

 

 

 あぁその件?

 ボク、色々あって企業の暗部に詳しい傭兵仲間がいるのさ。

 彼の助けと、まぁ裏でこそこそやってる人たちの助けもあって、介入できたのさ。

 

 一応あれでもボクとしてはそこそこの黒字になる仕事という形だし、ベイラム側としても表向きはヴォルタ君が死ぬほど頑張って成果あげたことになってるから。

 みんなウィンウィンってやつだ。

 

 

 

「そうか。俺のツキもまだ落ちちゃいねぇってわけか。……今回は、本当に世話になった。アルノさん」

 

 

 

 

 

 

「なるほどなるほど。イグアス坊やも恵まれているようだ。それでレッドガンを抜けると豪語しているのだから、生意気だな」

 

 

 いやはや、本当に助かったよじいじ。

 

 じいじが手引きしてくれたんでしょ。

 レッドガン支援の匿名依頼と戦場での支援物資を、ボクの方へ。

 

 

 イグアスのことを思うと、あんまりヴォルタ君を見捨てるわけにはいかないからね。

 本当に助かったよ。

 

 

 

 

「さて、な。こちらも匿名の依頼で動いただけのことだ。誰かさんのおかげで暗殺の仕事はめっきり減ったものだからな。すっかりこういう仕事に慣れてしまった」

 

 はいはい。

 ほら、お酒注ぐから。

 

 このお店、ルビコンの中立地帯じゃ最高級の純米大吟醸を揃えてあるから美味しいよ。

 

 

 

「確かにお前の酒と店の目利きには舌を巻くが……イグアス坊やに見られたらこちらが殺されそうだ」

 

 なんでさ。

 ちょっとお酌しただけなのに。

 いくらボクが女とはいえさ。

 

 

 

「アルノ。お前は少し自分の価値というものを理解しておけ。……お前ほどの美人に酌してもらえるなど、ルビコンどころか宇宙を見てもかなりの贅沢なのだぞ」

 

 ふぅん。

 こんな、強化手術の副作用で若さ維持してるだけのヤニカスチンピラがねぇ。

 

 あータバコがうまい。

 どんだけ吸っても健康にも肌にもまったく影響しないタバコがうまい。

 強化手術の副作用サイコー。

 お酒もぐびー。

 魚のから揚げもカリカリでうまー。

 

 

 

「頼むから、余人がいる前でそれはいうな。ただでさえ強化手術の成功例だというのに、外見も維持できているなど奇跡の中の奇跡だ。気をつけろ」

 

 はーい。

 

 

 

「まったく。……お転婆娘一人に振り回されては、暗殺者コールドコールも名折れだな」

 

 

 

 




AC // スモークチキン
独立傭兵アルノが駆る重量逆関節AC。紺色を基調とする機体で、右腕だけ赤く染め上げてある。
右肩には「タバコを吸う鶏」のエンブレムが張ってあり、さらにはビールジョッキとサイコロのデカールも並べている。
武装はガトリングガン・重ショットガン・十連装ミサイル・拡散バズーカを搭載。
フレームは、頭部・コア・腕を通常メランダーで統一し、脚部だけRaD製の重量逆関節を採用。
ブースターはRaD製重量向け・QB重視型の「BC-0600 12345」、FCSはベイラム製の中距離型「TALBOT」、ジェネは大豊製の重量型向きな「三台」を採用。

主兵装はまさかの脚部。重量と逆関節特有の仕様とで超強化されたブーストキックで相手の機体を蹴り飛ばす。
基本は相手と付かず離れずの位置を維持し、ガトリングガンと十連装ミサイルで相手を翻弄しながら、高火力広範囲の拡散バズーカを上から放つコンボを繰り出す。
そうして相手が疲弊すれば、重ショットガンと超強化ブーストキックを交互に使って執拗に追撃する。
いずれも高火力であり、相手をスタッガーに追い込むまでの過程でも十分APを削る力を持つ。
これほどまでの重武装でありながら、逆関節由来で機動力も両立しており回避能力にも優れる。

弱点は重逆故の、重量に対する装甲・姿勢安定の脆さ。この機体を運用する場合、やられる前に超火力を押し付けるか逆関節を活かした回避能力を駆使する必要がある。
もし対人運用する場合はAB速度の低さもネックとなるため、ガン引き機に対しては十連装ミサイルぐらいしか打てる手がなくなる。
また相対的にEN防御が低いため、敵として対峙する場合はEN兵装が効果的。
基本的にベイラム寄りの傭兵らしい機体に仕上がっているが、どうやらRaDと何らかの形でつながっているらしく、結果として独立傭兵に相応しい混成機体となっている。
ちなみに「スモークチキン」の由来は、RaD製逆関節「スプリング『チキン』」と彼女自身の好物。
エンブレム・デカールも含めると「タバコ」「酒」「サイコロ」「スモークチキン」が好物になるという、完全なダメ人間セットが出来上がる。
ちなみにコックピット内にはタバコ・非常食用スモークチキン・水分補給用ノンアル酒・暇潰し用ゲームデバイス・仮眠用毛布が完備されている。


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