そんな四話です。
やぁ、独立傭兵のアルノさんだよ。
今日はジャンカー・コヨーテスの依頼があってね。
RaDの拠点、グリッド086を大規模に襲撃する。
ということでガトリングどばー。
ミサイルもどばー。
あ、密集してる雑魚は拡散バズーカで一気に爆破するね。
なんかいる四脚MTは重ショとキックのコンボで気持ちよく吹き飛ばすよ。
……と、まぁ。
そんな感じでいっぱい稼ぎましたぜ。
個人的には、ACが一機たりともいないのが物足りなかったなぁ。
抹殺対象として指定された頭目やシステム担当は不在で、かつRaDに肩入れしているという例の少年もいなかったし。
ついでにいうと、今のRaDって番犬君がすでに戦死してたりして警備がズタボロだって話らしいから、そりゃ物足りないよね。
そういうわけで、修理痕があるスマートクリーナーを制圧してミッション完了ってわけなのさ。
「お疲れさまでした、チキン・アルノ」
「そっちもね、オーネスト・ブルートゥ」
グリッド086の制圧後は、RaDの構成員を牢にぶちこみつつ祝賀会へとしゃれこんだ。
仕事終わりに吸うタバコの味は格別だぜ。
「戦場でも動きを見ていましたが、相変わらず逆関節の活かし方がお上手ですね」
「こいつの性能がいいのさ。積載たっぷりなのによく動けるし、それにとにかく蹴る時の火力と感触が気持ちいい。ブースターの方も助かってるよ」
「そういっていただけると横流しした甲斐があります、ご友人」
あ、実はボクブルートゥとはそれなりに古い付き合いでね。
当時RaDの星外担当セールスだったこいつと仲良くなって、RaD製逆関節「スプリングチキン」とQB特化型ブースターの「12345」を売ってもらったのさ。
この逆関節とブースターとは長い付き合いになるけど、ベイラム製の重武装と本当に相性が良くて使いやすいんだ。
「もし万が一があればご連絡を。今回の件でRaDの技術を『持ち逃げ』できた形になるので、いつでもRaD製品の修理・交換を受け付けますよ」
「あいよ~。その時は相談するね~」
なんか丁度いい感じに砂漠を見下ろせるスペースがあったから、そこの台をテーブル代わりにして酒を開ける。
うまい。
なんとなくそこの柵を背もたれにしてタバコを吸ってると、コヨーテスのドーザーどもが色々大盛り上がりしてるのが見えた。
思いっきりコーラルドラッグをキメているのがドーザーらしいとも思うが、よく見るとガレージスペースでチンチロしてる一団がいた。
いいなぁ、後でボクも混ざろうか。
仕事終わりにギャンブルするのも悪くない。
「しかし。貴女の弟さん、お世辞にも上澄みとは言えませんね」
「イグアスのことかい? そういえば何回か雇っていたねお前」
「ハッキングドローンの防衛を何回かさせてみたのですが、最終的にRaDが雇った独立傭兵に倒されてしまいました。一応何とか生かして帰しましたが」
ブルートゥ曰く以前何回かイグアスを雇っていたのは、今回の件の布石であり、特にレールキャノンを『持ち逃げ』するための情報が欲しくて探らせていたらしい。
だがこうしてレールキャノンをインフラごと確保できたから、彼としては万々歳といったところか。
「お前の雇い方が悪い。ぶっちゃけイグアス、単体じゃ弱いんだよ。イグアスを雇うならヴォルタ君とセットにしなきゃ」
「なるほど。それは盲点でした。……今度、二人まとめて雇用してみましょう」
「言っておくけど、ヴォルタ君と組んでるときのイグアスはボク以上だからね。雇う時は弁えておきたまえ~」
「なんと?! これはますます惜しいことをしました……!」
おっと、そういや忘れてたことがあった。
「釘を刺しておくけど、あんまし封鎖機構に寄りすぎるなよ?」
「承知しております。これはあくまでRaDを滅ぼすための渡りです。頃合いを見て、貴女のいるベイラムへ渡ります」
「わかればよろしい」
「ふふふ……RaDよりも封鎖機構よりも何よりも、貴女を敵に回すのが一番恐ろしいですからね」
話が落ち着いたところで、ブルートゥもタバコを吸う。
どうやら、かなり苦い味の銘柄だね。
「そんなに、カーラとやらを逃がしたのが痛いのかい?」
「……えぇ。奴だけは、確実に殺しておきたかった。奴とRaD壊滅のためだけに、封鎖機構に尻尾を振ってその支援を得たのです」
オーネスト・ブルートゥ。
重度の虚言癖を持つ人格破綻者。
この情報は、ぶっちゃけあんまり正しくはない。
RaDしかり、ボクしかり。
自身が身内と認めた相手に対しては、それなりにまともなふりができるのがこいつだ。
だが、敵と認めた相手に対しては。
徹底的に重度の虚言癖の側面を使って、相手をイラつかせるのがこいつだ。
今回の作戦。
RaDの連中に向けていたこいつの言動は、まさしく後者のそれだった。
「それほどまでの裏切りを見たのです。カーラは、我々ルビコニアンへ悪辣な裏切りを目論んでいる」
「裏切り、ねぇ。それが今回の動機ってわけかい」
「場合によっては、ルビコン全土を巻き込むものです。使命だかなんだか知りませんが、たまったものじゃない」
「ルビコン全土を巻き込むとは、ずいぶん大げさな話だね~」
はっはっはと笑ってみる。
勿論、本心じゃない。
こいつのことは、それなりにわかっているつもりさ。
「アルノ」
「うん。じいじにRaDのことを探るよう頼んでおくよ。お前や封鎖機構とは別口の手掛かりが出るかもしれない」
「助かります。つきましては、居場所が割れたら即時カーラの抹殺をお願いします」
「あいよ。任された」
◆
ブルートゥと一緒にちょっとギャンブルで遊んだ後。
ガレージヘリに戻って、中立地帯にあるオールマインドセンターに寄った。
今回の件でまぁそこそこ弾薬を大量消費したからね。
そろそろ修理機材も枯渇する頃合だったし、これを機にセンターでまとめ買いって寸法さ。
後でガレージヘリの燃料も給油しておかないと、だね。
ついでにセンター内にある業務スーパーに寄って、大量に食べ物を買っておくことにしちゃう。
冷凍から揚げとかパックご飯とか、とにかく日持ちするのを一杯。
個人的に星外からわざわざ仕入れているっていう冷凍炒飯が、お店顔負けのがっつり味で美味しいんだよねぇ。
勿論タバコとお酒とスモークチキンもたくさん買うよ。当たり前だの、クラッカー!!!
それから本屋に寄って面白そうな漫画がなかったりしないかなーって漁ったり。
ゲーム屋に寄って新しいゲームを買ったりしたり。
後はゲームセンターでアーケードゲームもしまくったり。
センター内の居酒屋街でいっぱいお店をハシゴしてお酒飲みまくったり。
みそだれのおでんが美味しかった!!!
そうしていたら、もう日付が変わっていたねぇ。
タバコぷはぁー。
こういうお買い物して、酒飲んで、タバコ吸ってってやっている時が一番楽しくて幸せだなぁ。
本当に、タバコが美味しい。
あ、さっきの件?
とりあえずもうすでにじいじに連絡してあるから大丈夫!
ボクは戦うだけが取り柄だから、果報は寝て待つことにしているのさ。
ま、やることやったからどうにかはなるでしょ。
じゃ、そろそろガレージヘリに帰ってねるかー。
「失礼。君が独立傭兵アルノだな?」
「……中立地帯までご足労いただいたところ悪いけど、デートの誘いはお断りだよ。ヴェスパーの第四隊長殿」
オールマインドセンター
ルビコンの各所にある、オールマインドの巨大な施設。
多くのACを収容でき、大規模アセンブルができる専用ガレージもたくさん並んでいる。
ガレージの近くにはパーツショップや業務スーパーがあり、さらには本屋・ゲーム屋といった娯楽施設も完備。
独立傭兵向けの居酒屋街も入っているため、傭兵達はここを憩いの場としてる。
描写こそないが、独立傭兵向けの仕事の斡旋をする受付があったり、案の定風俗もあったりする。
べリウス地方に一か所あり、ごくごく最近中央氷原にも一か所できていたりする。
いずれも中立地帯に指定されており、オールマインドというルビコンのインフラを支える組織の保証があるため、企業や解放戦線であろうと攻撃ができないようになっている。
また、システムにより管理されている惑星封鎖機構も何故かここを攻撃することはない。
・おまけ
STVの画稿
覆面戦場画家「STV」の画工
STVは人が描くことに拘った最後のひとりとも言われ
その作品は一部の好事家に高値で取引されている
「タバコを吸う、スーツ・スラックス姿の美女の画工」
「パチンコ台の椅子に座り、ぼーっとゲームをしている」
「大勝ちしているらしく、周りにはドル箱が天井付近まで積まれている」
STVメモ
・オペレーターではなく独立傭兵らしい
・後日、出禁になったと聞いた