ハッピー至上主義のヒロアカ冒険譚   作:もーまんたい

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ま、まさかの評価を貰えてしまったので、ご報告させていただきます……。
   
ーー評価10、貰っちゃいました……。

う、嬉しいすぎる!初10です!!
ダイちゃんさん、☆10 ありがとうございます!

そして、にゃこるさんも☆9ありがとうございます!
コレで9が6個となりました。あと、一個貰えば、なんでも願いを叶えてくれる龍が出てくるかもしれません。なので、9をください(こじつけ)。10でも出てきます(出ません)。

MGS野郎さん、紅葉紫苑さん、☆8をつけてくださりありがとうございます。

8・9・10などの高評価が貰えるようコレからも頑張りますので、応援の方、よろしくお願い致します。

ちなみに……ヒロアカの主人公こと緑谷出久くんの出番が少なすぎるってことで、なんとなく書いたのですが、すっごく書きやすかったので今後も緑谷視点は書いていくかもしれません。


緑谷出久は憧れる

 

春。それは高校生活の始まり!

オールマイトから個性を譲渡され、雄英に合格した僕は、入学日を無事迎えた。

 

リュックを背負い、急いで靴を履く。

 

「出久! ティッシュ持った!?」

「うん」

 

「ハンカチも? ハンカチは!? ケチーフ(ハンカチのこと)!」

「うん!!」

 

時間が無いなか、このやり取りをしているせいで、少し苛立ってしまい、僕は、むすっと言い返してしまう。

 

「持ったよ! 時間がないんだ。急がないと……」

 

「ーー出久!」

「もう! なァにィ!!」

 

お母さんの方へ、ドアノブを捻りながら、顔を向ける。ーー涙目のお母さんが手をギュッと握り。

 

「ーー出久! 超カッコイイよ……」 

「……………………!」

 

時間が迫ってきているため、僕はーー

 

「ーー行ってきます!」

 

そう言って、家を出た。

 

 

★☆☆☆☆☆☆

 

 

雄英の近くまで来た頃。

 

家を出て1時間もせずに、雄英の最寄り駅に到着。

 

今日は運が良いのか、すぐ電車が来て、いつも混んでいる電車は空いていた。そのおかげで乗り換えもスムーズにいって、最短でココまで来れた。良い1日になりそうな予感がする。

 

 

 

桜散る、雄英校門前。

 

多くの学生が新しい学校、学年に心を弾ませながら校門をくぐっていく。僕は、その人たちを遠目に見ていた。

 

くぅ、本当に雄英の生徒になれたんだ……。

 

新品の制服に身を包んでいる僕は、雄英の生徒になれたことに感動していた。昨日までは実感が湧かなかったが、こうして登校する生徒の一部になると実感がふつふつと湧いてくる。泣きそうになるが、オールマイトの言葉を思い出しグッと我慢する。

 

泣く癖を治さないとな、というオールマイトの言葉。

 

僕はオールマイトの教えに従うために、深呼吸をして昂った感情を鎮める。深呼吸で落ち着いたときに、ふと気づく。

自身が遅刻ギリギリに登校している事実に……。

 

……って! マズイよ!

 

初日から遅刻はマズイ……!!

 

そう思って、校門まで走る。

先ほどまでいた生徒たちの姿はなく、雄英の校門前には桜が舞い散っていた。

 

綺麗な桜吹雪。

 

そんな綺麗な桜吹雪をゆっくりと楽しむことも出来ず、僕は遅刻しないためにも走る。とても勿体ないことをした。あと、10分でも早く来れていれば、と後悔を口にする。

 

雄英の校門をくぐると。

 

 

桜舞い散る一本道。

 

 

そして、そこにいる1人の生徒。

 

立派な桜の大木から、花びらが舞う。

 

そんな舞い散る花びらの中、黒髪の青年が1人で立っている。走る僕に気づいたのか、こちらを見てくる。

 

口を微かに動かしている気がした。

 

 

「ココからが」

 

何を言っているか上手く聞こえなかったけど……僕に向けて、そう言っているような気がした。

 

立ち止まっている青年とすれ違い……

 

……一瞬、目が合う。 

 

 

「ココからがーー本番だ」

 

何を言っているかは聞こえたけど、何を言っているのかは分からなかった。そんな事は無視して、僕は急ぐ、初日遅刻を避けるために。

 

でも、なぜか振り向きたくなる。

 

だってーー

 

ーーココからが本番だ、なぁ……緑谷出久(主人公)

 

名前を呼ばれた気がしたから。

 

 

★☆☆☆☆☆☆

 

 

雄英の校内には、様々な施設が設備されている。

でも、そのせいで、雄英の建物はとても広く、急いでいるときは、なかなか目的地に着けない。

 

家を出るのが、ギリギリになってしまったこともあり、僕はこの広い校内を走り回ることになっている。

 

(1-A……1-A……)

 

一年生の教室は、A組からK組までの合計11クラス。

しかも、その全てがワンフロアに集まっているんだ。

 

(広すぎるよ……)

 

思わず、愚痴がこぼれそうになるが、喉まで出かかった愚痴をそのまま飲み込む。

 

 

「あった……ドアでっか……」

 

超常が日常になった社会でも、未だ珍しいバリアフリーのクソデカ扉が雄英の教室には設置されていた。

 

(あの受験者数から選ばれた人たち……出来れば、あの2人とは別のクラスが良いなぁ……特に、かっちゃんとは……)

 

ガラガラ、とスライド式の扉を開けると。

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

「思わねえよ。てめー、どこ中だよ端役が!」

 

教室の中では眼鏡の男子と、幼馴染であるかっちゃんこと爆豪勝己(ばくごう かつき)が喧嘩をしていた。

 

ピシャリと扉を閉める。

 

「……教室間違えちゃったかな。1-A組(ここの教室)じゃなかったみたいだ。他のとこ……行ってみよ」

 

すると扉の奥から眼鏡くんが律儀にも自己紹介をしたいるのが聞こえた。

 

「ボ… 俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

「聡明〜〜〜!? クソエリートじゃねえかブッ殺し甲斐がありそうだな」 

「君ひどいな! 本当にヒーロー志望か!?」

 

ツンツンヘアーのかっちゃんは、いつもツンツンしている。そんな、かっちゃんに初めて会った人は大体こんな感じ。

いつもの事だが、多分人と……人類とそりが合わないのだろう。

 

(1-A組ってやっぱりココだよなぁ)

 

扉の横についている札を見る。

 

《1-A》

 

ハッキリとその文字が見えた。

 

「〜〜〜〜〜〜ッ」

「ーーーーーーッ!」

 

自分のクラスであることに間違いはない。

しかし、その教室からは罵声が飛び交う。

 

「ーーッ。…………」

「〜〜ッ! …………」

 

そろそろ治ったかな? 

教室が少し静かになったタイミングを見計らって僕は扉を開け、中を覗き込む。

 

「あっ」

「あっ」

 

眼鏡くんに気づかれてしまった。

反射的にビクッと体が強張る。

 

入試のときに、彼には散々目の敵にされたからなのだが。彼は僕のこと、覚えているだろうか。覚えてなければいいなぁ。

 

かっちゃんとのやり取りは終わっていたようで、眼鏡くんこと飯田天哉くんが、流れるように僕の方にベクトルを向けてくる。

 

 

「俺は私立ーー」

「き、聞いてたよ? えっと……僕は緑谷。よろしく、飯田くん……」

 

初めまして、と今初めて会ったかのように振る舞おうと思ったが、諦めた。なんか怒られそうだから……。ワンチャンいけたかな……?

 

飯田くんと僕が自己紹介を済ますとーー

 

「あっ! そのモサモサ頭は……地味めの!!」

 

後ろから可愛らしい声が聞こえる。

 

良い人だ!! 制服姿もやっべぇーー!! てか普通に声かけてくれたよ。やっぱ、良い人!!

 

「プレゼント・マイクの言ってた通り受かったんだね! そりゃそうだ!! パンチ凄かったもん!!」

 

粉砕(スマッシュ)粉砕(スマッシュ)!と腕を振る良い人。可愛すぎでしょ!! 

 

胸がキュンキュンすんじゃい。

 

うぉおおおおお、かわいいぃいいい、と。

叫びたくなる気持ちを抑え、僕はお礼を言う。

 

「いや! あのっ……! 本っ当、あなたの直談判のおかげで……ぼくは……その……」

 

可愛いすぎる良い人のことは直視できないので、目元を覆ってお礼を言おうと思ったのだが、言葉が上手く出てこない。

 

「へ? 何で知ってるん?」

「あ、えっと……それはーー」

 

オールマイトからの合格発表時に教えて貰ったことを伝えようとした瞬間ーー

 

「おはよー! エビバディセイヘイ!(OHAYOOOOO(おはよー)!!)」

 

黄色何かを肩に担いだ生徒が、プレゼントマイクのような挨拶をしながら勢いよく入ってきた。朝すれ違った人だ……。

 

あまりに唐突だったため、誰も反応出来ずにいると。

 

「こいつあシヴィー!!! リスナー! 俺のプロフィールをサクッとプレゼンするぜ!! アーユーレディ!? YEAHH!!!」

 

まんまプレゼントマイクだ……。

 

心の中で、そう呟くが、僕は言葉には出さない。

だって、プレゼントマイクのコレは滑る所までセットだから。

近くにいた良い人も、飯田くんも、誰に対してもツンケンしているかっちゃんでさえ、傍観していた。

 

「ブンチッ、ブンブンチッ、さっそくスタートだYO! 俺の名前は、影山モブ男↑」

「「「……………………」」」

 

「筋トレが趣味だぜェ、ヒエーア!!」

「「「……………………」」」

 

「出身地はぁあぁ↑ 」

「「「……………………」」」

 

 

「……………………」

「……………………」

 

「ーーちょっと待って、一旦ストップするわ」

 

T字を手で作り、黄色寝袋っぽい何かと共に出ていく影山くん。廊下から「全然、話と違うんだけど……どうなってんの?」と聞こえてくる。

こう見てみると、プレゼントマイクって本当に鋼のメンタルだったって気付ける。常人ならこんなの耐えられない。

 

すると。

 

「よし! もっかい行くか!」

「やめとけ(必死)」

 

そんなやり取りが聞こえた。

アレをもう一回やろうとするのは常人じゃないや。寝袋も必死で止めてるじゃないか。寝袋が止めに入るってどういうこと……? まあそう言うことなんだろう……。

 

僕と良い人は苦笑いで、お互いを見る。

かわっ……かわいいがすぎるよ。

顔が熱を帯び始めた。

 

良い人から目を逸らし、苦手2人組を見る。

 

飯田くんは、ふむ、と考えている様子。

かっちゃんは、つまんなそうに机に足を乗っけて席で踏ん反り返っていた。

 

ガラガラ、と扉が開き、影山くんが入ってくる。

 

「む! よく見れば……君は、プレゼントマイクのようこそに唯一返答していた人か!」

 

飯田くんが、さっきのプレゼントマイク風自己紹介をフル無視で、改めて影山くんに絡みに行く。

暗に、さっきのは無しにしようと、言っているのが分かる。

 

「Yeah! そうだぜ、俺がプレゼントマイクのアンサー↑ Yeah! 」

「…………」

 

しかし、強靭メンタルこと影山くんには通じない。

影山くんは、未だにプレゼントマイク風を継続。

それでも飯田くんはめげずに無視する。

 

「俺は、飯田天哉。よろしく」

 

流石に気づいたのか。影山くんも普通の自己紹介をする。

 

「……俺は影山モブ男だ。よろくしな」

 

僕は、ぼそりと影山くんが普通って最高だな、と言っているのを聞いていた。やりたくてやってたわけじゃないみたいだ。

そこで、僕も影山くんに自己紹介する。

 

「あ、僕は緑谷出久。よろしくね」

「うん……よろしく……普通の自己紹介って素晴らしいな……」

 

しみじみと普通の自己紹介の有能性を実感している影山くん。

 

「ははは、凄い自己紹介だったもんね」

 

思わず、苦笑いしてしまう。

僕の自己紹介が終わったタイミングで、良い人が自己紹介をした。良い人の名前は、麗日お茶子、と言うらしい。

 

お茶子、なんかあったまる名前だ。

 

良い人の名前がわかったことで、にへらぁ、と口角が緩みまくる。おっと、顔に出てた。ニヤニヤして気持ち悪いって思われないように、抑えなきゃ。

そう思って、顔の筋肉を固めるが、口角がピクピクと動いてまう。

 

僕が、自身の口端と戦っていると。

 

ゴソゴソと影山くんの持っている黄色い寝袋っぽいものが動き始めた。

 

(((え?)))

 

麗日さんも気づいたようで、影山くんに尋ねる。

 

「ーーん? 何か、その寝袋、動いてる気がするんやけど……」

 

ゴソゴソッ、ゴソゴソッ、ゴソゴソゴソゴソゴソゴソッ!

 

「「「怖い怖い怖い!」」」

 

さらに激しく動く寝袋っぽい()()に、全員が恐怖を感じ、そして影山くんは焦っている。

 

影山くんがその謎の寝袋を窓から投げ捨てようとした。

 

その瞬間。

 

寝袋から何か黒い物体が飛び出す。

 

その黒い物体は、教卓の前に立ち、こう言い放つ。

 

「担任の相澤消太だ、よろしく」   

 

寝袋から、クラスの担任を名乗る小汚い無精髭を生やしたオッサン。どう見ても雄英の関係者には見えない。

 

クラスが、どよめきに包まれる。

 

コイツは何者なのか。

そして、本当に担任なのか。

 

唯一、その事実を知っていそうな影山という男に、自然と視線が集まる。

 

「…………え?」

 

俺?と言った様子の影山くんにお前だよ、とクラスが心の中で返答し、さらに影山くんを見つめることで、その意を伝えようとした。

 

焦る影山くん。

それを、じっと見つめる僕ら。

 

先に口を開いたのは、影山くんだった。

顔をヒクつかせて、無理矢理作ったドヤ顔で彼は答える。

 

「さっき落ちてたから拾ってきたわ(ドヤァ)」

 

(((なんか変な奴が、変な担任連れてきちゃった!?)))

 

クラスメイト全員の心が一つになった気がした。ただし、影山くんを除いてだけど。

 

そんな影山くんは相澤先生に救いを求め、教卓の方を向く。それに対してのアンサーはーー

 

「時間は、有限。君たちは合理性に欠くね」

 

お説教だった。

 

相澤先生に睨まれて、そっと目を逸らす影山くん。

そして、お説教が終わると、ゴソゴソと寝袋から何かを取り出す相澤先生。

 

寝袋の中から、雄英指定の体操服が1着出てきた。

なんか……とても汚そうだ。

 

「早速だが、体操服コレ着て、グラウンドに出ろ」

 

 

その指示が、僕たちを最初の試練へと導く。

それに気づいたのは、グラウンドに出てからだった。

 

 

 

★☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「測定不能」

 

初っ端から影山くんが叩き出した結果だ。

まるでオールマイトのような個性。

 

そう誰かが呟いた。

 

でも、実際に、ワンフォーオール100%を使った僕だからわかる。影山くんの力は、オールマイトと同等の力か、それ以上。

後継者として情け無いかもしれないが、ワンフォーオールを使いこなせたとしても、彼を超えられる未来(ビジョン)は湧いて来ない。

 

ボールを投げただけで、彼はそれを僕たちに知らしめたんだ。

 

僕たちと彼の大きな差。

 

彼との差を自覚すると、彼から出ているオーラが見えてくる。オールマイトと同じオーラだ。

生物としての格が全く別物である、と知らしめるオーラ。

 

僕たちは今まで見えていなかった。

この圧倒的なオーラに気づくことさえ出来ない。

 

蟻が象や人間を恐れないように。

 

本能は彼を危険だと言ってはいないーー

 

ーーだが、コイツは危険だと、理性が語る。

 

だから、僕たちは彼を褒め称え、自身に注意が向かないように気をつけた。ある程度の距離を話しながら、全員が彼のことを眺める。

 

あの、かっちゃんでさえも。

 

苦汁を舐めたような顔をしているが、歯を食いしばるだけで何を言うわけでもなく、影山くんのことを見ている。

 

同じ人に、オールマイトに、憧れた者として共感できるものがある。

 

オールマイトのようなヒーローを目指して、今まで頑張ってきた。なのに、僕らよりも先にNo.1ヒーローになる男を目にしてしまったのだ。悔しくないわけがない。僕だってそうだ……。

 

叶わないと、頭ではわかっていても、心がそれを否定する。

 

僕たちを突き動かすオリジンは、彼を追い越そうとしていた。

 

勝てる未来が見えなくても、追い越せる気がしなくても、僕らの背中を小さき頃の記憶に後押しされーー

 

 

ーー僕らは動き出す。

 

 

彼を、影山モブ男という次期No.1ヒーローを追い越すために……。

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