ハッピー至上主義のヒロアカ冒険譚   作:もーまんたい

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高評価して下さる皆様、ありがとうごさいます。

enoshimaさん、☆9ありがとうごさいやす
Long long agoさん、☆9あざます!
見る専少年さん、☆9感謝感激雨あられ砲です!


戦闘訓練

 

 

目の前に赤面しながら手で胸を隠し、蹲るーー全裸の葉隠(厳密にはグローブと靴は身につけているので全裸ではない。全裸ではない。大事な事なので2回言った)

 

真っ白な肌に、煌めく黄緑色の髪、ぱっちりとした目。なんて整った顔してやがるんだ……。

まつ毛、なっがぁ。

 

その美しさに、惚れ惚れとしていると。

 

「見ないでぇえええええええええええええ!!!」

「ほぇ?(目に葉隠の指が刺さる)」 

 

ヤンキー座りで蹲った体勢からとは、思えないスピードで、葉隠の指が俺の両目へと突き刺さる。

ぶすり、そう音を立てて俺の目は潰れたーーわけは、なく。

 

「ぎゃあああああああああ!!! 目が、目がァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

いや、コレ潰れてるぅううううううううううううううううううううううううう!! 

 

尋常じゃない痛みが、目を襲う。

 

俺は、潰れたかもしれない目を手で押さえ、地面を転げ回る。

 

「大丈夫か! 影山少年!?」

「だ、大丈夫ッ……じゃないですッッ!!」

 

ヘェーールプ!!と大きな声で助けを呼ぶ。

 

 

 

小型搬送用ロボットのストレッチャーに乗せられ、保健室へと向かう。緑谷チームvs爆豪チーム、観たかった……と遺言を残して。

 

 

 

「…………」

「…………」

 

そして、俺は本当に遺言になりそう、と相澤先生の前で考えていた。

 

保健室にて、目にリカバリーガールの熱いベールを受け、完全回復したものの、逆に危機に陥る。

 

俺のせいで、保健室へと呼ばれた相澤先生。

 

何があったのか事情聴取され、素直に答える。

100:0で俺が悪く、葉隠は悪く無いと。

裸を見られる方が悪いだろ!などと妄言は言わない。確かに、露出狂が裸を見られたら、見た方が悪くなるのだろうか?と疑問に思っても。

 

「次、問題起こしたら、除籍って言ったよな?」

「え? 事故ですよぉ……やだなぁ(震える声)。も、問題だなんて、大袈裟ですよ……」

 

ふむ、と考えた様子の先生。

 

え……マジで? こんな終わり方ある?

葉隠の顔見てただけで、高校生活終わりって。

 

理不尽が限界突破してますやん。

……まあ、でもそんなもんか(諦観)。

 

最近、調子良かったから、勘違いしていたが、確かにこんなもんだったわ。この理不尽加減、やっぱりヒロアカだな(理不尽の代名詞)。

 

「情状酌量の余地ありか……」

「え…………(期待する目)」

 

「いやなしか……」

「え…………(呼吸が止まる音)」

 

「いやあり……か」 

「オ、オーケーOKOKOK、GOGO(ゴーゴー)!!(呼吸再開)」

 

判断が、遅い!!(強気)

 

「じょせk」

 

あの、あんまり遅すぎると、俺……窒息死しそうなんで、もう少し早めて貰えませんか?(命の危機により弱気)

 

「葉隠にも聞いて、それで判断する。

 葉隠にはお前から伝えろ。わかったら、とっとと授業に戻れ」

「やっふううううううううううううううううう!!(相澤先生から睨まれる) やっふぅぅぅぅぅ…………ッ(小声)」

 

あっぶねぇぇーー……ッッッッ!

 

モブ男の物語は、ここでおしまい。になるとこだったぜ。はぁー、空気が美味い。

 

てか、やっぱりこの人、俺のこと好きだわ(確信)。除籍にするとか言ってるのに、全然しないし。もう完全に構ってちゃん、ですね。このこの、と相澤先生の肩をツンツンする。

 

再び、睨まれたため、俺はそそくさとグラウンドβへ急ぐ。

 

 

 

 

 

 

ダッシュ!ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3

 

 

 

 

 

グラウンドβ。

 

雄英にあるグラウンドの1つで、市街地での訓練のためにある作られたものである。雄英の入試でも、このグラウンドは使用されるほどに、広く、市街地を想定した訓練にはうってつけなのだ。

 

今回の戦闘訓練は、立てこもりヴィラン対策。

 

建物に立て篭もったヴィラン。

このヴィランは核爆弾を保持している。なので、どうやってヴィランを無効化し、核を確保するかが、この訓練の肝だ。

 

だから、俺と葉隠は作戦を立てる。

 

と、言っても相手チームの個性によってその都度変えなければならないので、大元だけだ。

透明な葉隠が、相手チームに探りを入れる。固まって動いていれば、俺がまとめて撃破。もし、バラけていたなら、俺が各個撃破。

 

じゃあ俺だけで良くないか?

そんなこと言ってはいけない。

 

俺の役割が大きいのは、さっきのやらかしの償いとして、俺が提案したことだからな。

 

ちなみに、葉隠には先ほどのことはお互いに謝って解決している。

 

葉隠は、咄嗟の目潰しを。

俺は、顔をガン見したしまったことを。

 

互いに行き違いがあったとして、仲直りした。

 

一応、言っておくが、俺は裸は見てない。

裸は見れていない(大事なことなので2回言った)。

 

そうして、今こうして対面で話しているわけだが。

じゃあ全裸の女子と対面で話している……というわけもなく。

葉隠には、俺の白い羽織風コートを着てもらっている。

 

俺の和風コートは結構、厚地なのでラインなどを全く出すことがない。なので、こうして対面で喋っていても、大丈夫なわけだ。

 

見えていないとはいえ、コスチュームが裸とはだいぶ攻めた格好。そこから見えてくるのは葉隠の全裸ーー最高のヒーローになりたい、ありのままの心だった。

だから、自身のことが見えている人の前で、裸でいたとしても。真剣に作戦を考える。

 

……彼女を見えいると。

いや、ここにいる彼らを見ていると。

 

自然と思い出す。

 

自分のオリジン……原点を。

 

だから、俺は彼女を見る。

 

「かわいいがすぎる」

「ふぇ?」

 

おっと、失礼。

生の葉隠素顔に本心が、ポロリしてしまった。

 

「じゃあ、もしも轟&障子チームに当たったときは、この作戦で行こうか」

「う、うん。そうだね! ぁ、触れない感じなんだね(ボソ)」

 

残りのチームへの対策を考え終わった頃、オールマイトが丁度、くじ箱から次の対戦チームを決めていた。

 

「次の対戦は、コイツらだ!

 

 ……Bコンビが「ヒーロー」!!

 ……Iコンビが「ヴィラン」だ!!」

 

お、轟&障子チームじゃないか。

 

さっき話していた轟&障子チームと当たることになった。

彼らはヒーロー側、俺たちはヴィラン側。

 

まあ攻撃側と、防衛側って感じだ。

ヒーロー側が攻撃で、ヴィラン側の俺たちは防衛。

 

「前の子たちのを見て大体、わかってると思うが……影山少年のためにもう一度説明するぞ!

 ヒーロー側の勝利条件は、ヴィラン側が守る核に触るか、2人のヴィランに確保テープを巻き付ける。

 ヴィラン側の勝利条件は、時間切れまで核に触れられないか、ヒーロー同様に確保テープを巻きつけるか、だ」

 

付け加えて、オールマイトが注意事項を話す。

 

「あまり、危険な行為は禁止! 緑谷少年や爆豪少年が良い例だ。もしもあれば、途中で訓練を中断させるからな!」

 

オールマイトにちらり、と俺の方を見てくる。

 

なんで俺のこと見るぅ……?

俺が爆豪達みたいなことをするとでも?

まっさかー、するわけないでしょ。

 

「では、良い受難を! 超えてけよ!少年少女!!

『『Plus Ultra(プルス・ウルトラ)(更に向こうへ)』』」

 

 

 

ーー行こうか。

 

 

……自分の限界を超えて。

 

 

 

 

★★☆☆☆☆☆

 

 

 

グラウンドβのとある建物にて、俺と葉隠は核の位置を確認していた。

 

核は建物の最上階にあるみたいだ。

 

大抵のやつが、最上階にあるのだから下で待ち構えようとするだろう。が、それは間違いである。

 

訓練なら核は、ハリボテだ。

 

ではーー実践ならどうだろうか。

 

 

俺の言いたいことが見えてきたな。

本物の核なら、周囲を巻き込んで大爆発。そんな爆弾の確保とヴィランとの対峙を両立させる、それが現実。

しかし、学生にそれが出来るだろうか。

 

答えは、否。

 

訓練からそこまで想定して動くのは困難だ。だから、別にそこまでする必要はない。単純に、核にタッチされたらお終いだから下で待つ、でも良いのだ。

 

だが、俺は彼らに本物のヴィランがどのように動くのか、それを見せたい。俺は何度も見てきたのだから。

  

「葉隠さん、準備は大丈夫そ?」

「うん! 大丈夫!」

 

俺の問いかけに、背後の葉隠が答える。

 

例え、全裸だとしてもヒーローだ。

その心は格好によらない。

 

心の中で、葉隠から学ぶことは多いな、と考えていると、俺たちが入ってから5分が過ぎた。

 

コレは、屋内対人戦闘訓練が始まったことを意味する。

 

次の瞬間、建物が()()

 

「「…………ッ!!」」

 

急に来た冷気に体が震え上がってしまう。

いや、建物全体を一瞬にして凍らしてしまうこの"個性"に圧倒されているだけかもしれないな。

そして、俺の足は建物と一緒に凍らされてしまった。

 

足が地面に固定される。

 

無理矢理剥がせば足の皮全部、持って行かれる。

 

「葉隠ッ……大丈夫か!?」

「う、うん……だ、大丈夫!」

 

よかった、コレで作戦は実行できる。

 

()()はしていたが、ここまでとか……()()のと体験するのでは全く違うな……」

「轟くんの個性、強すぎだよ……さ、寒い」

 

へっくし、と葉隠がくしゃみをする。

 

ごめんな、もう少しだけ耐えてくれ。

あと少しで轟も来るから。

 

コツコツと静寂の中、1人の足跡が響く。

 

轟が上がってきた。

 

さあ、作戦開始だ。

 

 

 

 

 

 

広い最上階の一部屋で、俺と轟は対峙する。

 

俺は必死に足を剥がそうと、足を動かす。

 

だが、俺の足は床にガッチリと固定されてしまい、動かすことは叶わない。そんな俺を見かねた轟は、忠告する。

 

「動いても、良いけど。足の皮が剥がれたら満足に戦えねえぞ」

 

このナチュラルボーン煽りイケメンが……。

それ、俺のこと心配していってんだろうけど。

煽ってるようにしか、聞こえねえから。

まあ、良いさ……え、演技だからな(震え声)。

 

最上階の入り口から、俺のことと葉隠と思わしき靴を見て、轟は歩み始める。

 

「障子は、どうしたんだ?」

「危ねえから置いてきた」

 

轟の言葉を聞き、俺はニヤつく。

そして、歩いている轟のことを見ながら、吐き捨てる。

 

「一人でも余裕だからだとでも思ってんのかと……思ったが、そうじゃなかったか」

「それもあるな」

 

「悪かったな、レベルが違いすぎた」

 

俺たちを気遣っての言葉だろうが、ナチュラルに煽っているその言葉を聞き、俺はーー

 

薄ら笑いを浮かべ、下を、地面を、指す。

 

「余裕こいてて良いのか?」

 

勝ちを確信する轟は、俺の指の先を確認する。

そこにはーー葉隠の靴。

 

完全に凍った靴だった。

 

 

★★☆☆☆☆☆

 

 

コイツの影山モブ男の個性はすでに見た。だから少し強めに、ふくらはぎくらいまでが凍る程度に、剥がそうと思えば足の皮が全て剥がれる程度に凍らせた。

 

だから、コイツは動けない筈だ。

 

理性は大丈夫だと、言う。

だか、直感が何かがおかしいと言っている。

 

なぜ、コイツはさっきからへらへらと笑っていられる……? 何かある。いや……はったり。ブラフか?

 

コイツの力は見た。

だからこそ分かる。この仕切られた空間で、建物を破壊せず、かつ俺たちを確保できる可能性はーーゼロだ。

 

なのに、なぜコイツは笑っているんだ……。

 

苛立ち、声を少し荒げて「お前たちに勝ち筋はない」と、そう言おうと思ったとき。

 

「何が言いてえ、もうお前らはーー」

「もう一度言ってやるよ、余裕こいてて良いのか? それ……ただの靴だぜ?」

「…………ッ」

 

驚き、透明なやつを探そうとした瞬間。

 

ーー顎先に、凄まじい衝撃が来た。

 

世界が揺れる。

脳が揺れる。

 

脳震盪を起こしているだろう。

それでも倒れず、よろける程度に抑える。

意識朦朧とする中、踏ん張るのでやっとの自分を奮い立たせるために、自身に言い聞かせた。

 

こんな所で負けるわけにはーーいかない。

 

俺には、半分の力(こっちの個性)だけでNo.1ヒーローになってアイツを超えなきゃいけない理由がある。

それが、こんな所でーー

 

ーーこんな所で、負けられない!

 

足が凍っている影山は、動けない。

だからーー俺を殴った透明な奴を凍らされば良い。

 

揺れる視界で、無理矢理前を向き、辺りを氷結させようと。

 

すると。

 

目の前に……影山がいた。

 

なッ……動けるわけが…………ッッッ!

 

ない、そう言うとした瞬間、目に飛び込んできた血まみれの足。影山は、自身の足を無理矢理剥がしていた。脚中の皮が剥がれ、尋常じゃない痛みに耐えながら、彼は動いているのだと。

 

そして、影山の拳が俺の顎、喉、鳩尾に突き刺さる。

 

そこから、俺の記憶はない。

 

 

★★☆☆☆☆☆

 

 

俺と葉隠が考えた作戦。 

作戦名は「不可視の一撃」

 

コレを成功させるためには、事が原作通りに進みことが前提となっている。

 

まず、轟が建物全体を凍らせること。

 

コレはまず間違いなくしてくるだろう。最強の一手だからな。知っていなければな。あいにく俺は知っている。

 

次に、轟が1人で乗り込んでくること。

 

可能性は五分五分だ。

オールマイトの発言によってだいぶ台本は変わってきている。流石はオールマイトって感じだが、ココじゃない感は否めない。

轟が2人で行こうと提案する可能性もあれば、障子が轟の指示を振り切ってついて行く可能性もある。

 

この2つが揃えば、不可視の一撃は成功する。

が、逆に言えば、2つが揃わなければ失敗だ。

 

もちろん、失敗したときの作戦「第二の矢」も立てた。

しかし、それは俺のパワーでゴリ押すという。作戦とも呼べない代物だった。

 

作戦「不可視の一撃」の内容は、こうだ。

その1、葉隠の靴を床に置き、葉隠をおんぶ。

その2、轟の注意を俺に向ける。

その3、葉隠が轟の顎先を狙いノックアウト。

 

 

俺は、轟が部屋に入って来てから、障子がいないことを確認する。轟にも確認をとり、作戦のその1が成功したことを、原作通りに事が進んでいることを、確信した。

 

そして、その2を実行する。

 

俺はニヤついた顔で、轟に話しかけるように呟く。

なるべく注意を引くように、大きな声で。

 

「一人でも余裕だからだとでも思ってんのかと……思ったが、そうじゃなかったか」

「それもあるな」

 

よし、食いついた。

後は自然に会話をしつつ、意識を俺に割かせれば……。

いや、もうその必要はないな。

 

轟の進行方向に葉隠がいる。

 

「悪いな、レベルが違いすぎた」

 

おいおい、そう言うのは勝ってからでも遅くないんじゃないか? 俺は、半笑いで彼に忠告する。

さっきのお返しだ。ナチュラルボーン煽りイケメン。

 

「余裕こいてて良いのか?」

 

意識を俺に向けさせるため、そして葉隠との位置を調整するために、葉隠の凍った靴を指差す。

 

俺はその間もニヤニヤと笑い続ける。

意識を俺だけに向けろ。

 

先ほどまで余裕そうな轟だったが、少し苛立ったいるようで、顔が険しくなっていく。

 

最後に教えてやるよ。

お前は、敗北したと。

 

「何が良いてえ、もうお前らはーー」

「もう一度言ってやるよ、余裕こいてて良いのか?ーーそれ……ただの靴だぜ?」

「…………ッ」

 

俺の言葉で察したのか、轟は周りを回さそうとする。

 

だがーー遅い。

 

 

不可視の一撃。

 

下から顎に、叩き込まれた葉隠のアッパー。

俺すらも反応が遅れてしまうほどの、下半身の力を目一杯込めた一撃だ。その拳を喰らった轟は、よろめく。

 

「おりゃーーー!! 喰えぇーーぇええ? な、なんで……!?」

 

しかし、よろめくだけで終わる。

葉隠の渾身の一撃は、轟を倒すには至らない。

いや……違う。

葉隠のパンチが弱いわけじゃない。

 

轟が意地でも倒れんとしているのだ。

 

彼の目は死んでいない。

 

目に光が灯っているように、ゾッとするような執念の目。焦点のあっていないはずの目は、確実にお前を倒す、と語っている。

 

だがよォ。

 

顎先にアッパー喰らったんだよなぁ。

 

じゃあ揺れるだろ……脳がよ。

 

一瞬、轟がよろつく。

 

俺はその一瞬をーー逃さない。

足の皮が剥がれるが。

無視し、縮地で近づき、3発。

 

 

拳を、顎、喉、みぞおちへと叩き込む。

 

 

「………カハッ」

 

喉とみぞおちを突かれたことで、轟が息を漏らす。

 

白目をむき、

 

バタリ、と倒れる轟。

手すら着くことなく、顔面から床に倒れ込んでいた。完全に轟の意識が飛んだ証拠だ。

 

 

 

……俺たちの、勝ちだ。

 

 

ピシッ、ピシッ、と床に張り付いた氷が割れる音が近づいてくる。

 

「轟ッ!!」

 

入り口から飛び出した触手腕が、口に変わり、轟の名を叫ぶ。

 

すぐに飛び込んで来ないのは、冷静な判断だ。

 

でも、それが出来るなら、存在を気づかれないようにした方が良いこともわかっているだろう? 理性よりも心配の方が上回ったか? だが、それじゃあダメだ。

 

心配するのなんて、誰だって出来る。

 

人のことを第一に考えながら、冷静に動かなければーー

 

ーー人は助けられない。

 

俺を中心に、床にヒビが入る。

 

障子めがけて、真っ直ぐ跳躍した。

 

壁を多少、削りながら、拳を振るう。

 

「な……ッ!!」

 

目に変化した触手腕が驚き、目を見開くと同時に障子も声を隠せないほど驚く。

 

ガードは間に合わない。

俺の拳は、障子の顎に吸い込まれる。

 

「ごめんな、ウチの相方が限界みたいだからさ」

 

気絶した障子に向けて謝罪し、親指で震えている葉隠を指差す。

 

本当に、寒い中、頑張ってくれた。

 

唯一のコスチュームである靴とグローブさえ身につけずに、凍て付くこの極寒の世界で、じっとしているのは、簡単じゃない。

 

今回のMVPは俺じゃなく、彼女だ。

 

俺は訓練を終わらせるために、気絶した2人に確保テープを巻いた。

 

 

『『ヴィランチーム……WIN(ウィン)!!』』

 

オールマイトの勝利をアナウンスする声が聞こえた。

 

そして、ヒーローチーム、ヴィランチームは共に、小型搬送用ロボットのストレッチャーで医務室へと運ばれていく。

 

もちろん、俺もだ。

 

足の皮が剥がれてるからな。

皮膚がないせいで、表面の血管や筋肉繊維が見えている。

 

うぇ、グロいな。

 

自分の体だが出来れば見たくない。

でも、あとから少しだけ見たくなって、見て後悔した。

 

一緒に運ばれている他3名。

 

1番重症なのは俺だろうか。

血が止まんないし。

 

次は、葉隠だろう。

 

低体温症とまでは、いかないもののかなり体が冷えているようだ。真っ白な肌が赤くなってしまっている。

 

お疲れ様です。

ありがとうごいました。

 

俺だけでは、轟たちに勝つことは出来なかっただろう。自分の足を見ながら、痛切に実感させられた。

 

足の表面だけだったから良かったものの、下半身全体が凍らされたらと思うとゾッとする。無理矢理、動けば体が真っ二つに割れていただろう。

 

そう思うと、かなり手加減してくれてたのかもしれないな。

 

こんだけ強かったら、アレだけ余裕になるのも納得する。十分に、片方の個性だけでやっていけるだろう。

 

けれど、彼には敗北を味わって貰う必要があった。

 

コレから幾度も(ヴィラン)に襲われる中で、半分の力では太刀打ち出来ない(ヴィラン)に遭遇する可能性はあるからな。

俺という異分子(イレギュラー)を取り込んだことで、運命(ストーリー)は誰も予想のつかない方へと進むことがあるかもしれない。

 

人を救いたいとき、轟には救える人間になってほしいんだ。俺のような……変えられない側(モブ)ではないのだから。

 

半分の力だけしか使わない結果、人を救えないなんて未来はあってはならない。主役達が救わないで、誰が救うんだ。

 

そしてーー

 

ーーお前のオリジンはそこじゃないはずだろ、そう教える必要があった。

 

力無き言葉ではなく、拳によって。

 

今回の訓練で、半分の力では勝てないヴィランがいることや、救えない人達がいることを思い知っただろう。

 

だが、もしも気づかないのなら、何度でも教えよう。

 

ベットで寝ながら、俺はそんなことを考えて治療を受ける。治療と言っても、リカバリーガールのキッスをほっぺにもらうだけだが。

 

結構、このキッスが吸ってくるんだよなぁ。

 

フレンチではなく、ディープ。

 

ぶちゅー、とほっぺから音がするくらい。その音と共に足の皮が再生していく。

 

おおぉ……凄いな、すごく……気持ち悪い。

 

メキメキと血管や筋肉繊維に白い膜が張っていき、その上に皮膚が盛り上がってくる。

 

プチュン、とほっぺから唇が離れた。

 

ありがとうございます、とお礼を言おうと横を向くと。

そこには、相澤先生が立っていた。

 

「……な、何もやってないですよ……?(おしっこが漏れる)」

「まだ、何も言ってないが?」

 

ビビらせるなって! 漏らしちゃったじゃんねえか! この小汚オッサンめ! ぺっぺっ。

 

「除籍な」

「うわぁぁ、終わったぁぁぁぁぁ〜〜〜(じょぼじょぼじょぼ)」

 

相澤先生から除籍を言い渡された俺は、おしっこを漏らした。

いいや! まだ救いはあるはずだ!

だってこの人、俺のこと大好きだからな(捏造)!!

 

「せめて最後の挨拶だけでも……」

「ダメだ、今すぐヤる」

 

この人、俺のこと嫌ってるわ(確信)。

あああぁ終わったぁぁあああああああああああああああ。

クソッ、こうなったらココでうんこでもしてやる!(ヤケ糞)。

 

俺が自身の高校生の終わりを悟り、傷跡を残そうとしていると。

 

勢いよくカーテンが開く。

 

「ーー待ってください! 先生ッ!」

「ちょっ……今開いたらーーマズい! 全部見えちゃーーオラァア!(セルフ目潰し)  こんなんで俺の夢は終わらねえ!!」

 

「……葉隠」

 

相澤先生の除籍宣言に、葉隠が待ったをかける。

葉隠の登場に驚き、固まる相澤先生。

 

そして、その横で……転がり回る俺。

 

目が、目がァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 

俺が目の痛みから逃げ回っている中、相澤先生と葉隠(全裸なので透明)が睨み合っていた。

 

「先生……影山くんはーー人の為に動ける人です。こんな所で、除籍にされるような人じゃない……です……」

「だが、約束は約束だ」

「…………」

 

 

「……先生、俺からも頼む」

 

気絶から回復した轟が、カーテンを開け、参加してくる。

 

「影山に、負けたままじゃ終われない」

「…………」

 

目がァアァアアアアアアアアアアア(省略)

 

「まあちょっとした冗談だ」

「「え?」」

 

相澤先生のまさかの返答に、2人とも良い意味で固まる。

 

「影山のことは、ついからかいたくなってしまう」

「えぇ……」

「…………」

 

目がァア(省略)………。

 

 

 

 

……しばらくして。

 

あれ? みんなは?

俺は、再びリカバリーガールに目を治してもらい、いなくなった3人のことを近くにいた相澤先生に聞く。

 

「みんな帰ったよ」

「……………」

 

放置されてたわ。完全なるモブ扱い。

全然、気にしてないけどね(震え声)。

 

「で、先生。除籍は?」

 

ま、そろそろ除籍が来る時期だと思ってましたよ。

 

USJ襲撃事件の時期だらんなぁ?

俺という異物を取り除きたいんだろ?

させねーよ。

 

俺、相澤先生と通通だから(大嘘)。

 

「しようと思ってたんだがな……気が変わった……」

「…………」

 

そんな気分の問題で、除籍にしようとしないで貰いたいんですけどぉ。こちとら、人生かかってるんですけどぉ。

モブが消えても消えなくても、どうでも良いってことですねぇ(死ね)。

 

「そうですか……じゃあ俺はコレで」

「ああ、ちょっと待て。影山」

 

障子からだ、そう言われて1枚の紙を渡された。

 

「え? コレなんでsーー」

 

 

【借りは返す】

 

 

「えっ?」

「じゃあ俺はコレで失礼させて貰うよ」

 

「エッ? ちょっと! 先生ッ……説明!」

 

そのままの意味だろ、と言って先生は去ってしまう。不穏な手紙が俺の手元を残したまま。

 

 

どっかに一日中、守ってくれる専属ヒーローっていない?(白目)

 

……いない? なら、俺死んだわ^^

 

次回、モブ男死す!デュ◯ルスタンバイ!




先に謝罪を。
死ぬ死ぬ詐欺して申し訳ない。
モブ男が生命力強すぎて、ごめんなさい。

社会的に殺そうとしても死なないんです。
誰かこのモブに偽装してる主人公をボコボコにしてください。
お願いします。

作者の力では、歯が立ちません。
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