未来じゃ共依存!   作:サニキ リオ

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第33話 その見た目でこの点数は詐欺

「クユリ、数学の宿題写させて!」

「ダメだよ、リラ。ちゃんと自分の力でやらないと」

 

 英さんと越後さんとのわだかまりも解消されたことで、二人は以前と違って普通の友達のように過ごすようになっていた。

 越後さんは英さんにべったりで、英さんは迷惑そうにしているものの満更でもなさそうだ。一番のストレス源だった越後さんの態度が改善されたことで、英さんの心に余裕ができたのかもしれない。

 

「リラちとくゆちゃん、なんか仲良くなった?」

 

「「普通だよー」」

 

「息ピッタリじゃん」

 

 同じグループのギャルっぽい子は二人の様子を眺めながら、楽しげに笑っていた。

 良かった、これで英さんも少しは学校生活を楽しめるようになるかもしれない。

 

「そうだ、アケビ。宿題写させてよ」

「自分でやんなー?」

「うぅ……」

 

 同じグループのギャルっぽい子にも断られ、越後さんはがっくりと肩を落とした。

 

「じゃあ、ツクモ。宿題見せて」

 

 越後さんが次に助けを求めたのは僕のようだ。

 あの日から英さんと越後さんの関係以外に変わったことと。それは越後さんが僕に話しかけてくるようになったことだ。

 

 基本的に英さん達のグループはトップカーストに位置するグループのため、僕が会話に混ざることはなかったのだが、越後さんがあまりにも話しかけてくるようになったため、なし崩し的にグループに取り込まれた形になったのだ。

 ちなみに、男子達とはまだ話したこともない。

 

「まあ、別にいいけど」

 

 越後さんが泣きついてきたので、僕は仕方なく助け船を出すことにした。

 

「……ちょっと、白君。あまりリラを甘やかさないでよ」

 

 すると、いつの間にか隣に来ていた英さんがジト目でこちらを見つめていた。

 僕は苦笑いを浮かべつつ、英さんに視線を送る。

 

「ごめんて」

「別にいいけど」

 

 英さんは頬を膨らませていたが、どこか嬉しそうに見える。

 仲直りしてからというもの、英さんは以前よりもよく笑うようになり、表情が豊かになったように思う。そんな彼女を見るたびに僕の心は温かくなっていくのを感じる。

 

「そうだ、ツクモ! 宿題見せてくれたお礼に今日はウチが奢ってやるよ」

「マジ? じゃあ、駅前のミラクル練乳スペシャルパフェが食べたい」

「白君って意外と甘党だよね……」

 

 英さんはゲンナリした表情で呟いた。そういえば、前に僕の好きなお菓子を食べて胸焼けしそうな顔してたこともあったな。

 

「あれ、越後さん。放課後って女バスの練習あるんじゃないの?」

「今は部活休みだから大丈夫」

 

 越後さんはそう言ってガッツポーズをした。

 

「あのさ、何で部活が休みか考えたことある?」

 

 呆れた様子の英さんの質問に対して、越後さんはキョトンとした顔をしていた。どうやら本気でわかっていないらしい。実は僕もよくわかっていない。

 

「もうすぐ中間試験だよ」

 

 英さんの言葉を聞いて、ようやく越後さんの顔色が変わった。

 

「あー、だからちょっとピリピリしてる人がいるのか」

 

 ようやく中間試験の存在を思い出した僕を見て、英さんは大きな溜息をついた。

 

「二人共そんな調子で大丈夫なの?」

 

 英さんは心配そうに僕らを見ている。もちろん、この心配もポーズであり、内心はどうでもいいと思っていることを僕は知っている。

 

「「大丈夫大丈夫――」」

 

「普段から授業聞いてれば焦って勉強する必要ないじゃん」

「ウチ、一夜漬けは得意なんだよね」

 

 同時に対照的な意見が口をついて飛び出す。その瞬間、越後さんが物凄い勢いでこっちを見てきた。

 

「……ツクモ、この前の小テスト何点だった?」

「ほい」

 

 僕は素直に小テストがあった科目の答案用紙を差し出した。小テスト程度、全科目満点が普通だ。

 

『ほー、見事なもんだな。俺なんて学生時代赤点だらけだったのに、変わるもんだな』

 

 ぬるっと現れたクロは感心したような声を漏らす。そう、こいつのようにならないために必死で効率良く勉強するようにした結果、ここまで学力を伸ばせたのだ。

 

「その見た目でこの点数は詐欺だ!」

「いや、理不尽……」

「この裏切り者!」

 

 僕の答案を覗き込んだ越後さんは涙目になっていた。

 気になって越後さんの点数を覗き込むと、そこには赤ペンで書かれた〝0〟という数字が燦然と輝いていた。

 

「赤点が一つでもあると補習らしいね」

「終わった……」

 

 彼女の口からは魂が抜けたような声が漏れる。

 赤点を取ってしまえば補習を受けなければいけなくなるし、そのせいで部活動への参加に支障が出てしまう。越後さんにとっては一大事だ。

 

「しょうがないなぁ……」

 

 周りに聞こえないように小さく呟くと、英さんは携帯電話を開いて操作し始めた。

 

[英紅百合:勉強会やるわよ]

 

 届いたメールに驚いて顔を上げると、英さんは悪戯っぽく微笑んで唇の前に人差し指を立てていた。くそっ、可愛いな。

 

「ハナブサ……」

 

 どうやら越後さんの方にも同様にメールを送ったようだ。顔がもう女神に出会ったときのそれである。

 

[英紅百合:放課後、一旦裏門で待ち合わせで]

[白純:了解]

 

 僕はすぐに返信すると、携帯をポケットにしまいこんだ。

 

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