未来じゃ共依存!   作:サニキ リオ

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第44話 モンラボ その2

 店内に入ると、そこはまさにモンスターテイルズ一色の世界だった。

 店内の装飾はゲーム内で登場する〝モンスターラボ〟そのもので、至る所にモンスターテイルズ関連の商品が陳列されている。

 

 例えば、モンスターテイルズに登場するモンスターを模したぬいぐるみ、キーホルダー、文房具など。他にもゲームに出てきた背景を印刷したものなども置いてある。

 

 何より凄いのは店の奥にあるモニターだ。そこには実際にゲーム内のモンラボで流れているようなモンスターの生態映像が映し出されており、それを見た人々が感嘆の声を上げていた。

 

「ねぇねぇ! これライドナーじゃない!? すごい、ホントに生きてるみたい!」

 

 モニターに映し出されたモンスターの生態映像を見て、英さんが興奮気味に叫ぶ。

 

「そういえば、英さんはライドナー好きだったね」

 

 ライドナは水上に生息するモンスターで、可愛いらしい顔をした首長竜のような見た目をしている人気モンスターだ。

 

「あー、ライドナーの等身大ぬいぐるみとか出たら絶対買うのに……!」

「ライドナーはニメートル以上あるから等身大ぬいぐるみは無理でしょ」

『ところがどっこい。十三年後に発売されたの買って、俺の部屋に置いてるんだよなぁ』

 

 ゲンナリとした表情のクロが呆れたように呟く。未来でも僕の部屋に私物持ち込んでるんだ……。

 

「わかってたけど、店内もめっちゃ混んでるね」

 

 モンラボの店内は、至る所に人がひしめき合っていた。あまりの人の多さに、僕は圧倒されていた。

 

「買い物するのも一苦労ね」

「とりあえず、ぬいぐるみでも見てみよっか」

「そうね」

 

 僕らはすぐに目についた棚へと向かった。そこには数々のぬいぐるみが陳列されていた。そのコーナーには、様々な種類のぬいぐるみが並んでおり、デフォルメされた可愛らしいものからリアルよりのもの、小型のモンスターは等身大のものまであった。

 

「うーん、良い感じに抱けるのが欲しいわね」

「だったらこれとかどう?」

 

 僕が手に取ったのは、僕の好きなモンスターであるアスビーという蜂型モンスターの進化前であるハニカムンという、サナギというよりハチの巣のような見た目のモンスターの等身大ぬいぐるみを渡してみる。

 

「顔は可愛いけど、これモロにハチの巣よね……」

 

 英さんは微妙な顔をして、苦笑いを浮かべている。

 

「でも、白君らしいわ」

 

 英さんはそのぬいぐるみを抱き抱えて嬉しそうな笑顔を見せた。

 その後、いくつかの小物を二人で選んだり、英さんの希望でライドナーやモグラドなどのモンスターを眺めたりして過ごした。

 会計の列も案の定の大行列で、僕と英さんが買い物を終える頃には入店したときから四時間近くの時間が経過していた。おそらく、その三分の一は入場待機列と会計の列に並んでいる時間が占めているだろう。

 モンラボの外に出ると、そこには壁にモンスターのイラストが並んだ撮影スポットがあった。

 

「せっかくだし、ツーショットでも撮ろっか」

「へ?」

 

 とつぜんの提案に変な声が出た。

 

「何よ。あたしとのツーショットは嫌?」

 

 眉根を寄せて、英さんは不満げな顔をしている。英さんと写真を撮りたくないわけではない。ただ英さんからそんな提案をされるのが意外だったのだ。

 

「いや、英さんが言わなかったら僕から提案してたとこ」

「ホントかなぁ……ま、いいけど」

 

 英さんはジトッとした視線を向けながらも携帯のカメラを構えた。

 

「撮影は任せて。これでも自撮りには自信があるの」

 

 そう言うと、英さんは僕の方に身を寄せてきた。再びふわりと甘い匂いが鼻腔を刺激する

 今度は目を逸らしてなるものかと僕はカメラから目線を外さないように努める。

 

「チッ、同じ手は通用しないみたいね」

「こちとら戦いの中で成長してるんでね」

「しょうがないわね。ほら、もっと寄って」

 

 つまらなそうに口を尖らせながらも、英さんは慣れた手つきでパシャリとシャッターを切った。

 

「ま、こんなもんでしょ」

 

 画面を確認すると、英さんは満足そうに微笑む。

 そこには満面の笑みの英さんとぎこちない笑みを浮かべた僕の姿があった。表情がぎこちないのは仕方がない、写真は苦手なんだ。

 

 まあ、それはともかく……この写真は間違って消さないように、しっかりロックをかけておこう。

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