前世軍人記憶持ち系元正実のシャーレ所属万事屋生徒がサオリと色彩をぶん殴る話 作:拳正義実現委員会
めっちゃ長いです。一気にチュートリアル組の会遇まで行きたかった。
タイトルのフォーマットは気分です。意訳すると"我らシャーレへ進軍す"っていう意味になります。
私とワカモが初めて出会った…いや、出遭ってしまったのは今より1年程前。とある企業からの依頼を遂行していた際に、障壁として立ち塞がったのがワカモだ。
もちろん、ワカモは誰かに雇われて立っていた訳では無い。ただただ、近頃幅を利かせていた私が気に入らなかったか、何か大事そうに駆けずり回っていたから壊したくなったのか。テロリストの思考回路など知ったこっちゃないが……まぁ、多分、こんな感じ。
鉢合わせるなり挨拶も無しにぶっぱなしてきたワカモに応戦し、その日は何とか牽制し撒くことができた。
それからは目を付けられたのか、週4回の頻度で現れるようになり。やっとこさ満身創痍になりながらもワカモを昏倒させ、ヴァルキューレ公安局に超エキサイティンしたのが半年と少し前。
で、今。当分……具体的に言うと少なくとも今年中くらいまでは顔を合わせることは無いだろうと踏んでいたソイツが、目の前にいけしゃあしゃあと座っている。
勘弁してくれ、ノイローゼだ。高頻度で背後から頭上から足元から目の前から──
「あら、お仕事ですか?」
「あら、奇遇ですわね?」
「あら、取り込み中ですか?」
「あら、今日はお休みですか?」
と出現するのだ。当然、その度に銃撃戦。もううんざりだよホント何脱獄してんのお前。強い奴と戦いたいとは言ったが週4で戦いたいとは言ってないぞ。
挙句の果てには依頼だと?確かに、私の店(事務所)のソファに座れば皆等しく客だと言った覚えはあるが。いつだったか?どっかの大きなマフィアのボスからの依頼を受けていた時だったか?
なんでそんな奴を守るのか問われた際のアンサーだったか。
まぁいいか。
総括。
仕事を増やすんじゃねぇ、殺すぞ。
以上。
「『で、どこで何をしでかすつもりだ?』」
「D.Uシラトリ区なのですが……少し、気になるものがございまして。」
「『おいおい……おいおいおいおいおい……。なんでまたよりにもよってヴァルキューレの自治区なんだよ、お前心臓どうなってんだ?』」
「あら、そう褒められては照れてしまいますわ。」
「『褒めてねぇよ。』」
「ふふ……。さて、仕事の話ですわね。先程言った通り、D.Uに気になるものがあるのです。」
気になるもの。私から言わせてもらうと、D.Uどころかこのキヴォトス自体気になるものばかりだと思うのだが。
「用途不明のビル。駅からも近く、立地も好条件。なのにも関わらず、何にも使われていない。しかし、その周りはヴァルキューレ生により常に警備されており、定期的に清掃もされている様です。」
「『何にも使われてない1棟のビルに?そりゃ不思議だな。』」
立地がいいのになんのテナントも入っていない、そのくせいっちょ前に警備清掃が行き届いているヴァルキューレ自治区のビル。
うーん、D.Uということは、何か連邦生徒会絡みと考えるのが自然か……?
何か重要な物なのだろうか。
……ん?重要なもの?
「『おい待て、お前まさか』」
「はい、そのまさかです。推理するまでもなく、あのビルは連邦生徒会が管理しているものと考えるのが自然……それがキヴォトスにとってどれだけ重要な役割を担う予定であるものなのかは存じ上げませんが……
「『このテロリストが!!シンプルにバカッ!!バカテロリスト!!!』」
「なんとでも言ってください!もう私には火が付いてしまいました、なんと言われようとも止まりません。さぁ、着いてきてください!」
このくらいは出せます、と裏紙にペンでさらさらと数字を書くワカモ。
提示された金額は──
「『おいテロリスト、こんな額どうやって……!』」
「ふふふ、秘密です。」
D.Uを襲撃し、ヴァルキューレ…ひいては連邦生徒会を敵に回すデメリットをも上回る報酬……私が用意したハードルを軽々と超えるような額を提示してきやがった。それに、隣でじっくりとあの災厄の狐の戦闘データを取ることも可能──破格だ。
いや、だが私はこれでも元軍人。第1は市民の平穏!そのビルを壊すことで何が起きるかは知らないが、それでキヴォトスの住民の生活が脅かされるのであれば……
「『あー、ワカモ。悪いが──』」
「
「『……あ?』」
「やめましょう、
そっと頬に触れてみれば、口角が上へ上へとつり上がっているのが分かる。
確かに私は元軍人だ。──だが、今は?
何が起きようと了解の外、全ては二束三文の端金の為動く──独立傭兵だ。
はい、スーパー爆速前言撤回。市民が脅かされようと知った事ではありません。そもそもどれだけ敵国の市民を脅かして来たと思ってんだ。
「『……ハッハー、お前も人が悪い。』」
窓が盛大に割れ、ダイナミック循環換気がされている室内の空気を大きく吸う。
外からは多種多様な銃器が奏でる銃声の旋律。アクセントに叫び声、戦車のキャタピラが駆動する音。
心が、踊る。
私の居場所は……ここにある!
「ふふ……決まり、ですわね?」
そうして、ほどなく全ての準備を終えた私とワカモは手を繋ぎ、窓から悪魔のきららジャンプをしながら戦場へと身を堕としていった。
☆★☆★
「やったぞ!私達はあの災厄の狐に勝ったんだ!!」
握りこぶしを挙げ、そう高らかに宣言する。初めにあの災厄の狐が目の前に現れた時にはもうダメかと思ったが、みんなで必死に貯めたお金で最近遂に購入したクルセイダーの主砲で吹っ飛ばす事が出来た。
吹っ飛んだあいつは、あの建物の窓を突き破って行ったが……ありゃ気絶しているだろう。
「隊長!今アイツを捕えれば矯正局から報酬を貰えるんじゃないすか!?」
部下の1人がそうらんらんと目を輝かせて言うが、私はゆっくりと首を横に振る。
「いや、やめておこう。私達は災厄の狐に勝った、その事実だけ持って帰るとしようじゃないか。」
相手はあの災厄の狐だ、運んでいる途中に目覚める可能性が高い。もちろん、戦車の主砲を撃ち込まれた挙句窓に全身を強く打ち付けているんだ、無事ではないだろうが……危ない橋は渡らない方がいい。
「おぉ、流石隊長!私はそこまで考えが至りませんでした!確かに危険ですもんね。」
「ハッハッハ!いいさいいさ!さぁみんな、撤収を──」
振り返り、部下達にさっさと帰って飯でも食べよう、と声をかけようとした瞬間。
アスファルトに落ちる2つの人影。美しく、身も心も震え上がるような声が耳を貫く。
「『よう、私とも遊んでくれよ。』」
「あら、帰ってしまうのですか?これからだと言うのに……」
バッと上を見れば、傷ひとつ無い綺麗な和服をはためかせた狐面と、片目が蒼く眩い光を放っている黒いダウンコートを羽織った女が空を舞っている。
「──あ、あぁ、あぁぁぁあ……」
部下の1人が、そうへたりこみながら声にならない声を漏らす。
聞いた事がある。何があろうとも決して表情を崩さず、"不動"と呼ばれた傭兵が顔を歪め、嗚咽混じりに「傭兵を辞める」だの「このまま続けるくらいなら死んでやる」とまで言わしめたという、ブラックマーケットに巣食う悪魔。
片目片腕片翼、狂気の笑顔。輝く義眼、あらゆる兵装が詰まった黒い手袋を嵌めた義手。
線密に練られた作戦、揃えられた人員を全て嘲笑ように蹂躙し、トラウマを植え付けられた者は数しれず。
「う、撃てッ!撃て───ッ!!!」
その悪魔は、集中砲火の中銃弾を軽々と避け、狐面とワルツでも踊るように優雅に部下を踏みつけ着地した。
「『御機嫌よう。今日もいい天気だなぁ、おい?』」
煽るようにこちらを見下す、その女は。
ある程度この道で生活している者ならば知らぬ者はいない、裏社会に君臨する絶望の象徴。
その、女は………!
「──"
「ふふ、注目の的ですわね?」
「『そりゃ光栄だね。ま、砲弾の的になる気は無いけどなっと!』」
砲を撃とうとしていた戦車に向かいリボルバーを向け、流れ作業のように発砲。
鈍い音を立てて装甲が貫かれ、爆発音と共に火を吹き出す。
「……は?」
私達が血反吐を吐く寸前まで働いてようやく購入した戦車を……あんなリボルバー1発で……?
そんな私達の絶望など知らん顔で、あっけらかんとした笑顔をもってソイツはこう言った。
「『私達さ、今からD.Uに行ってヴァルキューレのアホ共とランデヴーって感じなんだけど……来るかい?てか来い。』」
◇
「『ちなみに拒否権ないからな。断ったら……天国行き特急乗車券をプレゼントしてやるとしようか。特別だよ?』」
と、義眼に集中する為右目を瞑りながら付け加える。
黒服にアップデートされたこの左目だが、こいつが中々
単純な視覚はもちろん、サーモグラフィー、スキャン、レーダー、ロックオンなどあらゆる戦闘に重要な「眼」の役割がたっぷり詰まっている。
奴曰く、名を『
なんでも超超高性能なAIを搭載しているらしい。役割を果たしきれなかった遺物の転用だとか、ほとんど機能は死んでいるとか言ってたけど、それでも10を持ってあまりある程の性能だ。私の腕のコントロールとかは全てこの眼に一任している状態だし。
「う、うわぁぁぁぁぁあああ!!!」
「『おっと。』」
銃を乱射しながらやぶれかぶれに突進してくる1人のヘルメット団に向けてリボルバーを1発。ヘルメットを貫いた弾丸はそのまま強い衝撃を与え、気絶させる。
「『……別にノらなくてもいいんだけど、疲れるんだよね。早くしてくれない?』」
硝煙を銃身から燻らせるリボルバーを指先でクルクルと回しながら、そう言ってみる。
「わ、私、は…」
どうやら迷っているらしい。うーん、時間が無いんだよなぁ……。ここはひとつ発破かけてみるか〜?
そう思い、右腕をリーダーらしき子の肩に回してもたれ掛かり、耳元で囁く。
「『おいおいお前……状況判断能力が壊れちまってるのか?別に私はこのまま全員病院送りにしてやっても一向に構わねぇんだぜ?救急車は呼んでやんねぇから自分で呼べよ。』」
「ひ……」
「『ほらほら、お仲間さんヤっちゃうぞ?3秒数えてやる。はい1。』」
そう言って照準だけ向け、ノールックでヘルメット団員を1人撃ち抜く。
「な!?ふ、ふざけ……3と2はどうした!?」
「『あ?男は1だけ覚えときゃ生きてけんだよ。知らんのか。』」
「女だろ!」
ふむ、中々どうして強情。ワカモは飽きて屋台を物色している。
「しょうがねーなぁ。でもな?私とあのテロリストの指揮下で戦場を駆けたって、傭兵としては結構いい商売文句になると思うんだよなぁ。」
決して自惚れではない。アホみたいに尾鰭のついた噂やシンプルな功績によって、自分自身でも分かるほどに"万事屋Side "はこの界隈じゃビックネームなのだ。おかげで積極的に向かってくる奴が少なくて困る。
データも取れないし。身体は鈍るし。シンプル欲求不満。
そう考えたらワカモが来たのは僥倖かもしれないな、コイツ=戦いだから。
「『てか、ここでギャーギャー騒いでても意味無いと思うね私は。ここはやっぱブラックマーケットの傭兵らしく、デッカく行こうぜ?』」
「……!」
そうして、ヘルメットのシールド越しに顔を覗き込んでもうダメ押しにもう一声。
「『──なぁ、オネーサン達と悪い事しないか?』」
☆★☆★☆
「と、止まれ!止まれ──!」
「このままでは……!増援を!」
「なんでこんなにヘルメット団が!?」
ブラックマーケットから一気に進軍し、目的のビル付近。防衛にあたっていたヴァルキューレの生徒達と交戦している途中。
ヴァルキューレ警察学校は、その名の通りキヴォトスにおける警察の役割を担っている存在だ。
なん、だが。
「『……弱い。』」
そう、明らかに弱い。正実のヒラ委員より弱い。
ヘルメット団で事足りてしまい、正直出る幕が無くて暇。せいぜいが時たま指示を出す程度。
「あら、手牌がよろしくなかったのですか?」
あまりにも暇過ぎて、そこら辺でパクった装甲車の中でワカモとヘルメット団の団長と三麻をしている状態だ。なんであるんだ雀卓。
「『そうじゃない。ヴァルキューレの話だ。』」
「それはもう分かり切っている事ではありませんか。」
続けて
「『あ、それポン。』」
「まぁ、アイツらは私達でもなんとかなるレベルだからな……。あ、でも公安に1人ヤバいのがいて……」
「『公安ねぇ……お、カン。』」
警察はよく分からんなぁ、関わりもなかったし。あ、でも終戦の度に私を検挙しようとした奴はいたな……なんでも、必要以上に人を殺しているだとか人道を踏み外しているとか。
戦争へ国の背中を押すのは、いつだって国民のクセしてな。そもそも戦争自体人道じゃないし……戦いこそが人間の可能性って話もあるけど。
「まぁ、このままいけば順当に例のビルまでたどり着けるんじゃないか?」
と、河に牌を切る団長。
「「ロン。』」」
「へ」
「
「『ほい、
「だ、ダブロン……うぅぅぅう……」
思えば前世──18年以上振りになる麻雀、この世界にもあるんだなぁ。やっぱり面白い。何故ならば勝つから。
やっぱり三麻がナンバーワン。
さて、そろそろ外の様子でも見ようかね。
そう思い、車を止めてもらいドアを開けて外へ出る。
この装甲車、意外と防音性が高い様で開けた瞬間爆発音や射撃音が耳に飛び込んでくる。
「『さて、例のビルは……お、結構近いね。 おい、そこのARのお前。どれくらい犠牲が出てる?』」
ちょうど近場にいたヘルメット団員にそう尋ねると、そこまでの消耗は無いが、銃火器の質の差や手数によって徐々に押され始めているとの事。ふーむ、なんとなく鼓舞でもしておこうか?
ちょっくら無線を拝借。ありがとね。
「『よう諸君。私だ。──まったく、ヴァルキューレには足を向けて寝られんな、練度の低い貴様ら連中の為に射撃訓練をさせてくれるとは。』」
無線を用いて全体へそう皮肉混じりに言う。
「『はっきり言って、諸君らは弱い。だからこそ、ヴァルキューレの者たちは自らをカカシとする事で、君らの能力向上の手助けをしてくれているらしい。』」
まぁ要するに、と続ける。
「『君らも好きだろう?──弱い者いじめ。健気にも立ち向かってくるヴァルキューレの生徒達に現実を教えてあげようじゃないか。それでは諸君、引き続き……いや、更なる健闘を期待するよ。』」
無線を切り、持ち主へ返却。
……うん。みんな生き生きして盛り返し始めた。やっぱこんな感じで敵を見下したこと言うと士気上がるよね。
「『……さーて、私も行こうか。お金貰うしね。』」
全線へと歩を進めながら右眼を閉じ、左眼──サイクロプスを起動させる。
『──C.Y.C.L.O.P.S、システム:戦闘モード起動。広域レーダーを展開。』と、AIが告げた。
「あら、貴方も行かれるのですか?」
背後。
そう声を出しながら、その声の主は私に追い付き肩を並べ歩く。ワカモだ。
どうやら車から降りたらしい。
「『団長は?』」
「別のポイントに向かいましたわ。私は貴方と御一緒させて頂こうと思いまして。」
「『……そりゃ頼もしいねぇ。』」
ため息混じりにそう返答し、リボルバーを手で弄ぶ。このリボルバー……イクとも長い付き合いだ。思えば前世から個人的に愛用している。この世界じゃ使ってる奴あんまり見ないんだよなぁ。アンティークな大型リボルバーはいいぞぉー?
『報告:ヴァルキューレ、ヘルメット団、いずれも非所属の生体反応を検知。データベースの照合を開始。』
「『……ん?』」
「あら、どうかしましたか?」
サイクロプスがそんなことを告げる。ヴァルキューレでもヘルメット団でも無い勢力?第三者の介入か?
『結果:ゲヘナ学園、ミレニアムサイエンススクール、トリニティ総合学園の生徒を確認。1名は所属が確認出来ませんでした。』
出てきた名前はキヴォトスでも最大規模のマンモス校達。1名未確認というのが気になるところだが、こんな所にわざわざ来るのならばそれなりの立場の者なのではなかろうか。
「『ワカモ、新手だ。恐らくヘルメット団じゃ相手にならん、行くぞ……え、ちょおい待て』」
「?」
狐面越しにも分かる困惑顔を浮かべるワカモ。だが待って欲しい、本気で。
今なんて言ったこのAI。え、トリニティ総合学園?
トリニティ
トリニティ
トリニティ総合学園!?!?!!?
なんてこった……たまげたなぁ……。
『報告:200m、190m、180m……ターゲットのビルへ接近しています。視覚拡大、倍率50、情報を共有します。』
義眼の前に投影された円形のディスプレイの左上に拡大された画面が窓で表示される。
どうやら5人組。青髪ツインテ、茶髪お下げ、白髪長髪、黒髪長髪。あと背の高い大人の女性、どうやらヘイロー無し。……大人とはまた珍しい。何気初めて見たのでは?人間の大人。
たが、最も注視すべきなのはそこでは無い。
「『……スズミに、ハスミ……。』」
トリニティ自警団、守月スズミ。立場上そこまで話した事がある訳では無いが……一応顔見知り。
そして何より、何よりも問題なのは。
正義実現委員会、羽川ハスミ。
ツルギと共に、昔から常に一緒だった幼馴染で、同期。
瞬間、封を切られたように勢い良く脳内に駆け巡る、幼少期より積み上げてきた記憶。
『コウ、何が食べたいですか?』
『い、今の動きはなんですか……?コウ……?』
『コウ、ナイフは危ないのでしまってください。』
『なんでHGで狙撃が出来るんですか……?』
『ちょ、ツルギ!コウ、ツルギを抑えて下さい!』
『離してくださいコウ!相手はゲヘナですよ!?何故情けをかけなくてはならないのです!?』
『はい、紅茶です。──美味しいですか?……ふふ、なら良かったです。』
『コウ?どうしましたか?』
『コウ!』
『コウ〜……』
『──コウ。』
「『……。』」
こうやって姿を見るのは、実に2年振りになるか。1年ほど前から、トリニティ自治区以外にも変装した正実の委員がそこら辺を巡回するようになっていたが……。目的は恐らく、私の捜索だろう。
それら全てを掻い潜って、欺いてきた。きっともう、あっちでは私は既に死んだことになっているのだろう。
そしてもう、あの色彩とかいう奴を打ち倒すまでは、完全にその光をかき消してやるまでは会うことは出来ない。会えない。会いたくない。
それに、もう私は……
だがしかし、それにしても。
2年振りに見る親友の姿は……
「……大きく、なったな……。」
あの頃とは比べ物にならない程、立派になっていた。どことは言わない。全てが、彼女を構成する全てが立派に大きく育っていた。
ハスミは順調に成長している。
「……レンさん?どうしたのですか?」
「『……ッ!』」
ふと、そう声を掛けられ正気に戻る。
……戻ったのは、正気?……うん、多分正気。
少し深めにフードを被りながら返答する。
「『……いや、なんでもない。ミレニアム……格好的に多分、セミナー。あとゲヘナの…風紀か?それと、トリニティの自警団と正実。』」
「あら、お友達でもいたのですか?」
「『……どういう意味だ?』」
そう聞いても、返ってくるのはうふふふという含み笑い。
こりゃ何言っても無駄だと判断し、集団を注視しながらリボルバーのハンマーを倒す。
と、その瞬間。
横向きのハスミの眼が、こちらへ向いた。
「『──バカガードッ!!』」
反射的に近場で伸びていたヘルメット団員を掴みあげ、盾のように突き出す。近くにいたお前が悪い。
それと同時に、ガツンの重厚な音と衝撃。
今のは音的に徹甲弾か。なんて物騒なもん撃ってきてやがる。
バカだ。なんというか、こう、変な方向に思い切りがいいのは何一つ変わっていないらしい。
「『……』」
「『……ふふ、く、ククク……ハハハハッ!』」
用済みの肉壁を捨て、込み上げてくる笑いを全力で吐き出す。
いい。
それで、いい。
──面白い。
窓に表示された4人は、1人の大人の指揮の元ヘルメット団をバッタバッタと倒している。
あの大人……軍人としての勘が告げている。只者じゃない。
「『はっはー、良いのが来たじゃないか。じゃあちょっと遊ぼうか……。行くぞワカモ。やられんなよ?』」
「あら、誰に言っているのでしょう?」
「『はいはい、あくまで目標はあのビルだからな。それじゃあ行くぞ!』」
そうして、2人で物陰から飛び出した。
そういえば月見里さんちゃんのプロフィールを明記してなかったなと。
月見里
誕生日 4月5日
身長 173cm
好き・得意なもの
戦争行動、果汁入りの野菜ジュース、猫
嫌い・苦手なもの
アカ、敗北主義、精密機械、犬
装備
大口径改造リボルバー『イク』、ゲマトリア製光学式人工知能内蔵視覚投影兼戦闘補助汎用義眼『C.Y.C.L.O.P.S』、エンジニア部製内部ジェネレーター駆動式多種兵器内蔵義手『バーサタイルアームくん1号』
備考
高一の時、色彩の影響で前世を思い出した元正義実現委員会──と思っているだけ。防衛反応か、脳が自動的にレンとの記憶を上手く統合している。高二まではたまに分離していたが、高三になってからは余程のことがなければ基本的に人格は安定している。スーパーだけどヒーローでは無い。ぶっちゃけただの人殺し。
正義とは圧倒的な暴力の上に成立するのであーる!