転生勇者と転生魔王の未来目録   作:Aa_おにぎり

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#19

シュライクに冤罪でこっ酷く叱られ、酷い目にあってから数日後。

倉庫から引っ張り出したあのM686は風紀委員会の共用の拳銃となり、ついでに発掘したマグナム弾も放置されていたムーンクリップやらと共に緊急時用の武器として委員会本部にガンラックと共に設置された。元々がリボルバーで、弾薬はストッピングパワーのあるマグナム弾であるのでリボルバーの信頼性も合わせて緊急時用に保管していた。

 

「やれやれ、やっと終わったや」

 

何十丁も出てきたM686の整備を行い終え、学校から帰る途中。レオポルトは疲れた様子で帰路に付く。

 

「帰りはコンビニで済ませるか……」

 

あまり宜しくは無いが……。

帰り道に弁当屋に寄り、レオポルトは夕食を購入する。時間も時間な為に今日は食堂に寄るとかもなくコンビニに入る。

昼などはジャクソン達とほぼ毎日過ごしているわけだが、よくよく考えると部活動に入った影響で同じ時間に帰ると言う事はあまりなかった。

明日は十月三一日、学校ではハロウィンパーティーが行われる日だ。開始時刻は午前十時。事前予約制を採用しており、参加人数は数千人。当日はコンペンションホールで行い、風紀委員として自分は揉め事が起こった場合のバックアップとして待機する予定だ。

 

「今日はどうしようかな……」

 

夜の売れ残っていて安売りをしている弁当を適当に選んでいると……。

 

「「あっ」」

 

誰かと手が被った。その先を見るとそこにはアニが居た。

 

「あれ?アニもいたの?」

「レオくんは……また工作ですか?」

「いやいや、今日は違うよ」

 

そう言い、レオポルトは違う弁当を適当にカゴの中に入れ、同じ様に夕食を買いに来たのだろうアニと会計をする。

 

「あ、そんな。お金は自分が……」

「良いんだよ。俺の奢りだ」

 

まとめて会計をし、店を出ると二人は少し談笑をする。

 

「アニはまた古代魔法の勉強かい?」

「ああいえ、今日はバイトの帰りです」

「バイト……?」

 

どう言うことだと思っていると、アニは軽く頷きながら教えてくれた。

 

「はい。私……実を言うと実家が余り経済的に余裕が無くて……」

「あぁ……ごめん」

「良いですよ。もう、慣れた事ですし……」

 

アニはそう答え、慣れた様子で軽く目を伏せる。そしてレオポルトはそこで納得する。アニが中古品の銃を買っても整備しなかったのか。家に経済的な余裕がないのであれば納得だ。だとすれば、此処に通えたのも家族が努力して学費やらを出してくれたのだろう。

 

「色々と大変だったんじゃ無いか?」

 

思わずそう聞いてしまうとアニは軽く首を振った。

 

「いえ、奨学金を借りましたし。此処に入れた時点で就職とかは有利になりますから」

「そうか……」

 

アニの話を聞き、少しだけレオポルトは心のうちに申し訳なさを覚える。確かに此処に入れば就職は有利だろう。しかし、そっから先は自分の能力次第だ。時々問題になっている学歴の問題だが、社会に求められるのはあくまでもどれだけ自分ができる人かを占める事だ。

別に此処に入ったからその後も安泰かと言われると、確証は無い。

だって現に、魔学院を出て就職はすんなりと決まったが。仕事の能力がなくてすぐに首を刎ねられてそれで変にプライドだけ高くて暴れた馬鹿が居てニュースにもなった。

 

「まぁ、大学科に進学するかどうかは決めかねていますがね」

「そうか……」

 

恐らくは余計に親に負担をかけてしまうからだろう。

俺やドーラの場合は親父から『絶対大学を出ろ』と珍しく口を酸っぱくして言われていたからすでに大学に行くための準備を進めていた。もし、高等科でアニが此処を出ていくのであれば、それはそれで少し寂しいな……。

 

「まぁ、一緒に頑張ろうな」

「はい……もし大学科に行くことがあれば。その時はよろしくお願いしますね」

 

そう言った時。彼女の目は嘘をついている様に見えた。何処か悲しげな、そして悔しげな様子で。

そんな毎年の様に奨学金を借りていれば、返済も大変になるだろう。だから今後の事も考えて区切りの良い高等科で彼女は辞める気なのだろう。

 

「なに、もし大学科に行くことがあればその時は連名で論文を出してやるよ」

「そうですか…でも申し訳ないです。そんな…レオくんの論文に名前だけ貸すなんて……」

「良いんだよ。俺らは親友だろう?」

 

そう聞くと、アニは少し間を置きながら頷いた。

 

「そう…ですね……じゃあ、その時はお願いします」

 

そう言い、二人はモノレール駅に向かう途中。住宅街地区の人気の少ない道を歩いていると、突如レオポルの目元が鋭くなった。

 

「……アニ、後ろに隠れろ」

「?」

 

するとその瞬間、レオポルトは懐からMP9ーNを取り出した。

 

「出て来いよ」

 

ドスの効いた声で話しかけると、電柱の影や家の隙間などからレオポルト達を囲うように複数の集団が姿を現した。

 

「っ!?」

 

いきなり現れたことにアニは驚愕し、そしてその唯ならぬ雰囲気に動揺していた。

 

「貴様ら…何処の何奴だ?」

「……お前が知る必要は無い」

「そうかよ……」

 

問答は無意味だ。そう判断したレオポルトは躊躇なく手に握る引き金を引いた。

 

 

 

住宅街の一角に連続した銃声が響いた。

 

 

 

「逃げるぞ」

「へっ?……っ!?」

 

銃声で一瞬怯んだ隙にレオポルトはアニを抱えるとそのまま跳躍し、家の屋根に飛ぶ。

 

「追え!」

 

襲ってきた集団はそんなレオポルトの後を追う様に跳躍する。使っているのは低重力魔法と身体強化を複合した跳躍魔法でレオポルトはアニを抱えたまま家の屋根を伝って飛び回る。

 

「追ってくるか……」

「お、降ろして下さい!!」

 

腕の中でアニが叫ぶが、レオポルトはそんな怯える彼女に答える。

 

「それは無理だ。とにかく人の多い場所に……」

 

その瞬間、レオポルトは首を右に傾けると、元々頭のあった場所に銃弾が飛んだ。

 

「向こうは殺す気か……」

 

弾丸が頭を掠めていった時点で黒確定だと確信し、冷静に呟く。

 

「仕方ない」

 

するとレオポルトは抱えているアニの目元を手で覆う。

 

「な、何ですか!?」

「目ぇ、閉じてろ。やられるぞ」

 

レオポルトの真剣な眼差しと声色でアニは促される様に小さく頷くとそのまま強く目を閉じた。それを確認したレオポルトは何かしらの呪文を唱え始めた。

 

「主よ、無神たる者らに裁きを与えたまえ。地の底より出たる脅威を見せたまえ」

 

短く詠唱と思わしき何かを唱えると、そのままレオポルトは遠くに一気に飛翔する。何をしたのかとかと思った次の瞬間。

 

ドゴンッ!!「うわぁあああっ!!??」

 

小さな爆発音と共に悲鳴が聞こえた。何があったのかと思うと、地上にレオポルトは降り立った。その時、目を開けるとレオポルトに注意されてしまった。

 

「アニ、そのまま目を閉じていろ」

「え?あ、うん……」

 

アニはレオポルトの言う通り、目を閉じた。

 

 

 

すると自分達の周りに一瞬だけ突風が吹きつけ、その後レオは目を開けて良いと言った。

恐る恐る目を開けるとそこは自分たちの住む寮が目の前にあった。

 

「え?何で!?」

 

さっきまで隣の住宅街の地区にいたと言うのに……。

 

混乱するアニに対し、レオポルトは答える。

 

「風魔法を使って飛んだのさ」

「だとしてもあんな短時間で移動を……?」

「できるんだよ。うまいこと使えばな」

 

そう言うとレオポルトはそのままアニを地面に立たせた後、持っていた弁当の入った袋を渡すと彼女に言う。

 

「じゃあな、ここまで来れば安全だから」

「あ、ちょっと!!」

 

アニはレオポルトに問い詰めようとしたが、彼はそのまま跳躍魔法を使うとそのまま一気に自分の量に向かって飛んで行ってしまった。

 

「何だったの……?」

 

アニは片手に弁当を持ったまま混乱して立ち尽くしてしまっていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

跳躍魔法を使ってダイナミックに自室の扉の前に飛んだレオポルトはそのまま部屋の中に入る。

 

「ふぅ、世の中碌な奴がいないなぁ」

 

そう思いながらレオポルトは寮の小さなバルコニーに出ると、そこで右の掌を広げて小さく呪文を再び唱えると、掌に浮かんだ魔法陣から一羽の鴉よりも黒い、立体的な影の様な小鳥が浮かび上がって来た。使用したのは古代魔法の一種である傀儡召喚魔法だ。

 

「偵察を頼むよ」

「ピッ!」

 

その鳥は鳴き返すとそのままレオポルトの手から飛び立っていき、先程までいた住宅街地区の方に飛んで行った。その様子を見届け、レオポルトは今度は現代魔法の視覚共有魔法を使用し、召喚した傀儡の視界を共有する。

 

傀儡は命令通りに動くが、柔軟な動きができない。その為、高度な魔法師であれば勘付かれて迎撃されてしまう事がある。

 

召喚した小鳥はそのまま住宅街地区を大きく一周すると、先ほど撒いた地雷魔法に引っ掛かてズタボロになった様子の襲撃者達を見た。

 

「これは見せられんなぁ……」

 

その惨状にレオポルトは苦笑してしまう。慣れていない人からすれば吐いてしまうかもしれないレベルの光景だ。

周辺には警察のサイレンとランプが接近し、通報があった事を示唆していた。

 

「証拠隠滅しておいた方がよさそうだな」

 

そう呟くとレオポルトはそのままバルコニーから空に飛翔していった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「実働部隊の一部が?」

 

深夜、暗いその一室で報告を聞いた一人がそう口にする。その報告によれば先ほど、とある場所に派遣した人員の一部が死んだと言う情報だった。

 

「どうする?」

 

そう問う、一人の人物にその男は机に足をかけたまま答える。

 

「構わん。死んだ所で俺たちの存在はに繋がらない。計画に変更は無しだ」

 

すると、その男は逆に聞き返す。

 

「あの餓鬼の動きはどうだ?」

「変わらねぇよ。相変わらず従順な犬だ」

 

そう答え、二人は卓上に置かれたとある置物の様な物を手に取って言う。

 

「こいつがあればあの厳重な警備網は簡単に突破できる。情報を手に入れればあとは……」

 

そう言うと片方の男は卓上に投げナイフを突き刺して言う。

 

「こいつに用は無い。計画が終われば始末しておけ」

「了解、ボス」

 

そう言い、その男はニタニタと笑いながら夜が明けるのを待っていた。




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