転生勇者と転生魔王の未来目録   作:Aa_おにぎり

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#45

学生の通学の基本は車である。

学園都市は土地が広大なので移動するのに車やバイクが便利なのである。

 

「悪いわね。車出してもらって」

 

後ろ座席でヴァージニアが言うと、運転していたレオポルトは言う。

 

「何、俺もこっちで人に会う用事があったから良いさ」

 

今日は都心部に買い物に出かけると言うヴァージニアが寮で歩いていたのを見かけて、行き先が同じだったので序でに乗せていたのだ。

 

「あら彼女?」

「俺に彼女が居るとでも?」

 

言われて、普段の生活から色気沙汰が全くと言って良いほどない彼にヴァージニアは少しつまらなさそうにして椅子に座る。

 

「じゃあ妹?」

「生憎、あいつは実家で受験勉強」

 

自分の後を追うように勉学に励んでいる我が妹のドーラ。元々魔法の才を持ってきた人間なので座学に関して負けるとこを知らないだろう。

 

「誰に会うの?」

「俺の幼馴染」

 

彼は言うと、彼女はレオポルトの交友関係を思い返す。

 

「…あぁ!もしかして士官学校の?」

「よく覚えていたな…当たりだよ」

 

そう言いヴァージニアの記憶力に軽く舌を巻いていると、

 

「当たり前よ、あんな乳でかい女の子忘れるわけないじゃん」

「そう言う覚え方かよ…」

 

まぁ、アイツはちょっとエルフの血入っとるし、オークの血も入ってるけどさ…。

 

「乳でかいって…」

「あのねぇ、この歳の女の乳のデカさは魅力のデカさなのよ?」

「それを絶賛思春期の俺に言うなよ」

 

レオポルトは突っ込むと、彼女は言う。

 

「いやぁ、だってレオなら言っても興奮しなさそうだし」

「俺は異性だぞ?そう言う話はアニとかの前でやれよ」

「だって、アニって見た目清楚系だから汚したくないもん」

「おいっ」

 

なんちゅう事言うんじゃいとツッコミながらレオポルトはアクセルを踏むと、街の道路を走る。

頭上ではモノレールが通過し、横断歩道では多種多様な種族が歩いている。

 

「この渋滞はどうしたの?」

「ん?あぁ、この先で巨人族の車が事故ったんだと」

「うわぁ、マジかぁ…」

 

そう言い青信号なのに進まない状況に軽く苦笑すると、

 

「時間は大丈夫か?」

「うーん、ちょっとここで降りようかな。ありがとう送ってくれて」

「どうも、また明日学校でな」

「えぇ、また明日」

 

そう言い柵を越えて手を振りながら去っていったヴァージニアを見送ると、レオポルトはAR端末を付けて今日会うネル達に連絡する。

 

「…あぁ、もしもし?」

『もしもし、どうしたの?』

 

電話に出たネルは聞くと、彼は渋滞の様子を見ながら言う。

 

「悪い、渋滞に引っかかっちまって遅れるかもしれん」

『あぁ、そう?今どこらへん?』

「セサミストリートの五番街近くだな」

 

そう言うと、ネルはやや驚いた様子だった。

 

『え?私今六番街に居るよ!』

「まじ?」

『えぇ、ヘンリーも横にいるから今から行くわ』

 

彼女はそう言い既に合流していたヘンリーと共に来るといった。あの二人だ、多分事前に会う約束をしていたのだろうな。

 

「迷うなよ〜」

『大丈夫よ、車で来ているんでしょ?ナンバー教えて』

「はいはい」

 

そこで彼は車のナンバーを教えると、少し待った後で窓を数回ノックされると、そこではネルとヘンリーが私服姿で見ていた。

 

「やぁ、久しぶり〜」

「久しぶりね」

 

ヘンリーは車のトランクに荷物を入れた後に後ろに座ってくると、レオポルトも少し笑みを見せながら返す。

 

「あぁ、何ヶ月ぶりだろうな」

「二ヶ月は固いわね」

 

ネルはそう言うと、渋滞の列を交差点で曲がって車は順調に街中を進む。

 

「悪いな。渋滞にハマっちまってな」

「それは仕方ないわよ」

「巨人の車の事故じゃあね」

 

そう言いながら三人は話していると、ネルが聞く。

 

「あれ?この車、なんで無線がついているの?」

「あぁ、小父から買った元パトカーだからな」

「マジか」

 

元パトカーの車両に二人は軽く驚いた。

 

「じゃあ何、僕たちは犯罪者?」

「やだー、私達このまま連行されちゃーう」

「何の罪状で警察に行くんだよ」

 

ヘンリーの冗談に乗っかりながら会話が弾むと、車は再び交差点を曲がる。

 

「ヘンリー、最近の仕事はどうだ?」

「ん?まぁ大変だけどやりがいがあるよ」

「銀行員だっけ?」

 

ネルが聞くと、ヘンリーは言う。

 

「うーん、まぁ今は貿易会社に転職しちゃった」

「「え?」」

 

その時、一瞬ブレーキを踏んでしまったレオポルトは思わずバックミラー越しで聞く。

 

「お前、また転職したのか?」

「そうだね〜」

「どうして?憧れじゃなかったの?」

 

ネルも驚いた様子で聞くと、彼は言う。

 

「いやぁね、やってみたは良いけど周りの目がなんかギラギラしててね…口は立つからって先輩に誘われてすぐ辞めちゃった」

「でも良かったの?」

「めちゃくちゃ良いよ!」

 

ヘンリーはそう言うと、それは良い笑顔で語る。

 

「いやぁ、いろんな商品を仕入れたり管理する仕事なんだけどね。すごく楽しい」

「そうなのか?」

「うん、転職して正解だったかもって思うくらいには」

「そ、そう…」

 

輝く目をする彼にネルも少し唖然となりつつも、幸せそうな彼に安堵していた。

 

「そう言うネルは最近どうだ?」

「え?私?」

 

話を振られたネルは一瞬驚くも、少し考える。

 

「そうね〜、基礎訓練課程がもうちょっとで終わるかな〜」

「私生活はどうなんだよ。友人とかできたのか?」

 

すると彼女は呆れたように言う。

 

「あのねぇ、あの中で友人できなかったら普通にキツいよ?便所飯は勘弁」

「はははっ、ネルはすぐに友人できるでしょうに」

「あらそぅ?」

「出来るのは悪ガキ同盟だろうな」

「何ちゅう事言うんじゃ」

 

ヘンリーに言われて少し嬉しそうにするネルにレオポルトも少し笑みを見せながらウインカーを付ける。

 

「まぁ、だからレオに頼まれた商品をすぐに用意できたんだけどね」

 

そう言いヘンリーはトランクに乗せた荷物を思い返すと、ネルが聞いた。

 

「そうそう、レオって何頼んだの?ヘンリーにあんなでかい荷物運ばせて」

「やぁね、今日その事で話そうと思っていたんだよ」

「「?」」

 

首を傾げる二人だったが、車はある建物の駐車場に入った。

 

「うわっ、高そうな料亭」

「ここ、人気でなかなか予約が取れないお店じゃん」

 

そう言い和風料亭に到着した事に二人は驚いていると、

 

「それだけ大事な話ってことさ。ほら降りるぞ」

 

そう言いエンジンを切って車の鍵を持ったまま扉を開けた。

 

「え?今日のお店ってここなの?」

「それ以外にここら辺に予約するような店があるかよ」

「えぇ〜、高い料理が出るじゃんか」

 

そう言いながら二人も車を降りると、

 

「足りなかったら借金で貸してやる」

 

レオポルトはそう言って予約した料亭に入っていく。

 

 

 

「うわぁ…」

 

そして料亭で食事をとっていた三人は出てきた懐石料理に舌鼓を打つ。

 

「これ、とても美味しいわね」

「うん、揚げた湯葉のさっくりした食感がたまらないね〜」

 

そう言いながら御膳料理を楽しむ二人にレオポルトは思わず溢す。

 

「お前らリポーター向いてるんじゃね?」

「はははっ、冗談きついってば」

 

そんな軽口にヘンリーが反応して笑うと、ネルも頷いた。

 

「そうよ、そもそも今日こんな場所に来るなんて予想外だったし…」

「足りなかったらレオが奢ってくれるよ」

 

ヘンリーが言うと、ネルは軽く突っ込んだ。

 

「そこ普通あんたが奢る場面でしょうが…」

「てへ☆まぁ、ネルの分は奢ってあげられるよ」

「金持ちだなぁ…」

 

レオポルトはそう言い、今日の服も良いやつを着ているヘンリーに羨望の目を向けながら焼き豆腐を一口食べる。

すると食事をしていたネルはそこで箸を置いてレオポルトを見る。

 

「それで、話って?」

 

彼女が切り出した話題にヘンリーも顔を真面目なものに変えると、レオポルトは口を開いた。

 

「あぁ、二人は数ヶ月前の魔導技師殺害のニュースは聞いているか?」

「えぇ」

「うん…」

 

二人は頷くと、レオポルトはそこで言う。

 

「その時間と関係のある可能性があるある不法移民の孤児が、今ここの郊外で暮らしている」

「「…」」

 

レオポルトが言うと、二人はそれに一瞬驚いた。

 

「二度、その孤児は襲撃を受けており、その時の襲撃者の特徴が魔導技師殺害の容疑者と酷似しているそうだ」

「それって…」

 

呟いたヘンリーにレオポルトは頷く。

 

「あぁ、三度目の襲撃があるかもしれないって事だ」

「二度も暗殺を画策していればね…二度あることは三度あるってやつね」

「そうだ」

 

食事を終え、湯呑を片手にお茶を飲むレオポルトは言う。

 

「小父からこの一件をとりあえず預かることになった」

「そう…」

「なるほど…」

 

二人はその意味を理解すると、少し険しい表情になる。

 

「まぁあくまでも捜査協力って形だし、その孤児にはバケツが付いている」

「はい?」

「え?何であの人いるの?」

 

バケツを知っている二人は少し顔を青ざめながら驚愕すると、レオポルトも少し疲れた表情で言った。

 

「何度脱走するから小父が最強の子守りとして召喚しやした」

「あぁ…」

「何てこったい…」

 

二人もバケツの狂愛の洗礼を受けた身なので遠い目を浮かべてしまう。

ヘンリーに関してはバケツから女の子物を着させられようとして、女装させられた過去があるので半分トラウマであった。

 

「本当、良いモノ作ってくれたよね…」

「その件はマジですまんかった」

 

死ぬほど土下座して謝り倒した過去を掘り返されながらも、脱線しかけた話をネルが修正する。

 

「んで、あたし達は何をすれば良いの?」

 

聞くと、レオポルトは言った。

 

「取り敢えず、ネルは信頼できる人を集めて。ヘンリーは俺の補佐」

「オッケー、悪ガキ集めてみる」

「分かった」

 

二人は頷くと、ネルが聞く。

 

「ドーラちゃんいないけど大丈夫?」

「まぁ最悪何とかなるだろ」

「だと良いけど…」

 

ヘンリーがそう言うと、最後にレオポルトは言う。

 

「いつも悪いが、今度も頼む」

「良いわよ」

「昔からだしね〜」

 

そう言い二人は笑ってレオポルトを見ると、彼も少しだけ笑みを見せてデザートのわらび餅を食べ始めた。

 

 

 

その後、食事を終えた三人は車に乗るとそこでネルが言う。

 

「貴方の懸念、起こらないといいわね」

「全くだよ」

「二人の巻き込まれ体質はどうにかならないかね〜」

 

そんな事を言いながら車は煌びやかな都市を走り抜けていった。




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