転生勇者と転生魔王の未来目録   作:Aa_おにぎり

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#5

新世界歴四五〇年 九月三日

アルメリア合州国 学園都市

 

その日、ホテルで目覚めたレオポルトとヘンリーは別室で寝ているネルを叩き起こした後。それぞれ制服に着替えていた。

 

「おぉ、似合ってんじゃん」

「そうか?」

 

部屋で制服を着たレオポルトにヘンリーは頷く。今のレオポルトは魔学院の紺色のズボンと胸ポケット付きのシャツとベストと無地の紺色のネクタイ。そして、学年カラーである緑色の線の入った白衣を一番上に羽織っていた。足元は革靴で、ベストの外側にはMP9を入れるホルスターを着込んでいた。

 

「それを言うならヘンリーもよくお似合いだよ」

 

そう言い、所々に学年カラーである緑色があしらわれた紫檀色のアカデミックドレスと角帽を被るヘンリーは少しだけ恥ずかしそうにしていた。流石にヴェープル12は背負わないと持ち運びは出来なかったが……。

 

「銃っているの?」

「俺は持ち運べるから持っていくつもりだ」

「じゃあ、僕はカバンの中にしまっておこう」

 

そんな話をしていると、部屋の扉がノックされ。ネルの声が聞こえる。

 

『入っていい?』

「おう」

 

レオポルトが答えると、部屋に寝るが荷物を持って入って来た。流石に狙撃銃はデカいので肩に背負っていた。

 

「「おぉ……」」

 

ネルは士官学校なので当たり前だが、軍服を着用しており、自分達同じ学年カラーの緑色が所々にあしらわれていた。

 

「似合ってる?」

「うん、よく似合っているよ」

「ああ、似合ってる」

 

幼馴染二人に言われて嬉しそうにするネルは片付けた荷物を持った。

 

「じゃあ、そろそろ行こうか」

「うん」

「そうだね」

 

三人は荷物を持ってホテルを出ると、昨日確認した道に沿って移動する。

この学園都市の中心街から各学校は三方向に分かれるように進んでおり、その為、中央のモノレール駅舎には今日だけ特別にそれぞれの学校に向かうピストン列車が運行されていた。御座式と懸垂式の両方が二階建てになっている駅舎ではそれぞれの学校に行く生徒で行列ができていた。

 

「うわぁ、すっごい人……」

「バスが混んでるからこっちにしたんだけどなぁ……」

「今日はどっちでも混んでいるだろう」

 

三人はそれぞれ別の学校に行く為、ここで別れることになる。

 

「ここで一旦お別れか」

「……」

「そうだね」

 

三人…ドーラのを含めたら四人は子供の頃からの付き合いで、幼馴染だ。一緒にいることが多かっただけに寂しい。

 

「…この中で一番予定が合わせづらいのはネルだな」

「ちょっと…!!」

「ははっ、それはそうだね」

 

レオポルトの言葉にネルは反論しかけたが、ヘンリーは笑っていた。

 

「普段の駄々くさな生活で教官にどやされないか?」

「うーん、ちょっと怖いなぁ……」

「僕としては面倒が減るからありがたいけどね」

「それは違いない」

 

そう言い、もう一度行列を見たレオポルト達は改めて口を開く。

 

「じゃあな。また会おうぜ」

「うん、じゃあ。またいつか」

「またね、二人とも。元気に」

「何、連絡は出来るんだ。予定さえ合えばまた会えるんだ」

 

そう言い、三人は特にその後話すこともなくそれぞれの学校に向かう列に並ぶのであった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

魔学院の生徒は白衣が制服になっている。そして学年カラーと呼ばれる学年を識別するための色を制服に入れる風習があり、今年の学年カラーは緑色であった。

巨大な校門を潜り、校舎までの道を新入生が歩く。入学式が行われるのはキャンパス内の大講堂。新入生全員が入っても余裕な大きさを有しており、その一席にレオポルトは腰を掛ける。

 

「凄い人数だな……」

 

ここだけで新入生の数は三千人、分校の人数も含めると一万人を超える。流石は国内有数の学校だ。

 

入学式が始まるまで、講堂に席に座っていた。暇だし携帯を取り出して触っていると不意に声をかけられる。

 

「隣、良いですか?」

 

声をかけられた方を見ると、そこには三人組の男女が自分を見ていた。横を見ると空いている席は三人。なるほど、ちょうど空いていたから聞いて来たのね。

 

「あぁ、どうぞ」

 

すっかり意識は携帯に向いていた為、少し驚きながら頷いた。そうして再び視線を携帯に戻してネットの記事を眺めていると、ふと視線を感じた。なんだろうと顔を上げると、先ほど話しかけて来た少女が自分を見ていたのだ。なんだろうと疑問に思っているとその少女は口を開いた。

 

「あの私、アニ・シコルスキーと言います。よろしくお願いします」

 

なるほど、挨拶か。友人は早めに作っておいた方が後でぼっちにならなくて済む。こう言うときは第一印象が大事だ。

 

「初めまして。レオポルト・ウリヤノフです」

 

挨拶をするとアニの後ろにいたもう一人の少女と青年がそれぞれ挨拶をする。

 

「私、ヴァージニア・パーシング。宜しく」

「ああ、よろしく」

「俺はジャクソン・クライスラー。宜しくな」

「宜しく」

 

名前を聞き、レオポルトは頷く。すると、ヴァージニアが安心んした様子で言う。

 

「いやぁ、良かったよ。近くに三人一列に空いてる場所がなくてさ」

「三人は友人か何かなのか?」

 

少なくともヴァージニアが凄いフレンドリーに話しているから友人何かと思って問いかけると、ヴァージニアは首を振った。

 

「いや?知り合ったのはさっきだよ」

「え?」

 

するとヴァージニアはその時の様子を話す。

 

「いや〜、講堂の場所が分からなくってねぇ〜」

「携帯で見なかったのか?」

 

入学者案内に地図が添付されていたはずだが?

 

「携帯さ、充電切れしててね」

「私はAR型しか持っていないので……」

 

AR型と言うのは拡張現実機構を持つ携帯端末であり、手を使わずとも音声認識で検索などが出来る。とても便利ではあるのだが、使用者しか画面を見れない為に盗撮でもなんでも出来ることから、こういった行事では持ち込み禁止の場所が多かった。

 

「俺は方向音痴だからさ」

「……」

 

よくここまで来れたと思うよ、本当……。話だけ聞いていたらびっくり集団じゃ無いか。

内心呆れながらレオポルトはそんな三人を見ながら入学式を待っていた。

 

 

 

 

 

暫く経ち、人の動きも収まってきた頃。入学式が始まった。

 

『では、これより。エディソン魔法科学学院入学式を始めます』

 

マイクの音声が響き、新入生全体の空気が一気に張り詰め。視線が壇上に集まる。教頭の話やら校長の話などの話を聞き終え、この学校の校歌が流れる。正直欠伸してしまうほど退屈な時間が流れ、次は新入生代表の挨拶だ。

 

『続きまして、新入生代表の挨拶です』

 

そう言われ、壇上に上がった人物に一気に視線が集まる。ここの学校の入学者で総代ともなれば、それこそ飛び級で大学に進学できなかったレベルの……所謂バケモンみたいな頭脳を持っている輩だ。

 

「総代様は頭良さそうだな」

 

ふと横でジャクソンが呟く。当たり前だ、大学に飛び級できるほど優秀な奴ぞ?

すると、壇上に上がった一人の生徒……今年の総代ロバート・E・スコットは台に手を置いて挨拶をする。

 

「今日、このような日に歓迎のお言葉を頂き。新入生を代表して、御礼申し上げます」

 

見た目はとんでもないイケメン。それでいて頭脳も優秀。これでモテないはずがなく、そして優秀さが滲み出ている為に他の講堂全体に色々と衝撃が走った。

 

「私は新入生を代表し、この学校にて勉学に励むことをここに誓います」

 

そう言い残すとロバートはそのまま壇上を後にしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

入学式が終わり、講堂を後にするレオポルト達は外に出る時に外に張り出されたQRコードの印刷された紙を見た。

 

「クラス分けだってさ」

「じゃあ確認すっか」

 

遠くからQRコードを写真て写し、中のデータを確認する四人。

 

「えーっと、クラスは……」

「あった!」

 

クラスを確認し、ヴァージニアは口にする。

 

「私、三組だ」

「俺は四組だな」

「あっ、私も四組です」

「俺は三組」

 

画面の名簿表を確認した四人はそれぞれそう答えると、互いに顔を上げた。

 

「げっ、アンタと同じなの?」

「何だと!!」

「はいはい、喧嘩すんな」

 

間に入って静止させると、ヴァージニアはやや不満げに腕を組みながら言う。

 

「まぁ、でも隣の教室なら遊びに行きやすそうで良いわね」

「宜しくな!」

「あ、あぁ……」

「えっと…宜しくお願いします」

 

ネル以上にフレンドリーだと感じながらレオポルトは挨拶をする。

 

「宜しく。アニさん」

「あ、はい。宜しくお願いします」

 

取り敢えずクラスメイトとなったアニに挨拶をし、そのまま四人は校舎に向かって歩き出す。

 

「校舎はあのサイエンスセンタービルらしいですね」

「でっかいねぇ〜……」

「何メートルあるんだろうな」

 

そう言い、キャンパスで最も大きいビルを見ながらジャクソンが呟いていた。

 

サイエンスセンタービルは地上五百メートル。地上一〇五階、地下十階まである学園都市内でも最も高いビルだ。中は学校運営に必要な施設ばかりで、地下にはキャンパス内外を移動する為のモノレールターミナルやバスターミナルがある。……と言うか、キャンパス内にヘリコプター基地がある時点で色々とおかしな話だ。

 

「ここだな」

 

教室に着き、レオポルトとアニは頷く。

 

「じゃあな。また後で会おうぜ」

「ああ、またな」

 

隣の教室のドアを握ってジャクソンとヴァージニアが手を振って教室に入っていき、レオポルト達も教室に入った。

 

 

 

 

教室に入り、ホームルームが始まるまでレオポルトとアニは世間話をして盛り上がっていた。

 

「へぇ、レオポルトさんって妹さんがいるんですね」

「レオで良いよ。俺の自慢の妹さ」

 

教室には多くの生徒が座り、数えきれないほどの人数だった。ざっと百人は居るだろうか。すると教室の扉が開き、中に一人の白衣を着た男性が入る。一目で教師であると分かり、一斉に教室が静まり返る。

 

「本日より、三組の担任を務めるジェイムス・スチュアートです」

 

その男性はまさに学者と言える雰囲気が溢れ出ている初老の男性だった。

 

「えぇ、皆さんも早速ですが学生証を送ります」

 

そう言うと、ジェイムスは持っていたカードを生徒に渡していく。

 

「えぇ、こちらは魔導具も兼ねているので無くさないように」

 

そう言いながらレオポルトは回ってきたカードを後ろに回す。魔導具とはどう言うことかと見回す生徒が多くいた。

 

「この後、学生証の登録を必ず行なってください。明日より、実験施設などに入る為の許可証でもありますので。登録が済んでいない場合は授業に参加できないです」

 

なるほど、それは大変なことだ。基本的に授業は落としてはいけない。それは親父からの教えだ。

するとジェイムスは教室にいる全員に向かって話し始める。

 

「皆さんは晴れてこの学校に入学することができました。まずは合格おめでとう」

 

最初に言ったのは合格を祝う言葉だった。

 

「しかし、これで終わりでは無いことに注意して下さい。むしろ、ここからが本番ですから」

 

そう言うと、ジェイムスは教室にいる全員に勧告するように話した。




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