転生勇者と転生魔王の未来目録   作:Aa_おにぎり

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#64

(ドーラ)の誕生日プレゼントに渡したスカジ。あの剣はまだアレで本気を出していない。

レオポルトの計画では、アレは二位一体で完成を迎える。

 

「また刀剣製作かよ」

「まあまあ、これで予定していた刀剣は最後だから」

 

そこで設計図に線を引いていると、それを覗き込んでいたジャクソンがやや怪訝に話しかけてきた。

 

「なんだ、またマチェテか?」

「まあな」

 

レオポルトは頷くと、そこで常に腰から下げているベリザーナに触れる。

 

「こいつが使いやすかったから、また似たようなのを違う材質で作ろうかなって」

「市販品の改造で十分じゃないのか?」

「まあそれでも良いんだけどな〜」 

 

また新しい魔導具を作ろうとしているレオポルトにジャクソンは聞いてくる。

 

「で、何をするんだ?」

「ふむ、どうしたら良いと思う?」

「俺に聞くなよ…」

 

授業前に二人は話し合っていると、そこで二人に話しかける声がする。

 

「お待たせ〜」

「おう、お疲れさん」

 

二人が話していたのはモルガン商工学園のショッピングモールのホームセンター。彼等はこの日、実験に必要な道具を取り揃えていた。

 

「とりあえずレポートに必要なのはこんな感じ?」

「そう…だな、こんな所だろうな」

 

そこでカートの中に仕舞われた魔導具の確認をしていく。

 

「取り敢えず使い捨て式の魔力波相殺板と感応石板ってとこかな?」

「そうだな。取り敢えず魔法を吸収できる即席の装置さえ準備できれば十分だ」

 

そこでジャクソンは得意の目でその商品の質を見ていく。

 

「うん、まあ問題ないんじゃないか?」

「よし、では実地訓練と行きますか」

「了解です」

 

アニが頷くと、彼等はレシートを受け取ってから学校に戻った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

数日後、隣同士の学園でもある連邦軍士官学校とモルガン商工学園から、それぞれの制服を纏った生徒が訪れる。

 

「やほやほ〜、レオ」

「おう、今日はよろしく頼むぜ」

 

士官服を纏うネルは手を振って挨拶をしてくると、他にも見知った面々が集まる。

 

「お久しぶりです。ジャクソンさん」

「おお、久しぶり」

 

そこでリュミドラはジャクソンに挨拶をすると、彼もまた頷いて答える。

 

「よっ、ヘンリー」

「久しぶり」

 

ヘンリーもやや遅れて到着をすると、彼の知り合いの数人も合流してくる。

 

「今日はよろしくお願いします」

「任されてよ」

 

高校二年生の必修科目に入っている古代魔法の実習。学園都市や合州国の高等学校では、現代魔法は日常生活で苦労しない程度に行われる。

全国民に適用される魔力量と魔導適性の検査、感染症のワクチンと同じレベルで全国民の摂取が必要不可欠であった。

そして現代魔法を日常レベルまで大半の国民が使用可能な能力まで引き上げらる教育は、他国でも真似されるほどであった。

 

「では諸君」

 

そこで集まった連邦軍士官学校・モルガン商工学園・エディソン魔法科学学院の生徒たちを前にレオポルトは手を軽く叩いて視線を集めさせた。

この学園都市を代表する三つの学校が集まったこの空間というのは、少々独特な和気藹々とした雰囲気があった。

 

「古代魔法の実習をこれより行う。講師は代打で俺が行わせてもらうが、異論はないか?」

 

彼はそこで集まった生徒たちに聞くと、全員が承諾した様子だった。

そもそもここに集まった面々は、全員がレオポルトの抜きん出た才能を頼って訪れていたのだ。学校の親友伝で知り得た縁であったが、彼の父親は古代魔法学会でも知られた人物であることは調べたらすぐに出てきた。

 

「よし、では実習を行おう」

 

古代魔法の授業を全て免除された彼はそう話すと、その手に持っていた古い本を見せる。

 

「これはいわゆる魔導書だ。古代魔法の記載は基本的にこういったモノにされている」

 

彼はそう話し、古代魔法の魔導書と聞いて全員が興味津々に見つめた。

 

「…と言っても、古代魔法はまず肌感覚で分からなければならない」

 

彼は前提としてそう話すと、直後に傍に用意していた75mm榴弾砲(M116)を見せる。その榴弾砲が一本の砲架が地面に深く杭を打ち込んでいた。

知り合いの多かった風紀委員の予備兵器倉庫で処分されかけていたモノを少し借りてきていた。

 

「まずはこいつを試射する。わざと魔法式の破綻を起こすから、その危険性を身をもって理解したまえ」

「え、大丈夫なの?」

「距離はある。まあ、俺たちの現代魔法でも自爆することがあるだろう?あれと似たようなものだ」

 

そこでやや訝しんで聞いてきたヘンリーにそう答えると、彼は尾栓を開いていた榴弾砲に砲弾を装填する。砲弾は真紫の帯が塗られており、それは魔法弾であると分かった。

そして補佐役のアニが砲弾を装填してレバーを押し込んで閉鎖機を閉じると、彼はその後にベリザーナを抜き取って魔法を展開する。

 

「え?詠唱してる?」

「いや…」

「古代魔法って詠唱が必須なんじゃあ…?」

 

無詠唱で魔法を展開するレオポルトに、見ていた生徒たちは驚く。現代魔法において無詠唱で魔法が発動できることは常識として知られているが、こと古代魔法においては詠唱を必要としているのではないかというのが彼らの知る常識であった。

 

「じゃあ、あれって現代魔法?」

「いや、ありゃあ違うぜ」

「ええ、あれは歴とした古代魔法ね」

 

古代魔法と偽っているのか?という疑問はすぐにジャクソンやヴァージニアが即答で否定した。

 

「多分、あの魔導具の影響だと思う」

「魔導具?」

「あのマチェテよ」

 

そこで見ていた生徒たちは、あっという間に展開を終えて発射準備を完了させたのを確認する。

 

「よし、これが失敗した際の例だ」

 

彼はそう話すと、榴弾砲の引き金を引いて発射した。

砲声と共に砲弾は飛翔をすると、その砲弾の弾道をジャクソン達は見つめた直後、的を吹き飛ばす爆発を見た。

 

「「「「「!?」」」」」

 

その爆発というのは、同量の爆薬の二倍はある威力だった。

 

「今のは古代魔法の魔導砲撃の一種だ。誘爆を起こしたのは砲弾に内蔵された感応石と粉塵魔石による影響だ」

 

その爆発を前にレオポルトは淡々と説明を行う。

 

「しかしこれは失敗だ。イメージで言うなら、水で満たされた風船に竹串を刺したようなもの」

 

彼はそう説明を行うと、次にまた閉鎖機を開けて新しく魔法弾を装填する。そして発射直前に薬室に向けて魔法を唱える。

軍でも砲兵が行う魔法弾の装填と方法でその砲撃を呆然と見ていると、その砲弾は空中に魔法式を展開しながら着弾し、その直後に爆発を起こしたが、その爆発は先ほどの爆発と違って緑白色の炎と共に爆発した。その威力は先ほどの有爆の倍。通常の榴弾と比較すれば四倍ほどの威力があった。

 

「…」

 

その爆発を前にネル達、士官学校の生徒達は思わず息を呑んだ。

 

「これが古代魔法というものだ」

 

その緑白色の炎を前に淡々とレオポルトは、前世の戦場で見た前装式の大砲の爆発が過ぎる。

 

「まあ、失敗しても成功しても、どちらにせよ取り扱いには注意しなければならない。一歩でも扱いを間違えたら、たちまち火だるまになる」

「…何度見ても慣れませんね」

「だろうな」

 

そこで虹の眼を持つアニはその爆発の直前に見た魔法陣を前にそんな感想を漏らすと、レオポルトは頷く。

 

「よぉし、まずは簡単な圧縮魔法からだ。予め教えられた方法でまずは打ってみろ」

 

広い実験場を借りて彼は指導を行うと、次に隣でアニがその眼を使って古代魔法を放つ生徒達を見ていく。

 

「…」

 

彼女は事前にカールから安全監督員としての指導を叩き込まれ、実習後にゼミで古代魔法に関する研究資料を読み漁った経験から構成される魔法式を見ていく。

 

「どうだ?」

「ええ、問題ありません」

「よっしゃ」

 

詠唱を完了させてから魔法を放つと、真っ直ぐ飛んだ光球は着弾して圧縮された空気が開放されて標的のベニヤ板が揺れた。

 

「ジニー、気をつけろ」

「うえっ!?」

 

その隣でヴァージニアは注意を受けた。

 

「詠唱を言い間違えている。もう一度組み直しだ」

「うげぇ…古語難しいよ〜」

 

彼女はそう零して古語(ラテン語)で詠唱を求められる古代魔法にため息を漏らす。

 

「ねえレオ、さっきみたいに無詠唱で小出し魔法撃てないの?」

「それはまず詠唱で緑白色に光る爆発魔法を打てるようになってから言え」

 

即答した彼にヴァージニアはつまらなさそうにすると、再度一から魔法式を備え始める。

 

「現代魔法でも詠唱は公用語(英語)を使うだろ?あれと同じで、脳内で魔法式を想像できるようにならなきゃ無詠唱で打てねえよ」

 

レオポルトは肩をすくめて言ったとき、魔法を放ったネルが驚いた様子で聞いてきた。

 

「え?じゃあ現代魔法も古代魔法もさして変わらないんじゃあ…」

「まあ基本的にはな。ただ古代魔法の方が扱いがデリケートなんだよ」

「でしょうね。まあ今の見てたら分かるけど…」

 

ヘンリーは大きく首肯して古代魔法を放った。

 

「基本的に現代魔法は二倍、古代魔法が二乗倍で威力が増える計算だからな。上手いじゃないかヘンリー」

「レオに褒められるとはね…」

 

そこで少し嬉しそうにする彼は、軽く頭をさすった。

そして次々と生徒達が古代魔法を順々に放っていくのを見てレオポルトは満足げに頷く。

 

「よし、うまくいったら次に掌で発火魔法を使ってみろ」

 

そう言いながら持っていた魔導書の一ページを見せる。そのページには古代魔法の詠唱と展開方法、魔法陣などが載っていた。

 

「え?大丈夫なの?」

「圧縮魔法を打てるなら問題ないさ。火傷しても俺が直してやるよ」

 

彼はそう答えると、次に古代魔法を発動させる上で安全上の観点で必要となる自分の血で描いた魔法陣のついた山羊の革手袋をはめる。

 

「よし、全員唱えてみろ」

 

そこでレオポルトは指示をすると、一斉に全員が祝詞を読んでいった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

そしてこの実習はあっという間に過ぎてしまい、放課後になった。

 

「今日はありがとう」

 

陽が傾いた実験場でネルは必要な単位を稼ぎ終えて安堵した様子でレオポルトに頭を下げた。

 

「いいさ、また困ったら聞いてくれ」

「うん。そうするよ」

 

そこでヘンリーは頷くと、他の生徒達も今日学んだ古代魔法の練習を各自で行っていた。

基本的に古代魔法のテストは今年から実習メインであるので、練習をしけ経験を積まなければならなかったのだ。

 

「またね〜」

「今度、ご飯奢らせて」

「おう、楽しみにしてるわ」

 

レオポルトはそこで幼馴染達を見ると、いつも通りに頷いていた。




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