転生勇者と転生魔王の未来目録   作:Aa_おにぎり

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#7

翌朝、目を覚ましたレオポルトは授業に必要な教材を揃えて学校に行く準備をする。自作パソコンは未完成品なので持って行くわけにはいかない。

 

市販品のタブレットとノート、筆記具を鞄の中に入れる。教材は全てダウンロード済みで今日からいきなり授業でも行ける。

高等科一年生はまず基礎教育から始まる。ベストを着てホルスターを装着してMP9を入れ、そして上からあの白衣を羽織って家を出る。

 

寮というよりはマンションといった方が良いかもしれない。外に出ると同じ見た目の建物が立ち並び、ふと眺めると反対側から同じ制服を着た同じ学校の生徒が出ていた。下ではランニングをする人の姿もあり、自由な生活がそこにはあった。

 

「早めに行った方がよさそうだな」

 

初日の授業で遅刻なんてしたくないのでレオポルトは少し早めに寮を出る。学生証が寮のカードキーにもなっているので、鍵を忘れる心配がないのも良い。

 

寮を出て、モノレール駅行きのバスを待つ。AR型端末を起動し、視線の先に映るニュースや動画を見たままバスに乗り込む。朝早い影響か人はまばらで、席に座れた。

 

『本日のニュースです』

 

そんな中、レオポルトは朝のニュース番組を見ていた。

 

『昨日行われました連邦政府議会において、魔薬取締法改正案は可決されました。なお、この改正案は魔薬規制が更に強まることから、一部有識者からは社会不安を煽る形になるのではないかという指摘もありーー』

 

いつもの朝のニュース。遠く離れたこの地では放送局も変わるためにアナウンサーも違う。そして学園都市の天気やらを閲覧しながらバスはモノレール駅に停車する。

 

『学生寮北駅前〜、学生寮北駅前〜。終点です。お忘れ物のないよう……』

 

そしてバスを降り、そのままモノレールの駅に向かう。学園都市内であれば学生証さえ持っておけば買い物も、家の鍵も、全てこの一枚で終わるのだから便利な事だ。

それに、このチップに刻まれた刻印魔法のお陰で学生は常に大気中の魔力を利用して防御魔法と治癒魔法を発動できる状態にある。

 

「(技術は進むものだな)」

 

少なくとも前世では考えられないような技術進歩だ。そして生徒は銃器を持って武装しており、乗っている生徒も拳銃などで武装していた。

 

この学園都市の特に御三家と呼ばれる学校にはそれぞれ国家機密となる新技術も誕生する事がある。そして、その他にも機密となっている技術や情報を抱えており、それらを狙う諸外国や、国内の反対勢力は時折街中でテロ攻撃を仕掛けることがあった。

その為、学園都市内部では自分の身の安全を守るために何かしらの銃器を持つ事が習慣となっていた。かくいう自分もMP9ーNを常に持ち歩くようにしていた。学生は学生証のおかげで多少の怪我をしても回復ができるが、侵入してくる敵はミンチになる事もあるとか。

 

そして、魔学院において機密情報の管理や外敵を排除する為に組織されるのが風紀委員会。警察や軍隊の警護はあるものの、大体そういう警備網は突破されるくらい相手も重装備でくるので、そういった外敵から機密を守る為、学園側が持つ自衛の為の組織である。

 

「おはよう御座います。レオさん」

「あぁ、おはよう」

 

教室にアニが入って来て言う。レオポルトも答える。今日はオリエンテーションという事で学内の施設を見回ったりする時間だ。AR型端末を付け、手には自作の電子グローブを付けて机に映し出されるキーボードを叩いていた。

 

「何をされているんです?」

「昨日送られて来た書類の整理」

「あぁ、教材と合わせてすごい量が来ましたね。私も整理が大変で……」

 

横に座ったアニはそう語り、レオポルトも同感していた。基本的に書類データは学内の学生アプリにて送られてくるのだが、その書類の処理には苦労させられていた。

 

「今日はオリエンテーションという事ですが、一緒に回りませんか?」

「…良いのか?」

「はい、どうせ私はあの時ジニーと会っていなかったらぼっちだったでしょうし」

「じゃあ、ジャック達と回るか」

「はい」

 

そんな訳で書類の整理を終えた二人は教室を出ると、そのまま隣の教室にいるジャック達と合流した。

 

 

 

 

 

「それで何処に行く?」

「研究所って言っても数多いしな」

「一部は立ち入り禁止の場所もありますしね」

「無難に工場にでも行くか?」

 

地図を映しながらそう話す四人。魔学院には実に多くの研究機関があり、魔法系から医療系に至るまで幅広く研究を行っていた。そして巨大なキャンパスには小規模ながらも工場があった。本格的な工場は分校にしか存在せず、部品などの注文を請け負っていた。

 

「良いですね。工場」

「よし、じゃあまずは工場に行こう!!」

「どんな物があんだろうな」

 

そして四人の行き先は工場になるのであった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

工場を見学し終え、食堂に来た四人はそこで昼食を取っていた。

 

「ここの学食。結構いけますね」

「学食が不味いって……何その地獄?」

「良いじゃねえか。美味いことに変わりはない」

「アンタは胃袋に入ったらみんな同じでしょうに」

 

学内の食堂に入り、レオポルト達はそう話す。先ほど見て来た工場は小さくとも立派な物で一級品の工作機械などが置かれていた。

 

「高い工具ばかりがあって羨ましかったな……」

「流石は国立。お金持ってんねぇ」

「あの機械ってそんなにするのか?」

 

ジャックの問いにアニが答えた。

 

「そうですね。刻印作業を行う為に必要な器具ですが、振動の調整が出来るので細かい作業ができます。特にライドリッツ社製のレベル5の機械ですので……」

 

俗にいう機械フェチを持つ彼女は異様なまでの機械知識を持っており、レオポルトも舌を巻いてしまった。

 

「凄いわね。私、そこまで詳しくないからよく分かんないや」

「ジニーさんはどんな分野が得意なんですか?」

「私はどっちかって言うと金物。鋳物の方が得意よ。実家が鋳物屋をしててね……だから実技はまあまあだけどペーパーテストがね……」

 

苦笑気味に答えると、レオポルトはジャクソンを見た。

 

「ジャックは?」

「俺は機械工学……つっても俺結構ギリギリで入学しからな。実技もテストもギリギリだぞ」

「うっわ、ど底辺じゃん」

「五月蝿え!入れたんだから良いだろう?」

 

そう言い、ヴァージニアとジャクソンがまた言い争いを仕掛けた所。

 

「良い加減にしろ、食堂だぞ?痴話喧嘩は外でしてくれ」

「「痴話喧嘩言うな!!」」

 

二人は顔を揃えて答えると、アニは少し笑っていた。

 

「レオさん。随分と手慣れていますね」

「まぁ、似たような奴を見て来たからな」

 

主にあの幼馴染であるが……

 

「似たような人?」

「あぁ、友人にな。今は士官学校と商工園に通っている」

「えぇ!?士官学校に行った友人がいるんだ。羨ましいなぁ……」

 

そう言うと、ヴァージニアは元々は士官学校志望だったことを明かした。

 

「元々は士官学校に行きたかったんだけどね。親に反対されちゃってさ〜」

「まぁ、気持ちは分からんでもない」

「あっ、本当?」

「何となくな」

 

レオポルトは短く答えると注文したルートビアを飲む。

 

「しっかし、商工園に行った奴もいるんだ。優秀なんだな」

「そうだな。俺たちの間だと一番しっかりしていたしな……と言うかめっちゃ厳しい……言葉使いとかマナーとか……」

 

何処か遠い目をしていたレオポルトに少しだけ何かを察する三人であった。

 

四人が世間話をしていると、食堂の入り口付近からざわつき出しており。何事かと目線を向けると、そこではある一人の生徒に対して一つの集団が出来上がっていた。

その人物を見てヴァージニアが嫌そうに呟く。

 

「げっ、主席様だ」

「ジニーさん。そんな顔しない」

 

制服の胸ポケットの部分に主席である証の電球があしらわれたバッジを付け、堂々と歩く一人の学生。今年の総代であるロバート・E・スコットだ。魔学院など御三家において主席と言うのはいわゆる飛び級で大学に行ける頭脳を持っているが、大学に落ちた人の事を指す。つまり、魔学院でも飛び級ができる頭脳があると言うことだ。そして大学に入る為には何かしらの論文を携えて入学する必要がある。

 

つまり、主席は大学に入る為の論文を持っている訳で、その論文は連名でも問題ない為。大学に入りたい連中は主席に媚を売って論文の名前欄に自分の名前を残してもらおうとする訳だ。

 

「おまけに、今年の首席様はお金持ちだしね」

「そうなのか?」

 

ジャクソンの疑問にアニが頷いた。

 

「ええ、ロバート・E・スコットのお父さんはアライアント・フック社のCEOを務めています」

「アライアント・フックって有名な複合企業じゃねえか。そいつはすげぇ……」

「そんな良い所の息子だ。そりゃ、誰もが胡麻をする訳だ」

 

遠くで眺めていると、ふと近くの同級生に言われる。

 

「すまないが君たち。そこの席を譲ってくれないか?」

 

周りを見ても、空いている席はある。それ何になぜ……

 

「周りは空いているけど。何で?」

「スコット様が近くに座られるからだ」

「何よその理由!!」

 

ヴァージニアは言ってきた男子生徒に喰って掛かった。ジャクソンやアニも良い顔をしておらず。そんな自分勝手な意見を承諾できるはずがなかった。

 

「何であんた達の意見を聞かなきゃならないのよ!先に座ったのはあたしらなのよ!!」

「何を言うか。クラス分けで一組にも入れなかった者が」

「何ですって?!」

 

すると、その男子生徒は嘲笑う様に言う。

 

「知らないのであれば教えてやろう。新入生の成績上位者は一組に入ることが許されるんだ」

「それがどうしたって言うのよ」

「一組の生徒は教師の質や学校生活において優遇される立場にある。成績優秀者のみが入れるクラブにも入る事ができる」

 

そう言い、明らかに機嫌が悪くなり。これ以上は不味いかもしれないと思い、レオポルトは席を立った。

 

「行くぞ」

「え?あ、ちょっと!!」

 

ヴァージニアの根っこを掴んでレオポルトは食堂を出ていく。するとジャクソンやアニもその後を追いかけて言った。そして去り際にレオポルトは言い残す。

 

「私はあなた方ほど()()()()()できませんので。……ではこれにて」

「「っ!?」」

 

そうして不満たらたらのジニーを引っ張ってレオポルト達は出て行った。

 

 

 

 

 

 




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