転生勇者と転生魔王の未来目録   作:Aa_おにぎり

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こと前世において、戦争というのは日常であり生活だった。

遠征軍の組成の度に国王陛下より出陣の命を受け、軍を率いて戦地に向かう。その繰り返しであった。

自分が指揮官に就いてから行った軍制改革によって分かりやすくなった軍構造のおかげで、財務官から喜ばれたのを覚えている。逆に旧弊であった軍人は…特に補給物資の管理を担当していた軍務官からは疎まれていたが、直後に彼は物資横領の罪でギロチンにかけられていた。

 

基本的に連合王国はエルフ族指導の元、優れた農業技術を有していたことで人間族の人海戦術を用いたことで食糧生産能力は他国を抜かしていた。

種族の寿命と引き換えに繁殖力に乏しいエルフ族は、それ故に大勢の人が死ぬ戦争を忌み嫌っていた。

それが次第に経典となり、エルフ族は戦争を嫌う種族として森に引きこもるようになったと言われている。今でもエルフ族が指導者の国は国土の大半が森林地帯であり、製紙産業や林業が盛んに行われていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その日、喧騒と緊張がその場所に広がっていた。

 

『あーあー、Attention please』

 

そこで拡声器を使ってやややる気なさげに声を出すレオポルト。

 

『こちら、風紀委員会第一混成大隊』

 

現在、彼は復帰した風紀委員会の一委員として指揮車(ハンヴィー)の上に立って呼びかけを行っていた。

 

『魔物研究所、第三研究室に警告する。諸君等は申請されていないコカトリスの飼育を行なっている容疑が掛けられている』

 

そこで風紀委員会本部から令状を発行され、出動を命じられた部隊を率いて彼はその施設を囲んでいた。

 

『よってこの呼びかけに応じない場合、風紀委員会による強制執行を開始する』

 

探照灯が照射され、周囲に風紀委員会の制服と装備品を備えた生徒達が展開する。

 

『繰り返す。この警告の後、強制執行を行う』

 

全員が毒消しの薬剤を装備し、コカトリスの石化毒対策を行っている中、レオポルトはその施設を見上げる。

 

『おーい、聞いてんのか?』

 

令状と定型文を読み終えた後に面倒くさくなった様子で彼は言う。

 

『命令聞かなかったら施設ぶっ壊して中入る。そうなったら魔物がどうなっても知らんぞ』

「え、マジ?」

 

その言葉に驚いて彼を見たのは、隣に立っていたジノヴィだ。彼もレオポルトと共に出ろと言われて隣で状況を俯瞰していた。

 

「モーリス先輩に事後承認だ。向こうが聞かなかったって言う理由でコカトリスを先に抑えちまった方が安全だろ」

「ええ…それ許されるの?」

「俺を呼び出した方が悪いんだよ」

「どんな横暴だよ!!」

 

二人はハンヴィーの屋根の上でそう言い合っていると、研究所に派遣した風紀委員が慌てた様子で飛び出して来た。

 

「おい、どうした!」

 

ジノヴィが飛び出して来た生徒に聞くと、彼等は言う。

 

「アイツら、点で聞く耳を持ちません!」

「駄目です!完全に施設内で籠城しやがった!」

 

令状を持って穏便な解決策を望んでいたが、生徒達は『自分達の育てた家禽を奪うな!』と叫んで籠城を宣言していた。

 

「ちっ、馬鹿どもが…」

「よーし、戦車隊。前に出ろ!」

 

ジノヴィが毒吐く隣でレオポルトがインカムを使って嬉々として指示を出すと、展開していたM60A3が前進する。

一部の軍隊では未だに一線級の装備品であるこの車両だが、この魔学院では風紀委員会がキメラ対策や魔物対策、暴徒鎮圧用に今年新たに新装備した車両であった。

 

『いよいよか?』

「ああ、入口ごとド派手に吹っ飛ばしてやれ」

『はいよ、思い切りやってやるぜ』

 

そこでクラッチを操作して空冷V12エンジンの轟音が横を通過していく。

 

「よーし!戦車の後続で部隊は隠れろ。これより施設全体に攻勢をかける」

 

レオポルトはインカムで指示を送ると、展開していた風紀委員は集団で先頭に防弾盾を握ったポイントマンが移動を始める。するとジノヴィが話しかけてくる。

 

「中にはコカトリス以外に魔物がいる。逃げ出したら面倒だぞ」

「魔物研究所から苦情が来るか?」

「当たり前だ。既にコカトリス以外の魔物の殺処分はするなと言われているんだぞ?」

 

彼はそう言い、今回の作戦要項に記された避けるべき事案として記されていた魔物の可能な限りの殺処分の回避の事項を思い出す。

 

「ああ、そんなものもあったかな?」

 

そこでM3も移動させる彼は、本格的に建物全体を破壊する勢いの兵力を本部から与えられていた。

出戻りであるはずの彼が、いきなりこれほどの部隊を任された前線に出されるのだから、いかに期待されているかがわかる。

 

「おいおい、あまり暴れるなよ?」

「そいつは立て籠もった奴らに言ってくれ」

 

事態の悪化を抑えたいジノヴィと、とっとと仕事を終わらせたいレオポルト。しかし部隊指揮はレオポルトに委任されており、ジノヴィの出る幕はない。

 

「よーし、全部隊。突入用意!」

 

彼自身も短機関銃を握ってインカムで指示を送ると、展開した戦車隊が砲口を施設の入り口に向ける。

 

『こちらジャスティス1。砲撃準備完了』

『ジャスティス2、同じく』

『ジャスティス3、準備完了』

『ジャスティス4、いつでも』

 

そこで展開していた一個戦車隊から連絡を受けてレオポルトは頷くと、インカムで叫んだ。

 

「総員、テストゥドを編成。小隊規模で部隊を編成した後、戦車を先頭に突入を開始せよ」

『了解しました』

 

部隊長から返答を受け取ると、彼は次々と指示を出していく。

 

「展開したM3は突入した戦車部隊の援護。魔物研究所に立て篭もったバカどもの魔物の攻撃を防げ」

『了解』

 

そこでM3騎兵戦闘車が戦車とテストゥドを組成した部隊の両脇を挟む形で展開し終えると、部隊の配置を見てからレオポルトは一息。

 

「ふぅ…」

 

そして指示を出す。

 

「作戦開始。やれ」

『目標!施設正面扉!』

『撃て!』

 

直後に戦車の主砲である105mm砲の砲撃が轟く。

魔物研究所は施設内で許可を受けて飼育されていた魔物の攻撃にも耐えられるように振動装甲を備えた複合装甲を備えた隔壁が脱走防止に展開されており、それ故に魔物研究所がなにか校則違反を行った際にはこの頑丈な施設を縦に立て篭もると言う行動を行っていた。

 

「突入せよ!」

『『『『うぉぉぉおおおーーーっ!!』』』』

 

雄叫びをあげてひしゃげた扉に向かって前進を行う戦車。砲撃でへし曲がった扉を戦車が抑えつけると、今まで堪えていた蝶番は悲鳴を上げて引きちぎれて扉が強制的に開かれる。

 

以前は、このような事案に対して面倒な書類手続きをさせなければ突入が許されなかったのだが、レオポルトの場合は面倒だからと全て事後承認という形でとっとと突入させて作戦を完了させるため、風紀委員から絶大な感謝と信頼を寄せられていた。

 

「風紀委員が来たぞ!」

「迎撃!アイツらに魔物が屠殺されるぞ!」

「くそ、コカトリスを奪われてたまるか!!」

 

戦車を前進させると、施設内から突破された魔物研究所の生徒達が怒鳴りあって突入を行って来た風紀委員会の部隊に迎撃体制を整える。

 

「前進!立て籠もったバカどもを施設外に追い出せ!」

 

そこで全周に盾を装備した風紀委員達が戦車と合わせて前進を始めると、戦車を先頭に脇を騎兵戦闘車が25mm機関砲の砲撃を始め、施設内で展開していた生徒達か向けて発砲を始める。

 

「おいおい、これじゃあ同級生達死なねえのか?」

「問題ないさ、学生証を手放さない馬鹿はいねえだろ?」

「ははっ、違いねぇ」

 

砲撃で盾が破壊されて逃げ出す生徒達を見ながら風紀委員の上級生達は笑っていた。しかし真横で砲撃が行われているので、新任の一年生達は唖然となって見ていた。

 

「だ、大丈夫なんですか?」

「ああ、これでも最初の扉を吹き飛ばす以外は低致死性弾の攻撃だからな」

 

そこで自分達も持っていた短機関銃や拳銃を放ちながら撃たれて悶絶する生徒達を見る。

 

「死にはしない」

「ただ骨折くらいはするかもな」

 

そんな軽口を言いながら彼等は檻に入れられていた魔物達の防御を行う彼等。

 

「でも今回の指揮官のレオポルトって人、出戻りなのにどうしていきなり先輩方を率いているんですか?」

 

そこで盾を持って迎撃を行っていた一年生が疑問に思うと、三年生が答える。

 

「そんなの簡単さ」

 

すると無線で連絡が入る。

 

『来るぞ!総員対ショック姿勢!』

「よーし、大砲屋の攻撃だ!構えろ!」

 

三年生の小隊長は叫ぶと、全員が密集陣形を組んで障壁魔法を展開する。

 

「うおっ!?」

 

その直後、間髪入れずに彼等の頭上を魔法の一線が飛び込んだ直後に起爆。衝撃波が侵入を行った風紀委員の部隊を襲った。

 

「「「「ぎゃぁぁぁあああっ!!」」」」

 

衝撃波だけ魔法による攻撃を受けた魔物研究所は用意していたバリケードごと吹き飛ばされてその残骸が転がって来た。

 

「ふはははっ!」

「相変わらず凄え上手いな」

 

その砲撃を前に仕事が終わったと言うような安堵したような顔をしていると、一年生は魔法が飛んできた方角を振り返った。

 

「命中!敵特火点崩壊!」

「一気に前進させろ!対象を捕らえたら、保健所に引き渡せよ」

「了解。総員前進!」

 

ジノヴィが無線で指示を出すと、一気に戦車が前進して残骸を乗り越えていく。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

翌日、教室でレオポルトは呆れられていた。

 

「よーやるわ、こんな事」

 

ヴァージニアはそう言い、今日発行された学校新聞を見せてくる。

その新聞には『風紀委員会大活躍!喧騒が魔物研究所に響く!』と言う見出しで昨晩の風紀委員会の対応が記されていた。無論、部隊を指揮したレオポルトの事も記されていた。

 

「よくこんな事できるな。どうやって手を回したんだ?」

 

ジャクソンが聞いてくると、レオポルトは答える。

 

「別に何もしていないぞ?」

「え?」

「ドユコト?」

 

その返答に困惑するアニとヴァージニア。だがレオポルトは当たり前のように言い放つ。

 

「別に許可なんて取らなければいい。言われた任務さえ達成できりゃな」

「え、でもそれ怒られるんじゃあ…」

「何度もやってたら諦められる」

「「「ええ…」」」

 

彼はそう言った時、聞いていた面々は苦笑気味にレオポルトの横暴さに反応していた。




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