モテない男、勘違い系主人公になりたい 作:お試しで
諸君、勘違い系主人公というものを知っているだろうか?
そう、恋愛であればハーレムを築いておきながら自分はモテないと思っていたり、バトルものであれば自分は強くないと思ってて目立つアレだ。
女子を赤面させれば、「熱でもあるの?」、「なんか言った?」。馬鹿みたいな威力の技を出せば、「え、なんかやっちゃったかな?」。
…ふふ、聞いてみるとバカみたいなやつらだろ?
正直、俺はこういうキャラが大嫌いだ。
非モテ日本代表の俺に喧嘩を売っているのだろうか?
最強キャラになったからって、社交性は別という言葉を知らないのだろうか?
前者については、耳鼻科を検討すべきだし、後者に至っては強いからってモテるのは小学生までだと伝えたい。
ここまで、同意してくれた人もいるだろう。
ここまで、いや、このキャラは違う!と感じた人もいるだろう。
だが!俺は大嫌いだ!
さて、諸君。
そんな、俺だがある夢があるんだ。
バカな夢だと笑ってくれて構わない。
無理に決まっているだろうと呆れてくれて構わない。
だが!俺はなりたい!
『勘違い系主人公』に!
◇◇◇
すまない、少々興奮してしまった。
なぜ、俺が成りたいかについて説明する前に、「え、お前大嫌いって言ってたやん」というツッコミに答えていきたい。
それは、現在俺の目の前で起きていることについて伝えると分かりやすいかもしれない。
俺の目の前では、女子高生に向かって、サッカーボールが勢い良く飛んでいくトラブルが起こっていた。
周囲のやつらは間に合わず、その子に声をかけている。
「危ない!」
その子が気付いたときには、すぐ目の前へと迫ってきており、避けることは難しそうだ。
「キャッ…!」
だが、何故か間に合う男がいた。
さっきまでその場にはいなかったのにも関わらずだ。
「ふぅ…大丈夫だったか?」
「え、えぇ」
「それは良かった…ん?アンタ、顔赤くないか?熱でもあるのか?」
「だ、大丈夫よ!それより、そこのメガネの人を待たせてるんじゃない?」
「ああ、そんじゃ、気をつけてな!」
男が待っている相手のもとへ颯爽と戻ろうとしたとき、女子生徒が思わずとばかりに呟いた言葉があった。
「…かっこいい」
普通であれば、耳がよほど悪くない限り、聞き取れるレベルの声量だ。
なんなら、男子生徒よりも遠くにいる俺まで届いている。
「ん?なんか言ったか?」
「な、なんでもないわ!」
お分かり頂けただろうか?
コレが勘違い系主人公である。
さて、今の一連の流れ、どう思った?
助けるなんてイケメンだ!か?
テンプレ通りやんけ!か?
まあ、色々と思うところはあるだろう。
そんな諸君に重大なお知らせだ。
俺は、毎日毎時この光景を目にしている。
何故かって?何故なら…
「悪い、待たせたな」
「いや、問題ねぇよ」
何故なら、俺はこの男の幼馴染だから。
つまり、こんな勘違い系主人公の幼馴染をしている俺は、諸君より更に色々と思うところがあるワケだ。
要するに、勘違い系主人公が大嫌いになった。
次に、勘違い主人公に成りたいワケだが…
あ〜、俺もモテてぇ…
これに尽きる。
当たり前だ。こんなモノを常に見せられて、なりたくないワケがない。
更に言えば、俺は好きな人ができても、コイツのせいで失恋率100%待ったなしだ。
なんなら、既に何度も失恋している。
告れば、「ごめんなさい、あなたの幼馴染が好きなの」的な内容でフラれる。
フラれるだけならまだいい。1番キツかったのは、「あなたの幼馴染、アピールしても全然ダメなんだけど、どうすればいいと思う?」と好きな人に聞かれることだ。
一度、限界で幼馴染にアイツはお前のことが好きだってさと伝えたときがあった。
「お前、結構モテるよな。笹原、お前のことが好きって言ってたぞ」
「ああ、俺も笹原もみんなも大好きだぞ!」
一度、告らせようと女子をけしかけたことがあった。
「付き合ってください!」
「うん、いいよ。どこに?」
一度、etc…
いいかげん、コイツ殺そうかと思った。
だが、殺意と友愛と妬みに挟まれた俺は、つい先日悟ったのである。
俺が勘違い系主人公になればいい…!と
コレはそんな俺が勘違い系主人公になるまでのストーリーだ。
続かないかも