IS/UC -インフィニット・ストラトス/ユニコーン-   作:諸葛ナイト

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一角獣vs青い雫 Ⅱ

 セシリアが駆るブルー・ティアーズが後退しつつライフルとビットを駆使して攻撃を行う。

 それを翼が駆るユニコーンはシールドとビームブレードで弾き、回避しながらじわじわと距離を詰めていた。

 

「はぁぁ、すごいですねぇ。岸原くん。

 いきなりハンデなんて言い出した時にはどうなることかと思いましたけど、あれほどの実力と機体性能があるのなら言ってしまえますね」

 

 ピットでリアルタイムモニターを見ていた真耶がため息混じりに呟く。

 だが、千冬は対照的に忌々しげな顔をしていた。

 

(あのISは……まさか)

 

 ユニコーン。

 翼がIS学園に入学する際に搭乗機体として申請された際に情報として見てはいた。

 だが一部情報は秘匿権限が使用されており、全ての情報が記されてはいなかった。

 

(もし、そうだとすれば……あの2人が?

 いや違うな。むしろ乗せるはずがない。

 だとすれば、あの機体そのものの意思か)

 

「織斑先生? 大丈夫ですか?」

 

 思考の海に沈んでいた千冬の意識を引き戻す真耶の声が響いた。

 

「いえ、大丈夫です」

 

(今はまだ、様子を見るべきか)

 

 千冬の視線の元、翼とセシリアとの戦闘は続く。

 

◇◇◇

 

 セシリアはライフルと3つのビットそれぞれからレーザーを走らせる。

 対する翼は1本はロール回避、2本をシールドで防いで残りの1本をビームブレードで弾くとブースターを吹かせてセシリアの間合に入った。

 

「貰ったぞ! セシリア・オルコット!!」

 

 この距離ならばライフルよりも早くブレードが振るわれ、この距離ならばビットが動くよりも早く彼女を切れる。

 ブルー・ティアーズの近接戦闘能力は不明だが、確実に一撃、いや二擊は入る。

 

(距離はもう離さない。このまま押し切って──)

 

 はずだった––––

 

「かかりましたわね」

 

 にやり、とセシリアが笑った。

 

「ッ!?」

 

 翼は本能的に急減速、そのまま大きく後方に下がりつつビームブーメランを投擲、シールドを構える。

 投げられたブーメランはライフルで容易に落とされ、それに続けてセシリアの腰部から広がるスカートアーマー、その突起が外れて可動するとその砲門を向けた。

 

「おあいにく様、ブルー・ティアーズは6機ありましてよ!」

 

 その言葉と同時に放たれたそれはさっきまでのレーザー射撃を行うビットではなかった。

 

(––––ミサイル型!?)

 

 ABフィールドでは防げない実弾ビット。

 放たれた2つのそれはシールドをかわすように左右に分かれて翼へと向かう。

 次の瞬間、翼は白い爆発の光に包まれてシールドが落下した。

 

◇◇◇

 

 アリーナのピットにあるモニターにはユニコーンを飲み込んだ爆煙が表示されていた。

 

「あっ」

 

「翼ッ!」

 

 一夏と箒は固唾を飲んでモニターを見つめる。

 千冬と真耶も管制室からモニターをじっと見つめていた。

 

「ッ!! あれ、は……?」

 

 真耶の声には驚愕よりも疑問の色が強く現れていた。

 不意打ちだったミサイルビットをどう処理したのかは理解できる。

 しかし、自分の中にある知識の中にあるものと今現れている現象とがなに1つ一致しない。

 

(やはりか……)

 

 残っていた煙がその中に包まれていたそれによって一息に吹き飛んだ。

 そして、その中央には2つのビットを処理した1機のISがいた。

 

 その姿を変えて──

 

◇◇◇

 

S(シンクロ)システム開放。

 全シーケンス稼働率25%、システム稼働時間180秒』

 

 表示されたシステムウィンドウを確認した翼は息を吐いて両腕に展開していたビームトンファーの刃を解除、収納した。

 

「姿が、変わった?

 ま、まさか、第2次移行(セカンドシフト)!? こんな都合の良いタイミングで!?」

 

 セシリアの驚愕の表情と言葉を翼は首を横に振る。

 

「いいや、これはユニコーンのシステムだ」

 

 爆煙を吹き飛ばして現れたユニコーンはその姿を大きく変えていた。

 

 特徴的だった真っ白な装甲は一部スライド、開閉して赤く光る装甲がその間から覗かせいた。

 頭部のマスクも違うデザインのものへと変わり、長い一本角はV字に開いている。

 一見バイザーのように見えていた2つのセンサーアイは目のようにはっきり見えるものとなり、それらが強く光を放った。

 

「にしても今のは危なかった」

 

 ミサイル型ビットの攻撃は両腕のビームサーベルラックを兼ねたビームトンファーで文字通り切り抜けた。

 Sシステムの使用とシールドパージの判断があと少し遅ければかなりの窮地に陥っていただろう。

 

 翼は右スカートアーマーにあるビームブーメランを左手に、バックパックに現れたビームサーベルを右手に装備、ビーム刃を展開させた。

 

「ああもう、面倒ですわ!」

 

 弾頭を再送装填したビットが2機、セシリアの命令で翼に向かって飛んだ。

 

 対する翼は1機はビームブーメランを投擲することで落とし、もう1機はセシリアとの距離を詰める最中に切り裂く。

 そして2つから4つに増えた背部ブースターと一対の足のブースターに火を入れると赤く光る装甲の残光の線を引きつつ加速した。

 

「くっ!?」

 

 セシリアはビットを操作して動きを止めようとする。

 配置としてはユニコーンを迎え撃つように1機、上に1機、背後に1機だ。

 しかし、翼の判断はビットの攻撃よりも早い。

 

「そこだッ!」

 

 戻ってきたビームブーメランを掴むことなくオーバーヘッドキックで後ろにいたビットへと蹴り飛ばし、そのついでに上に展開していたビットヘビームサーベルを投擲。

 それぞれの攻撃は見事に命中、2機のビットは爆散した。

 

 残りの1機は体勢を立て直して加速。通り抜け様にバックパックから左手で取り出した流れで切り裂き、セシリアへの距離をさらに縮める。

 

「ッ!? まだ!!」

 

 セシリアが放ったライフルは翼の左手に命中、持っていたビームサーベルを落とさせた。

 

「この状況でここまで正確な狙撃が!?」

 

 セシリアの狙撃の腕に舌を巻いたが、そこで翼は、ユニコーンは止まらない。

 

 ビームブーメランは2機とも手元にない。バックパックのビームサーベルもない。

 だが、まだ両腕にビームトンファーがある。

 

 翼は迷うことなくそれを展開、ビーム刃を伸ばした。

 セシリアはすでに間合いに入っている。

 

「今度こそ、貰ったぞ! セシリア・オルコット!!」

 

 まずは右腕。振り払うように腕が振るわれ、そこについてるビームトンファーから伸びるビーム刃がセシリアを切る。

 

「くッ! まだ勝負は!」

 

 翼は続けて左腕を振ろうとしたがそれから逃れるようにセシリアが後方に下がりつつライフルの砲門を向けた。

 だがそのライフルがレーザーを放つことはない。

 空いたわずかな距離をすぐさま埋め、ユニコーンの左腕にあるビームトンファーがライフルを貫いたからだ。

 

 ライフルが爆発。

 セシリアはそれの寸前に手を離したが爆風に吹き飛ばされ、わずかに体勢を崩した。

 

(な、なんですの……!?)

 

 シールドエネルギーは残りわずか。次に振るわれる攻撃に当たればこの勝負は終わる。

 セシリア・オルコットの敗北という形で。

 

 認めたくない。諦めたくもない。

 代表候補生である自分が、同じISを使えるだけの男に負けることなど考えられない。

 ありえない。

 

(なんなんですの!!?)

 

 セシリアはもはやヤケになり叫ぶ。

 

「インターセプター!!」

 

 そこに優雅さはない。気品もない。

 ただ目の前に迫っている敗北を切るために、まだ勝つために彼女は扱い慣れないショートブレードを具現化させていた。

 

 しかしそれが振るわれるよりも早く、翼の両腕を高く掲げられる。

 そこにあるビームトンファーの出力は上げられ、そのビーム刃を通常の2倍近い長さにさせたそれがクロス字を作るように振り下ろされた。

 

 振るわれたそれはセシリアに直撃、その瞬間アリーナにブザーが鳴り響く。

 

『試合終了。勝者、岸原翼』

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