IS/UC -インフィニット・ストラトス/ユニコーン-   作:諸葛ナイト

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結果の今

 日本のどこかにある岸原博士夫妻の研究室。

 そこにいた2人はウィンドウに表示されているユニコーンの戦闘ログと映像を見ていた。

 

「発光色は赤。S(シンクロ)システムは低稼働だけど動いてはいるみたいね」

 

「余剰エネルギーの排出は正常に機能している。訓練してた時と同じか……」

 

 Sシステムの課題が残っているが、現状ユニコーンは正常に動いていると考えていい。

 ISコアを初期化しても、コアを分けて別々のISにしても“あの一件以来”楓と咲夜では起動すらできなかったコアを使った機体が翼を搭乗者として動いている。

 

(やはり、選んだ。ということか……彼女が)

 

 鳥也の表情は無意識のうちに画面に映るユニコーンを睨みつけていた。

 それに気がついた楓が声をかける。

 

「鳥也さん。そう睨んだところでどうにかなるものではないわ」

 

「ッ!? あ、ああ……そうだな。これは私の、選択の結果でもある」

 

 そう答えたのと同時、鳥也の電話が鳴った。

 この番号をしている者は少ない。現に着信者にはよく知っている名前が表示されていた。

 鳥也は迷うことなくその電話の着信を取る。

 

「やぁ、千冬ちゃん。こんばんは」

 

『なぜ、あんなものがある』

 

 単刀直入の質問だった。

 それも当然だ。

 彼女はあのISの危険性を知っている。あのシステムの危うさを知っている。

 直接見たわけではないが嫌というほどに知っている彼女の声からは強い剣幕が見えた。

 

「危険だが、かといって捨てることもできなかったという話だ。

 あれは切り札になる」

 

 鳥也の口からなんの切り札になるのか具体的に語られることはない。

 しかし千冬は理解した。誰かがなさねばならないこととして自分の中にもあるからだ。

 だからこそ怒りを露わにする。

 それをするのは彼ではないと否定する。

 

『ッ!? あなたたちは彼を利用するつもりか』

 

「違うさ。翼は自分で乗ることを決めたんだ。

 システムの危険性を承知した上で彼は君が取らなかった選択肢を取った、というだけの話だよ」

 

『答えになっていない。

 私は彼にトリガーを引かせるのかと聞いている』

 

「……翼はいずれ自身でISコアの全てを理解するだろう。

 その結果どうするかを決めるのは彼自身だ」

 

『無責任だな。義理とはいえお前たちの子どもだ。

 その道を選んだ結末ぐらい予想できるだろう』

 

 鳥也は千冬の言葉に対してすぐに答えることができない。

 親としての気持ちと1人の研究者としての気持ち、そして人間としての気持ちとが全て違うことを言っているのだ。

 答えが返ってこないこと、その理由を概ね察した千冬は新たな問いを投げかける。

 

『……あいつは実験のことを思い出したのか?』

 

「ああ、思い出してるよ。よく夢に見るようになったレベルでね。

 きっかけは間違いなくユニコーンだろう」

 

 今度は千冬が言葉を失う番だった。

 Sシステムの悪影響を知っていてそれでもなお翼がそれを選んだのならば外から何を言っても降ろすことはできない。

 そんな彼女に鳥也が続ける。

 

「今のところシステムは稼働率は低いが、稼働状態としては正常だよ。安心していい」

 

『……そうか』

 

 それから千冬がなにも言い出さないのを確認して鳥也が問いかけた。

 

「話としては終わりかい?」

 

『ああ、私から話すことはもうない』

 

「そうかい……じゃ、翼のことを頼んだよ。千冬ちゃん」

 

 鳥也が言って少しの間を置いて千冬はなにも答えずに電話を切った。

 千冬の声ではなく話中音を流す端末を見つつ、鳥也は笑みを浮かべる。

 

(その無言は肯定と受け取るよ。千冬ちゃん)

 

 鳥也は視線をモニターに映されるユニコーンへと移す。

 

「君の選択に幸多くあれ……」

 

 その言葉が親としてなのか、研究者としてなのか、1人の人間としてなのかを知るものはいない。

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