第十回 書いてみたいけどなかなか書きだせないお話を短編で書いてみたステークス 作:雅媛
中央トレセン学園新聞部外伝~帯広トレセンばんえい専科 取材記~
取材者:日本ウマ娘トレーニングセンター学園新聞部部長 パパラッチ(paparazzi)
~注意~
この作品内のコースの砂質などは捏造設定です。
筆者が海砂・川砂・山砂・ダート・地方競馬コースを走ってみた感想をもとに書いていますので
実在するコースの構成や状況とは異なります、予めご了承ください。
◆ばんえいウマ娘 国内レース(コンテナ重量はソリ等の重さを含む)
鉄コン級:200m(12フィートコンテナ:5t)
中型級:300m(12フィートコンテナ:8t)
大型級:500m(20フィートコンテナ:10t)
特大型級:400m(31フィートコンテナ:30.4t)
※海外規格は本編で。
=URA帯広トレーニングセンター学園 ばんえい専科トレーニングコース=
中央のレーシングプログラム主体で速度を競うトゥインクルシリーズとは全く異なる競技形態『ばんえい』。
ダートに砂をかぶせたコースを二つの障害(山)を橇(ソリ)に乗せたコンテナを曳いて競う『力こそパワー』な競技である。
-sideパパラッチ-
まだ朝靄のかかるコースでメンテナンスをしている学園スタッフたちに交じって、機材チェックとカメラの調子を確認する。
軽く地面を足で掻いてみると大井や笠松のダートとは違い、脚は沈みにくいが酷く滑るのがわかる。
川砂主体であろうコースの砂は、軽く踏み込んだだけではずるずると滑るし、蹄鉄を地面に立てても表面を引っ搔くだけで
思ってたより前に進まない。
「うわぁ、、、このコースをアレ曳いて進むのかぁ」
コースの端にうっすらと見えている『ソリに乗った輸送用コンテナ』を曳いて彼女達は進むのだ。
(中央の子達とは違う、帯広トレセンのウマ娘。別名をばんえいウマ娘…ですか、これはがぜん興味が出てきましたよぉ☆)
授業が始まって教官と教導・サポート科の生徒にばんえい専科の子たちがコースの近くに集まって準備をしています。
『ハーネスよいか〜?』
「肩ヨーシ!」「腰ヨーシ!」「脚ヨーシ!」
「胸と腰前のロックヨーシ!」
「引き紐の長さ・・・ヨシ!」
「留め具捻じれ・・・ヨシ!」
『ハーネス着装ヨシ!』
まるで工事現場の朝礼みたいですが、橇(ソリ)と補助員だけでも1トンある重量物を曳くのですし安全チェックには
抜けが無いように行っているという事でしょう。
(中央ではまず見ない光景ですもんね……これは撮影が捗りますよぉ?)
「おぉ!いい筋肉してますね、大殿筋が日高山脈!!」
思わずこぼれ出た言葉に教官と数人の生徒さんが反応する。
『安全装具よいか〜?』
「ソリ確認……ヨシ!」
「安全装具確認ヨシ!」
『用具異常ありません!』
「じゃあ最終着装ね。サポート科と補助員は各位担当の着装を実施!」
『了解!』
ばんえい専科の教官の号令に従って、担当であろうウマ娘にわらわらと群がる生徒達。
-side???-
『せーのっ!』
ギュッ…ギリギリ…ガチャン。
「ぶぉっふ!?」
想定していたよりも強く全身に伝わる緊縛?拘束?締め付けられる感覚に耐え切れず変な声が出てしまった。
『wwwwww』
着装を手伝ってくれているサポート科の面々と同級生に、盛大に芝を生やされる。
(アンタら、後で覚えときや……たこ焼きキャンディー食わせたる)
「ぶぉっふてwwww」
「ウケルwww」
「乙女が出しちゃいけない声出てるしwww」
「ほーら、がんば☆」
さっきのは『そり(コンテナなし)と私をつなぐハーネス』がつながる音。
帯広トレセン学園 ばんえい専科の風物詩になっている、着装の現場である。
~ばんえいに関する説明文を省略~
「そない言うても、コレ(ハーネス)メッチャきついんやし仕方ないやん?私、ちゃんと本番用付けたのコレが初めてやし」
「ん~…私達は気にしないけど、今日は取材きてるんだしさ?」
「そこで撮影してるアノ人がすっごい笑顔でアンタの顔撮ってたよ?w」
「えへへへへぇ、気持ちいい筋肉してますね~(カシャシャシャシャ)」
さっきから喜色満面で、とんでもない速度でカメラと機材を操作しながら、私だけでなく他の着装練習をしてる生徒に声をかけながら
撮影している銀髪のウマ娘。中央トレセン学園の新聞部『パパラッチ(paparazzi)』さんだ。
「いいですねー♪中央のウマ娘の皆さんとは違った筋肉!まさに筋肉の鎧を育てていますって感じで素晴らしいですね!
トモの張りも申し分ないですし、ばんえいの皆さんは中央にない造形美がありますよ!う~ん☆ナイスバルク!」
今日はURAの広報を兼ねて取材に来てるって話やけど、掛け声がばんえいマニア(競バ場に通うファン)のソレなのが
不思議でならへん…あの人、ホンマに中央トレセンの人やんな?
※ばんえいマニア(競バ場に通うファン)の掛け声は現実世界のボディビル大会の掛け声と類似しています。
-???が、コンテナ無しの橇(ソリ)を引いてる場面-
「ふ、、っつ!!」
締め上げたフルハーネスと体の各所と橇(ソリ)をつなぐスリングが煩わしい。
(ぐっときて、ドン。違う)
(ぐにっとして、ググッと。これも違う)
橇(ソリ)を曳こうと前に踏み出すが踏ん張りがきかない。
「体より前に足を出すな!腰と背中で押すんだ!」
「わぁっとるわ!黙って見ときぃ!」
教官や補助員の子たちの声が煩わしくて語気を荒げて返してしもた、後で謝らなアカンなぁ……ってそんな場合ちゃう。
息を整えて、大きく踏み出そうとしていた歩幅を小さく調整する。
(……体の前に足を出さへん)
(……腰と背中で押す)
ぶつぶつと繰り返しながらその場で足踏みをする。
「っし、行くで!」
脚に角度を付けて自分より少し後ろに踏みつける。
スリングが張ったのを確認したら、其れを引くんやなくて……。
「押すっ!」
ズ……。
「ぁ――っ――っく!!」
砂を押せ、土を掴め、大地を蹴り飛ばせ。
見栄えは要らない、いまはただ。
進め。
ズッ……ズズッ。
少しだけだけど動いた。
デビューに必須である鉄コン級には程遠い重量だけど、これが最初の一歩や。
「浪速女のド根性、魅せたるで!」
これは大阪から来た、ばんえいウマ娘の物語。
-唐突なパパラッチ語録(撮影しながら)-
「腹斜筋でニンジンおろししたいですね~、これだけ溝があると大根や紅葉おろしもいけそうです☆」
「肉詰まりすぎですね、密です!でも筋肉は密でもいいんです!」
「僧帽筋が歌ってますよ!まさにGIRLS' LEGEND U、やっとみんな会えたね!」
こめかみを抑えながらURAの人が独りごちる。
「アレでもパパラッチさんは、マイルから長距離迄のG1レース併走撮影資格を持っているんですが……何分アレなので」
(((((中央の人って凄いなぁ…)))))
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