9月9日 午前0時
三人と合流した後、突如としてアンディがデートしようぜと言い出し、タチアナ以外が水着を選んだ後、海中遊泳を楽しむ事になった。
途中風子がイルカの群れに巻き込まれ流される事態が起きるが、救難信号が送られて来たおかげで大事には至らなかった。
その後は僅かな休息を取り、
もっとも、俺は休息を必要としないので起きっぱなしだが……もう慣れたものだ。
二人は偽造パスで正面から侵入し、残る俺達は別口への潜入をする。
「ここで下す。後は頼んだわよ」
「ありがとうタチアナ。俺はとりあえず目的の否定者を捜す」
タチアナの上に乗っかり、人気のない場所に降ろしてもらう。
最優先の目的は
第二目的に関して、前者は当然ながら放置するとフェーズ移行を起こす可能性があるため、後者はどこかのバカの手に渡らないようにするためだ。後者の場合、最悪精神崩壊して死ぬまで暴れるケースも有り得るから、確保できるなら積極的にやった方がいいのだ。
事前に得た情報から少しずつ船の下層にある競売品倉庫に向かって移動する。途中何人かの警備員と遭遇するが、似たスーツを着ているお陰であまり怪しまれずに済んだ。
「正直今回は裏方で良かった……奴らのクソみたいな会話を聞かずに済むから幾分楽だ」
負の感情は一定以上になると否定されるから本気で怒るという事はないものの、聞いていて気分のいいものではない。警備員もマフィアだからクソである事には変わりないが、参加者の連中よりかはまだマシだ。
しかし順調だが……順調
「まさか、この先にいるのか……?」
危険を感じながらも、俺は細心の注意を払って前へと進む。
誰にも遭遇しないまま倉庫へと辿り着くが、そこに数人程の警備員がいる事を確認しすぐ物陰に隠れる。
だがいたのは警備員だけではない。警備員達は一人の女を取り囲んでいた。
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少し時を遡り―――
ボスからの指令で、この
「相変わらず胸糞わりぃ、吐きそうになるぜ……」
「そう言うなよ。お前の審美眼が必要なんだから」
仲間であるリップがそう返してくる。
今回の目的はここにいる否定者及び使える
「別にオレじゃなくてもいいだろうが……クソだりぃ」
「仕方ないでしょ。私の力でも個々の
「その点お前は触れずに見るだけでモノの価値を見抜ける。こういった場所に打ってつけだろ?」
「言われたからにはやるが……報酬は弾めよ?」
ボーナスでもなきゃこんな仕事やってられねえよクソったれがよ。冗談抜きで吐き気がするんだよココは。
「ボスに話を通してやる。是非頑張ってくれ」
「ちゃんと覚えとけよ。すっぽかしたら承知しねえぞ」
「わかったわかった。とりあえず一旦二手に分かれるとしようか」
警備員の分散か。流石に否定者でもこの船にいる連中全員を相手にするのは骨が折れるし無駄過ぎるからな。
後でクリードとファンも来るし、そこまで消す必要はなさそうだ。
「オレは一人でいい。リップはラトラと一緒に行ってクリードとファンと合流してくれ」
「じゃあお言葉に甘えて。気を付けろよ?」
「誰にモノ言ってんだ。オレがやられるとでも思ってんのか?」
「いいや全く?」
「改めて言っておくけど倉庫は下層よ。相当な警備がいるけど、貴女なら一人でも対処出来るでしょ?」
「問題ない。じゃそろそろ行くぜ?」
いつもならとっくに寝てる時間だからな……やる事やったらさっさと帰って寝よう……
オレは二人と別れ、別ルートで倉庫への道を進む。オレはライラのように占いに長けてる訳ではないが、気配をある程度見る事が出来る。そのおかげで警備員の少ないルートを見つけ、少数の警備員を
そして、倉庫まで来る事が出来たが……
「やっぱりここまで来ると警備の層が厚いか……クソ面倒くせえな……」
否定者と
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そして現在―――
ひとまず咄嗟に隠れはしたものの、何者だあの女……
こんな所まで降りて来ている時点で間違いなく普通の人間じゃない。十中八九否定者だと考えるべきだ。
問題は
「どうやって入ってきた? ここは運営以外立ち入り禁止だぞ」
「えっ、そうなんですか? 全然知りませんでした」
「とぼけるんじゃねえ! 何もなく普通の人間が入って来られる訳ねえだろうが!」
「本当に偶然なんです! 信じてください!」
警備員に詰められる女は役者顔負けの演技で偶然だと言い出す。このような状況でなければ誤魔化せるレベルだが、いくらなんでも無理がある……時間稼ぎをしているのか?
こちらからでは顔が見えないが、露出の少ない白いドレスを着た紫がかった黒いセミロングの髪。背丈は平均と比べて高めであり、スタイルもかなり良い部類だが、声の感じからして年齢はかなり若いと推測される。
どのような否定能力を持っているかはハッキリしていないが、あの女一人であの人数の警備員をどうやって対処するつもりなのか、少し様子を見させて貰おう。最悪俺が助けに入る。
「さっきから何人か通信が取れねえ連中がいんだよ。お前の仕業だろ!!」
「知りませんよ! 別の誰かの仕業なんじゃないんですか!?」
「……埒が明かねえ。ここにいる以上、どの道お前を始末する事は決定事項なんだ。全員構えろ」
警備員達のリーダー格であろう男がそう言い、一斉に女に対して拳銃を向ける。
さて、ここから一体どうする?
「はぁ……時間稼ぎは出来た。消すぜ、てめぇらを」
女が一変し、ドスの効いた声音を出す。
次の瞬間、リーダー格の男の顔面を掴み地面に叩きつけた。
すぐに他の連中が彼女に向かって銃を撃つが、それを男を掴んだまま難無く避ける。
銃弾を避けるか……速さは大したものだが、叩きつける勢いが弱い。あの程度じゃ気絶までは行かない。何か考えがあっての事だろう。
「
女は小さな声で何か言い、そのまま男から手を放す。多分他対象の否定能力で何かを付与したな……これで彼女が何の否定者なのかが分かる。
「くっ……舐めやがって、クソアマ、が、ああああああああああああァッ!?」
立ち上がった男が突如として顔を抑え叫び出す。そしてみるみるうちに男の顔が黒ずみ始める。ものの数秒で男の体は崩壊し、塵となって跡形もなく崩れ去った。
その惨状に唖然としていた連中だったが、すぐに女に向かって銃を一斉放射する。それをまた除け、彼女は大きくジャンプする。
「流石に警備を任されてる連中だけはあんな、判断が早い……ただ相手が悪ィ。
懐からメスと思われる物体を取り出し、それを残りの連中に投擲する。
それらは的確に、警備員全員に深く突き刺さる。連中はリーダーの男と同じように体が崩壊し消滅していく。
調査員が失踪したのはコレのせいか。予想は出来てたが、ここまで強力な否定能力だとは……コイツは確実に……
「チッ、やっぱドレスだと思った以上に動き辛ぇな……オイ、そこに隠れてる奴。あえて投げずにいてやったんだ、さっさと出て来いよ」
……やはりバレたか。あの女、気配を読み取る力も長けてるとは厄介な奴だ。
これ以上隠れる意味もあるまい。大人しく出るとしよう。
歴代不労を見たい?(先代は確定で出します)
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