アンデッドアンラック 不■の否定者   作:獅羅

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数日振りの更新です。
今回は展開を考えるのにかなり難産しており、どうにか描き上げたのですが長くなってしまったのでややぶつ切り状態になっています。
場合によってはサイレント修正するかもしれませんのでご了承ください(´・ω・`)


Revolution
No.013 Unfatigue(不労)VS.Unfanction(不能)


 

 

 一体痛みを感じるのは何年振りだろうか……俺は今まで普通の人間なら死ぬような目に幾度も経験してきたが、全くそれ(・・)を感じる事などなかった。だが今回は違う。俺が否定能力を発現するまで感じた事のある感覚―――痛み(・・)そのものがじわじわと体に広がっている。

 おそらくさっきの倦怠感は機能不全(マルファンクション)で炎越しに僅かながら俺の体の機能を低下した影響によるもの。そして今の負傷によってそれが決定的なものになったのだ。これは余計倒すのに時間を掛ける訳には行かなくなったな……

 俺の返答がない事に気付いたアンディが安否確認をしてくる。

 

 

『どうしたレイ、そっちで何があった!』

「今しがた不能(アンファンクション)の攻撃を受けて肩を負傷した。しかも痛みも伴っている」

『なんですって!?』

 

 

 タチアナが驚きの声を上げる。それも当然、不労(アンファティーグ)は本来あらゆる疲れを否定する能力。痛みはおろか傷も巻き戻る形で即座に否定される。

 その否定が発動していないのだ。俺を詳しく知る者程驚かずにはいられない。

 

 

「出来るだけ直撃は受けないようにしてたんだがな……一瞬の隙を突かれた」

『そっちも中々悪い状況になってんな……悪いがそっちには加勢出来』

『……レイ、ゾンビ。屋上に出て』

『あ゛?』

 

 

 タチアナの声のトーンが少し下がると同時に、(エンブレム)越しから拘束具の解放音とそれに伴う破壊音が響き始める。

 

 

「タチアナ、もしかしてアレを解放する気か?」

『ええそうよ……奴らは私の大事な人達を傷つけた! 絶対に許せない……だから私が全員ぶっ潰す!!』

 

 

 (エンブレム)から聞こえるタチアナの声から強い怒りを感じる。

 彼女にとって風子は仲間というだけでなく、大切な同世代の友人。それを傷つけられ、命の危機に瀕しているとなれば心中穏やかではいられないのも当然だ。こちらとしても否定者狩りはここで減らしておきたい。

 

 

「……わかった、ぶちかませ。俺はもう屋外にいるからアンディは急いで屋上に向かってくれ」

『了解。すぐ行く!』

『―――UTエリア任意解放!! 待ってて風子……今助ける!!』

「さっきからコソコソ話しやがって……てめえら、一体何を企んでやがる?」

「その答えはすぐに分かる事だ。ウチのタチアナを怒らせたんだ、せいぜい巻き込まれないようにしておく事だな」

 

 

 いかにも余裕があるように見せてはいるが、正直肩の傷は依然として癒えず、浸食が広がるにつれてその痛みも増してきている。この進行具合だと後数分もすれば浸食が頭に到達するだろう。そうなったら否定出来ない以上、待っているのは死だ。

 この状況で俺が生き残る方法は只一つ。制限時間が来る前にリリィ(コイツ)をブチのめすしかない。

 それで不能状態が解除されるという確証がある訳ではないが、チンタラやってるよりかは活路を見出せる筈だ。

 

 

魂貫(ブレイカブルソウル)音速散拳(ショットフィスト・ソニック)!! 」

「しゃらくせえ!! 不能乱舞(ワイルドダンス・アンファンクション)!!」

 

 

 音速の速さで自律魂(ソウルリモート)含む炎拳を散弾銃のようにラッシュをかけるが、リリィはそれらを再び分離したガントレットでほぼ相殺する。

 技の負担によって肩の傷は更に痛み血も噴き出すが、そんな事も言ってられない。

 迫り来る金属の拳の嵐をどうにか捌きながら応戦を続ける。

 

 

「さっきより威力が落ちてんじゃねえか!? 大男さんよぉ!」

「いいや、まだまだやれるさ……!」

 

 

 不能(アンファンクション)の影響で感情の否定も少し働かなくなってきているせいか、表情に僅かな苦しさが滲み出て来そうになる。

 そんな状態でもどうにかポーカーフェイスを保ち、少しでも余裕があるように見せ続ける。

 

 

「そうかい。だったらコイツは見切れるか? ――――舞踊雷光(ライトニング・ダンス)

 

 

 そうリリィが言った直後、彼女の姿が一瞬にして消える。

 不触足甲(アンクル・アンカネクティド)による超速移動か。流石の俺でも気配を負うので精一杯だが、トップよりは遅い―――――右だ!

 

 

魂貫(ブレイカブルソウル)狼牙反掌(カウンター・ウルファング)!! 」

「かはっ……!?」

 

 

 察知すると同時に左腕を捩じるように回しながら掌底をリリィに叩き込む。掌底はリリィの腹に直撃し、彼女はそのまま吹き飛ばされる。

 そしてアンディ達が屋上に到着、その直後にタチアナが拘束具を完全解放する事で抑えられていた不可蝕(アンタッチャブル)のUTエリアによって船は完全に崩壊していく。そこで再びアンディから通信が入る。

 

 

空飛ぶ絨毯(フライングカーペット)を返すぜ、レイ。もうコイツのサポートがなくても大丈夫だ』

「助かる。正直無形霊魂(かたちなきたましい)を使っての浮遊も流石にしんどくなってきてな。感謝する」

 

 

 アンディの言う通りに空飛ぶ絨毯(フライングカーペット)が俺の元へと戻って来る。コレで噴射に使っていた分の炎を節約する事が出来る。

 しかし心なしか、さっきより不能(アンファンクション)の浸食が少し遅くなっている気がするな……痛みもほんの少しだが和らいでいる。

 ……ほんの少しだが、不能(アンファンクション)の条件が分かってきたかもしれない。だがその前に不動(アンムーブ)の範囲外に移動しておくべきだろう。下手に視界内に入れば、最悪こっちが巻き添えを食いかねない。

 

 

「行くぞ、空飛ぶ絨毯(フライングカーペット)

 

 

 俺の言葉に空飛ぶ絨毯(フライングカーペット)が頷くようにはためき、アンディ達の視覚外に移動しながらリリィが飛ばされた場所へ向かう。

 そう離れていない―――といっても数百メートルは飛ばされてるが―――距離にリリィはいた。流石にあの速度でカウンターを食らったのが効いたのか腹を抑えている。

 

 

「あー痛ってぇ……さっきの船の崩壊、てめえらの仲間の仕業だな?」

「彼女は仲間を傷つけられてご立腹だった、その意思を尊重したまでだ」

「そうかよ……まあいいさ、リップ達はこの程度で死ぬタマじゃねえからな。しかし初見で舞踊雷光(ライトニング・ダンス)を見切られるとはな……その体でよくやる」

「もっと速い奴を知っている。そいつの速度に比べれば今の状態でも十分対処は出来る」

 

 

 どうやら気配を消す事には長けていないのが幸いした。それも出来ていたなら流石に反撃自体賭けになっていた所だ。

 リリィに近づいた事で再び不能(アンファンクション)の浸食と傷が速く進み出し、痛みが強くなった……おそらく不能(コイツ)の発動条件は距離が関係している。

 近づけば浸食の進行は早まり、逆に遠ざかれば進行は遅くなる。なら遠くに離れれば再び不労(アンファティーグ)が機能するようになるかもしれないが……仲間がいる状況でそんな事が出来るわけがない。

 爆裂狼牙掌(ウルファング・エクスプロード)さえ当てられればほぼ確実に仕留められるが、アレはまだ未完成。飛ばそうにもすぐ霧散してしまうため、近距離でなければ直撃させるのは難しい。普通の気弾なら飛ばせるため、完成まで後一歩なのだが……アテにしない方がいいな。

 

 

「……どうやら向こうもおっ始めたみてえだな」

 

 

 そう言うリリィの視線の先ではアンディとリップが本格的な戦闘を始めていた。ここから数百メートルも離れているため常人には豆粒のようにしか見えないだろうが、一時的な視力強化によって二人の戦いがある程度伺える。

 

 

「こっちも暇じゃないんでな、さっさと終わらせんぞ……! 不能十字 (クロス・アンファンクション ) 三連(トリプル)!!」

 

 

 リリィは再び不能十字 (クロス・アンファンクション )、それを間髪置かず三連続で繰り出す。それを空飛ぶ絨毯(フライングカーペット)で回避するが、ブーメランのように追尾して来る。

 

 

「そのカーペットのスピードは大したもんだが、今回のソレはどこまでも追って来るぞ? さっきみたいに相殺してみたらどうだ?」

 

 

 不能十字 (クロス・アンファンクション )の速度自体はトップやウェザリングより遅いが、不能(アンファンクション)が付与されているのが厄介だな。天翔脚刃(レッグブレイド・ソア)の連発で相殺は出来るが、向こうはただ技を繰り出せばいいだけだ。

 何よりこっちは制限時間(タイムリミット)がある。リリィからすれば最悪その時間が過ぎるまで凌げばいいのだから厄介な事この上ない。

 

 

ギリギリまでアイツに迫って回避しろ

 

 

空飛ぶ絨毯(フライングカーペット)の速度を利用してリリィの付近まで移動し、回避して当てるフリをしてもう一度この拳を叩きこむ。それでフッ飛ばしてまた距離を離せれば上出来だ。

 俺はフルスピードでリリィの懐へと向かう。

 

 

近づいて一発かまそうって腹か……オイ、アレやるぞ

魂貫(ブレイカブルソウル)狼牙掌(パーム・ウルファング)!」

 

 

 接近からの回避の一瞬、攻撃は上手く直撃した。だが手応えは全く感じない。それどころか気と炎で強化した拳がダメージを受けた。

 彼女の方を見ると俺の技だけでなく自分の技まで直撃しているにも関わらず、全くダメージを受けている様子がない。

 それだけでなく、いつの間にか全身を鎧のようなモノを纏っているのが確認出来る。

 

 

不蝕装甲(アーマード・アンカネクティド)。同じ手を二度も食うかよ」

 

 

 魂貫(ブレイカブルソウル)が効かないだと……? しかも純粋に硬い……逆に何なら出来ないんだよあの古代遺物(アーティファクト)は!

 並大抵の技はもう通じそうにない上不能(アンファンクション)の浸食は既に首近くまで来ている。もう残り時間は少ない。

 

 

「流石に不死(アンデッド)を相手取るのはリップでも一筋縄ではいかねえだろうしな……てめえを叩き潰して加勢に行かせて貰うぜ」

「そうはさせん。お前をアンディ達の元にだけは行かせる訳には行かない」

 

 

 アンディは現在リップとの戦いに集中している。この上リリィまでそこに参加したら死にはせずとも戦闘不能になる可能性が高い。そうなれば最悪、全滅もあり得るだろう……

 もう少し距離を取り仲間を巻き込まないようにしたかったが、致し方ない……増幅(ブースト)状態の流星群拳(インパクト・ミーティア)を俺の限界まで叩き込み早期決着を図る。もうそれしかない。

 どのような結果になるにせよ、次の一撃で決着は着くだろう……自律魂(ソウルリモート)を出せる限界まで増やし、大技の準備を始める。

歴代不労を見たい?(先代は確定で出します)

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