アンデッドアンラック 不■の否定者   作:獅羅

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今回はリリィ視点です。
原作で分かっている内容を彼女込みで補完した内容になります。


No.015 Life is Strange(ライフ イズ ストレンジ)

 

 

 

 西大西洋

 

 

 

「…………」

 

 

 意識が覚醒する。体を起こそうとするが、全身に走る激痛のせいでまともに動く事すらままならない。

 ……そうか。オレはあの大男の技をモロに食らって……そっからの記憶が全くない。古代遺物(アーティファクト)は……無事だな。

 どうやらあそこから大分飛ばされて来たみてえだが……見渡す限り水平線で目印になるモノすらねえ。

 だがまずはこの死に掛けの体をどうにかしねえとな。このままじゃ確実に死ぬ。

 

 

「確かここに……良かった、無事か」

 

 

 悲鳴を上げる腕を無理やり動かし、ボロボロになった胸元から一粒の丸薬を取り出す。

 古代遺物(アーティファクト)、仙丹……文献のような不老不死を齎す効果はないが、身体のダメージを即座に回復する事が出来る代物だ。無論、全くリスクがない訳ではないが……使わずくたばるよりかマシだ。

 自分の口に仙丹を放り込み、それを飲み込む。

 瞬く間にボロボロの体が治っていき、一分も経過する頃には完全――とまでは行かないがほぼ元に戻った。

 

 

「――――っ痛ッツアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 完全と言わなかった要因はコレだ。副作用として寿命を削り、服用前に負っていたダメージが大きければ大きい程それに伴う回復痛が生じる。

 念の為持ってきておいて良かったが、この回復痛には慣れねえから出来れば使いたくねえんだよクソが!

 相変わらず体は痛むが、さっきよりはまだ動ける。

 

 

「とりあえずオレの(エンブレム)はの反応を追っている筈だ。カインが近くにいればいいが……」

 

 

 オレ達の(エンブレム)は所在を知らせるためのGPS機能が付いている。

 衛星を利用しているから、世界中どこにいようがその位置が分かる。今頃メンバー達がカインを動かして捜索している筈だ。

 そしてオレは気配で位置をある程度察知出来る。ざっと周辺を捜してみたが、カインの気配が大分近づいて来てるな……こっちか。

 不触足甲(アンクル・アンカネクティド)を飛行形態に変形させ、カインのいる方向へと移動する。

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 カインドネスの体内

 

 

 それから少しして、無事カインと接触する。カインはクソでかいシャチのようなUMAであり、オレ達の拠点といっても過言ではない存在だ。お世辞にも頭は良い方ではないが、オレ達を仲間として認識しているため、体内を使わせてくれる比較的友好なUMAと言えるだろう。

 どうやって手なずけたかは知らんが、コイツのお陰でユニオンに探知されずに済んでいるのだからありがてえ。

 そのまま体内の中にある拠点に入ると、お通夜のような雰囲気に包まれていた。そしてその理由はすぐにハッキリした。

 

 

「……リリィ? 無事だったのね」

 

 

 ラトラがリップを抱いていた。しかしリップの胸には大きな穴が空いており、ピクリとも動かない。

 その時点でリップが死んでいるのがハッキリとわかってしまった。

 

 

「なんとかな…………アイツ等にやられたのか?」

「ええ、不死(アンデッド)達に胸を貫かれてね」

「リップを殺せる奴がいたとは……正直信じられねえ」

 

 

 そう言うラトラの表情は生気がなくなっている。相当に堪えているようだ……

 あの大男の仲間か……不治(アンリペア)の穴を突かれたのか? 敵でなければ大したモンだと言いたいどころだが……そんな茶々を入れる程、空気が読めねえ訳じゃねえ。

 仙丹さえ使えれば良かったが、アレは完全に死んだ奴に効果はない。不治(アンリペア)走刃脚(ブレードランナー)をあれだけ使いこなす奴なんて今後出て来るとは思えねえし、どうにかして蘇生さえ出来れば…………いや、待てよ。もしかすると……

 

 

「オイ、ラトラ。コイツ何か古代遺物(アーティファクト)見つけたりしなかったか?」

「ええ、いくつか見繕って来てたけど……」

 

 

 そう言ってリップが手に入れて来た古代遺物(アーティファクト)を直接接触をしないようにこちらに差し出す。

 本来ならオレがその役割をする筈だったが、あの大男を始めとしたユニオンの連中の邪魔が入っちまったからな……代わりにやってくれたようだ。

 

 

「一体何をするつもり?」

「オレの審美眼でリップを蘇生出来そうな古代遺物(アーティファクト)がねえか調べる。コイツが取ってきたモンだ、可能性がねえ訳でもないだろ」

「確かにあるならそれに越した事はないけど……そう都合良く見つかるかしら」

「なければこれから見つけりゃあいい。少し時間貰うぞ」

 

 

 オレはリップが手に入れて来た古代遺物(アーティファクト)を見定め始める。オレならこれらに触れずに見るだけである程度特徴を見抜く事が出来る。出来る事ならこの中に蘇生が出来る古代遺物(アーティファクト)があればいいが……

 まずは扇子型の古代遺物(アーティファクト)。コイツは友才用に見繕った奴だな……違う。

 次は武骨な六角形の棍型の古代遺物(アーティファクト)。いくつかの形態に変化出来るタイプの古代遺物(アーティファクト)か。コイツはファン用か……これも違う。

 次はリボルバー銃型の古代遺物(アーティファクト)。コレを使う奴なんてメンバーにいたか?もしくは内包されている記憶がレアなモノなのか……気にはなるが、これも違うな。

 ……これで最後だな、球体型の古代遺物(アーティファクト)。パッと見どこかの〇〇〇〇ーボールに見えなくもねえが、色々とボタンが付いてんな……ん? コイツ……もしオレの眼が間違いじゃなけりゃ、とんでもねえ古代遺物(アーティファクト)だぞ? 全く……いい仕事しやがる。

 

 

「……どうしたの、リリィ? 何かあったの?」

「ああ……コイツならリップを蘇生できるかもしれねえ」

「本当に!?」

 

 

 ラトラの顔に一気に生気が戻った。

 この古代遺物(アーティファクト)なら確かにリップを蘇生は出来る。だが……コレはオレには扱えない。使用条件がかなり面倒なタイプの古代遺物(アーティファクト)だからだ。

 この古代遺物(アーティファクト)の使用条件を問題なく満たし、かつ喜んで使ってくれそうな奴は…………やっぱアイツしかいねえよなあ。

 

 

「ファンを呼んで来てくれ。アイツがいねえとこの古代遺物(アーティファクト)は実質使えねえ」

「いいけど……私中国語得意じゃないわよ?」

「じゃあ今から言う言葉を復唱してくれ。『我找到了让你重返青春的方法(お前を若返らせる方法を見つけた)』。そう言えば来るはずだ」

「わかった。じゃあ呼んでくるわ」

 

 

 ラトラがファンを呼びに行く。

 この古代遺物(アーティファクト)はある意味ファンの否定能力との相性がいい。もっともクールタイムが長く、早々使えるモノじゃねえが……今回使う分には問題ねえだろう。

 少ししてラトラがファンを連れて戻って来る。心なしかファンの足取りが少し軽いように感じる。

 

 

「連れて来たわよ、リリィ」

你真的找到了变年轻的方法吗(若返る方法を見つけたと言うのは本当か)?」

没错 有了这些古老的遗物(本当だ この古代遺物を使えばな)

 

 

 そう言ってファンに球体の古代遺物(アーティファクト)―――流れ込む記憶からライフイズストレンジと呼ばれる古代遺物(アーティファクト)と判明した―――を投げて渡す。

 

 

教授如何使用 按照说明操作(使い方を教える 手順通りにしてくれ)

知道了(了解した)

 

 

 そしてオレはファンにライフイズストレンジの使用方法を説明する。

 ライフイズストレンジは言ってしまえば限定的な時間操作が可能な古代遺物(アーティファクト)だ。

 出来る事は巻き戻し若返らせる、早送りし老けさせるかの二つのみ。これだけ聞けば大した問題はないように思えるだろう。

 当然代償は存在する。使用者は対象者の操作した年数の10倍若返るか老いる事になる。加えて寿命が足りなかったり生きた年数が足りなかった場合、使用者の存在は消滅する。違うのは消え方くらいだ。

 従って本来ならそう易々とは使えねえ代物なんだが……ここに打ってつけの奴がいた。

 

 

我就解释这么多 你们还有问题吗(説明は以上だ 何か質問はあるか)?」

没问题(問題ない)

那就去做吧(じゃあやってくれ)

利普(リップ) 15年 逆行」

 

 

 ファンの言葉に反応してライフイズストレンジが分離し、チャージし始める。そして一瞬光ると同時に光線が発射され、リップに当たる。

 リップの体は瞬く間に小さく幼くなっていき、光が収まる頃には10歳相当の少年の姿になっていた。それに伴い、ファンも10倍の150年若返る。フードを深く被っているため表情は窺う事は出来ないが、手の皺がなくなっているので青年相応まで若返った事はわかる。

 利害の一致のおかげでどうにかリップを失わずに済んだな……おっと、コイツを渡すのを忘れてたな。

 オレは六角形の棍型の古代遺物(アーティファクト)随心鉄捍(ずいしんてっかん)もファンに渡す。

 

 

随心鉄捍(ずいしんてっかん) 是您的古代遗物(お前の古代遺物だ)

谢谢你 这让我更加坚强(礼を言うぞ これで俺はもっと強くなれる)

你可以感谢瑞普(礼ならリップに言いな) 是他拿走的(アイツが取ってきたモノだ)

「うう……ん」

 

 

 ファンと中国語で話しているとリップが目を覚ます。

 そして間髪入れずラトラが涙を流しながらリップに抱き着いた。

 

 

「ちょっオイ、力強いって!」

「よかった、もうダメかと思った……!」

「……悪かったな、ラトラ」

 

 

 俺はそこまで詳しく知らんが、二人は否定者になる以前からの付き合いだと言う。本当はもう一人いたみたいだが、その辺りの話は二人ともしたがらない。

 おおよそ予想は付くが……オレにとってのあの人(・・・)と同じなんだろう。何はともあれ無事蘇生出来て良かった。

 

 

「オレがファンに頼んでライフイズストレンジを使用してもらったんだ。その影響で大分若返っちまったけどな」

「成程、だからこんなちっこくなってんのか」

「後で礼言っとけよな。オレはもう疲れたからシャワー浴びて寝させてもらうぜ」

「悪いね、ありがとう」

「どういたしまして」

 

 

 リップから礼を言われ、オレはその場を後にする。ファンはいつの間にかいなくなっていた。

 クソ、大分マシになって来たとは言えまだ全身が痛みやがる……絶対しばらくは休みを貰わねえと割に合わねえ。

 そう思いながらオレはシャワー室へと向かう。




翻訳使いながら問題なくルビを振れるような中国語の言い回しを作るのに苦労した……(長くし過ぎると何かに引っかかるのかルビ振っても反映されない)


仙丹
リリィがUNDER(アンダー)の活動をする中で入手した丸薬型の古代遺物(アーティファクト)
肉体的なダメージならどんなモノでもすぐに癒す事が出来る。ただし副作用として寿命とその回復に相応する痛みが伴う。
原作におけるムイの丸薬と違い、飲み込みさえすれば即座に身体に溶け効果を発揮する。

歴代不労を見たい?(先代は確定で出します)

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