アンデッドアンラック 不■の否定者   作:獅羅

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今回はクソヤローの記憶に関する話です。
この辺は結構重要な話なので削るトコが無さ過ぎて原作垂れ流し気味になってますが許してくださいorz


No.016 Memory of God(クズの記憶)

 

 

 9月16日

 

 

 冗談抜きで死に掛けた不能(アンファンクション)、リリィとの戦いから一週間。

 あれから何の問題もなく無事アンディ達と合流し風子が不動(アンムーブ)の少年、重野力をユニオンへ勧誘。当然チカラは即答出来なかったが、アンディの提案により一週間の猶予を与える事になった。

 その後は入れ替わりで来た調査員達に沈んだ船の残骸からUMAや古代遺物(アーティファクト)の回収をするよう指示を出し、迎えに来たユニオンのジェット機に乗る。

 その際、問題なく生活が出来るようにユニオンの翻訳機(ネクタイ)を予備含めてチカラに渡しておいた。

 そして今日がその約束の一週間。タチアナを除く俺達三人はチカラの答えを聞くため、彼の通う学校にやって来ていた。

 

 

「……人の少ない夕方に来て正解だったな。もっと早い時間帯に来てたら悪目立ちしてたぞ、この面子」

「はは……そうですね」

 

 

 風子はまだいいとして、俺とアンディは自分で言うのもアレだがガタイが良すぎて威圧感がヤバい。そんな連中が校門前で待機しているのだ、最悪不審者に見られかねん。

 そうなっても最悪記憶を改竄すればいいのだが、そんなくだらない理由でそれを利用するのは流石に憚られる。

 

 

「んなモン気にすんな。堂々としてりゃいいんだよ」

「日本の治安を舐めるな、通報されれば即座に飛んでくるレベルだぞ。まあこの時間帯なら呼ばれる事は早々ないだろうが……」

 

 

 現在の時刻は4時48分。チカラにはアンディからユニオンに入るなら5時に校門に来いと伝えてある。

 逆に言えばそれで来なければ、一般人としてこれまで通り生きて行くと決めたと言う事だ。そうなれば否定者探しは振り出しに戻る。

 

 

「来るかな、チカラくん」

「さあな……翻訳機(ネクタイ)はくれてやったんだ。能力を隠せれば一般人と変わらねえ」

「チカラの選択は尊重したいが、来るなら確固たる覚悟はして欲しい所だ……生半可な覚悟ではすぐ死ぬだけだからな」

 

 

 不動(アンムーブ)という強力な否定能力に加え、アンディと風子から聞いた彼の覚悟には感心させられた。

 ビビり癖があるのが弱点だが、少し前まで日常に身を置いていたただの少年だった事を考えれば十分過ぎる。個人的には是非ユニオンに入って欲しい所だが……最終的な判断は彼に委ねられる。

 

 

「そうですよね、命は一つだけ……死んだらそれで終わりなんですよね」

「―――案外、そうでもなかったよ」

「あっ……!?」

 

 

 風子の言葉に対し俺でもアンディでもない第三者の声が言葉を返す。声のした方へ振り向くと、そこには10歳前後の少年が立っていた。

 だが俺、いや俺達はその少年に見覚えがある。正確には目の前の少年の成長した姿に覚えがあると言うべきか。

 俺達の前に、死んだはずの不治(アンリペア)―――リップが少年の姿で現れた。

 

 

不治(アンリペア)!! ちっちゃく……生きてたの!? どうやって……」

「お前……アンディ達にやられた筈じゃ……」

「確かに死んだよ。心臓を貫かれて……完敗だったよ」

 

 

 目の前のリップは何の恥ずかし気もなくパーカーをめくり、肌を見せる。

 アンディ達の話では胸元に大きな穴を空け、それが致命傷になったと聞いていたが、傷どころか痕すら残っていない。まさか向こうの連中は死人を蘇らせる類の古代遺物(アーティファクト)まで持ってんのか……? そうでもないと説明がつかない。

 

 

「まぁ色々あってね、こうなっちゃった。すぐ戻れるみたいだし気にしてないけど」

「な、何の用だ! や、やんのかこのヤロー!」

「風子、悪いが全く凄みがないぞ」

「違うよ、今日はプレ」

 

 

 そうリップが言いかけた所でアンディが無言で殴りつける。アンディからすれば風子に傷を負わせた相手、ブチ切れる事は容易に想像出来るが……傍から見れば通報案件だ。

 リップ自体は頬が腫れているが特に気にしてないようで、抜けた歯を吐き出す。

 

 

「丁度良かったぜ……心臓抉った位じゃ気が済まなかったんでな」

「ん? 何……ああ、あの子刺したの怒ってんのか! 悪かった悪かった!」

「気持ちは分かるが落ち着け。学校の前だぞ」

 

 

 リップの胸倉を掴むアンディの肩を掴み、嗜める。裏でならともかく公共の場で見た目だけとは言え子供への暴行は絵面的に洒落にならん。

 

 

「ありがとね、大男くん」

「お前のためじゃない、アンディのためだ。戦いに来たんじゃないなら一体何の用で来た?」

「キミと不運(アンラック)の怪我は大丈夫かなと思ってさ、どうだい?」

「おかげさまでな。もう完治した」

「えっ、あっ……ニ、えっと、ドクターがキレイに治してくれたよ」

 

 

 あれから不能(アンファンクション)による傷と浸食は瞬く間に引いて行き、今はもう傷も残っていない。風子の傷も内蔵を傷つきかねない危ない位置だったが、ニコの手に掛かれば傷なく治すなど朝飯前と言っていい。

 リップはそれを聞いて笑顔を見せる。

 

 

「そう、それは良かった! ごめんね!! それとキミに伝言があるよ」

「伝言だと?」

「『オレはまだ死んでねえ、次会ったら覚えてやがれ』ってさ。誰かは言わなくても分かるよね?」

「……ああ」

 

 

 ……嘘だろ。アレを食らってまだ生きてたのか。

 向こうもムイの持つ丸薬と似た回復タイプの古代遺物(アーティファクト)を隠し持ってたと考えるのが妥当か。まさかここまでしぶといとは思わなかった。

 おそらく俺の気配察知で分からないレベルで吹っ飛ばされ九死に一生を得たのだろう。結局否定者狩りの連中は誰も倒せていないという訳か……

 

 

「はい、じゃあこれで仲直り! 後は不運(アンラック)、キミにプレゼントを持ってきたのさ!」

「プレゼント……?」

 

 

 そう言ってリップが右ポケットからリボルバー銃を取り出し、それを風子に向かって投げる。コイツ、もしかして古代遺物(アーティファクト)を風子に……!

 すぐに俺とアンディが風子に向かって走り出すが、時既に遅し。そのリボルバー銃は風子の手元に行ってしまう。

 

 

「持った事ないだろ? 古代遺物(アーティファクト)

「―――うああっ!! 何っ!?」

 

 

 古代遺物(アーティファクト)に接触した風子の表情がすぐに青ざめ、悲鳴を上げる。

 直後、俺とアンディが風子の元に駆け寄る。

 

 

「アンディ、レイさん……何、コレ……」

「……!」

 

 

 混乱する風子を続いてアンディも古代遺物(アーティファクト)に接触し、目の色を変えた。それほどの記憶が内包されてると言う事か?

 アンディが無言で俺にもその古代遺物(アーティファクト)を俺に渡す。

 

 

「―――――!!」

 

 

 接触と同時に俺にもその記憶が流れ込んで来る。

 ――――それは滅び。あらゆる全てのモノが燃え、溶けていく。

 そんな中で一つだけ、何事もなくそこに君臨している黒い巨大な存在がいた。そいつは、太陽を背にしていた。記憶が終わり、俺は大きく動揺するがすぐに否定され、冷静さを取り戻す。

 この記憶を見て断言出来る事は二つ。この君臨している存在こそ、俺達が殺すべき(クズ)だという事。そしてもう一つ―――俺はコレを何度も(・・・)経験している。既視感(デジャヴ)なんてレベルではない……俺の魂がそう叫んでいる。

 

 

「なんだこいつは……以前、別の古代遺物(アーティファクト)を触った事があるが……」

古代遺物(アーティファクト)によって流れ込んで来る内容は違うんだ。今回の古代遺物(こいつ)はおそらくその中でも世界の核心に近い記憶……それが内包されている奴だ」

「ご名答。流石古代遺物(アーティファクト)を良く知るだけはあるね。そいつが映っているのはかなりレアだ」

 

 

 今まで数多くの古代遺物(アーティファクト)回収して来たが、確かにこのレベルの記憶が内包されているのは見た事がない。そういう意味ではレアと言われても何ら不思議ではないが……

 

 

「そいつだろ? アンタらが殺そうっていう神はさ。無理だろ、あんなもん? だからそいつが世界を壊すまで俺らが天下を盗るのさ」

「終わりが近いのにか? 随分と短い天下だな」

 

 

 それが否定者狩り達の目的か。だがアンディの言う通りだ。半月前の課題結果(クエストリザルト)によって99回目の(ペナルティ)が課されてしまった。仮に天下を盗れたとしても、半年も保たないだろう。いくらなんでもそれが分からない程愚かではない筈だ。となるとそう言い切れる何かがあるのか……?

 

 

「何言ってんだよ? 俺達は次へ(・・)行ける。お前達と違ってな」

「……次だと? 一体何を」

 

 

 リップの言葉に問い詰めようとしたその時、(エンブレム)からユニオンメンバーへの緊急連絡が入る。

 通信の内容は世界各地に散らばる円卓メンバーの前に俺達と同じように否定者狩りの連中と遭遇、それぞれ交戦中との事だった。内容からして不能(アンファンクション)―――リリィは来ていなさそうだが……同時に来ている辺り、計画されていたとしか考えられない。

 

 

「俺らが器として生きているから廻る世界だ。何故俺達だけ戦う、苦しむ―――逆だろ。でなきゃ不公平(アンフェア)だ。俺達はアンダー。三ヶ月後、世界はひっくり返り公平(フェア)になる

「アンダー……それがお前達否定者狩りの名前か」

 

 

 俺の言葉に返す事なく、リップは走刃脚(ブレードランナー)で空高く飛び上がり、言葉を続ける。

 

 

「どうだった? アレ見た感想は! 萎えただろ、あんなのに勝てるか? こっちに来るなら俺から話を通してやるよ!」

「はっ、馬鹿が―――いるなら、殺せるじゃねぇか

「言えてるな。この記憶のお陰でより固まった―――この(クズ)を殺す決意をな

 

 

 正直見た時は動揺したが、存在すると確証が持てたのはデカい。むしろ感謝しているレベルだ。

 この不条理に塗れた世界を作った(クズ)を、この拳で殴りつける事が出来るのだから。

 

 

「ハハッ、ホント面白いな。アンタら―――ならやってみろよ、組織(ユニオン)

 

 

 そう言い残し、リップはその姿を消す。

 ヴィクトルとの戦い、不能(アンファンクション)戦、そして今回の古代遺物(アーティファクト)。これらの中の出来事によって、俺の長年の疑問が少しずつだが晴れつつある。

 しかしまだ判断材料が足りない。後一つ、確定的な要素があれば……俺の仮説(・・)は正しいと確信出来るだろう。だがその前に……

 

 

「つー事だ。一緒に神様ぶっ殺そうぜ」

「えーと、すいません……その件は、初耳なんですけど……」

 

 

 ……後ろでこの事態をガッツリ見ていたチカラの答えを、聞く事にしよう。




次回以降は少し飛ばしてあの人が行動を起こす下りになると思います。
加えて感想でも書かれた、あの能力に対する説明も書く予定ですのでお楽しみに。

歴代不労を見たい?(先代は確定で出します)

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