アンデッドアンラック 不■の否定者   作:獅羅

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前話との繋がりがおかしくなりそうなので途中でリリィ視点も組み込み、やや視点がコロコロ動きます
前話よりはマシだと思いますが、ややぶつ切りです


忘れなければ
No.021 Floating Memories(流転する記憶)


 

 

 よし、タチアナのおかげで黙示録(アポカリプス)の奪還には成功した。

 問題はここからだが……アンダーの連中は現状手を出しては来ていない。流石にこれ以上の闘いは不毛と判断したか?

 少し気になったのは不可蝕(アンタッチャブル)を発動した際のビリーの表情。僅かにだが笑みを浮かべているようにも感じた。やはり真意は別にあると考えて良さそうだな……少なくともアレを見て俺はもう敵意は持てそうにない。

 そう俺が判断した時、風子のリボルバー銃を突っ込まれている黙示録(アポカリプス)が奇妙な行動を取り始めた。

 

 

『こなクホ……ガァ』

「――――う、うあああああっ!!!?」

「どうした、風子!?」

 

 

 直後、風子の様子がおかしくなり、苦しそうに叫び出す。黙示録(あの野郎)……記憶を流し込みやがったな!?

 正直失念していた。黙示録(アポカリプス)も明確な意思を持っているという違いがあるだけでまごう事なき古代遺物(アーティファクト)の一つ。記憶を流し込む事など容易い事だろう。

 

 

『ギャハハ、やったぜ! 他の古代遺物(アーティファクト)とは年季が違う記憶量だ! 狂っちまいな! 今のうちに……モガっ!?』

 

 

 これを機に逃げようとする黙示録(アポカリプス)を俺が握り潰さない程度に捕獲する。

 全く持ってふざけた事をしてくれる……これ以上場をかき乱されるわけにはいかない。

 

 

「逃がすかよ、黙示録(アポカリプス)……」

不労(アンファティーグ)……! テメェもブチ込まれてぇのか!』

「やってみろ。そのくらいでお前を掴む手が緩む事はない」

 

 

 フィル程ではないが俺にも古代遺物(アーティファクト)に対する耐性はある。どれだけの記憶があるかは知らないが、風子のように手放しはしない。

 

 

『上等だ……たっぷり流し込んでやるよ!!』

「――――!!」

 

 

 そう黙示録(アポカリプス)が言い終わると同時に、様々な記憶が俺に流れ込む。

 

 

 

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 黙示録(アポカリプス)不運(アンラック)に膨大な記憶を流し込み、逃亡を図っていた所を不労(アンファティーグ)が掴んで阻止されたが、少し言い争ったかと思えば突如としてヤツ(不労)の動きが止まった。

 あのクソ本、不運(アンラック)の比じゃねえ記憶を継続して流し込んでやがる……!? 基本古代遺物(アーティファクト)ってのは触れる事で過去の何らかの記憶が流れるモンだが、大抵は現実時間における一瞬で終わる事が多い。それでも脳の負荷がデカいし、触れ過ぎれば脳が破壊されて死ぬ可能性すらある。

 そんな記憶を現在進行形で流し続けているのだ、普通ならとっくにくたばってる。にも関わらずそれに耐えるどころか掴む手が緩みすらしていない。不労(アンファティーグ)と言えど精神力が強過ぎんだろうが! どんな脳の作りしてやがんだ!

 事態が膠着する中、沈黙を破ったのはボスだった。

 

 

「―――そいつは貸しにしよう。期限までに奪えればそれでいい。だが……『アーク』は俺達が先に手に入れる。ジュイスに伝えろ、お前に渡しはしないと」

 

 

 アーク……ボスは勿論、リップやラトラも求めている古代遺物(アーティファクト)か。

 ループ(・・・)に必要不可欠な強力な古代遺物(アーティファクト)だと聞いているが……現状オレはそんなものに興味はない。あるのは今の未来()だ。

 

 

「いいね、そうこなくっちゃ」

「今回は傍観に徹したが、次はこうは行かねえと不労(アンファティーグ)に伝えときな! じゃあな!!」

 

 

 そう言い残しオレ達は逃走する。痛み分けになっちまったが、今欠員が出るのはこっちとしても得策じゃねえ。

 円卓はこっちの手に渡ったし、どうにかなるだろう……そう思っていた。

 この時はまさか今までの人生の中で最も忙しい一か月になるとは、オレは想像もしていなかったのだ。

 

 

 

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 どれくらい時間が経っただろうか。俺は記憶の世界を夢のように眺めていた。

 黙示録(アポカリプス)の言う通り、他の古代遺物(アーティファクト)とは比べ物にならない記憶の量。

 大小様々な出来事の記憶が俺の中に流れて行き、その中には見覚えがあるようで、少し違う記憶も見える。

 様々な出会い、別れ……見覚えのある顔もいれば、全く知らない顔もある。だがどの記憶でも共通して俺とジュイス、そしてヴィクトルが存在していた。

 その記憶の大半で、俺は円卓のⅢ席に座っていた。身に覚えのない記憶だが、何故だが悉く懐かしさを覚えるモノばかりだ。

 そして終わりにはあのリボルバー銃に触れた時と同じ、滅びの記憶。それに加え俺とヴィクトル(・・・・・・・)が共闘している場面、いつも俺はヴィクトルより長く闘えず、炎に包まれながら永い眠りについていた。

 どれくらいその記憶が続いただろう。気が付くと、俺は現実へと引き戻される。目の前には風子に寄り添うアンディがいた。

 

 

「大丈夫か、レイ」

『この野郎……本当に手を緩めやがらねえ……!』

「……ああ。俺はどれだけ意識がトんでた?」

「2、3分だ。その間ずっと黙示録(アポカリプス)を手放そうとしなかったぜ」

 

 

 そんなに経ってたのが……大抵の古代遺物(アーティファクト)は一瞬で終わるものだが、それだけ膨大な記憶が流れ込んでたって事か。ハッキリ言って引き戻された直後ここが現実かどうかすらあやふやになるレベルだった。すぐに否定はされたが、俺やフィルでなければ最悪死んでたぞ……

 

 

「ところで今の状況はどうなっている? ビリー達の姿が消えているが」

「逃げた。そいつ(黙示録)は貸しにするってよ」

「そうか……諦めてはいないんだろう?」

「ああ。奴ら期限までに奪う気満々だったぜ。『アーク』とやらを先に手に入れるともな」

 

 

 やはりそう来るか……今回のクエストをクリアしたとしても、次が受けられなければ全く意味がないからな。

 しかしアーク? 聞いた事がな……いや、さっき見た記憶の中にそんな名前の何かがあったような……ダメだ、記憶が膨大過ぎてすぐには思い出せない。

 

 

「とりあえず黙示録(アポカリプス)を一心の作ったコイツにブチ込んどけ」

 

 

 そう言ってアンディが不壊を付与された小型の檻をこちらに投げてくる。

 掴み続けるのも面倒だったし丁度いいな。さっさと入れるとしよう。

 

 

「今ジュイスがメンバー全員を招集している。お前に休憩は必要ないだろうが、少しは休んどけ。気持ち楽になるぞ」

「悪いなアンディ。まださっきの記憶の余韻が残っていてな。ありがたく休ませてもらう……」

 

 

 

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 束の間の休息の後、メンバーが次々と地上へ集まり、裏切り者であるビリーを除く全員が揃った。

 幸いニコによると痛み分けの作戦に切り替えたおかげで被害状況はそこまでではなく、円卓とバーン以外に奪われたモノもなかったらしい。無益な犠牲を出さずに済んだのは不幸中の幸いと言えよう。

 状況を聞き終えたジュイスは再確認を兼ねて俺達を見渡し、話し始める。

 

 

「集まったな。レイと風子は大丈夫か?」

「意識が飛んでたが俺の方は問題ない」

「ニコ、風子の様子はどうだ?」

「一時的に混乱してるだけだ、じき落ち着く。人間の脳はよく出来ている」

 

 

 アンディの問いかけにニコが答える。不忘(アンフォーゲッタブル)の否定者であるニコが言うと説得力があるな……彼がそう言うのなら風子にも問題はなさそうだ。

 アンディの足元にいる黙示録(アポカリプス)がずっと罵詈雑言をほざいているが、全員それをスルーしそのまま話を進める。俺も以前から抱いていた疑問が溜まっていた所だ、これを機にジュイスから真実を話してもらうとしよう。

歴代不労を見たい?(先代は確定で出します)

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