アンデッドアンラック 不■の否定者   作:獅羅

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No.022 Core of The world(世界の核心)

 

 

「で、質問してもいいか?」

「ああ、その為の時間だ」

 

 

 ジュイスの了承を得たアンディは、自身が疑問に思った事を話し始めた。

 

 

「……最初に違和感を覚えたのは、銀河(ギャラクシー)課題(クエスト)の方針を聞いた時だ。ハナから全課題(クエスト)をクリアするつもりはなく、戦力増強とお前は言った。今思えば随分悠長な話だ。面子が欠けるリスクがあったとはいえ、ラグナロクが迫っているにも関わらず消極的過ぎる」

 

 

 言われてみれば確かに……俺が加入した時から既に何回か同じような事をしていたからその辺りの感覚が麻痺していたな。この疑問は加入して間もないアンディだからこその発想か。

 

 

「ヴィクトールと面識があるようなのも気になってました。あくまでボク達が生まれる以前の英雄として知っているのかとも思いましたが……」

「そこは俺も疑問に思っていた。あの会話はよく見知った相手と話しているようにしか見えなかったし、アンディはアイツ(ヴィクトル)を200年近く出してなかったらしい。明らかに矛盾している」

「レイさんの言う通り、ボクでも矛盾しているのがわかりました……そして彼は銀河(ギャラクシー)の存在を(ルール)の追加前から知っているようだった。まるで存在していた世界を生きていたように見えましたよ」

 

 

 シェンの疑問に俺も混ざりながら疑問を語っていく。

 200年以上も表に出て来ていない男と敵対していながら親しげに話している事も変だが、存在しない(ルール)を知っている事自体あまりにもおかしい。

 

 

「何より俺と戦っていた時のヴィクトルには懐かしさというか……再会を喜ぶような感情を僅かにだが感じた。何故あんな感情を俺にだけ見せて来たのが疑問に思っていたが……黙示録(ヤツ)が見せた記憶でようやく理解出来たよ」

「……アークってのも気になる。そんな古代遺物(アーティファクト)オレ(ユニオン)のデータに入ってねえぞ」

 

 

 俺の言葉に続いてニコが自分の疑問を出す。

 過去にニコのデータベースを漁った事があるが、確かにそんな名前の古代遺物(アーティファクト)の記述はなかったし、それなりの数の古代遺物(アーティファクト)を回収して来たがどの古代遺物(アーティファクト)にもアークに関連する記憶は一切なかった。

 今回黙示録(アポカリプス)から流れ込んだ膨大な記憶を漁れば見つかるかもしれないが、凄まじい年月の記憶からその情報を探すにはあまりにも時間が掛かり過ぎる。今回の課題(クエスト)期間中に見つけるのは困難だろう。

 俺達の疑問を黙って聞いていたジュイスはヘルメットを脱ぎ、その素顔を晒す。一瞬警戒するが、彼女の性格からしてこの状況で不正義(アンジャスティス)を発動するような愚行を侵すとは思えず、構えを解く。

 

 

「大丈夫だ。この状態での能力は、私の正義に対しての問いに答えなければ問題はない」

「ジュイス、この世界はやはり……」

「ああ、この世界は――――ループしている

 

 

 ジュイスからのカミングアウトに様々な反応を示すメンバー達。しかし全員に共通している感情は驚きだろう。

 ……昔から違和感はあった。その違和感が大きくなった切っ掛けはヴィクトルとの戦い。そこから短期間で度重なるように様々な出来事を経験し、違和感はやがて確証へと変わった。

 ループしているというのなら、数々の疑問やさっき得たこの記憶の内容にも説明が付く。

 俺が思案に耽る間もジュイスは話を続ける。

 

 

「―――神の手によって、破壊と再生を繰り返している。幾度となくな。組織(ユニオン)はそれを止めるために私が作った」

「ル、ループ……?」

「この世界が……?」

 

 

 タチアナとチカラが困惑の声を上げる。無理もない、俺ですら様々な証拠を得てやっと確証を持てたのだ。いきなりこんな事を言われても納得しろと言う方が難しい。

 

 

「ループってなんだ?」

「簡単に言えば同じ時間を繰り返す現象の事だ。最近はそういう要素が入っている作品もたくさんある」

 

 

 トップの疑問に俺が答える。トップは日本の戦隊作品を毎週見ているが、ループものの要素がある話はあまりないから分からないのも仕方ないか……とりあえずこれで伝わった筈だ。

 

 

「確認するが、古代遺物(アーティファクト)から流れる記憶は……過去は過去でも、現ループ以前の記憶って事で合ってるんだな?」

「……そうだ。我々、いや……私の敗北の歴史だ」

「違うよ! ジュイスさんがいなかったら」

「だからこそ―――だからこそ集めた! 数多の死を経て出会った……より強い武器、戦士を―――神を殺せる否定者達を!!

 

 

 自虐するジュイスを風子が否定するがそれを遮り力強くジュイスが言葉を発する。

 その言葉は今まで聞いたどの言葉より強い意志を感じた。そして一瞬ジュイスの姿が、中性的な少年のような姿と重なる。その姿は記憶の中で見た過去のジュイスそのものだった。

 

 

「それが本当だとして……何故、お前だけがそれを知っている? 同じ否定者なのに俺達はその事実を知らない」

「知る方法はいくつかあるが……私に限って言えばアークを使い、ループを経験しているからだ」

 

 

 アンディの問いにジュイスが答える。それに続いてジュイスが話した内容は、ループの終わりと始まり方。

 終わる時は(クズ)によって物理的に星を破壊される。宇宙に逃げる手も不可能らしく、どう足掻いても避ける事は出来ない。大方過去のループでそれを実行したのだろうが……聞くまでもなく失敗したようだな。

 そしてある程度の時間を経て新しい地球を(クズ)が作り出す。この際、前ループ時の地球の欠片が残る場合があるらしく、風子の不運で呼び寄せる隕石はそれらしい。

 

 

「次に私のループの証明だが……アンディ。右耳の裏の付け根に、ホクロがあるだろう?」

『は?』

 

 

 ここに来て唐突なカミングアウトがされ、風子がアンディを右耳を引っ張って確認する。

 

 

「あるか?」

「ああ、あるぅ! 確かに見えた!」

「確かにあるな。こんな場所、普通じゃ分からないぞ」

 

 

 俺もアンディの後ろに回り確認した所、確かにジュイスの言っていた場所にホクロが確認出来た。余程親密な関係じゃなければこんなのわからないが……今既視感(デジャヴ)のようにジュイスがヴィクトルの耳を引っ張ってホクロを見ていた記憶が浮かんできた。

 これだけ膨大な記憶だからジュイスが最初に思い浮かべた記憶とは別だとは思うが、どうやら黙示録(ヤツ)によってこういう記憶まで流れて来てるようだ……なんか気まずいな。

 

 

「証拠としては弱いだろうが、前回以前の状況と同じものがあまりなくてな……これで信じてもらえるか?」

「えっ、ちょっ、どゆことなの!?」

「落ち着け」

「おおっ、落ち着いてますけどぉ!?」

 

 

 風子とチカラが顔を赤らめ動揺している。まあこういう身体的特徴が分かっているって事はそういった(・・・・・)事をする仲だと思っても何ら不思議な事ではない。

 

 

「―――俺の時じゃない」

「はへ?」

「……ヴィクトルと、随分仲が良かったんだな」

「…………昔の話だ」

 

 

 その僅かな会話で、かつてジュイスとヴィクトルがどのような関係だったのかハッキリとわかっただろう。

 そして俺が得た膨大な記憶の中で、この二人だけはどの記憶でも健在(・・)であった事が、ある事実を浮き彫りにしていた。

 

 

「よ、要するに」

「落ち着けって」

「落ち着いてますけどぉ!? 世界は何度も壊されて、皆死んじゃって! ジュイスさんだけはアークっていうのを使って! 次の世界へ行ってたって事ですか……!?」

「いや」

 

 

 風子の疑問にジュイスではなく()が答える。ジュイスには悪いが、少し割り込ませてもらう。

 

 

「一人じゃない……ループを経験しているのは、ヴィクトルもだ」

「えっ、どういう事ですかレイさん!?」

「ジュイスの話を思い出してみろ。ループは概念的なものではなく、物理的に行われている。加えて不死(アンデッド)という能力の特性を考えれば、他が死んでもヴィクトルだけは生き延びる事が出来る。いや、出来てしまう……」

 

 

 つまりヴィクトルだけは幾度となく世界が滅んでもずっと死ねずに生き続けて来ている。膨大な年月を掛けて身に付けたものと考えればあの時の圧倒的な力にも説明がつく。

 言ってしまえばこの事実は、ある残酷な真実も明らかにしてしまう。

 

 

「……つまりジュイスはアークで、ヴィクトル(アイツ)は死の(ルール)が足されてからずっと―――この世界で生き続けている。そういう事だな、レイ」

「そうだ。アンディには酷な話だが……」

 

 

 それは世界が終わるレベルのダメージを負ったとしても、死ぬ事が出来ないという真実。どう足搔いても死ねないという最悪の否定を受けたのがヴィクトルであり、アンディなのだ。

 そして二人よりは不完全だが――――これは俺にも(・・・)言える事だ。

歴代不労を見たい?(先代は確定で出します)

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