「………こう見てりゃ、ホント便利なもんだな。アイツらは」
そう呟く老齢の整備兵、ナディ・雪之丞・カッサパたちの視線の先。そこでは鎮座するアーゼナル・ガンダムに群がるプルーマ。複数の無人機はアーゼナル・ガンダムの装甲や駆動部の整備を繰り返し行っていた。
感心したように零したナディの話を聞いていたエイル。彼はアーゼナル・ガンダムのコクピットを弄っていたが、ふと顔を出して口を開いた。
「────違うよ」
「おっ、坊主か。………違うってのは、なんか悪いこと言っちまったか?」
「アイツらじゃなくて、プルーマ。オレの仲間だから、名前で呼んであげて欲しい」
「…………おう、分かったよ………すまねぇな、坊主」
「?気にしてないよ」
アーゼナル・ガンダムの整備を進んでやり始めたエイルに、追従したプルーマたち。未知の存在との交流することになったCGSの者達は、不安を持っているものも多かった。相手が人ですらない機械なのだから、そんな不安や心配も当然だろう。
─────だが、意外にも順応するのは早かった。
「おう!ちょっといいか!コレをそっちに運んで欲しいんだが………」
『─────』
『───、────』
「ん、これか。ああ、どうぞ」
少年兵たちと確かに交流するプルーマ。元々人間としての扱いをされてこなかった少年たちは、すぐにもプルーマとの気軽に接するようになった。自分達を利用し、見下してきた大人たちとは違い、悪意や敵意を感じないだけ接しやすいのだろう。モビルワーカーを使って運ぶような重機を運ぶのを手伝ったり、小さな部品を渡したりなど、確かに関係を深めていた。
「………おぉ、本当にバルバトスと同じだ」
「ん、その声。あの白い機体のパイロットさん?」
「そうだけど………そういうアンタは、あの赤い機体の人だね」
突然下から聞こえてきた声に、エイルは思わず反応を示す。そこにいたのは、少年兵達と同じ制服を着崩した少年だった。表情の機敏が見られない、エイルとは違う意味で感情起伏が見られない人物に思えた。近くに飛び降りたエイルに、彼は挨拶をした。
「三日月・オーガス。アンタが仲間になるって聞いたから、挨拶をしようと思ってた。よろしく」
「オレはエイル………アレ、三日月?オルガって人からはミカって呼ばれた気がするけど」
「まぁ、オルガとは長い付き合いだから………握手、したいの?」
「うん、あっ………手洗ったほうがいい?」
「いいよ、別に。おっちゃんの手伝いもしたかったとこだし」
整備したばかりの手で握手するのは失礼かと思ったが、三日月はそう気にしなかったらしい。手を握って挨拶を交わしたエイルは、自分と似てるようで違う少年を見ていたところ、後ろにいた女性にも気付いた。
「そちらの人も、始めましてだね。オレはエイル」
「あ、はい!クーデリア・藍那・バーンスタインと言います!よろしくお願いします!エイルさん!」
「ん、よろしく………あ、でも手が」
「……いえ、構いませんので!」
「そっか、分かった。よろしくね、クーデリアさん」
思わず引こうとしたエイルに、クーデリアは気にしないと言わんばかりに手を差し出した。ここで無理矢理拒否するのは逆に迷惑だと判断し、エイルはそのまま握手を交わした。
彼女の方が逆に面食らっていた。立場が違うことを理解していないような、気軽に接してくれる彼の様子が気になったのか、疑問を吐露していた。
「………あの、気にしないのですか?」
「ん、何が?…………んん?」
「え、あ、あの……………」
「─────いい匂いだ、セスティアと同じ」
スッ、と顔を近付けたエイル。突然の事に戸惑っていたクーデリアは、感情の起伏がないエイルの発した言葉に、「えぇ!?」顔を真っ赤にして飛び退いた。そんな彼女の対応に、エイルは不思議そうに首を傾げ、隣にいた三日月に呟いた。
「どうしたのかな?何か悪いこと言ったかな」
「…………女の子の匂いを嗅ぐのは駄目だって、アトラが言ってた」
「そうなの?駄目なことなら、気を付けないと」
「まぁ、そうだね」
─────感情の起伏が薄い二人は、そんなところで共感するのだった。
◇◆◇
【─────CGS、もとい『鉄華団』の発送が決定したが、我々には今後の事を考えなければならない】
オルガの主導により、CGSの乗っ取りは完了し、CGSはこれから『鉄華団』と名を改めることになった。その事を受け入れたセスティアであったが、主要ともなるオルガたちと彼女に『アザゼル』はそう切り出した。
「今後の事、それもそうだな………」
【『鉄華団』となった我々だが、その立ち位置は非常に難しいものであると定義する。ギャラルホルンとレガリア神聖教団、この二勢力が我々を、前CGS兼鉄華団への攻撃を行っている。我々はこの二大勢力へ対抗するべく、組織として後ろ盾を得るか、戦力増強するべきだと判断する】
「私としても、同じ考えです。ですが、まずはギャラルホルンとレガリア神聖教団の目的を探るべきでは?」
『アザゼル』の言葉に賛同したセスティアにより、話の流れは相手方の動きの問題に移る。その話を真剣に聞いていた少年、ビスケットはオルガと共に思案する。
「ギャラルホルンの方は、クーデリアさんを狙ってるのは分かってる。問題はレガリア神聖教団だ。教団はギャラルホルンと講和関係ではあるけど、互い競合関係みたいな立ち位置にもある…………正直、今回の作戦で協力した理由が分からないんだ」
「………お嬢さんが目的なら、あんな数のモビルスーツで来るわけがねぇ。しかもあのグレイズは重装備だった、ギャラルホルンのグレイズですら軽装備だってのに…………何と戦うつもりで、あんだけ準備してたんだ?」
「─────ガンダム、とか?」
周囲の空気を無視して切り出したのは、睦美であった。ビスケットと共に唯一教育を受けてきた、数少ない少年兵。ヒューマンデブリのグループでの参謀役を担う軽薄そうな少年の言葉に、オルガは深い溜息を漏らした。
「………睦美、冗談が過ぎるぞ。まさか連中がバルバトスの存在を知って、襲ってきたっていうのか?アイツはずっとCGSの極秘だったんだぞ?」
「そこは俺も分かんないけど………理由ならあるんだよね、連中がバルバトスを狙う理由」
「…………その理由ってのは?」
「─────悪魔、だからかな」
ふと、『アザゼル』の空気が変わった気がした。
オルガもその言葉に怪訝そうになりながらも、素直に話を聞くことにした。睦美は軽い調子が目立つ少年だが、ビスケット同様頭の切れがいいタイプだ。何らかの理由があっての発言と察した上で、聞くことにしたのだ。
「これは俺がお店で働いてる可愛い子ちゃんと一緒に遊んだ時………お偉い官僚さんが酔っ払った時に話したっていう話なんだけどさ」
「…………お前なぁ」
「─────レガリア神聖教団の裏側、っていうか軍部に所属する人間は、ガンダム・フレームを排除するように教育されてるんだって。前にも発掘されたガンダム・フレームを大急ぎで解体したんだって………まぁそのフレームで新型を作ってるみたいだけど」
「………ねぇ、睦美。君って彼女居るんじゃなかった?」
ビクッ! と、青ざめた睦美は何のことかと誤魔化し始めた。だが、その情報に嘘はないことは確かだ。睦美が他者から引き出す情報は、基本的に間違いだったことはない。彼はそういう情報を手に入れた時は慎重に対応し、情報の正誤を判断してから報告するタイプである。
こうして会議の場で出せるということは、彼自身間違いではないと断言できるからこそ、なのだろう。
「何より、レガリア神聖教団は『阿頼耶識』を忌避してる。ギャラルホルンとは違った別の意味、人道を軽視した呪いのシステムとして、パイロットの命すら奪う技術ってことで、忌み嫌ってるのさ。─────もし、連中がバルバトスの情報を聞いて、破壊しに来たとしても、可笑しくはないでしょ?」
「そうだとしても、だ。連中がバルバトスを破壊する為に来たって、根拠はどうする?奴等がどうやってバルバトスの情報を知ったのか、俺達には分からないだろ─────」
「信者、いたんじゃない?CGSに」
居たとしても、もう意味はないだろう。
鉄華団に残っているのは、苦楽を共にした少年兵やヒューマンデブリや一部の老人や怪我人のみ。他の社員は既に退職していったり、あの世にいった者が殆どである。少なくとも、内通していた誰かは死んでいる可能性の方が高い。
【─────彼の話、信憑性がありうる。そう仮定した上で、レガリア教団への警戒を高めるべきと仮定】
「………いいのか?連中と事を起こすのは流石に厳しいと思うぜ」
【元より、対話による和解は不可能と断定。彼等はCGSへの、バルバトスへの勧告無しの攻撃を行った。話し合いを求めたとしてもバルバトスを要求されるだけ、もしくは問答無用の殲滅が行われる可能性が大である】
そうして話し合いは最終的に、ギャラルホルンとレガリア神聖教団との抗争を前向きに見た上で動くべきだと決まった。ほの直後、『アザゼル』は【我々から一つ、提案がある】と切り出した。
【─────我々が捕縛したギャラルホルンの捕虜二名。我々『アザゼル』は判断の結果、勧誘するべきではないか、と考案する】
◇◆◇
ギャラルホルン。
火星支部とのコンタクトを終えたばかりの艦艇。組織内部の調査や監査を任される監査部所属であるマクギリス・ファリドに、友であるガエリオ・ボードウィンが問い掛けた。
「─────いいのか?マクギリス」
「何がだ?ガエリオ」
「さっきの話だ、コーラルのやり方を認可しただろ。アレでは体よく利用されるだけじゃないのか?」
「…………利用するのは此方の方さ。ギャラルホルンの腐敗をどうにかする為にも、まず奴にはやらかしてもらう必要がある。その為にも、敢えて見逃すべきなのさ」
部下を使い、CGSを襲撃させた張本人である火星支部のコーラル・コンラッド。彼の汚職の証拠を集めていたマクギリス達であったが、彼の言い分を聞いたマクギリスは一時期見逃すような対応をしたのだ。
そんな親友のやり方に、ガエリオは不満を顕にした。セブンスターズ直系のボンボンではあるが、正義感は強く、ギャラルホルンの腐敗への憤りは本物である彼にとって、目の前での悪事を無視することは容認し難いのだろう。
だが、そんな親友を宥め、マクギリスは笑みを含みながら告げた。
「その事については、私達の後輩を交えて話すとしようか」
「………アイツかぁ、そういえば今は何してるんだ?」
「─────新型のテストさ。聞いているだろう?」
二人がそう言って、格納庫へと辿り付く。そこにあったのは、複数のグレイズと、明らかに違うモビルスーツ。騎士の甲冑のような金属質な装甲を身に纏う機体、黄金の装飾を身に纏うソレは、ギャラルホルンとは違う外部組織のテスト仕様機であった。
「中々、良い見た目だな。まぁ俺達のグレイズの方がイカしてるとは思うが」
「………この新型も悪くはないと思うぞ。それに、あのレガリア教団系列の開発した新型フレームだ。性能もシュヴァルベ以上と言っても過言ではないだろう」
「そこまで言うか?この機体………なんて名前だったか」
「─────セイント・ゼーヴェル」
そんな声が、銀色のモビルスーツから響く。コクピットから降りてきた少年がヘルメットを脱いで、機体と同じ銀色の髪を振り払う。冷めた瞳で2人を見据えた青年が、口を開く。
「レガリア教団系列企業サンクチュアリー社開発の新型フレーム、セイント・フレームの試作機。コイツはアンタ達グレイズよりも優れたハイスペック機として作られたんですよ、パイセン」
「………ヴェスタか」
ヴェスタ・レヴィン。
ギャラルホルン所属の軍人ではあるが、厳密には外部から派遣されたテストパイロットという立ち位置でもある。何より厄介なのが、彼のもう一つの所属がレガリア神聖教団系列の企業であること。
ギャラルホルンとレガリア教団の衝突、その後の和解によりレガリア教団は技術共有ということで新型フレームのテスト機とそのパイロットに選んだのが、ヴェスタ・レヴィンであった。
特殊な立ち位置である彼には上官と呼べる相手がいない。厳密に言えば、監査部であるマクギリスやガエリオが直近の上官ということになるのだが。
「やぁ、ヴェスタ。新型の調子はどうかな?」
「あ、マクギリス先輩………中々使いやすいですよ。スラスター出力もグレイズを軽く超えて、慣らすのは大変でした。レールガンの方も出力がえげつなくて……………アレ、対人戦に使うもんじゃないですよ」
そう言い、タブレットに記載されたデータを確認するヴェスタ。彼の報告を受けたマクギリスは鎮座するモビルスーツを眺め、笑みを深める。
「武装も含めて、中々のじゃじゃ馬らしい。それで?新型の装甲はどうだった?」
「─────サンクチュアリー社の言う通り、鉄壁ですね。銃砲なんかじゃ傷一つ付きませんでした。まぁ、結局は実戦次第だと思いますが」
「そうか。だが、すぐにでも君の力を借りることになる。その時には君とセイント・ゼーヴェルに暴れてもらおう」
お任せを、と真面目に応えるヴェスタ。そんな彼の対応にガエリオは半ば納得いってない様子で、ため息を漏らしていた。
「お前なぁ………何と言うか、俺とマクギリスで対応が違わないか?」
「そりゃそうですよ。俺は認めた相手に敬意を向けてるつもりです。常に気配りしてくださるマクギリス先輩と、抜けてるとこの多いガエリオパイセン、比べることこそ失礼だと思ってます」
「俺、一応お前の上官なんだが!?」
「えぇ、一応ですね」
────舐められてる、そう思うガエリオの気持ちは間違いではないのかもしれない。無論、ヴェスタもガエリオを完全に見下したり、馬鹿にしてはいない。良くも悪くも感情的であり、地球出身でも差別しないガエリオを上司として認めているところはある。
────ただ、差別や偏見が拭えてないお坊ちゃんであることは良くないと思っているのだが。
「ホントに生意気だな!?ああ、もう分かった!次の出撃の時に、一緒に出てやる!お前より良い戦績出して、見返してやるからな!」
「─────ガキくさっ」
「フッ、そこがあの男のいいところでもある」
「………まぁ、そこは同感ですけど」
そう言って去っていったガエリオに、呆れたようにため息を漏らすヴェスタ。友人のフォローしたマクギリスだが、ヴェスタは特に否定せず肯定する。
そんな彼を見ていたマクギリスは、ふと切り出した。、
「ヴェスタ、君に聞きたいことがある」
「………何ですか?」
「火星支部長のコーラルが主導したCGSへの攻撃に、レガリア教団の騎士隊が参加したらしい。君の方で何か聞いているか?」
顔をしかめたヴェスタは、初めて聞いたと言わんばかりの反応であった。しかしすぐに首を振って、腐てくれたようにヴェスタは吐き捨てる。
「知りませんよ、俺は………連中とは違いますし」
「そうか。なら信じよう」
後輩の気遣いをしたマクギリスは、静かに目を細める。銀色のテスト機体、セイント・ゼーヴェルに刻まれた装飾。レガリア教団を示す刻印を、睨み見据えるのだった。
◇◆◇
「─────誰か!誰かいないか!?」
民間船────に偽装した、レガリア教団所有の武装艦。火星に向かう為に部下を引き連れて乗り込んだ母艦に帰還した騎士隊の隊長 エリオットは慌てた様子で呼び掛けた。
しかし、整備兵しかいない格納庫から飛び出したエリオットを迎える者はいない。
「神官!神官は何処だ!?────ええい!女皇猊下にお目通りすべき話があるというのに!」
「…………お母様に、何を伝えるって?」
返事に返ってこない廊下を歩いていたエリオットを出迎えたのは、一人の少年であった。金髪と顔に刻まれた刻印が特徴的な、幼さなが残った少年。
「あ、貴方は!ユダ様!?」
「………止めてよ、その名前で呼ぶの。好きじゃないんだよね、裏切り者の名前じゃん、ソレ」
アスター・H・クレイシア。
レガリア教団のトップ ジブリエール女皇の子供の一人。他三人の兄妹はモビルスーツのパイロットとして実戦で動ける程に優れているが、サミュエルだけはあくまでも事務担当。他の兄妹とは違い、策謀や暗躍をすることが多い人物でもある。
旧歴時代の聖書での聖人の一人────その中でも、裏切りの代名詞とされる二つ名を与えられた少年は、自身の名を快くは思っていなかった。大体皆に呼ばせる名は『アスター』等であり、ユダと呼ばれることは極力嫌がる。
明らかに機嫌を悪くしたように顔をしかめる少年に、エリオットは慌てて頭を下げた。
「もっ、申し訳ありません!アスター殿下!…………で、殿下は何故ここへ?地球の本部にいたのでは?」
「後始末をしに来たんだよ。…………それで?エリオット騎士隊長、お母様からお借りした騎士隊メンバー、全滅させたの?何があったか、教えてくれるかな?」
エリオットは、すぐに悟った。
目の前に現れた少年が実態を犯したエリオットを裁く処刑人にもなりかねない立ち位置に居ると。仲間を見捨てて生き延びた理由を懇切丁寧に話せ、と少年は暗に言っていた。
自分が既に詰んでいる状況であると、エリオットは察していた。その見を包んだ恐怖は保身によるものではない。ただ純粋に、信仰心故の恐怖────自分のミスで神に、徐晃に失望されることへの恐怖が、何倍も強かった。
だからこそ、エリオットは誤魔化さずにすべてを話した。自分達の邪魔をした、もう一機のガンダム・フレームの存在を。
「真紅のガンダム・フレーム、機体コードは?」
「………『アーゼナル』、と」
「フム、聞いたこともないコードだ。既存のガンダム・フレームとも違う………正真正銘イレギュラーか」
「この事を、女皇猊下にお伝えすべきでは!?悪魔のモビルスーツがもう一機も現れたとなると、これは一大事!ギャラルホルンと手を組んででも、一刻も早くあの悪魔どもを────」
「────お母様にお伝えする必要はないよ」
乾いた銃声が、木霊した。
は?と呟いたエリオットの胴体に穴が開く。腹を狙って撃ち抜かれた弾丸は、彼の肉を容赦なく食い破っていた。何を、と口走ろうとしたエリオットは全身が動かないことに気づいたときには、音を立てて崩れ落ちていた。
「困るんだよね、ギャラルホルンと手を組まれちゃ。こっちにもこっちの都合があるの。律儀に計画を立ててる僕の気持ち、少しは考えてほしいね」
「────」
「ああ、何故って言いたげだね?理由なんかないよ?強いて言えば────僕の考えた、計画の為さ。丁度連中に渡す被験体が無くってさ、失敗した君に責任取ってもらおうと思ったの」
拳銃を手にしたアスターは、そう冷たく告げる。パチン!と指を鳴らした途端、現れたのは顔を隠した神官らしき者達。彼等は手際の良い動きでエリオットを拘束し、そのまま運び出していく。
「────いつもの船で送って。貴重な被験体だから有意義に使え、とも言っといて」
神官たちは答えないが、頷いていた。そのまま彼等が消えてようやく、アスターは深い溜め息を漏らす。顔をしかめたアスターは不愉快そうに、呟く。
「ガンダム・フレーム………忌々しい悪魔、旧時代の遺物風情が」
そう吐き捨てたのも一瞬。アスターはすぐに素の表情へと戻り、冷静に思考を回し始めた。
「悪魔狩り………いや、兄さん達を動かすか。いや、まだ早いな。タイミングを見てやるべきだ、連中には人類側をかき乱す因子として有効活用させてもらおう」
深く思案しながら、少年は闇の中へと消えていく。密かに暗躍するかのように、策謀を働かせたユダの聖名を持つ少年は誰にも知られぬ間、大きな陰謀を秘めるのだった。
オリキャラ解説
睦美・スカイウェイブ
CGSもとい鉄華団の一員。ヒューマンデブリの一人であり、CGS内のヒューマンデブリ組の中でも参謀とも呼べる立ち位置におり、リーダー格である昭弘・アルトランドと腐れ縁の親友でもある。
軽薄そうな態度とは裏腹に、人心共に良く把握できる人物でもある。その為、スパイ活動が得意で、上司や或いは外部から多くの情報を引き出してきたプロ。ビスケット同様、勉学を受けてきた経験があるため、彼共々策や方針を練る事が多い。
尚、本命の彼女がいるらしく、関係は良好。しかし女遊び(情報収集の為)で怒らせることが多く、そうなった場合は大体オルガや昭弘に泣きつくことが大半である。
ヴェスタ・レヴィン
ギャラルホルン所属の軍人。正式な軍人ではあるが、外部企業であるサンクチュアリー社からテストパイロットとして派遣されたという、複雑な立場でもある。その事と本人の気質もあり、ギャラルホルン内部での扱いは厳しく、腫れ物として扱われてきた結果、今現在は監査部かつセブンスターズのガエリオとマクギリスの部下として扱われている。
基本的に大人びた雰囲気の漂う少年であるが、本質は強い正義感を持つ人物でもある。ギャラルホルンの腐敗に憤りを覚えており、その原因である移植した人間やギャラルホルンの腐敗の中心でもある貴族、セブンスターズへの不信が強い。
直近の上司であるマクギリスやガエリオを敵視せず、上司として信頼しているが、ガエリオへの態度は雑だったりする。実際にはガエリオも同じように尊敬はしている(差別や偏見に関して呆れているだけで)
搭乗する機体は、セイント・ゼーヴェル。サンクチュアリー社が開発した新型フレームの試作一号機であり、ヴェスタの専用機。
本編でも語っていましたが、クランクやアインは現在鉄華団の捕虜になってます。なのでクランクさんが決闘で死ぬことも、アインが機体と融合することありません(良かった)
場合によっては二人も味方入りします。次回もよろしくお願いします、それでは!