『三好in恋姫(再リメイク)』   作:零戦

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10話で終わらなかった……


第十話 心変わり、蜂起

 

 

 

 

 

「袁紹が五月蝿いんだが……」

「それに消費が激しいですねー」

「声が甲高い……五月蝿い……」

「声を聞くだけで気分が悪くなりますぞ!!」

「それはやめたれねね」

 

 袁紹一行を引き取ってから数日、将和のところに袁紹への苦情が1日5件は舞い込んできていた。その度に将和は政務を中断して被害を被った者へ謝罪をしていたりしていたのだ。

 

「どうすっかなぁ……」

 

 悩む将和であったが解決策が無いまま更に数日後、たまたま城内の廊下を歩いていると前方から笑う袁紹達がいた。

 

「オーッホッホッホッホッホ!! 斗詩さん、猪々子さん。今日も良い天気ですから街に繰り出しますわよ!!」

「あ、あの姫……ちょっとは控えた方が……」

「駄目だよ斗詩、言っても聞かないよ……」

「で、でもぉ……」

(可哀想にな斗詩……)

 

 ブレーキ役が自分しかいないので何とも言えない斗詩に将和は合掌する。そして将和に気付いた袁紹は笑いながら歩いてくる。

 

「オーッホッホッホッホッホ!! 誰かと思えば三好さんじゃありませんか」

「街に繰り出すのは良いが程々にしとくんだぞ」

「あら、私を誰だと存じますの? 袁家の袁・本・初ですわ!! オーッホッホッホッホッホ!!」

「いや意味分からん」

「すみませんすみません」

 

 将和の言葉に斗詩が頭を下げるのであった。そして夕方、街からの報告が舞い込んできた。

 

「はぁ? また袁紹がやったって?」

「はい。今度は街の往来で御輿に担いでやってもらったとか」

「…………………袁紹を呼んできて」

 

 七乃の報告に将和は頭を抱えながら袁紹を呼び出す。呼び出された袁紹は自分は悪くないと言い張る。

 

「私は悪くありませんわ!! 美羽さんがちゃんと整備しておかないからですわ!!」

「ッ」

「大体美羽さんは何処にいるんですの? 私が来たというのに会わないとはどういう了見ですの?」

「…………………」

 

 将和は斗詩と猪々子に視線を向けるが2人は揃ってを首を左右に振る。

 

「その……知らせてないんです……」

「……………………」

 

 斗詩の言葉に将和は溜め息を吐き、袁紹に近寄りーーそのまま右頬を叩いたのである。

 

『なッ!?』

 

 驚く斗詩らを他所に将和は今度は左頬を叩く。

 

「な、何をするんですの!? わ、私は袁家ーーーヒギィッ!?」

「殴らないだけマシだろ」

 

 非難を挙げる袁紹に将和はそう切り捨て両の頬を叩いていき結果として見るも無残に膨れ上がった袁紹の顔が出来たのである。(ディーゼルマインのリョナ系も大好きです。おい馬鹿やめろ)

 なお、猪々子は大刀に手を掛けるがそれは斗詩に抑えられていた。

 

(駄目だよ猪々子ちゃん。これは麗羽様の事なんだから)

(けど斗詩……)

(駄目だよ……駄目なんだよ……)

 

 猪々子は自身を掴む斗詩の腕が震えている事に気付き、抵抗するのはやめた。此処は斗詩を信じる事にしたのである。

 粗方叩き終えた将和はそのまま袁紹の首根っこを掴んである場所へと赴く。袁紹は抵抗しようとするが更に叩かれるので抵抗はやめて大人しくしていた。

 そしてとある部屋を開ける。そこは美羽が生前に暮らしていた部屋であり、机の上には花束と焼香、焼香の前に箱があった。

 

「おら、文句言えよ。美羽はそこにいるぞ」

「ッ」

 

 将和の言葉に袁紹は驚愕の表情を浮かべて将和に視線を向ける。

 

「ま、まさか美羽さんは……」

「斗詩に礼を言っとけよ。放浪中に死んだ事を聞いてたら立ち直れないだろ」

 

 将和の言葉を他所に袁紹はヨロヨロと歩き、机の下に行く。机には他にも美羽が髪留めをしていた紫の布に将和が贈った簪が置かれていた。袁紹はそれらに目を見つつ箱をゆっくりと開ける。

 そこには火葬して骨になった美羽が納められていた。

 

「……ウッ……」

「吐くなら外で吐け。美羽の部屋が汚くなる」

 

 将和は袁紹を外に連れ出すと袁紹は廊下で戻した。胃の中のモノを出しきると袁紹は再び部屋に戻り無言の美羽と久しぶりの再会をしたのである。

 

「美羽さん……美羽さんッ……美羽さんッ……」

 

 袁紹は骨になった頭を抱きしめ涙を流す。5分程、嗚咽を漏らしていた袁紹だが骨を箱に納めると将和にキッと視線を向ける。

 

「どうして……どうして美羽さんを見殺しにしたんですか……」

「あ、馬鹿……」

 

 猪々子がそう言い終える前に将和は全力で袁紹の右頬に右ストレートを叩き込み、袁紹は飛んで壁に叩きつけられた。

 

「もういっぺん……もういっぺん言ってみろやクソガキ? あ? 誰が誰を見殺しにしたって?」

「ぁ……ぁ……」

 

 ツカツカと歩いてくる将和に袁紹は後退りをするが直ぐに壁に当たり行き場を失ってしまう。

 

「………………」

「ぁ……ぁ………ッ」

 

 歩いてくる将和の威圧に耐えきれなくなりとうとう意識を強制シャットダウンして気絶する袁紹。その拍子に股から黄色液体が流れ出てきたが将和は気にしない事にした。

 

「顔良、悪いが部屋の掃除を頼む」

「は、はい……」

「………兄ちゃん……」

「何だ?」

「……啼いてんのか?」

「……………後悔は当の昔に終えたと思っていた……詰めの甘さだ……」

 

 猪々子に問いに将和はそう返して部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

「袁紹、どうすっかなぁ……」

 

 深夜、裸の将和は布団に潜りながらそう呟く。なお、左右の隣には一戦を終えたばかりの風鈴(盧植)と楼杏(張郃。元は皇甫嵩)がいたりする。

 

「二通り……しかないですね。一つはこのまま置く、一つは路銀を渡して放り出す……それですね」

「だよなぁ……」

「仕方ないわね。袁紹の性格を考えたらそれが妥当でしょ」

 

 風鈴の案に将和と楼杏も頷く。

 

「ですが決めるのは袁紹自身になるでしょうね。私達からとやかく言えば凝りが残りますから」

「まぁ、そうなるな」

「……フンッ」

「ゲフッ」

 

 将和の表情を見ていた楼杏は将和に身体を寄りかかって馬乗りになる。

 

「貴方なら大丈夫よ……」

「……ありがとう楼杏」

「あー、狡いですよ楼杏。将和さん、私もですよ」

「はいはい」

 

 楼杏を抱きしめる将和に風鈴が非難の声を出しながら胸を押し付けるのである。

 

「あ、そういや北郷や劉備らの誘いは大丈夫か?」

「相変わらず誘いは多いですね。私はもう三好家入りをしていると言っているのですが……」

 

 武器と糧食の提供を受けた劉備軍は再編成して蜀入りの準備を進めていたが、北郷や劉備らは元々正史や三国志演義で蜀入りをしていた星、紫苑等に仲間にならないかのアプローチをしていた。更には風鈴や恋等にも声をかけていたが全員が仲間入りを明確に拒否している。しかし、明確に拒否しているのにも関わらず、北郷や劉備達は諦めずに何度も話をしてくるので全員が飽き飽きしていたのである。

 

「……これ以上、そういう話をするんだったら提供を止めるか」

「それが良いですね。それにあの北郷とか言う天の御使い、視線がいやらしいんですよね」

「……俺も同類な気が……」

「貴方はその分、将としての義務を果たしているじゃないの。何なら他の国にいる天の御使いもそんなに仕事していないらしいし」

 

 蜀と呉は種馬、魏は警邏隊とちゃんと仕事しているのか分からない状態である。(恐らく魏はちゃんとやってると思われ)

 

「……まだガキって事だな」

 

 将和はそう呟きながら2人と再度夜戦を開始し翌朝、窶れた将和がいたのであった。それはさておき、将和は軍議にて新たな拠点の移転を提案した。

 

「移転となると……場所は何処になるのですか?」

「俺としては長沙と思っている。南陽も良い場所なんだが、曹操が拠点としている許昌から近いんだ」

「確かにそうですねぇ。それに後の交州攻略を考えるとなると中間の方が良いですねぇ」

 

 将和の案に隠も賛成する。

 

「そうなると此処にはどの部隊を?」

「………王平の第五師団だな」

「……成る程。ですね」

「あぁ。それに楼嶺(鄧芝)をも付ける」

「御意。曹操達を監視しましょう」

「南郡にいる劉備軍の監視はどうしますか?」

「……第四師団の風鈴で良いだろう。もし、劉備がやった時に知り合いの風鈴を置いておけば無闇に攻める事はしないだろうな」

 

 この時、劉備軍は益州に近い場所という事で巫県に軍を構えていた。劉備の知り合いである風鈴を置けばそう易々と蜂起はしないだろう。そう思われていたのである。

 

「それと劉備軍で気になる情報が……」

「気になる情報?」

「はい。あくまでも未確認情報ですが劉備軍が丹水の城に蔡瑁の一族を迎え入れたとか……」

「何? 蔡瑁の一族だと?」

 

 七乃からの報告に将和は目を見開いた。

 

「蔡氏の誰だ?」

「まだ確定ではありませんが……蔡琰と蔡瓚とか……」

「チッ、蔡氏の生き残りがまだいたか」

 

 美羽が荊州を攻略した際に蔡氏に連なる者は追放又は処刑としていたがそれで難を逃れて隠れている者がいたのだろう。

 

「いっその事、蔡氏の生き残りがいれば差し出せと伝えますか?」

「いや、ややこしくなるかもしれん。それにまだ確定では無いからな」

「ですね」

 

 そして交州の鬱林郡と蒼梧郡にはそれぞれ楼杏の第一師団、猫(華雄)の第三師団を置き、いつでも交州攻略の続きが出来るように展開したのである。

 

「え? 袁紹が面会したいと?」

「そうなんです。何やら言葉口調も変わりましたし……」

 

 包からの報告に将和は首を傾げる。

 

(大人しくするから置いていてほしい……という事かね……)

 

 将和はそう思いながら会う事にするが入ってきた袁紹を見て将和は目を見開いた。

 いつもはクルクルドリルの髪形をしていたのにどうだ、サイドのクルクルドリルは健在だったが背中のクルクルドリルは止めて逆に髪を切って短くしていたのだ。

 

「……三好様、この度は面会して頂き真に感謝致します」

「………お、おぅ」

 

 口調も変化していたので流石の将和も慌てて喋る。

 

「先日、私の発言で三好様も気分を害されたと思います」

「…………………」

「私はあの時まで……美羽さんが生きていると思い、現実を知りました。三好様には大変ご迷惑をおかけしました」

「……それで?」

「……真に恐縮では有りますが、引き続き私達をこのまま三好家に置かして頂きたく存じます。また、それに合わせて三好様に忠誠を誓います」

「……袁本初が俺の為に動く……そういう認識で良いのか?」

「御意」

「……袁紹、何かを見たのか?」

「……三好様からのあれから以降、再度街に赴き民の様子を見ました。南陽の民は私がいた冀州の民よりも笑顔が溢れておりました。民からの話を聞き、全ては美羽さんが力を入れて民の為の政をしたと伺いました。私は……私は何をしていたのだろうと……」

「………………」

「私より幼子の彼女は民の為に知恵を出し、私は贅沢三昧……そんな事を繰り返していた自分自身に腹が立ち、情けなくなりました」

 

 そして袁紹は将和に土下座をする。

 

「勝手な願いだとは十分に承知していますわ。あの子が、美羽さんが生きた証を私は眼に、記憶に焼き付けたいのですわ!!」

「………………」

 

 土下座をする袁紹に将和はフッと微笑んだ。そして土下座する袁紹を抱えて立たせた。

 

「キャッ!?」

「……女がそう簡単に土下座をするな。お前の綺麗が失われるぞ」

「……………………」

 

 将和の言葉に袁紹は顔を赤らめるが将和の隣にいた七乃が「あぁ、また引っ掛けましたねぇ」という表情をしていた。なお、その後は真名を交換して袁紹を『麗羽』と呼ぶようになるのであった。

 また、斗詩と猪々子も部隊編成をさせるのであるが猪々子は師団長を辞退(難しい話は分からないとの事)したので斗詩を第六師団長にして副師団長に猪々子を任命するのである。

 そんな日々を数ヶ月過ごしていた日であった。

 

「曹操も遂に幽州も保有したか」

「相も変わらずか。これで兗州、青州、冀州、徐州、并州の六つか」

「兵力も大幅に増加されるでしょう」

 

 この時、荊州の軍備も15万程度の軍勢を用意可能であり、更にもう数ヶ月待てば30万は余裕に編成出来るのであった。

 

「まぁそうなるわな。取り敢えずは軍備の増強をーーー」

「失礼します!!」

 

 軍議中、兵士が入ってきた。

 

「どうした?」

「は、反乱です!! 巫県で編成途中だった劉備軍が三好家へ反乱すると通達!! 既に秭帰県、佷山県、夷陵県等が占拠されました!!」

『ッ』

 

 兵士からの報告に将和達は腰を浮かせた。

 

「あのクソ野郎ども……やりやがったな!?」

 

 将和も思わず叫んだ。包は直ぐに具申した。

 

「将和様、直ちに軍の派遣を!!」

「……待て。派遣は直卒隊に即応機動師団、第一遊撃機動師団だけだ」

「で、ですが……」

「霞の第二師団まで出すと孫呉が出てくるかもしれん」

「成る程。挟撃される可能性ですねぇ」

「そういう事だ。七乃は全体の統括という事で移動予定の長沙で全面的に支援に当たってくれ」

「御意。諜報も駆使して色々やってみます」

「あぁ。特に後方での破壊活動もしてほしい」

 

 斯くして将和は軍勢を整えると出陣した。直卒隊12000、第一遊撃機動師団20000、即応機動師団20000となっており将和らはそのまま夷陵に向かうのである。夷陵では劉備軍の先方隊となっている関羽が率いる15000が展開していた。15000と言っても8000近くは徴兵したばかりの兵士達でありその練度には不安が残っていた。

 なお、劉備達はそのまま主力となる28000で白帝城に進み、見事攻略に成功するのである。

 

「桃香様やご主人様達は成功された……ならば私も成功させねばならぬ!!」

 

 関羽の目的は進撃してくるであろう荊州軍への守備であった。そして自分が此処で粘れば粘る程、劉備達の蜀入りは進み時を稼げるのである。

 なお、将和達からにしてみれば「いや、普通に蜀攻めろや。わざわざ此処で蜂起する理由なんて無いだろ」と一蹴である。むしろ何で蜂起したんだよとなるだろう。

 

「取り敢えずは一当てしてみてからだな……」

 

 夷陵城から20里までに到着すると軍議にて将和はそう話す。星達も特に反対意見は無かったので翌朝に攻撃となったが将和は警戒は厳にする事にした。

 

「多分関羽の事だから夜襲すると思うから警戒は厳にな」

「関羽の事だからするだろうな……」

(何気に関羽=夜襲になっているが……てか正史も玄徳とかやってたよな)

 

 そう思う将和であった。そして本当に夜襲に来た関羽の軍勢だった。しかし、警戒していた事もあり関羽は奇襲での夜襲が出来ず一当てしてそのまま退却したのである。

 

「無理と思ったら直ぐに引く勇気と決断……惜しいなぁ、何であんなクソな勢力にいるんだよ……」

 

 退却していく関羽隊を見つつそう呟く将和であった。そして翌朝、将和の軍勢は夷陵城から10里まで進軍すると偵察隊から夷陵城から関羽の軍勢が此方に向かって出撃しているとの報告を受ける。

 

「関羽は迎え撃つつもりだな」

「策を労しますか?」

「あぁ。包ならどうする?」

「………恋さんと泠牙(廖化)の師団は山あいに潜んでもらいます。関羽と相手とするのは将和様の直卒隊です。恋さんと泠牙は我々が関羽を相手している間に夷陵城を攻めて此れを占領してもらいます」

「ん。妥当な線だな、それでいこう」

 

 斯くして荊州軍は布陣を整え、関羽隊と正面から激突するのであった。

 

 

 

 

 




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