『三好in恋姫(再リメイク)』   作:零戦

11 / 16
第十一話 捕虜、交州再攻略、堕ちた先

 

 

 

 

 

 夷陵の戦いは荊州軍の勝利に終わった。将和の直卒隊と関羽隊は真正面から激突し両軍は一進一退の攻防だったがそれが将和の狙いであり、それを尻目に第一遊撃機動師団と即応機動師団が夷陵城を占領したのである。更に恋の第一遊撃機動師団が関羽隊の背後から出現しそのまま後方から突撃した。

 背後からの奇襲により元々兵士の練度に難があった関羽隊はあっという間に散々になってしまったのである。敗走する事になってしまった関羽は殿となって兵士達の敗走を手助けをするが、夷陵城の守備兵を残して包囲に参戦した即応機動師団も駆けつけたのである。

 逃げる事も出来なくなった関羽隊は次々と討たれていき残存兵力が3000を切ったところで関羽もこれ以上の抵抗を諦め将和に降伏するのであった。

 

「うーん……関羽を返すか」

「返すのですか?」

「あぁ………取り敢えずは色々とやってもらうがな」

「ほぅ、色々と思い付いた顔ですな」

 

 夷陵城での軍議で将和と星達はそう話す。そして軍議後に縄に縛られていた関羽が連れて来られた。

 

「…………………」

「関羽、釈放しよう。劉備の下に帰るが良い」

「なッ……」

「どうした? 主の下に帰れるのだから嬉しいだろ」

「………何故首を討たぬので?」

「何故討たないといけないのだ?」

「ッ……首を討たぬ事、後悔するぞ?」

「……果たしてそうかな?」

 

 そして関羽の縄が解かれ、偃月刀が返され馬をも貰う関羽である。

 

「さて、行ったな?」

「はい、行きましたな」

「よーし、噂を流しまくれ」

「御意」

 

 それから10日前後で関羽は白帝城に帰還すると桃香や北郷達は笑顔で出迎えたが孔明と士元だけは難しそうな表情をしていた。

 

「よく無事だったね愛紗ちゃん!!」

「いえ、むしろ夷陵らの地域を守備出来ずに……」

「そんな事ないさ。愛紗はよくやってくれたよ」

 

 桃香や北郷はそう励ますが孔明が口を開く。

 

「あの……愛紗さん、他の兵達は……?」

「先に帰されたのではないのか?」

「………それが帰ってきてないんです」

「な、何!?」

 

 孔明の言葉に関羽は驚愕の表情をする。

 

「それに愛紗さんが帰ってくる前後で噂も……」

「噂? どんな噂なんだ朱里?」

「それが……」

「言ってくれ朱里」

「……愛紗さんが帰ってきたのは敵の三好に命乞いをし更には兵士の命と引き換えに帰ってこれたとか……」

「な、何だと!?」

「はわわわ!?」

「あ、愛紗ちゃん。朱里ちゃんに怒っても……」

「そ、そうですね。済まない朱里」

「い、いえ。気持ちは分かります……」

 

 関羽の怒号に孔明が慌てる。

 

「ですが噂はかなり広まってます」

「愛紗ちゃんが否定しようにも兵士の皆が帰って来ない事には……」

「ならば桃香様、私に一軍を!! 荊州に攻め込み、兵士達を奪還してきます!!」

「駄目でしゅ。兵士達の士気が……」

「しかし!?」

 

 それを制したのは北郷だった。

 

「待ってくれ。俺達は今、蜀を攻略しようとしている。先に蜀を優先しよう」

「ご主人様!?」

「俺だって愛紗の気持ちを優先させたい。でも、俺達はまだ国を持ってないから先に足場を作るのが優先なんだ」

「……分かりました」

 

 北郷の言葉に関羽はそう言うが納得出来ていない表情であった。しかし、関羽の評判は一向に上がる気配は無く、新規参加組の魏延にでさえ信用されないのであった。

 

「たかが噂、然れど噂。しかし、兵士達が帰ってくる事なく本人が目の前にいれば真実と捉えるしかないのではないか?」

「魏延、貴様ァ!!」

 

 仕舞いには魏延との喧嘩をもしてしまい劉備でさえ関羽を庇いきれなくなるのである。それはさておき、劉備の勢力を追い出した将和は改めて交州再攻略に乗り出した。

 

「それで士燮はまだ合浦に?」

「はい。兵力を集めようとしていますが芳しくない様子です」

「なら今が好機だな。交州再攻略には楼杏と猫の第一師団、第三師団を基幹に行う」

「兵力の増強は可能ですよ?」

「どれくらいまでいけるんだ?」

「両軍とも3万はいけます」

「……師団から軍への名称変更でもするかな」

 

 結局は両師団とも3万8000ずつの増強を行い、それに伴い師団を軍に名称を変更し第一軍、第三軍としたのである。そして交州の再攻略が開始された。第一軍は南海郡、第三郡は合浦郡への侵攻を開始し士燮は2万で抵抗しようとしたが猫の武の前では子ども同然であった。

 猫との一騎討ちをしたが、武器をハルバード(猫命名『金剛爆砕牙』)に代えていた猫の前では敵ではなくあっという間に幹竹割りされ士燮軍は敗走したのである。

 結果、残存兵力は悉く降伏していき士氏の交州支配は終わりを告げたのである。

 交州の攻略を聞いた将和は直ぐに真桜を呼び出した。

 

「真桜、南海郡の番禺で造船所を建築してあるモノを作ってもらいたい」

「あるモノやて?」

「あぁ。船なんだがな、こういった船だ」

「こ、これは……」

 

 将和が真桜に設計図を渡し、設計図を見た真桜が驚愕する。

 

「ま、将和はん。これを作れと言うんか……?」

「真桜なら出来るだろ?」

「……舐められたもんやな将和はん。ウチに出来ひん事は無いで!! この船も作ってやらァ!!」

「なら任せたぞ真桜」

「あいよォ!!」

「序でに羅針盤も作ってくれ」

「何やそれ?」

「羅針盤というのはな………」

 

 そして将和は真桜に何やらの依頼を出し真桜は直ぐに南海郡の番禺に向かい造船所を建築するのであった。

 

 

 

 

 

 

「一斗、遂に皇帝まで此方に巻き込んだわね」

「あぁ。だが、華琳が俺の意見を採用してくれたおかげだからだよ」

 

 大陸で一番の勢力を伸ばしていたのが曹操であった。そして司隷の河南尹を占領し皇帝の劉協を保護する事に成功したのである。また、劉協は天の御使いである東郷一斗に懐いていたので曹操も魏の建国をしやすかったのであった。

 

「それで一斗、本当にする気なのかしら?」

「あぁ。天の御使いが三人もいるんだ。恐らく天の御使いは俺と同じ未来人だ、話せば分かってくれる」

「そう……」

「華琳、俺だって君を天下人にしたい。でも御使いが三人もいたら、歴史を知る人だったらその勢力の人物の悲劇を避けようとするだろう。なら俺はそれに賭けたい!!」

「……貴方がそう言うのなら天下の為なのかもしれないわね」

「さしあたっての問題は……」

「荊州……でしょう?」

「あぁ。袁術の後を継いだ人物だけど、全く知らない人物だ。本当にいたのかっていうくらいだね」

 

 一斗は荊州の三好を警戒していた。三国志に出てくる武将には聞かない名前だったからであり更にもしかしたらと一斗はある一念を抱いていた。

 

(でもこの事はまだ分からない……情報がもっと欲しいけど……)

 

 そう思う一斗であった。数ヶ月後、荊州では本拠地の移転を行っていた。即ち、それまでの本拠地であった南陽から長沙へと移転したのである。南陽で商業を営んでいた者達も長沙へ移動し長沙は荊州の首都として栄えようとしていた。

 また、長沙は城として機能させるために築城も行われておりその指揮を取っていたのが将和であった。

 

(堀は三重くらいにして水でも流すか。それに曲輪とかも作って連携が可能となるようにして……)

 

 城の築城は既に出来ていたのであえて将和は外側、堀や曲輪を作る事によって難攻不落を助長させるようにした。しかし、後にこの築城構造の情報は三人の天の御使いに知る物となり三人の天の御使いは将和を歴史を知る未来人だと確信させてしまうのである。

 そんな事はさておき、将和は築城を進めるのであるが荊州に一人の武将が紛れ込んでいたのである。

 

「さて、今日の築城場所はと……」

 

 築城の現場指導をしていた将和、そんな中に農婦に紛れた者がいた。将和が近くを通ろうとした時、農婦からの殺気に将和が回避した。将和がいた場所を偃月刀が空を切る。

 

「貴様は……ッ」

「チッ、外したか」

 

 農婦が外側の服を脱ぐと現れたのは関羽であった。

 

「三好!! 貴様を討つ!!」

「関羽!!」

 

 上段から振り降ろそうとしていた関羽に将和は刀を抜き、刃で防ぐ。

 

「三好様!!」

「関羽を捕らえろ!!」

「邪魔をするな!!」

 

 縄で捕らえようとした衛兵らは関羽の偃月刀の一振りによって身体が半分に分かれて吹き飛ばされる。

 

(三国志演義の補正でも掛かってそうな勢いだな)

 

 将和はそう思いながら左手で砂を握り叫ぶ。

 

「関羽ゥ!!」

「ッ!?」

 

 将和の怒号に関羽が振り向いた瞬間、将和は砂を投げた。目潰しであった。

 

「くッ!?」

 

 大量の砂に関羽が眼を細めると同時に将和が動いた。刀を納刀し、一気に関羽へ接近して偃月刀の範囲内に入り込む。距離は僅かに1、2メートル程であるが刀を抜刀ーーせずにそのまま柄頭を関羽の腹に思いっきり当てたのである。

 

「ガッ……ハァッ!?」

 

 腹に思いっきり当てられた関羽は胃液を吐き出しつつ吹き飛ばされ、一、二回地面を跳ねた後に近くにあった荷車にぶつかって倒れたのである。

 その瞬間に他の衛兵が関羽に雪崩れ込んで捕縛したのであった。

 

「……被害は?」

「はっ、衛兵5人が討死。10名前後が重軽傷を負っています」

「そうか。取り敢えず今日の築城は中止だ。もしかしたら郊外に劉備軍がいるかもしれん」

「はっ、直ちに警戒態勢に入ります!!」

 

 衛兵の長はそう言って指示を出すために走り出すのであった。

 

(しかし……何で関羽が此処にいるんだよ……)

 

 運ばれていく関羽を見つつ将和はそう思うのであった。その後、警戒態勢が敷かれるが長沙周囲に劉備軍がいないので態勢は解かれ将和らは緊急の軍議を開いたのである。

 

「何や関羽ってもうちょい義に溢れた者や思うてたけど……幻滅やな」

 

 報告を聞いた霞は表情を険しくする。

 

「七乃、劉備軍の現在の状況は分かるか?」

「今だと成都間近ですねぇ。劉備に靡く蜀の武将達が劉璋に相次いで裏切ってますから劉備は破竹の勢いですね」

 

 七乃は竹簡を見ながらそう報告をする。

 

「なら何で関羽が俺を襲う?」

「夷陵の件じゃないですか? それなら十分に理由はあるかと」

 

 将和の言葉に包はそう反論する。

 

「確かにそうかもしれんが、今俺を刺激してどうすんだ?」

「……もしかしたら我々が思っていた以上に劉備軍の中にいられないのではないですか?」

「あー、あの噂か。思っていた以上の成果という事か」

「それしかないですね」

 

 包はそう言う。将和達も劉備軍を多少の混乱させたら良いと思っていただけだったが劉備軍の内部事情を将和達が予想していた以上に深刻だったのだろう。

 

「奴さん、意識は?」

「回復したと。そのまま地下牢にいると」

「なら地下牢に行くか」

「ふぇ?」

 

 包の目が点とする表情に笑いつつ念のためとして星と王双をも伴って地下牢に行く。地下牢では意識が回復した関羽が座り込んでいた。足首には重りが付けられており脱出させないようにしていた。

 

「いきなりの暗殺は驚いたよ関羽」

「ッ三好……」

 

 将和の言葉に関羽が憎しみとばかりに将和を睨む。

 

「何で殺しに来たんだ? 劉備は蜀を攻略しようとしてたんだろ」

「……貴様が……貴様が私を釈放するからだ。釈放したせいで私は桃香様やご主人様に迷惑が……」

「いや別に俺のせいじゃないだろ。めんどくさいから釈放しただけで勝手に噂広まるからだろ」

 

 若干、片言だったが関羽は気付いていない。(星と王双は気付いており笑いかけていた)

 

「しかし、貴様が兵士を釈放しないから……!?」

「釈放したぞ。そのまま農民に戻る言うから今でも農民してるぞ」

「えっ……?」

 

 実際に嘘ではなかった。関羽の釈放後、捕虜になっていた兵士達も釈放したが兵士達は「元は農民なので農民に戻りたい」と言ってきたのでそうする事にさせた。但し、次に荊州を裏切れば一族もろとも処刑すると通告していた。その為、兵士達も十分に理解して農作業に従事しているのである。

 

「そ、そんな……なら私は……」

「お前らの自業自得だろ」

 

 ワナワナと震える関羽に将和がそう言うと関羽はガクリと膝から崩れ落ちた。

 

「私は……私は……」

「可哀想になぁ。俺は義を以てお前を釈放したのに劉備は俺の義を信じられないか。関羽、お前の信ずる義というのはそういうモノか?」

「あ……あぁ……………アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

 喚く関羽を尻目に将和達は地下牢から出るのである。地下牢から出ると王双は笑う。

 

「ハハハ、旦那も中々の役者だな」

「そういう事も必要だからな。それと関羽の動向を監視しとけ」

「脱走でもすると?」

「自暴自棄になる可能性が高いからな」

 

 数日後、再び地下牢に行くと眼から精気が無い関羽がそこにいた。衛兵に聞けばメシもろくに取らないとの事であり、将和はそのまま放っておこうとしたが星は反対した。

 

「主、関羽を死に追いやるのは簡単です。しかし、それだけでは些か面白味がありませぬ」

「フム。どうすると?」

「主にはーーー」

 

 星が将和に耳打ちすると将和は顔をしかめる。

 

「……え、本当に? 本当にすんの?」

「然ればこそ」

 

 ニンマリと笑う星に押される形で牢に入り関羽と対峙する。関羽は将和が入ってきたのを見ていたが何処か他人事のようであった。そして将和は関羽に近寄り、ゆっくりと抱き締めた。

 

「よしよし……」

「……………………」

 

 抱き締めて頭を撫でる将和に関羽はボ~っと見ていたが不意に涙をポロリと流し嗚咽を漏らし始めた。

 

「関羽……君はよく頑張った。君は悪くない、悪くない……」

「……悪くない……悪くない……私は悪くない……」

「そうだ。関羽、お前は悪くない。悪いのは……」

「私は……悪くない……悪くない……私は……悪くない……悪いのは………」

「悪いのは……劉備……北郷……悪いのは……劉備……北郷……」

「悪いのは……劉備……北郷……悪いのは……劉備……北郷……」

「そうだ……そうだ……君はよく頑張った……」

 

 念仏のように将和が呪文を唱え、その呪文を関羽が間違えずに呟く。いつしか劉備が悪いとしか言わなくなった。

 

「さぁ……今日はお休み関羽……」

「…………………………」

 

 その言葉に関羽は寝具に身体を休めるのである。そして牢を出た将和は星に近寄る。

 

「おい、これは本当に効果あるのか?」

「さぁ? 分かりませぬ。関羽自身にしか分かりませぬからな」

「まぁ……それはな……」

「ちなみに次に行く時はーーーこうしたら良いですな」

「………効果無かったらメンマ一週間抜きな」

「な、何と!?」

 

 将和の言葉に文句を言う星であった。更に翌日、地下牢を訊ねるとそこには床に正座する関羽がいた。そして将和を見ると土下座をした。

 

「三好様。劉備玄徳と北郷によるこれまでの仕打ち、真に申し訳なく、私に今出来るのは謝罪と自害しかありませぬ」

「いや、関羽が死ぬ事はあるまい」

「然れど……」

 

 そう言う関羽に将和は牢に入り、歩み寄る。

 

「関羽、お前が死ぬと俺が悲しむ」

「ッ……三好様……」

「どうだ関羽、俺に仕えないか?」

「しかし……」

「俺にはお前が必要だ関羽!!」

「ッ!?」

 

 将和が関羽を抱き締めた。抱き締められた関羽も最初は戸惑ったがやがては関羽も将和を抱き締めた。

 

「……はい。私からもお願い致します」

「関羽ッ」

「……愛紗とお呼び下さい。それと関羽という名も捨てましょう」

「なら……将という字をやろう。関将(かんしょう)とすればいい」

「はっ。私はこれより関将、字を長生と致します。宜しくお願い致しますーーご主人様」

 

 関羽ーーもとい、関将はそう言って将和に頭を下げるのである。

 

 

 

 

 

 

 

「上手くいきましたな主」

「何か釈然としないからメンマ2日抜きな」

「な、何と!?」

 

 

 

 

 

 




何か関羽裏切り√になってしまった。
御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。