『三好in恋姫(再リメイク)』   作:零戦

15 / 16
すみません、後一話続きます。


第十五話 脱出、新天地

 

 

 

 

 

 

「そう言えば……三国への追撃しなくても良かったのですの?」

「ん、あぁ」

 

 三国の侵攻を撃退してから数日後の長沙城。将和は自室の寝台で麗羽と愛紗との夜戦をした後に麗羽からそう尋ねられた。なお、愛紗は隣で撃沈している。

 

「要は時間を稼げたら良いわけだわな」

「時間稼ぎ? 交州への脱出のためにですの?」

「まぁそれもあるがな」

 

 その後、愛紗も復活した事で夜戦の追撃戦で二人が撃沈して寝るのを確認すると将和はコッソリと寝台を離れて謁見の間に行く。そこには于吉達がいた。

 

「よぅ」

「お疲れ様です」

「それは迎撃の方か? 閨の方か?」

「どちらを捉えるかはお任せしますよ」

 

 将和の言葉に于吉はそう言って肩を竦める。将和は苦笑しつつもコッソリと箱に入れて持ってきた徳利を出して于吉達に配る。

 

「お酒ですか」

「ただの酒じゃない。手作りの日本酒だよ」

「あらぁん。嬉しいわぁ」

「だからくねくねすんなっての。それをするなら北郷にしてこい」

 

 相変わらず腰をくねくねする貂蝉に将和は溜め息を吐きつつ日本酒を各自に注ぐと自身の杯に注いだのを飲み干す。

 

「ぷはぁ。ん、美味しい」

「日本酒は美味しいですからね」

「まぁな。それで今日はどうした?」

「……南郷は一命を取り留めたそうです」

「チッ、張苞のように破傷風にはならなかったか。やっぱ男の勲章も斬っとけば良かったか」

「そうなると老害達の妨害が現れます」

「そういや、そちらの上司達の望みは三国の運用だもんな。何らかの力が作用すると?」

「あの場合、更に南郷の男の勲章を斬ろうとしたら間に合わなかった黄蓋が間に合って三好さんが負傷するところでした」

「成る程。それはちと不味いな……」

 

 于吉の言葉に将和は溜め息を吐く。

 

(まぁ老害達も貴方を追い出そうと躍起になってますが……言わない方がいいですね。手を出そうとしたら『あの方々』が本気で怒りそうですからね)

 

 于吉はそう思いながら日本酒に口を付けるのであった。なお、隣では左慈が思っていた以上に美味しかったのか日本酒をグビグビ飲んでいたりする。

 

「それでこの後はやはり……?」

「あぁ……長沙も放棄して交州に移動する。その後は準備出来次第、船に乗って交州から北上、大陸伝いに沿って半島……日本に帰る」

「帰る……ですか……」

「あぁ。俺の故郷は日本だから……な……」

(やはりですか……)

 

 将和の言葉に于吉は納得したように頷く。

 

「所詮、俺は余所者だからな。好きな日本で好きにしたいし目的もあるしな」

「目的ですか……?」

「……卑弥呼後~古墳時代の歴史を記したいしな」

「そう言えば歴史も趣味と言ってましたね」

 

 将和の言葉に于吉らは苦笑する。確かにそれは歴史家からすれば喉から手が出る程の欲しい情報であろう。それはさておき、将和が大陸を出るのであれば天下統一はどうするのかという事になる。

 

「ですが天下統一はどうなさるのですか?」

「ん? 日本で天下統一したらいいじゃないか」

「む。お主、それは我が邪馬台国をも滅ぼすという事であるか?」

「出来れば同盟での侍従関係したいけど……」

「フム……我が国が存続出来れば問題は無いが……」

「なら国に戻って政治しろよ」

「国は弟と後継者の臺與が筋肉の美を全面に押し立て国を治めておるわい。今さらワシがでしゃばる事ではない」

「……臺與も筋肉ムキムキマンかよ……」

「あらぁん。良い男よぉ」

「日本史が歪められるから止めてもらって良いですかね?」

 

 貂蝉の言葉にげんなりする将和であるが酒を飲んで仕切り直す。

 

「と、取り敢えずはその予定にはしている……皆には交州に行ってから打ち明けて解散するかな」

「成る程……ちなみに聞きたいのですが……」

「何だ?」

「三国で共同統治は可能ですか?」

「永久ではないな。必ず綻びは生じる」

 

 将和は酒を飲み干し、杯を人差し指でくるくると回す。

 

「恒久平和なんて人類の歴史上無かった……アイツらが出来るのは高々この先何十年かの平和なんだ。必ず綻びは生じて……内からな」

「成る程……ですがそれは日本でも同じでは?」

「当たり前だのクラッカーだな。だが俺としては……ちゃんと畏きところを守護出来れば良いと思っている」

「ほぅ……(成る程、先見性は衰えてはおらず……ですか)」

「一応これでもお前達の要望には答えているつもりだぞ?」

「確かに……三人の天の御使いは生かし、大陸を統治させ日本で天下統一ですか」

 

 それを聞いて于吉は笑いが止まらなくなった。此処まで老害達の要望を答え、外史に送られた転生者達はいただろうか?

 

(だからこそ……この人は面白いのだ……成る程、貂蝉や卑弥呼達が北郷と同じく気に掛けるのも分かる気がする)

 

 于吉は眼鏡をクイッと上げながらそう思う。

 

「分かりました。我々も裏方の支援をやりましょう」

「ん? まだやれるのか? てっきり回数制限付と思っていたけど……」

「いえいえ、我々がより大規模にしなければいいだけですので」

「あぁ、無印みたいな事はしないという事か」

「その黒歴史はやめて下さい」

「というより二喬は可哀想だな」

「アニメでは救われたじゃないですか……」

「メメタァ」

 

 そんな事を話す将和達であった。なお、于吉達が帰った後は夜中なので将和も寝台で撃沈していた麗羽と愛紗を抱いて寝るのであった。

 

「という訳で交州に移動すっぞー」

「待てや将和。せめて理由を言え、理由を!!」

 

 朝一番の軍議にて将和が開口一番にそう言ったので流石の霞もツッコミを入れた。

 

「ん~……交州に着いてからじゃ駄目か?」

「流石に今回は理由を言ってもらわないと駄目ですかねぇ」

「将和様のこれまでの独断は仕方ないと思いますが交州に移動するのはちょっと……」

 

 将和の言葉に七乃と包はそう反論する。他の愛紗や星達も頷いていた。その様子を見て将和は溜め息を吐いた。

 

「本当は交州に着いてから話したかったのだが……仕方ない。実はなーーーーー」

 

 そして将和は七乃達に大陸脱出計画を話すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「成る程……将和さんの故郷ですか……」

「まぁな。無理強いはしないし残るも良しだ」

 

 将和はそう言うが七乃達は何を当たり前な事を言ってるんだのような表情をしていた。

 

「兵士達は分かりませんけど、私達皆は付いていきますよ」

「七乃……」

「というよりです。皆、将和様の事が大好きですからね」

「まぁなぁ。ウチもやな」

 

 包の言葉に霞も頷く。

 

「それに……将和様が嫌だったら誰も閨には来ないと思いますよ?」

「……ハハ、こりゃ1本取られたな」

 

 ニコニコと笑みを浮かべて話す紫苑に将和も苦笑する。そこへ星が将和の後ろに回り込み寄り掛かる。

 

「おや、なら今此処で証明しましょうか主?」

「収拾がつかなくなるから止めようか星」

「それは残念です」

 

 そう言う星であった。結局、七乃達は日本まで行くと公言するのである。なお、これは交州に行った後に猫と楼杏らに聞いた時も同様でありむしろ楼杏にはペチッと頬を叩かれて「貴方がいない大陸にいて何になるのよ……」と怒られる始末だったりする。

 それは兎も角、長沙に撤退してきた第四軍と第五軍の風鈴や狼達も同じであり将和も腹を決めて早めの交州までの撤退を決断するのである。

 

「旗は全て置いてけ。商いで儲けて貯めていた金銀資金類は全て持ち出し、三分の一は荊州の民に分け与え、三分の一は交州の民に三分の一は兵士達皆に分け与える」

 

 将和はそう言って軍は解散、長沙城を夜中のうちに脱出し交州へと向かうのである。兵士達はカネを貰い故郷に帰る者達がいたが、それでも7000の兵は将和を慕って最後まで共にすると付いてきたのである。それを聞いた時、仕方ないとばかりに苦笑して肩を竦めるのである。

 そして三国が将和らが長沙城を脱出して交州入りしたのを知ったのは将和らの軍勢が交州入りしてから7日後の事であった。

 

「交州へ? という事は荊州は今、手空きも同然ね」

「そうだな華琳、直ぐに軍を編成しよう」

「貴方に言われなくても分かってるわ」

 

 三国は直ちに軍を派遣し同盟締結時に申し合わせた郡を占領していくのである。しかし、三国の第一の進撃はそこまでであった。まず、蜀は南蛮が50万の大軍で益州の南方(西川以降南)攻めて来たのでこれの迎撃に当たる事になるのである。

 また、魏も北方にある鮮卑や匈奴が軍勢を率いて并州、涼州等から侵攻してきたのでこれもまた迎撃に向かったのである。

 そして呉では内乱が起きた。起こしたのは揚州呉郡太守の許貢であった。許貢は孫策が生存している時から仲が悪かった。そこへ孫策討死の報が舞い込んできたのだ、許貢も穏健派の孫権ならまだ……という思惑だったが天の御使いである南郷の具申により許貢を討伐するという噂が舞い込んできた。その為許貢も反乱を起こしたのである。

 これにより三国は暫くの間は交州へ攻めるのは不可能となりその時間は将和も十分に活用したのである。

 

「南蛮に物資を送って支援だ。恐らくは孟獲も引き受けるだろうな」

「手配は完了していますので直ぐに送りますね~」

「あぁ……ところで七乃と炎蓮、星に紫苑は大丈夫か? 後、麗羽もか。体調が悪いと聞いたけど……」

『……………………』

 

 将和の言葉に隠達は「マジで言ってんの?」という表情をする。

 

「……まぁこれは五人から聞いた方が良いですね~」

「……まだ私は負けてないわ」

「……?」

「恋殿はまだ知らなくて良いですぞ」

「ウチは交州おったからなぁ。まぁしゃーないか」

 

 隠達はそう言うのであった。その日の夜、部屋にいると五人が入ってきた。

 

「どうした? てか体調は大丈夫か?」

「えぇまぁ……取り敢えずは……」

「何かあるのか?」

 

 七乃の苦笑に将和は何かあったのかと思うが炎蓮がハッハッハと笑う。

 

「当たり前だ。何せ、授かったからな」

「………まさかッ」

 

 炎蓮が自身の腹をスリスリと触るのを見て将和は勘づいたのである。そう、五人は将和の子を孕んだのだ。(お前が種馬じゃねーか)

 

「はい、やや子がいますよ」

「そうか……そうか……」

 

 将和は五人に近寄り、お腹を撫でる。新しい生命の誕生に将和も笑みを浮かべるのである。

 

「そうなるとより張り切るしかないな」

「それも良いが、まだな奴らを優先させてやれよ旦那」

「ア,ハイ」

「あの将和さん」

「どうした七乃?」

「この子……女の子であれば是非付けたい真名があるんです」

「……奇遇だな。それは俺もだな」

 

 七乃の言葉に将和は苦笑するのである。そして二人は口を開いた。

 

『美羽』

 

 かつて二人が楽しくも辛くもあったが民の理想の主君になろうと愛すべき人の名を貰う事にしたのである。

 それから二ヶ月間で将和も交州で脱出の準備を整えた。三国は荊州の占領を完全に完了しており交州への南下をいつ頃かとしていた。

 魏は既に攻略する地は無く、将和が紙に記した通りに北方への備えを図る事になる。一斗は難色を示したが将和の記したのは正しかったのでとやかく言うつもりは無かった。そして蜀ではというと……。

 

「は? 張飛が暗殺された?」

「はい~。どうやら家臣に討たれたようで」

 

 将和の問いに隠はそう報告する。報告によれば張飛は関羽が行方不明なのはやはり三好だと思い何度も劉備に関羽の捜索と交州への侵攻を具申していた。しかし、蜀は南蛮攻略が中盤であり何より北郷一刀が南蛮に同行していたので抑えられる者も少なかった。(鳳統はいたが性格上抑えられない)

 また、劉備も関羽を捜索したかったので張飛の交州攻略を承認し張飛は荊州の南郡で準備をしていたが食糧の準備が遅れていたのを家臣の范彊と張達に叱責(愛紗を探すのだから早くするのだと怒り狂っていた)ししまいには棒刑にした事で二人は裏切る事を決断、寝所で寝ていた張飛を抑えて序でに凌辱してから頚を刎ねて何処かに逃走したのである。

 なお、頚については長江の畔で見つかったのである。

 

(うーん……まさかそこまで再現するとは……)

 

 史実でも演義でも頚を刎ねられる張飛だが此処もそう再現するとは将和も思ってもみなかったのである。

 

(まぁいいか。抑えられない劉備が全面的に悪いしな)

 

 なお、愛紗は張飛死すの報を聞き、荊州の方角に無言で頭を下げその日は誰とも会わなかったのである。翌日、将和が愛紗を見た時は目が腫れていたが何も言わず七乃達も何も言わなかったのであった。

 なお、呉については完全に守勢に入っていた。これは孫権の方針でもあり、周瑜が病で病死した事も関連していた。

 周瑜は病の事をひたすら隠していた事もあり孫策が死んだ後、荊州から撤退途中に喀血して倒れた。その後、建業に戻って療養していたが許貢の反乱の際は病を押して参戦し反乱を鎮めるが再び病が悪化して倒れそのまま病死したのであった。これにより孫権はこれ以上の領土拡張は一先ず止め内政に専念する事にしたのである。

 無論、左腕を斬られた一翔も賛成した事も要因であり、交州攻略は棚上げされたのであった。

 

(勿体無かったなぁ……オッパイ……)

「将和はん?」

「あ、すみません」

 

 たまたま報告の時に横にいた真桜にジト目され直ぐに謝る将和であった。なお、その日の閨は炎蓮を筆頭に巨乳派閥が多数占められたらしい。

 そして準備が整った日………将和は大陸の脱出を敢行するのである。無論、将和を慕って交州に来た者達にも行くのも自由と伝えたが全員が将和と共に日本に行く事を選んだのである。

 

「どうせ向こうに行っても一から始まるんです。文官の一人や二人、いた方が良いでしょう?」

「ホッホッホ。左様左様……袁術様と共に見させてもらった夢……老いぼれながらもまだ見とう思いますのでな」

「その通りですぞ」

 

 楼嶺や袁渙、楊弘達文官達はそう笑って同行するのである。なお、この日までに用意されたキャラック船、キャラベル船はそれぞれ30隻ずつであり同行者もその家族を含めて7000人程は当日朝に乗船し将和の旗艦を先頭に番禺を出港したのである。

 そして船団は大陸伝いに北上していく。無論、これは海岸から見られており、謎の船団として呉にも報告が入る。

 

「船団……何の船かしら……」

「分からない……もしかして三好か?」

「それは十分に有り得るかもしれないけどずっと北上しているだけらしいわ」

「うーん」

 

 孫権と一翔はそう話すも監視を継続させる。しかし、翌朝には船団は消えていたというのである。孫権らは捜索させたが結局は見つからないまま終わるのである。無論、これは将和が沖合いに船団の位置を変えさせ、風の支援で速度を遥かに増せた事も幸いしたのである。

 その後、将和は大陸伝いに船団を進め朝鮮半島から対馬まで南下していた時に朝を迎えた。

 

「水平線から朝日が……」

 

 ちなみに船に乗り慣れていない七乃達は船酔いで全滅していたが将和は平気である。朝日を見ながら将和は新しい地ーー九州を見ていた。

 

(漸く……漸く帰ってきたか……)

 

 此処まで来たら将和も分かるのである。その後、関門海峡を通過し瀬戸内を航行しーーー大阪湾に辿り着いたのである。

 

「さて……大阪に上陸するか。上陸準備ッ」

「上陸準備ッ」

 

 皆が上陸準備をする中、将和は再び大阪方面を見る。卑弥呼らの情報が正しければーーー。

 

「まっ、為せば成る……か」

「何か言いました将和さん?」

「いや……何もないよ七乃」

 

 ちょっと腹がポッコリしてきた七乃に微笑み、将和は叫ぶ。

 

「上陸!!」

 

 そして将和らは日本の地に足を踏んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 




御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。