『三好in恋姫(再リメイク)』   作:零戦

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第三話 黄巾の乱勃発

 

 

 

 

 

「最近、他方面で賊が増加しているらしいです」

 

 謁見の間での会議で七乃はそう報告をする。どうやら中央からの情報であった。

 

「七乃、それはただの盗賊やらの類いなのかや?」

「それが……どうも頭に黄色い頭巾を被っているらしく統率も取れているようなのですよ美羽様」

 

 主君である美羽の問いに七乃はそう答える。

 

「そうなるとただの賊の類いでは違う……そう言われるのか張勲殿?」

「恐らくはそうですね趙雲さん~」

 

 趙雲に問いに陸遜こと隠がそう答える。

 

「まだ詳しい事は分かりませんが、恐らくは元武官の者が統率している可能性が高いと思われますぅ」

「隠、済まないが確定な証拠が欲しい」

「分かりましたぁ将和さん」

 

 将和の言葉に隠はそう頷く。ちなみに陸遜こと隠とは真名を貰っており将和も「隠」と呼び隠も「将和さん」と呼ぶ。というのも以前に将和は書物庫の利用を許可していたのだが、隠は書物庫に入り浸り仕舞いには発情し隠を心配しに来た将和に襲い掛かったが返り討ちに合い(よーするにヤッた)以後も関係を持ち続けて真名も交換する程であった。

 隠曰く「中毒性がありますぅ」という事である。

 

「それと易者管輅の予言と言うのもありますね」

「予言?」

「はい。『天より三人の御遣いが地に降り立ち、三国を統治し長きに渡り平和が訪れる』と予言していますねー」

(予言もそうだが、孔明の天下三分の計になってるやん……)

 

 予言は三国となっていたので明らかに大陸は三つの国に分けられて統治されるという事だろう。まぁ将和からすればどうでも良かったが……。

 それはさておき、軍儀としての結果では「賊が現れたら即殲滅」という方針になって解散となった。

 

「んー、市にでも行くかな」

 

 政務は文官達が漸くモノになってきたので将和の方も時間が取れるようになったのだ。そして将和は市に向かう。

 市は将和が最初に来た時よりも賑わいがあった。紀霊の乱を鎮め、賊から守るために商隊に護衛を出したりしているので南陽で商売をする商人達が増えているからである。

 

「賑わっているようで……何よりだな。モグモグ……」

 

 将和は饅頭を食べながら市を歩く。歩いていると声をかけられた。

 

「お兄さんお兄さん」

「んー?」

「ウチの発明したモノを見ていってくれへんか?」

「構わんぞ。何だモノって?」

「これやこれ。全自動籠編み装置や!!」

 

 関西弁な女はそう言って籠編みを出して装置に竹をセットし女がハンドルをぐるぐる回す。(自動は何処にいったとは聞いてはいけない)

 

「ほぅ、編まれた竹が出てくるな。それで? 底と枠の部分は?」

「あ、そこは手動です」

「何でやねんッ」

「お兄さん、ツッコミ上手いなぁ」

「あんがとさん。なぁ、これ以外にカラクリってやつを作れるか?」

 

 いきなり話を振られた女はちょっとびっくりした顔をするが自信満々に「できるで!!」と答えた。

 

「フム。なら雇おう」

「雇うって何なん?」

「文字通りの言葉だ。袁術家で雇おう、客将で良いだろ?」

「……お兄さん、もしかして……この南陽の……」

「ま、関係者ってところだな」

 

 驚愕する女に将和はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「姓は三好、名は将和だ」

「ウチは李、諱は典。字は曼成や。宜しくなお兄さん、それと……」

「ん?」

「後二人もええ? 他の場所でウチが発明したモノを売ってるんやけど……」

「あぁ良いぞ」

 

 その後、他の場所で李典の発明品を販売していた楽進と于禁も客将として雇う事になるのである。

 そして彼女達が袁術家に加わってから数週間後、遂にそれは起きたのである。

 

『蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉』

 

 蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし。歳は甲子に在りて、天下大吉

 

 黄色の頭巾を被る盗賊達は黄巾賊と呼ばれ始まりは冀州とされた。冀州での反乱は一気に他の州にも及び、青洲、徐州、幽州、荊州、揚州、兗州、豫州にまで波及したのである。

 そうなると南陽にも黄巾賊が出没するのは言うまでもなかった。しかし、南陽郡からの黄巾賊は出ていなかった。これは将和や七乃達の努力のおかげでもあっただろう。だが他の地域ーー荊州方面からの黄巾賊が南陽に侵入してきたのだ。

 

「黄巾賊の数は!?」

「凡そ2万です!!」

「対して此方は1万と少しばかり……将和さん、此処は籠城を取るしか……」

「……いや、そう見せ掛けるか」

「成る程~。空城の計ですね」

「あぁ。ちょっと工夫するがな」

 

 隠の言葉に将和はニヤリと笑う。

 

「さぁ準備といこうか」

 

 斯くして袁術家は準備態勢に移行して黄巾賊の防衛に移行するのである。黄巾賊が現れたのは3日後の事であり黄巾賊は更に膨れ上がり5万近くになっていたのである。5万の黄巾賊は南陽を瞬く間に包囲し攻撃を仕掛ける。しかし、防衛するは七乃率いる袁術軍5000であり更に南陽の住民たちが自発的に組織した義勇軍2000もあった。

 

「煮えたぎる油を撒くの!!」

「序でに火矢を放って燃えるようにしましょうかねー」

 

 于禁と程立が指揮をしその裏方を戯志才が支える。更には元々袁術軍の武官であった李豊、楽就、粱鋼らも勇戦して支えていた。そして日も暮れて長い1日が終わり闇の夜になった夜半、包囲していた黄巾賊の後方から場外に伏せていた将和率いる6000が突撃を開始したのである。

 

「趙雲、一番槍は任せたぞッ!!」

「心得た!!」

「魯粛、城に合図を送れ!! 楽進と李典は趙雲の突撃を支援しろ!!」

「かしこまり!!」

「は!!」

「任せてや!!」

「全軍、突撃ィィィィィィィ!!」

『ウワアァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

 6000の兵は1本の矢となり突撃する。陣の中で天幕を張り就寝していた黄巾賊は不意を突かれた形であった。黄巾賊は瞬く間に敗走するが一部の部隊は警戒していた事もあり迎撃に徹していた。

 

「あの部隊は?」

「どうやら殿かと……」

 

 やがて迎撃していた部隊は黄巾賊の殿となって将和の隊に守勢としていた。将和は何度か兵を差し向けたがその都度押し返されていたのである。

 

「フム……」

「あ、三好様!?」

 

 将和が馬で駆けるのを魯粛が止められず、その場所に赴くと一人の男が趙雲と戦っていた。しかし、武の腕は趙雲の方が上であり男は傷だらけであったがそれでも諦めようという気は更々無い表情をしていた。

 

「待て子龍」

「三好殿!?」

「三好……?」

「貴様が殿の隊を率いる者か?」

「……如何にも。俺は廖化」

(廖化かよ。それなら趙雲が中々討ち取れないのも納得するわな)

 

 将和はそう思いながらも馬を降りて抜刀する。

 

「廖化、貴様の見上げた根性。その意を汲んで俺と一騎討ちだ」

「三好殿!?」

「……………………なら行くぞ!!」

 

 廖化は大刀を構えて摺り足で走り振りかぶって将和の上段から振り降ろす。

 

「しゃらくせェ!!」

 

 振り降ろされた大刀の切っ先を見ながら将和は最小限の右回避をし、刃を逆刃に切り替えて右胴に叩き込む。

 

「グォッ!?」

 

 廖化はモロに受けて膝から地面に落ちる。恐らくは肋骨も折れているだろう。(肋骨が折れるのはマジで痛い=体験談)

 

「俺の勝ちだな廖化。捕縛しろ」

 

 直ぐに兵士が縄で廖化を捕縛する。それを尻目に趙雲に視線を向け頭を下げる。

 

「一騎討ちの中に入って済まない子龍」

「いえ……廖化の武は確かに見逃すには惜しいです。三好殿の考えにも賛同出来ます」

「ん……まぁ邪魔した迷惑料として後でメンマでも届けるよ」

「ほぅ。それは嬉しい事の限りですな」

 

 将和の言葉に趙雲は嬉しそうに頷くのであった。その後、黄巾賊の掃討も終わり南陽の街に入城すると民達から歓声を受けながら行進するのである。

 

「死者は二桁で抑えられました。負傷者は三桁ですが重傷者は差程いないようです」

「偶々……だろうに。次はこうはイカンだろうな」

 

 合戦後の軍儀で将和達はそう話していた。

 

「それと将和さんが捕縛した廖化さんですが……」

「まだ袁術は信じられないが俺は信じると言って俺の配下になりたいと言っている件」

「……まぁそれなら大丈夫でしょうね。それと黄巾賊の損害ですが確認しただけでも2万は討死し、廖化さんの隊を除いた他は逃走していますね」

「廖化が率いていた隊も希望者は農民に戻すつもりだが……全員が軍に残りたいと希望しているし鍛練も必要だな」

「それと聞き取りでどうやら荊州の方から蜂起して南陽に来たみたいです~」

 

 隠が竹簡を読みながらそう言う。

 

「荊州と言えば荊州牧は劉表ではなかったか?」

「5万の黄巾賊が蜂起する程の圧政……というヤツですかね~……ぐぅ」

『寝るな』

「おぉ、これは失礼」

 

 寝る程立にツッコミを入れる程全員は笑みを浮かべていた。これが此処にいる者達で最後の軍儀になろうとしていたのだ。理由はとても簡単であり、程立達は客将を辞退して旅に出るという事だった。

 程立と戯志才、それに楽進と于禁だった。楽進と于禁は北方にある自身達の村が心配だったからであり将和も素直に頷いた。

 しかし、趙雲と李典は明確に自身の気持ちを示さなかった。示さなかったというよりも出るか残るか悩んでいるのだろう。

 その日の夜、将和は最初に趙雲の部屋を訪れた。部屋は旅の支度をしている最中だった。

 

「出るか?」

「…………………」

 

 将和の問いに趙雲は答える事はなかった。が、将和は酒が入った大きめの徳利を趙雲に見せる。

 

「月が綺麗だ。月見酒といこうや」

 

 そして二人は窓際にある机に杯を置いて椅子に座り将和が酒を注ぐ。

 

「……何も言わないのか?」

 

 趙雲が口を開きそう尋ねる。

 

「人の一生だ。俺にとやかく言える権利は無いよ。だが本音を言えば残ってほしいかな」

 

 肩を竦める将和はそう言って酒を飲む。

 

「……あの戦の後から考えていた。私自身が納得する武をどう身につければいいか……まだ答えが見つからない」

「探す事だな」

 

 ポツリと将和はそう返す。

 

「俺にだって納得するモノ、納得出来ないモノはある。だからこそ探すんだよ」

「探す……」

「それが何かは……お前にしか分からないぞ子龍。俺はそうして探し答えを見つけた。人を信用し、国に裏切られ、手に入れたモノを全て放棄した」

「………………」

 

 語る将和の表情を見て趙雲は何も言えなかった。どうしてそのような何も感じない表情が出来るのか、彼女には分からなかった。でも分かりたいとも思った。

 その後、酒を飲んで趙雲の部屋を辞すりそのまま李典の部屋に向かう。部屋に入ればそこは荷物を整理してなくカラクリの部品が大量に乱雑していた。

 

「あ、三好はんやん、どないしたん?」

「ん、あぁ。部屋を整理しないのか?」

「へ? あぁ、出るかって話? ウチは出ぇへんよ」

 

 李典はそう言ってニヒヒヒと笑う。

 

「そうなのか? てっきり楽進達と戻ると思っていたが……」

「そらそう思ったけどな……三好はん、ウチのカラクリ褒めてくれたやろ? 凪達はちゃうけど村の皆はウチのカラクリをいつも怪しむからさ。ちょっち居づらい気はあったんよ。やから三好はんには感謝してるんやで」

「成る程な……」

「でも御別れはちゃんとしたいから今回は同行させてほしいんよ」

「あぁ、それは構わないぞ。それとな李典……ありがとうな」

「ッ。な、何や小っ恥ずかしいで……それとな三好はん、これからは真桜って呼んでや」

「良いのか?」

「良いんや。三好はんやから良いんや」

「そうか。なら将和で良い。真名が無いから名の将和は真名に近いからな」

「分かったで将和はん」

「宜しくな真桜」

 

 将和の言葉に李典ーー真桜は笑みを浮かべた。ちなみに真桜が帰るというなら将和は言葉での説得をしつつ最終的には襲うつもりだった。何せ真桜のカラクリやその部品はこの時代に早すぎる代物でありそれらが曹魏に渡れば厄介になるのは明らかだった。

 だからこそ将和は最悪、襲って手篭めにして自分の範囲に居させるつもりだったのだ。

 

(棚からぼたもちってか……まぁ運が良かったからかな)

 

 そう思う将和であった。数日後、楽進や真桜達が先に旅立ち、序で程立達も旅立ちをするが趙雲は違っていた。

 

「主。私は風らを目的地まで送ればまた戻ってきます」

「良いのか?」

「良いのです。私は袁術家で『答え』を探します」

 

 趙雲はそう言って将和に臣下の礼をする。

 

「我が真名は『星』です。受け取って頂きたい」

「……謹んで有り難く受け取る。俺に真名は無いが名の将和が真名に等しい。受け取ってくれ」

「御意。確かに頂きます」

 

 斯くして将和ーー基い、袁術家は二人の武将を更に手に入れる事になる。

 しかし、黄巾賊の乱はまだまだ治まりそうには無く、各州の被害は拡がるばかりであった。その中でも荊州の地は黄巾賊が荒らし回るので荒れる一方であった。

 

(何で荊州牧が劉表になってんだよ……確か黄巾賊の時期は荊州刺史の王叡だろ……)

 

 この頃、南陽の大元である荊州牧は劉表であった。しかし、劉表は病に侵されておりその実権は嫁の弟である蔡瑁とその一族が握っていた。蔡瑁は権力に酔い、民を妨げる政策しかしていなかった。だからこそ民は荊州に絶望し黄色の頭巾を纏い黄巾賊に身を費やしていた。

 

「荊州に攻め込みますか~?」

「……隠はどう思う?」

「最初は破竹の勢いですが急速に失速するやもしれませんね~」

 

 軍儀にて隠はそう発言する。

 

「ですがそれは朝廷への工作をしなければ……になるかと」

「……十常侍か。かもしれんな」

「でも工作をして荊州を取らないと結局は黄巾賊を野放しになって南陽に来る……という事になりますよね」

 

 将和の言葉に七乃はそう補足するように言う。

 

「………余り頼りたくないがその方向でやるしかないか」

 

 結局、袁術家は十常侍の張譲に賄賂を送り荊州への侵攻の大義名分を得た。しかし張譲もタダで荊州をやるわけにはいかぬと別の勢力にも荊州攻略を命じた。

 揚州で破竹の勢いを続ける孫家にも荊州同時攻略を命じたのである。

 

(チッ、張譲め。侵攻を黙認する代わりか……まぁ荊州の半分でも良いか)

 

 南郡から攻略を開始した将和の軍勢は諜報員からの情報で孫家も江夏郡から兵を進めている事を知る。そこで将和は孫家に使者を送り南郡攻略後に荊州攻略への説明をするために孫家に向かう事を伝え孫家ーー孫堅も了承した事で南郡攻略後に江夏郡を攻略中の孫家に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 




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