『三好in恋姫(再リメイク)』   作:零戦

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第六話 汜水関と虎牢関

 

 

 

 

 

 

 

「あの戯けた姉様め……本当に将和の言う通りにやらかしたのじゃ……」

 

 檄文の報告を聞いた美羽が頭を抱える。その横では七乃が感激の涙を流しながら「美羽様、御立派になられました……」と呟いていた。まぁ原作を知る将和も美羽の矯正にはニンマリする程であった。この頃から美羽も荊州の君主としての在り方を模索しており自ら街に繰り出して民の生活を見ていた程である。

 

「どうするのじゃ将和? 妾としては関わりたくないのじゃが……」

「ですがそうなると~、此方が不利になりますね~。董卓と手を結んでいるのかとぉ」

 

 美羽の言葉に隠はそう反論すると美羽もウグッと表情をする。

 

「……やっぱりかの。ならば仕方ない、隠の具申もあるし参陣する事にしようかの」

「それが宜しいですね~」

「フム……なら兵力はどうする?」

「洛陽までは700里ですから……食糧輸送も考えますと3万程度が限度と思います」

「ん、任せるのじゃ。荊州の守りはどうする?」

「美羽様は参加ですからねぇ」

「紫苑と楼嶺(鄧芝の真名)に李豊達でやってもらおう」

「分かりましたわ」

「任せて下さい」

 

 将和の言葉に紫苑と楼嶺が頷く。他にも参加するのは星に泠牙(廖化の真名)、狼(王平の真名)に包(魯粛の真名)等も参加する事になる。そして編成準備をしている最中に盧植と皇甫嵩が南陽に来て保護を求めた。

 

「董卓さんが洛陽でやってる隙に逃げてきました」

「風鈴を助けてくれたからね。私も手伝いに来たわけよ」

「御無事で何よりですよ。此方こそよろしくお願いします」

 

 流石に二人は連れては行けないので荊州に残って内政をやってもらう事になる。そして荊州軍ーー袁術軍は3万5000の兵力を以て反董卓連合に合流するために南陽を出陣するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……幸先不安じゃ……」

 

 反董卓連合の軍儀が終わって美羽と七乃、将和は天幕に戻ってきたが美羽が溜め息を吐く。

 

「麗羽姉様が彼処まで阿呆とは思わなかったのじゃ……」

 

 美羽はそう呟く。軍儀には各地の諸侯達が集まっていた。袁紹、美羽を筆頭に陳留の曹操、幽州の公孫瓉、涼州の馬騰、江東の孫策、その他の諸侯達であり他にも豫州牧に就いたばかりの劉備らも名を連ねていた。

 

「まずは総大将を決めますわー!! まぁ総大将は勿論、この私こと袁初本かもしれませんわねー!!」

 

 軍儀の初っ端から全員を白けさせる袁紹であった。結局、投げ槍になった諸侯達が劉備に押し付けてヨイショをして袁紹が総大将に決まったのである。そして次に先陣を誰にするかとなったが此処で口を開いたのは美羽であった。

 

「麗羽姉様、関に立て籠る相手なら倍以上の兵力を持つ我等袁家から先に繰り出すべきではないですか? それから姉様は総大将であらせられますので僭越ながら妾の荊州軍が任を致すのじゃが?」

「あら、そうしますか美羽さん? なら美羽さんの荊州軍にお任せしますわー!! オーホッホッホ!!」

「分かりましたのじゃ。それと麗羽姉様に一つ願いがありますのじゃ」

「何ですの?」

「麗羽姉様の旗を貸してもらいたいのじゃ」

 

 結局、先陣は袁術軍となり袁術軍は出陣の準備をする事になるがその最中に珍客が現れる。

 

「貴方が三好ね、母様が世話になったわね。あぁ、私は孫伯符よ」

「私は周公瑾。済まない、止めはしたのだが……」

「……出陣の準備もあるから手短に……な?」

「ブー。つれないわねぇ……でも母様の形見の件は本当にありがとう。私も感謝しているわ」

「……俺も、もう少し引き留めておけば良かったと思っているよ」

「それだけでも十分よ。それにしても三好、袁術軍にいるのは勿体無いわね、ウチに来ても良いわよ?」

「雪蓮ッ」

 

 孫策の言葉に周瑜は注意を促すが将和は肩を竦める。

 

「あれま、聞いてないのか? 袁術軍に仕官する前は孫家に仕官しようとしたんだぞ? まぁそれもそっちにいる張昭が「素性の分からぬ者など採用するわけにいかぬ」と言って断られたからな」

『……………………』

 

 将和の言葉に孫策と周瑜は何も言えなかった。まさか身内が以前に断っているとは知らなかったのだ。

 

「俺からしたら終わった事だから良いけどな」

「……何かゴメンね」

「済まない……」

 

 謝る二人であった。なお、この後に劉備一行らが来て自分達に先陣を切らしてほしいと言ってきたが断っておいた。(仮にも総大将の決定事項に逆らうのってどうなん? と返したら黙りな劉備一行だった)

 そして準備が出来た将和達は汜水関に兵を進めた。汜水関には張遼と華雄が守備しており兵力も3万近くはあった。

 

「さて、どう攻めますかな主?」

「無理な力攻めは逆に此方が被害を被ると思います」

「だろうな。だからこそ、此処は心を使う」

「心を?」

「あぁ。さて、全軍は前進せよ」

 

 将和は軍を関の前まで進める。関にいる両隊も弓を構えて矢を放つ。将和は前進を止めさせた。

 

「宴会の用意だ」

 

 将和はそう命令をする。張遼と華雄は関の前に置かれた机とその机の上に置かれた料理と酒を見ていた。

 

「何だ……?」

「何をするつもりや三好っち……」

 

 そして将和と星が樽椅子に座り酒を飲み料理を食らうのである。

 

「な、何の真似だ三好!!」

 

 華雄が思わず叫ぶと肉料理を食らっていた将和がニヤリと笑う。

 

「関から出てこんお前らなんぞの相手をしてる暇が無くてな。どうせなら関の前での酒盛りをした方が面白いと思ってな」

「な、何だと!?」

 

 将和の言葉に華雄が怒るが張遼はそれを止める。

 

「やめぇや華雄っち。明らかに計略やん、わざわざ挑発に乗る理由は無いで」

「しかしだな張遼!!」

「おや、涼州で名を馳せた張遼もいるじゃないか。しかし今は関に籠る者でしかないがな」

「な、何やてェ!?」

(おぉ怖い怖い。殺気が関から駄々漏れだなおい……)

 

 関からの殺気に将和はそう思いながら椀に注がれた液体ーー酒ではなく水を飲み干し立ち上がる。

 

「あー、酒に酔った。酒に酔った者でさえも討ち取る勇気は汜水関の両将には無いようだな、ハッハッハ」

 

 そう笑うが部下がコッソリと将和に近づきボソッと告げる。

 

「後方にいた曹操軍、劉備軍が前進してきています。我等を通せと」

「絶対に通すなと包達に伝えろ」

「御意」

 

 そこへ汜水関の城門が開いた。先頭にいたのは華雄と張遼であるが両人とも怒髪衝天しているかのようであった。

 

「さて、星は張遼に当たれ。殺すなよ、捕縛が第一だからな」

「無論ですぞ主」

 

 斯くして汜水関は怒り狂った華雄と張遼の突撃から開始された。星は張遼と対峙し将和は華雄と交戦、華雄は自慢の斧ーー『金剛爆斧』で攻撃を繰り出すも将和は回避していく。

 

「何故だ!? 先程まで酒を飲んでいたではないか!? そんな奴に私の攻撃が当たらないだと!?」

「済まんがあれは酒ではなくて水だ」

「何……だと……?」

(そこ驚くところなのか?)

 

 驚く華雄を他所に将和は態勢を整えた。

 

「さて、なら今度は此方からいくぞ!!」

 

 そう言って将和は刀で攻撃しそれを華雄が防ぐ。二人の一騎討ちは実に30合近くに及んだが将和が不意に出したエルボーが華雄の顔面を直撃し鼻血を出しながら華雄が倒れた。

 

「っと。取り敢えずは華雄を捕縛な」

 

 将和の言葉に兵士達が倒れて動けない華雄(気絶)を縄で捕縛するのである。そして将和が陣に戻ると同じく縄に縛られた張遼がいたのである。

 

「フフン、少し苦労したがこの通りだな主」

「流石だな星。今日はたっぷりと愛してやる(ボソッ)」

「ッ」

 

 最後の言葉に星は顔を赤らめるも薄く笑うのであった。

 

「久しぶりだな張遼」

「全く、負けてもうたわ。あの酒盛りもウチらを関の外に引っ張り出す案やったんやろ?」

「あぁ、済まないな。何とか董卓軍は無傷で捕らえたかったしな」

「趙雲から聞いたけど……ホンマに董卓っちらを助けてくれるんか?」

「勿論。何ならこのまま袁術軍に引き入れたいくらいなんだが」

 

 董卓と賈詡は内政能力は高そうだしなとは将和の談である。張遼もそれならと大人しく捕虜になる事を受け入れるのである。ちなみに縄はほどいた。

 その後、両将が捕らえられた事で両隊の兵士は敗走、若しくは降伏し汜水関も袁術軍によって占領されたのである。なお、汜水関占領後の軍儀で曹操、劉備らから「支援しようとしたのに断られ軍の行動を制限された」と文句を言われたが将和が「戦前に通告するなら兎も角、戦闘中に後方で怪しい行動を取れば裏切りと認識するしかあるまい」と反論し結局は有耶無耶となったのである。

 そして続く虎牢関では袁術軍は後方待機となった。まぁこれ以上の戦果を求められるのは困るといった事だろう。そして虎牢関の攻略には豫州の劉備一行、江東の孫策らが先陣を切り関に詰めよったが関の前には深紅の旗を掲げた隊がいたのである。

 

「ねね……旗を」

「御意ィィィ!!」

 

 呂布軍軍師の陳宮が部隊の証である『深紅の呂旗』を掲げた。

 

「遠からん者は音にも聞け!! 近くば寄って目にも見よ!! 蒼天に翻るは血で染め抜いた深紅の呂旗!! 天下にその名を響かせる董卓軍が一番槍!! 悪鬼はひれ伏し鬼神も逃げる飛将軍呂奉先が旗なり!! 呂旗に唾する畜生どもよ、その目でとくと仰ぎ見るが良いのです!!」

 

 陳宮の叫びに連合軍の兵士達は動揺を隠せなかった。黄巾賊討伐で名を馳せた飛将軍が此処にいたからである。

 

「……一匹ずつは面倒。纏めて掛かってこい」

 

 恋の言葉に関羽達が恋を包囲してから襲い掛かるが恋は軽々と往なして返り討ちにして追い返す。更に孫策、黄蓋、甘寧も参戦するが結果は同じであった。

 翌日、今度は曹操軍も参戦して夏侯惇、夏侯淵、許褚等も参戦したが何れも恋によって敗退していた。これに業を煮やしたのが袁紹であった。袁紹は軍を入れ替え、袁術軍を前面に向かわせた。本来であれば袁紹の軍自らであったが美羽が「関の攻略は麗羽姉様にお譲りする」と申した事で袁紹も許可したのだ。

 また、実を申せば先の汜水関でも袁術軍と袁紹軍が合同で攻略したという事になっていた。というのも先の軍儀の時に美羽が袁紹から旗を貰っていた。同じ袁家……だが、袁紹は冀州の袁家であり今回の反董卓連合の中心人物でもあった。だからこそ旗を借りたのだ。旗を関に指せておけば誰が攻略したのかは丸分かりだからだ。

 なお、その意味を知っていたのは軍儀に出ていた曹操、諸侯の軍師くらいであったが彼女達も本当に占領するとは思ってもみなかったので完全に裏を掛かれた形であった。

 それは兎も角、袁術軍は再び先陣を切る事になる。

 

「ど、どうしよう御主人様。このままじゃ董卓さん達が……」

「……分かっているよ桃香……」

 

 劉備軍の天幕で劉備達は軍儀をしていた。劉備軍の目的は董卓の救出であった。黄巾賊の討伐後、洛陽で恩賞を待っていた劉備軍達に恩賞の差配をしてくれたのがたまたま出会った董卓であったのだ。それ以来、董卓や賈詡らと文を交わしていた。そして今回の反董卓連合で孔明が手配していた密偵により洛陽は全くの平穏であり檄文に記載された内容では無い事を知ったのだ。

 その為、劉備軍の共通認識としては董卓と賈詡を何として助けるという事であった。

 

「御主人様、一つ案が……」

「何だい朱里?」

「恐らくは袁術軍の三好将軍は先の我等と同様に一騎討ちをするでしょう。両将が疲労した時に愛紗さん達も再び参戦してもらい呂布さんを三好将軍らより前に捕らえます。そして孫策さんとーーー」

「成る程……よし、やってみよう」

 

 そして劉備軍も再び袁術軍の後方に布陣し成り行きを見守るのである。対して将和は星を連れて虎牢関の前に立つ。

 

「恋、俺と星で一騎討ちをしようか」

 

 将和の返答は関の門が開いた事であった。開いた先には恋とねねが馬に乗っており歩ませて将和と星の前に降り立つ。

 

「……勝てる?」

「俺達が勝つさ」

「ん……来い」

「では行くぞ恋!!」

 

 そして星と恋の一騎討ちが始まるが二人の一騎討ちは25合で星が槍を取られた事で終わりを告げる。

 

「クッ、済まない主」

「良いって事よ星」

「次……将和……」

「休憩はいらないのか?」

「大丈夫……倒す」

 

 そこへ伝令が来た。

 

「報告!! 豫州の劉備軍の関羽達が我々も一騎討ちに参加すると……」

「断れ、通すな」

「はッ!!」

 

 伝令が走ると将和は刀を抜く。

 

「この日のために俺も練習してきた……来い恋!!」

「いく」

 

 先に仕掛けたのは恋だった。戟でもある方天画戟を振り下ろし唐竹割りをするつもりだった。しかし、将和は引きながら太刀を当てがう。そして当たった瞬間に刀の反りを内側に返して突き出す。

 

「ッ!?」

 

 しかし、恋は自身が誇る筋力を瞬時に使い引き下がり将和の平突きは宙を突き刺すだけであった。

 

「やるな恋……」

「将和もやる……」

 

 そして笑みを浮かべ二人は一騎討ちをする。10、20、30、気付けば50合も行ってはいたが将和も刃をギリギリに避けたりと小さな裂傷はしており血が滲み出ていた。

 

「まだやる……?」

「やるに決まってるじゃないか」

 

 恋の問いに将和はニヤリと笑う。

 

「久しく忘れていたもんだ……命と命を張り合う戦い……空の戦いを思い出す」

「??」

「何でもない。さて「助太刀致す!!」なーー」

 

 そこへ恋に刃を向けたのは劉備軍の関羽だった。だが、恋は刃を避けて距離を取る。

 

「三好将軍、後は我々が行い「黙れ小娘ッ」ッ!?」

 

 振り返った関羽は将和の表情を見て驚愕する。その表情は無に近かったがその表情を関羽にしても読み取る事が出来なかった。

 

「退けやガキ。貴様らみたいな妄言者どもの遊びをしているわけではない」

「な、誰が妄言者だとーーー」

「貴様が此処にいるとなると……ねね、『虎牢関』がやられたぞ」

「な、何ですと!?」

 

 将和の言葉にねねが虎牢関を見るとそこには大量の『孫』の旗が掲げられていた。

 

「孫策が家臣甘寧と周泰、虎牢関を占領した!!」

『オオォォォォォォォ!!』

 

 虎牢関の城壁で甘寧や周泰らが勝鬨を挙げていた。それを見て将和は恋に視線を移す

 

「……やられましたな主。あれは私も予想しておりませんな」

「……だな。済まん恋、俺の失敗だ」

「……良い(フルフル)将和は信頼出来る」

 

 恋はそう言って将和の前に歩いて膝を付く。

 

「ねねと降伏」

「良いのか?」

「良い。けど、セキト達も保護してもらいたい」

「あぁ、前に言っていた動物達か。良いぞ」

「……色々と納得いきませんが、恋殿が将和殿に降伏するなら問題無しですぞ!!」

「良いのかそれ?」

 

 将和は苦笑しつつも刀を収めまだ呆然としている関羽に視線を向ける。

 

「大方、諸葛の策だろ? 諸葛に伝えとけ。『策を労するならもっと上手くやれ』とな。そりゃ馬謖を重んじるわけだな」

 

 そう言って将和と星は降伏した恋とねねと共に陣に戻るのである。その後の顛末を伝えておく。

 虎牢関を占領した反董卓連合軍はそのまま洛陽に雪崩れ込み、主犯の董卓らを捜索したが董卓に賈詡は行方不明だった。ただ、董卓の屋敷は全焼し中から性別不明の二人の遺体が発見された事で袁紹は二人を董卓と賈詡と判断しこれにより反董卓連合は終わりを告げるのである。

 なお、二人が行方不明な事に張遼と華雄らも「まぁウチの判断が正しければ生きてるやろ」「恐らくは無事であろう。元気であれば問題無し」との事でありその後は将和の説得もあり袁術軍の武将として過ごす事になる。

 

 

 

 

 

 

 




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