『三好in恋姫(再リメイク)』   作:零戦

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第九話 新武器、逃走先

 

 

 

 

 

 

 冀州を領土に加えた曹操はその人的・物的資源を手に入れ、次に狙いを定めたのが徐州だった。徐州は義勇軍上がりながら天の御使いを保持する劉備が牧をしている州だった。

 曹操は総勢25万の兵力で徐州攻略を開始した。曹操軍の侵攻に劉備軍の軍師である諸葛亮孔明と龐統士元は防衛は一定の期間のみしか耐えられないと具申すると劉備はあっけらかんにこう言った。

 

「じゃあ逃げようっか」

 

 笑顔で言う劉備に孔明と士元は苦笑しつつ諦め北郷も肩を竦めるしかなかった。結局、劉備一行は慕う者達を連れて徐州を脱出し流浪の旅に出る事になる。

 そして荊州では……将和の政治が行われていた。

 

「倭式の生産は上手くやれているな?」

「はい~。これも将和様のおかげですねぇ」

「ですが将和様が蓬莱の国の出身とは……しかし、これ程のモノを知っているとなると納得出来ますね」

「俺は知っているモノしか分からんぞ包」

 

 将和は農業能力の向上として農具の改良に乗り出していた。即ち江戸時代から活躍する備中鍬、千歯扱き、唐箕等であった。無論、これは真桜に製作を依頼し大量生産が出来るように手筈を整えていた。

 先に南陽郡の農民達に配布をし評価が良ければ更に南郡や江夏郡にも配布予定だったが南陽郡は高評価であり将和は直ぐに大量生産を指示したのである。

 結果、荊州の各郡の農民達はこれらの農具を使用し糧食の増産、向上が図られる事になる。そして余った人員を利用して蚕の養殖を増産し布団を開発したりする。

 

「この布団は以前のより厚みがあって暖かみがある」

「病の時はこれを敷いていれば治りも早くなりそうだ」

 

 民は元より武官、文官達からの評価も良かったのである。そして極めつけは清酒だろう。将和の指導で米から作り、濁酒になるのを灰を入れて清らかにするのだ。荊州では盛んに作られ他国(揚州や陳留)からも購入が相次ぐ程でもあった。

 その為、資金に関しては荊州は上々だったのである。

 

「将和が作った酒はホンマに美味いなぁ」

「昼間っから飲むなよ霞」

「ええやん。ウチの師団は1日休みの日やからな」

「まぁ良いが、あまり羽目を外すなよ?」

「分かってるで将和」

「分かってたら先日の飲み屋を破壊したのも防げたよな?」

「ウグッ」

 

 ちなみに先日、霞は休みの時に王双と共に昼間から飲んで酔っぱらって大暴れをして飲み屋を1軒破壊していたりする。なお、修理代金は将和自ら出したそうな。それ以来、霞は御詫びの印にと真名を預けていたりする。

 というのは建前で将和と酔っぱらった時に自身が将和を押し倒して以降……というのが結末であったりする。

 

「まぁ迷惑をかけないよう程々にな」

「も、勿論やで将和」

 

 霞の言葉に苦笑する将和であった。しかし、表情は直ぐに変える。

 

「それで、華雄は大丈夫か?」

「うーん、ちょっとまだ壁にぶつかっている感じやな。鍛練も気合いを入れてるらしいが空回りしている場面が多いらしいわ」

「そうか……」

 

 どうも最近、華雄は自信を無くしているようであった。将和は仕事を早めに切り上げて華雄のところに赴くと華雄は鍛練場にて一人で金剛爆斧を持ち鍛練をしていた。

 

「精が出るな華雄」

「主様」

 

 将和が新たに君主になると華雄は将和を主様と呼んでいた。

 

「壁に躓いたか?」

「………分かりませぬ。私の力が此処まで……なのかもしれません」

 

 華雄はそう言って金剛爆斧を持ち上げるがその表情は重そうであった。

 

「華雄、もしかして武器が重いのか?」

「は? 元々重いモノでは無いのですか?」

「…………………(もしかして………)」

 

 首を傾げる華雄に将和は冷や汗をかいた。

 

「華雄……お前、武器を変えてみろ。もしかしたら金剛爆斧が重すぎるからお前の身体が付いていけないのかもしれん」

「なッ!? しかし主様……」

「命令だ華雄。取り敢えず一通りの武器を触ってみろ」

「は、はい……」

 

 華雄は渋々ながら武器庫から他の武器を出して一通りの鍛練をするのであった。

 

「フム、槍と斧が使いやすそうだな……」

「だが私の場合、突くのと斬撃も行うぞ」

「……あ、分かった。ならあれだな」

「??」

「あぁ。華雄の武器になり得るのがあるな。ただ、真桜に製作してもらうから時間は掛かるな」

「成る程。なら完成するまでは金剛爆斧を使わせてもらう」

「あぁ。華雄をガッカリさせやしないさ」

「分かった、期待しておこう」

 

 将和はそう言い、直ぐに真桜の工房に行って武器の製作を依頼するのであった。それから数日後、真桜の工房に将和と華雄が赴くと武器は既に完成していた。

 

「でぇけたで将和は~ん」

「寝不足か真桜? 無茶はするなと言ったろ?」

「いやー、製作しているうちに楽しくなってきてもうたんよ。そんでこれが華雄はんの新しくなるかもしれん武器や」

「これは……」

 

 そう言って真桜が華雄に渡したのは槍と斧が合体した武器ーーハルバードであった。先の頂点には槍が付けられ、その下には少し大きめの三日月型の斧にその反対側には鉤爪が付けられていた。

 

「コイツやったら斬る・突く・断つ・払うという攻撃は可能や。無論、華雄はんが使っていた金剛爆斧に形状は似とるけど、その分、斧の部分の重さを削って動きやすくしといたで」

「成る程……どうだ華雄?」

「……少し、やってきても良いか?」

「構わん、お前が満足するまで付き合うさ」

 

 その後、2人は鍛練場にて華雄が満足するまで鍛練するのである。

 

「こいつは扱いやすい。これなら私も越えられるかもしれん」

「それは何よりだな」

「主様……その……感謝致します」

「感謝するのはお前がそれを使って越えられてからでいいさ」

「はッ」

 

 将和にそう言われて華雄は頭を下げるが華雄は将和に視線を向けた。

 

「主様、私の真名を預けたいのですが……」

「良いのか?」

「はッ、私の真名は『猫』と言います」

「猫か、良い名だな」

「はッ」

 

 華雄ーー猫は再度頭を下げるのであった。なお、その話を霞に話したら大層驚かれた。

 

「え、マジなん将和?」

「マジだマジ」

「……成る程なぁ(華雄、本気ってわけやな)」

 

 将和の言葉を聞いて霞はそう思う。以前聞いた話で華雄の故郷は姓と真名しか送られない風習があった。そして真名を預けるのはその預ける人物と添い遂げる意味していた。

 

(ならウチも負けてられへんなぁ)

 

 対抗心を燃やす霞であった。そんな事は露も知らない将和は盛大にくしゃみをするのであった。

 

「ブェックシュン!!」

「ちょ、汚いで将和はん!!」

「済まん真桜。風邪かな……」

「寒ないか?」

「なら真桜に暖めてもらおうかな」

「ちょ、分かったからそこまさぐるんはやめぇって!!」

 

 真桜の部屋でイチャイチャする将和であった。そんなある日、いつものように政務をしていた将和の下に報告が舞い込んできた。

 

「何? 南陽郡の国境に劉備軍が?」

「はい、一時的な保護を求めてきていますねー。農民達はいませんが劉備軍の主将らに兵士3000程です」

「…………………」

 

 七乃からの報告に将和は頭を抱える。明らかに劉備一行は疫病神にしかならなかったからだ。

 

「追い返したい……マジで追い返したい……」

「一応、徐州から逃げてのですからねぇ。追い返すとなると荊州の評判は悪くなりますし……」

「おのれ諸葛亮め、これが狙いか。何て腹黒い……」

「将和さん? 腹黒いのは私の取り柄だった気もしますけど?」

「七乃はお尻ペチンペチンしとけばいいだろ」

「酷すぎません!?」

 

 そんな事を言う将和と七乃であったが、保護ではなく会見という形に持っていったのである。劉備一行は翌日に南陽城に入城しそのまま将和と謁見の間に会見を行う。

 

「三好様、保護して頂き真に感謝致します」

 

 開口一番に諸葛亮がそう発言し、将和は頷く事はしない。

 

「何か勘違いしていないか諸葛亮? 我々はまだ劉備軍を保護をしていない。会見を行うと言ったまでだ」

「ですが、まだという事は保護をして下さるのでは?」

「保護する理由が無い」

「我が劉備軍は一騎当千の将が多数おります」

「それがどうした?」

 

 諸葛亮の言葉に将和はそう返す。確かに劉備軍の中に関羽や張飛といった一騎当千の者達はいるがただそれだけである。

 

「ど、どうして私達を遠ざけようとするんですか!? あんまりじゃないですか!!」

 

 2人の話に遂に劉備がそう口を挟んできた。

 

「あんまり? 徐州を逃げ出す輩に言われてたかぁねぇわな」

「ッ」

 

 将和の言葉に劉備は口を噤んでしまうが諸葛亮が反論する。

 

「ですが桃香様が徐州を放棄した事で徐州は戦乱の渦に巻き込まれる事はありませんでした。それは評価すべき事ではないですか?」

「放棄? なら降伏したら良いじゃないか。民が大事だと言うなら民の為に命を投げ出すのが牧として最低限の事じゃないのか?」

 

 そう話す将和と諸葛亮だったが不意に口を挟んできたのは天の御使いである北郷だった。

 

「あの、ちょっと良いかな?」

『ッ』

 

 北郷の言葉に将和の傍に控えていた星や霞が厳しい視線を向ける。たかが御使いの分際で荊州を担う将和に何という口の聞き方だという表情であるが肝心の北郷は気付いていない。

 

「……何だ?」

「保護しないのであれば支援をしてほしい」

「支援と?」

「あぁ。俺達は蜀に行こうと思っている。だから武器、食糧、兵、武官を貸してもらいたい」

「武器と食糧は許可するが兵、武官は拒否だな」

「どうしてなんだ? 保護を拒否するなら支援くらい良いじゃないか?」

「何か勘違いしとらんか貴様? 支援がどうしてその四択になる? 支援をどうするかは俺が決める事だ。貴様が決める事じゃない」

「貴様!! 先程から黙っていればぬけぬけと……」

 

 北郷の傍にいた関羽が文句を言った時、関羽の足下に1本の矢が突き刺さる。控えていた紫苑が放ったモノだった。

 

「次は無いぞ」

「………申し訳ありません。武器と食糧だけで構いません」

「分かった」

「それと一行の中に袁紹殿達がおられます。何卒保護を願います」

「……分かった。それに免じて食糧は3ヶ月分から半年分に増加しといてやる」

 

 斯くして会見は終わったのであるがその後にも一悶着はあった。劉備が紫苑と風鈴を見て仲間に加わらないかと言い出したのだ。それに合わせるように北郷も2人を説得しようとしたが2人は明確に拒否したのであった。

 

「桃香にはちゃんと学を教えたつもりだったのですが……」

「荊州で御世話になっているのにどうして此処を蹴る必要があるのか分かりませんわね」

 

 2人は将和にそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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