アヤカシゲーム 作:αスタイル
ミミズクの頭を持つ男(声からして多分)オウルと協力し、神様とやらが作り出したゲームをクリアするための協力関係が結ばれた。
とは言ってもだ……
「俺は何をすりゃ良いんだ?」
そう聞くとオウルは指を1本立ててこちらに向けた。
「やることは1つ、神様から来る『クエスト』と呼ばれる依頼をこなす事です。そして、そのクエスト全てがある存在の討伐になります」
「ある存在?」
「『ムメイ』と呼ばれる存在です。姿形は様々で、共通していることと言えば、その配色が白と金色がメインと言うことだけです」
白と金ねぇ……また随分と眩しそうな奴だなと思いながらも俺はオウルの話を聞き続ける。
「そして討伐の仕方は2つあります。
1つは自ら戦う方法、そしてもう1つは『アヤカシ』を駆使する方法です」
「アヤカシってなんだ?」
「アヤカシは貴方の手助けをしてくれる存在です。言葉で説明するよりも実際に会ってみた方が理解が深まるでしょう」
オウルはそう言うと「こちらへ」と俺を部屋の奥へと誘導する。
本棚と本だらけの部屋を奥へと進むとそこには白い円柱の部屋があった。
そして、部屋の真ん中には何やら怪しげな穴と赤いボタンが付いた無機質な台が置かれていた。
「ここは『召喚室』です、あの中央にある台の穴に『ユニット』と呼ばれる物質を100個入れてボタンを押すことでランダムでアヤカシを1体召喚できます。……要はガチャですね」
オウルはそう言うとどこから取りだしたのか、茶色い両手で持てるぐらいの袋を俺に手渡した。
「ムメイと戦うにはアヤカシの力は必要です。貴方自身を強化して戦うという選択肢もありますが、正直申し上げると今の貴方はクソゴミカスみたいなものなので……」
「正直に言いすぎだろ、何お前?もしかして俺の事嫌い??」
そう言いながらオウルから手渡された袋の口を開けると中には黄色に輝く小さな板のようなものが沢山入っていた。
1つ取り出してまじまじと見てみると、その板は中で黄色い輝きがまるで波打つかのように動いていた。
「これがユニットってやつか……」
「はい、ユニットはこのゲームにおける万能素材と言っておきましょうか。通貨にもなり、アヤカシ召喚の対価になり、そしてプレイヤーとアヤカシの強化を行うことも出来ます」
「……!俺自身も強化できるのか?」
「はい、ですが貴方はk……」
「2度も言わんでいい」
オウルにクギを刺すとオウルは「これは失礼」と口元をわざとらしく隠した。
「とにかく、その100ユニットはアヤカシの召喚に使って下さい」
オウルに言われるがままに台の穴の上で袋を逆さにし、袋の中のユニットを台の穴の中に全て入れた。
「では、押して下さい」
オウルに指示されて俺はなんの躊躇いもなく隣の赤色のボタンを押した。
すると部屋全体が淡い青色で包まれ始め、台の先にその青色が集まっていく。
「すげぇ……」
そのどこか幻想的な光景につい言葉を漏らす。
青い光はまるで綺麗な川の中を泳ぐ魚のように宙を舞いながら一点に集まっていく。
するとオウルは「あっ」と何かを思い出す。
「……これはガチャなのでヤバいのが来ても私に文句を言わないでくださいね?」
「押す前に言えよ!!」
俺は後ろにいたオウルの胸元を掴んで引き寄せる。
「ヤバいのって何だ?まさかバケモンが出てくるんじゃねーだろうな!?」
「いやバケモンというか、バケモン的なものと言うか……アレですよアレ、猫かライオンかみたいな?同じ猫科なので問題無い的な……」
「大ありだろうが!下手したら喰われる例えだろソレ!!」
言い合っていると背後で集まっていた青色が激しく発光し始める。
「やべぇよ、もう出てくる感じだよ!お前前に出ろよ!!」
「何言ってるんですか、記念すべき一体目ですよ?桐生様こそ最前線でご覧になられるべきです」
「テメェがバケモン出てくるって言うからこうなってんだろうが!責任取ってお前が前に出ろうわ何こいつ力強っ」
俺とオウルは互いに揉み合っていたがどちらかが前に出る前に集まって発光した青色はガラスの割れるような音を立てて四散し、青色が集まっていた場所に1人の女が立っていた。
頭上にカチューシャを付けているかのように三つ編みで編んだ髪型の、少し変わった伸ばし方をした白い髪に獣耳の生やした人物が現れる。白いパーカーに片方が極端に短いズボン、そして背中には1本の刀身の太い剣を背負ったその女は片側が前髪で隠れた黄色い瞳をこちらに向ける。
「リリーバイス、ここに参上…………」
リリーバイスと名乗った女は揉み合ったまま固まっている俺たちを見る。
しばらくこちらを見ていたが、やがてゴミを見るかのような視線をこちらに向けた。
「キモッ……」
初めてのアヤカシから俺とオウルはその場で固まったまま強烈な一言を受けた。
ー◇ー
「おい、どうすんだよ」
最初の部屋に戻った俺とオウルは距離を保って近づこうとしないリリーバイスを見ながらヒソヒソ声で話し合う。
「お前のせいで誤解されてんだろうが。どうすんだよマジで」
「そんなことを言われましても、桐生様が抱きついてきたのではありませんか」
「抱きついてねぇ、適当言うんじゃねーぞ鳥頭」
俺はチラリとリリーバイスを見るも、アイツは俺の視線に気づくと嫌悪の表情を見せながら顔を逸らした。
「おいやべぇよ、完全に俺ただの変態扱いだよ。初印象最悪なんだけど……」
「大丈夫です、誤解とは誰にでもあることです。ちゃんと話せば誤解は解けますよ」
「本当だろうな?」
「この曇りなき眼を信じてください」
オウルがその大きな目をキラキラさせながらそんなことを言う。
だが、誤解を解かなければ話が進まないのは事実だ。今はあの女の機嫌を取ることが重要だ。
俺は咳をひとつしてからリリーバイスに近づき、笑顔で握手を求める。
「やぁ!俺は桐生だ、よろしく!」
「……話しかけるなよ陰キャ」
「おい誰が陰キャだこの野郎!」
怒りのまま襲いかかろうとする俺を背後からオウルが抱きついて引き止める。
「落ち着いてください!」
「コイツ俺が下手に出てりゃ好き勝手言いやがって!」
「確かに言い方は問題ありましたけど今ここで暴力を振るえば我々の負けですよ陰キャ!」
「何さりげなく陰キャ呼びしてんだ!お前はどっちの味方だよ!?」
揉め合う俺たちを尻目にリリーバイスは更に距離を取る。
「桐生様、距離が縮まるどころか離れていってます。このままではゲームどころではありませんよ?」
「じゃあお前が行けよ、アイツ絶対お前のことも馬鹿にするぜ?」
オウルはそう言われると「では試しに」とリリーバイスに向かって歩き出し、ぺこりと頭を下げた。
「初めましてリリーバイス、私はオウル。こちらの陰キャ桐生様のサポートを仰せつかっております。何卒よろしくお願いいたします」
「おい、俺をだしに使ってんじゃねぇ」
オウルがそう挨拶するとリリーバイスは多少警戒しながらも「……よろしく頼む」と返事を返した。
「見ましたか桐生様?綺麗な心と誠意があれば心は通じ合うのです」
「心通じあったってか俺を貶したから受け入れられただけだからな?
ドロドロのギットギトの心だったからな?」
そんなことを言い合っているとどこからともなく1冊の本が飛んできてオウルの上空で2、3回旋回した後にオウルの手元に収まった。
それを見たオウルはまずそうに頭をポリポリと掻いた。
「桐生様、どうやら初クエストが来てしまったようです」