ちょっとシリアスっぽい?
けたたましい爆音とともにヘリはながもんハウスの前に止まり、活発そうな女性が下りてきた。
「長門さーん!居ますよね?出てきてくだサーイ!金剛デース!」
金剛はそのままながもんハウスへ歩いて行くが、うしろの影には気づかなかった。
「わかってるよ」
背後から声が聞こえたかと思うと艤装に手をかけられてそのまま砲塔が抜き取られてしまう。昔潜水艦に不意打ちを食らった時のような、久々に感じる気味の悪い感覚を感じながら、金剛は反射的に振り返った。
「・・・静かに素早くデスカ、変わりませんネ」
「教えたのはおまえだろ」
「私も年ですネ」
金剛は笑いながら長門と握手した。金剛は心の中ではデスクワークで腕がなまったことに少し反省し、それ以上に長門が相変わらずの腕前であったことに安心した。再会を喜んでいると家の中から雷が出てきた。
「・・・何しに来たの?」
雷は金剛の顔を見るなり不機嫌そうに尋ねた。金剛は心中では申し訳ないと思いつつも、表には出さずに対応する。
「雷!元気デシタか~?」
「まあね・・・」
雷は金剛を睨んだままながもんにくっつく。金剛は気にしていないふりをして続ける。
「雷、ワタシは今からながもんと重要な話がありマース」
「そう、赤紙は持ってるの?」
「きついジョークデース」
雷の刺のある姿勢に金剛も困ってしまう。長門が雷を去らせてやっと話を切り出した。
「実は問題が発生シマシタ」
金剛は歩きながら、だが、いつになく真剣な表情で話し始めた。
「ながもんの部下が次々と殺されてマス」
「別人になりきったはずじゃなかったのか?」
長門の艦隊の艦娘はみな名前を変えて引退したはずである。隊員であったことを知る者は一部の上官か同じ隊にいたものしかありえない。
「情報が漏れてマス。夕張、瑞鶴、陸奥、皆やられマシタ・・・」
「誰がやったんだ?」
長門は平静を装って訊くが目はすぐにでも出撃したいというかのごとく光っていた。
「私たちは世界中に敵が居マス。犯人は深海棲艦の残党か、宗教原理主義者か、あるいは敵対関係にある国家か」
戦争は過去の話となり、深海との対話も進んでいるとはいえ、それを受け入れないものは幾らでもいる。軍を離れても彼女たちの目端には時折危険がちらつくのだ。
「次は貴女の番デス」
「・・・・・・ここで静かに暮らしたい」
長門は心の内を正直に話す。軍にいればいくらでも出世できる実力と適性があるが、それをかなぐり捨ててでも、今は一人の人間として家族と暮らしたいのだ。
「・・・そうして下サイ。憲兵とも協力して捜査を進めてマス。犯人が貴女に近づく前に捕まえて見せるネ!それまであそこの阿賀野と能代を護衛に着けておきマス」
2人の少女が家の前に立っていた。二人とも装備は新しいが、胸が自分より大きいことに長門は顔をしかめる
「優秀か?」
「もちろんデス!・・・ながもんには及びませんが」
金剛はニッと笑うと、ながもんの肩をたたいた。そのままヘリに乗り込む。
「くれぐれも幸せでいてくださいネ!でないと私が提督を諦めた意味がなくなってしまいマス・・・」
「わかってる。この件が収まったらお前も引退してこっちに来い」
「私は今が一番デス!」
そういって金剛は去って行った。
雷はヘリを見送ると長門の隣に立って不安そうに尋ねた。
「悪い話?」
長門は落ち着かない雷を抱き寄せてあげる。
「どこにも行かない、お前を置いては」
「ならいいわ」
普段は明るい雷をここまで不安にさせてしまった過去に長門は後悔を感じる。しかし、直後に電探が感じ取った殺気が、長門の神経を一気に緊張させた。
「!?」
長門は咄嗟に雷を担いで姿勢を低くする。99艦爆の空爆で阿賀野が大破したのは、その直後のことであった。
阿賀野ファンの方ごめんなさい