艦これ洋画劇場   作:創生路ハイローラー

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龍驤ファンの皆様、ごめんなさい


第7話 さよならRJ

「返事を聞くのが怖いんだけど、後で私を殺すつもり?」

 車でRJを追いつつ、足柄は恐る恐る尋ねた。

「いや」

 長門は視線をRJの車に向けたまま答えた。

「『沈める』って言うわけないわよね」

「何もしない」

 少しだけ足柄の方に顔を向けた。

「本当に?」

 念押しで聞いてみる。

「信じろよ」

 信じられるものか。足柄はそう思うが、同じ車に乗り合わせている以上、無理心中はできても追い出すことはできない。

「置いてかれるぞ。飛ばせ」

「んにゃ!?んにゃー!!」

 長門が長い脚で運転席のアクセルを蹴った。車が一気に加速する。

「いいぞ」

 長門は満足げだが、必死にハンドルを切っている足柄は寿命が縮む思いだ。

「どうしてこんなことするの!?」

 足柄は思わず怒ってしまった。刺激してはいけないと後悔するが、長門は表情を変えない。

「一口では言えん。とにかく私を信じろ」

「無理よそんなの、知り合ってまだ5分と経ってないのよ」

「・・・・・・」

 しまった、機嫌を損ねた。そう思った足柄は事故にならないように気を付けながら、必死に頭を回して場を保とうとするが・・・

「あの、私は足柄って言います。あなたは?」

「・・・・・・」

 自己紹介しかできない。自分を誘拐するような人物が普通名前なんて教えてくれるはずはない・・・

「・・・長門だ」

 あっさり答えられて拍子抜けしてしまう。とはいえ糸口はつかんだので、足柄も必死に食いつく。

「そうなの・・・見たところ戦艦みたいだけど今仕事は何してるの?」

「恥ずかしながら何もせず楽隠居だ」

「それじゃ、私の税金が貴女の年金になってるのね?」

「そうだ」

 あっさり認められて腹が立つ。自分は年金無しで、必死こいて働いてるのが馬鹿みたいだ。

「私が年金をもらえなくなるぐらい頑張ったのね」

 皮肉の一つも言ってもばちは当たらないだろう。こう思うぐらいには、足柄の気持ちも落ち着いてきた。

「汚い仕事もしてきたんでな」

「・・・そう、ありがとう」

 やっぱり戦艦は気に入らない。足柄はそう思った。

 

 

 

 そうこうしているうちにRJの車があるショッピングモールに入り、長門達も後に続く。RJが仮免テストなら1発アウトなだらしねぇ駐車をするのを確認してから、対照的に100点の駐車をした足柄は長門と車を降りた。

「ねぇ、私がいると足手纏いでしょ・・・」

 正直はやく開放してほしい足柄はここぞとばかりに逃げ口上を言うが・・・

「もう少し付き合ってくれ」

 長門は足柄の腕を抱えて逃がしてくれなかった。

 ショッピングモールはどこも最上階はレストラン街がつめているものだ。ドーナツ型の建物の内縁に建てられたエレベーターに乗ったRJは最上階の居酒屋鳳翔に入り、友人と思しき女性(瑞鳳と大鳳)と、次実装されるであろう軽空母の伊吹に胸があるかどうか?あったらいかに抹殺するかを話し始めた。長門もエスカレーターで最上階に上がり、回廊をはさんで反対側の柱に隠れた。

「理由を話す。娘が誘拐された。あの俎板が唯一の手掛かりなんだ。私がここにいるのがばれたら、娘が殺される。お前に頼むしかないんだ・・・」

 長門はそれまでの強引な態度とは打って変わって懇願するように足柄に話し始めた。

「奴を甘い言葉で誘って、ここまで連れてきてくれ。後は私がやる。それでお前は自由だ」

「嫌よ」

 足柄はきっぱりと断る。今迫っている身の危険はともかく、他人の命など知ったことではない。まして自称生えてる俎板軽空母と話すなどもっての外だ。

「頼む助けてくれ、お前だけが頼りなんだ。残された時間は10時間だけ。それが過ぎると、娘は殺されるんだ」

 長門は土下座までして頼む。床にめり込むほど頭を下げた。

「わかった。わかったわ。やってみる」

 

 

 足柄は渋々了解して歩き出した。だが、向かうのはRJではなく、近くの警備員・・・いや、警備熊だ。

「すいません。向こうに白いビキニを着た戦艦がいるんだけど、彼女まともじゃないの。誘拐されかけたわ。助けてください」

「見てくるクマ―」

 球磨は周囲を見回して大女を探す。視線を感じて長門は咄嗟に柱に隠れるが、戦艦の逞しいボディを隠しきれず、球磨には丸見えだった。球磨は長門を見るなり、軽巡1隻では対処できないと思い、下のフロアにいる木曽に応援を求める。

「木曽、いるクマ?頭のいかれた大女がいるクマ。一人じゃ手に負えないクマ」

 木曽は真面目に勤務しているわけでもなく、如月と荒潮をナンパしていた。そこに連絡が入ったので。

「少しカッコいいとこ、見せてやるぜ」

 と、意気揚々と出て行った。背後で、

「あらあら」

「うふふ(あなたには無理よ)」

 などと思われていたことなど知る由もなかった。

 木曽は威勢よく出てきたものの、やはり戦艦相手では厳しいので、援軍を呼ぼうと無線を手に取った。

「全警備員へ、3階で非常事態だ。容疑者は戦艦、215.8m、髪は黒、筋肉モリモリマッチョマンの変態だ」

 こうして、少しづつ警備員が長門の周りに集まり始めた。

 

 

 RJは伊吹よりも先に大鷹型を実装し、商船空母つながりでかつロリにしかなりえないロングアイランドをアメリカイベにねじ込んでロリコン提督を発狂させ、その力でボーグ級を次々実装させて伊吹実装を先延ばしにする計画を出して喝采を浴び、すっかり機嫌よく飲んだくれていた。

「しかし、女を引っ掛けるにはええ場所やな。いかすのがゴロゴロおって・・・あ、もう一人おる。またの」

 RJは足柄を見つけると、店を出てそちらに向かう。

「ウチ大阪人(ウチをお探し?)」

 長門に気を取られてRJに気付いていなかった足柄は抵抗するが、RJはしつこくまとわりつこうとする。しかし、突然大きな物音がした。

「クマ―!?」

 吹き飛ばされる変なアホ毛の付いた警備員と、次々倒されていく他の警備員たち。その真ん中にいる人物にRJは困惑した。

「あ、あれはながもん!?」

 長門は警備員を跳ね飛ばすと、RJに向かって走ってきた。

「小銭や!小銭を出せ!」

 RJは足柄のポケットから強引に財布を抜き取ると、電話BOXに飛び込んで電話を掛けようとする。立て籠もるRJに対して長門はなんと電話BOXを持ち上げて放り投げた。

「うわ!?」

 放り投げられるRJ。警備員が長門を取り押さえようとしているうちにエレベーターに乗る。長門も追いかけるすべを探して走り出した。

「にゃあ!(止まれ!撃つぞ!)」

 警備猫の多摩が単装砲を構えた。状況にすっかり混乱した足柄は咄嗟に多摩を跳ね飛ばしていた。

「いてて、まつにゃあ!」

「追撃します!逃げる隙など与えません!」

「五十鈴には丸見えよ!」

 エスカレーターを転げ落ちた多摩は他の警備員と足柄を追いかけ、足柄も逃げ回るはめになった。おかげで長門を追う警備員は少なくなった。長門は天井からつりさげられた碇と鎖の飾りに手をかけて、RJのいるエレベーターにターザンの要領で飛び移った。

「なんや!?」

 RJは高射砲でエレベーターの天井を撃ちぬき、命からがら駐車場にたどり着いて、車を発進させた。止めようと割って入った長門を跳ね飛ばすと、そのまま外に出て行った。

 長門も足柄の車に乗り込み、追おうとする。すると足柄が走りこんできて、助手席に乗り込んだ。足柄は怒り心頭で言った。

「あなた一体何なのよ! ……ああぁ!車は盗む、シートは引っぺがす、私は拐う、娘を探すのを手伝えなんて突然メチャクチャは言い出す。かと思ったら人を撃ち合いに巻き込んで大勢死人は出す、挙句は電話ボックスを持ち上げる。あんた人間なの!?お次はターザンときたわ。警官が、あなたを撃とうとしたんで助けたわ。そうしたら私まで追われる身よ!一体何があったのか教えてちょうだい!」

「駄目だ」

「駄目ぇ!?そんな!もうやだ!危ない!」

 夜の街を縫うように2台の車がカーチェイスする。ほかの車にぶつかるのもお構いなしに、長門の車は爆走した。

 ガツッ

「んにゃ!?にゃああ!!」

 ガガガ

「やめてよ!」

 DOM!CABOON!!

「キャー!!」

 RJは対空機銃や艦載機まで取り出して長門を止めようとする。長門は攻撃を回避しつつ追いかけた。

 激闘の果て、海沿いの道でRJの車はカーブを曲がりきれず横転して、足柄の車も岩にぶつかって大破した。

「大丈夫か?」

 無傷の長門が言った。

「死んでんじゃない」

 重巡の装甲のおかげで体だけは無事の足柄が答えた。

「生きてるよ・・・ここで待ってろ」

 長門は車から出て、横転した車からはい出たRJを引きずり出した。

「雷はどこだ!」

「あほんだら・・・」

 RJは必死に虚勢を張る。

「どこだ答えろ!」

「誰が答えるもんか、くたばれ!」

「見上げた忠誠心だなRJ。だがな、お前の命を張るほど値打ちのある相手か?さぁ頭を冷やして、よく考えて見ろ」

 そういうとRJを逆さ吊りにして崖に突き出す。スカートが落ちたが、パンツ越しに見ても生えてないのは明らかだった。

「あわわっ、ひぃいい」

「支えてるのは左腕だ。利き腕じゃないんだぞ」

「うう、ウチを殺したら、娘は見つからんで・・・」

「どこにいる!」

 長門はゆさぶりをかける。

「し、知らへん!・・・天龍が知っとる!アイツと会う約束してんねん!」

 RJはついに白状した。

「モーテルでか」

「えっ、どうして知っとんねん」

 長門はRJと一緒に拾い上げた鍵を取り出した。

「この鍵がそうだろう。お前は最後に殺すと約束したな」

「せ、せや、ながもん。助けてくれ」

 RJは縋るように長門を見上げた。

「あれは嘘だ」

 長門は手を放す。

「うわぁああああああああああああああああああああああ」

 悲鳴を上げて海へまっさかさまに落ちていくRJを尻目に、長門は足柄の車に戻った。車を壊されて、足柄は途方に暮れていた。

「車がなくなっちゃったわ」

「・・・・・・」

 長門は横転したRJの車を見て、まだエンジンが動くのを確認してから元に戻した。

「これでできた」

 長門が車に乗り込み、足柄も助手席に座った。いろいろあり過ぎて、警察に追われる身となった足柄はもはやこの流れに順応しつつあった。

「あいつはどうしたの」

「放してやった」

 車はモーテルへ向かう。

 

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