フェンリル横浜支部「team coyote」   作:ざま菓子

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オラクル細胞がありとあらゆるものを吸収、学習するとすれば、人工物に触れて進化した特殊なアラガミが一匹ぐらいいたっておかしくない。例えばそう、クアドリガのように。

――山ノ丈のアラガミ観察記より――


ARMORED TRAIN

 

 

「だからさっきから言ってんじゃん!!」

 午前11時半頃、フェンリル横浜支部の食堂で、コック服姿の佐々木が声をあげた。人目も気にする様子もない。

 彼は今、テーブルの上で湯気をあげるハヤシライスを前に熱弁している。向かいの席で頬杖をつきつつ、ミートソーススパゲティにフォークを突き刺しているのは彼のチームメイトで親友の一人、間だ。間はどうにも眉唾な様子でフォークを回している。

「まぁ確かにあり得ない話じゃないけどさぁ……それが実在するんなら広報部から何かしら出てるんじゃないか? さっき広報誌見てみたけどそんなの無かったじゃないか」

 二人の論点は佐々木が見たという【脚が電車の車輪のようになっているクアドリガ】についてだった。佐々木が任務帰りに線路上を走っていた影を見たというのだ。昼ご飯を食べながら二人でその存在について議論を交わしていたところだ。この二人は単に考え方や性格に違いがあるだけで、決して仲が悪いわけではない。

「ぐぬぬぅ……本当に見たんだって!」

「見たって言ったって影だろう? 直接車輪がついてるのを見たわけじゃあるまいに……」

「いいや! あれは絶対そうだって! あの動き方は電車だよ!」

「ふーむ……」

 この二人の議論は平行線が続いてしまうため、大抵進展がない。とりあえず小休止して、ご飯を食べる。

(竜の言ってることはあながち可能性ゼロとも言えない、クアドリガのキャタピラみたいな脚が車輪になったとして、あの脚を伸ばすなり何なりすれば線路も……いやしかしだ、クアドリガの脚の幅や脚と脚の間の幅が線路に合わないはずじゃ……)

 間は甘いアイスティーを口に含みながら考えを巡らせる。佐々木はハヤシライスを口に掻き込んでお冷を飲み干すと、肩を竦めて念を押すようにつぶやいた。

「本当に見たんだけどなぁ……電車型のクアドリガ」

「そんな先輩に朗報です!!!!」

「うぉわッ!?」

「ひぇぁ!?」

 突然横から浴びせられた叫び声に驚いて佐々木はお冷をこぼしかけ、間は危うくフォークで顔を刺すところだった。ふと見ると、そこにはホットパンツにデニムジャケット姿の少女と、緩く薄いショールを羽織り、Tシャツとジャージズボンのゆるゆるとした組み合わせで赤い髪を揺らしている、いわゆる【クール&不思議キャラ】という言葉が合いそうな少女が並んで立っていた。

「あぁ、竜のチームの……確か松崎さんと……赤島さんだっけ?」

「どうもー! 覚えてくれて光栄です! 葵です! よろしく!」

「……赤島響花です。お噂はかねがね聞いています。間少尉」

 二人は佐々木が指揮していたチームデルタのメンバーで、前者のデニムジャケットの少女は松崎葵、後者のクール&不思議キャラな少女は赤島響花だ。

「噂? なんだざまさん。お前なんか噂とかあったっけ?」

 佐々木の質問に答えられない間は、首をかしげる。

「はて? 赤島さん、なんて噂が広がってるんだ?」

「えぇ、有名ですよ。アラガミを非常によく喰すということで、『暴食の間』という通り名があるんですが……もしかしてご存知ない?」

 ぽかん、と二人は口を開ける。と、同時に、二人一斉に爆笑した。

「暴食! いいねぇ、ざまさんにピッタリじゃん!」

「はっはっは! いつの間にかそんなあだ名がついてたとはなぁ!」

 しばらく爆笑した後、佐々木がようやくあるべき質問に戻した。

「で? 俺らに朗報ってのはどういうことなの、葵ちゃん?」

 佐々木の質問に葵は喜々として答え始めた。

「はい! クアドリガの電車タイプが捕捉されたので、討伐せよという任務が今しがた発令されたのです!」

 それを聞くや否や、佐々木はガタッと音を立てて立ち上がった。葵の両肩を掴んでグラグラと揺さぶる。

「よっしゃ!! でかした!! いい情報を持ってきてくれた!! 」

「あはは、実は私達も興味があって、出来れば同行させてもらいたいなーなんて」

 葵は上目遣いで佐々木を見る。もちろん、佐々木が断るわけもなかった。

 ちょうどその時、食堂に長髪の男が入ってきた。青桐だ。

「あ! 青さーん! ちょっとー!」

 テンションの高いまま、佐々木は遠くから青桐を呼んだ。青桐はめんどくさそうに顔をしかめ、食堂の料理を適当に皿に盛ってから佐々木達の近くの席に腰を下ろした。

「なあざまさん、こいつなんでこんなにテンション高いんだ?」

「電車型のクアドリガが発見されたのが余程嬉しいんだろうよ、で今その討伐任務を・・・・・・青さん?」

 青桐はゆで卵の殻を剥く手を止めて、驚いた様子で間を見ていた。見事なまでに微動だにしない。

「・・・・・・マジかよ?」

「マジだが?」

「マジなんだぜ!」

「マジです!」

「マジ・・・・・・みたいです」

 間に続いて、佐々木、葵、赤島が肯定すると、いきなり青桐の顔に歓喜の表情が浮かんだ。

「マジでッ!? よっしゃ! これでアメリカ映画みたいなガンシューティングができるじゃんか!」

「・・・・・・ええ?」

 意外すぎる反応に間だけが首を傾げざるを得ない。それとは裏腹に、佐々木や葵は一緒になってはしゃいでいた。

「で、今その電車型クアドリガの討伐任務について話してたんだぜ!」

「行く! 行くに決まってんだろバーロォ!!」

 殻を剥き終わったゆで卵を丸ごと口に入れて青桐は席を立った。青桐達が足早に歩き始めたのに置いていかれ、間は目の前のスパゲティを見下ろした。

「お~い? ちょっと、竜!? 私まだ食ってんだけど!」

「いいから来い!」

「ひえ~・・・・・・」

 襟首を掴まれた間はスパゲティの皿を持ったままカウンターへと連れて行かれた。

 白花が立つカウンターに、5人の神機使いがぞろぞろと並んだ。若干身を引きながらも、営業スマイルを忘れない白花の態度は流石と褒めて然るべきだろう。

「ど・・・・・・どうも、ミッションの発注ですか・・・・・・ですよね?」

「そう! さっき電車型クアドリガの討伐任務が発注されただろ? 俺たちが受けるぜ!」

「ああ、あのミッションですか。わかりました。ですが・・・・・・」

 白花はチラリと間を見る。その手にはスパゲティの皿とフォークが乗せられていた。

「間小尉、まずはそれをどうにかしましょうね」

 

 

 

 

任務概要

タイトル:東海道鉄道奪還作戦

概要:フェンリルも時折使用する東海道鉄道線上に、電車の車輪を持ったクアドリガが複数確認された。明後日の物資輸送の障害になるため、即時これらを全て撃破してほしい。任務にはフェンリルの物資輸送用の車両を使用する。それ故、任務に向かう人数は少ない方が好ましい、腕のある神機使いの少数精鋭での作戦を望む。尚、電車上しか移動できないため、ミサイル対策にタワーシールドを装備していく事を強く推奨する。

 

 

 

 

 

「ほほう、本当にいたということか、電車型クアドリガというのは」

「電車型クアドリガの噂は結構広まっていましたから、一番乗りで良かったですね」

 スパゲティをたいらげて口元を拭い、任務書に受注のサインを書きながら間は言った。

「作戦開始時刻は40分後です、早いとこ準備して行きましょう」

 葵は早く任務に行きたくて仕方ないというようにそわそわしている。

「竜、今回はお前が主体で受けた任務なんだ、リーダー役はお前に任せるからな」

「あいよ、適当な指示しかしないからな! 覚悟しとけ!」

 何をどう覚悟するんだか・・・・・・と間は肩を竦めた。青桐はとっくにサインし終えたのか、ターミナルでもう神機の調整を行っていた。間は佐々木達に言った。

「さて、じゃあ松崎さんの言う通り、さっさと準備しますか」

 各々はターミナルを起動して神機の調整にかかった。

 

 

 

 

 

装備情報

間遼太郎

剣:氷刀改(ロング)

銃:トスカ真(スナイパー)

装甲:龍大甲新(タワーシールド)

 

佐々木竜太郎

剣:過冷却ナイフ(ショート)

銃:28型ガット(ブラスト)

装甲:強支援シールド改(シールド)

 

青桐拓馬

剣:ペイジ新(ショート)

銃:ヤタガラス改(スナイパー)

装甲:サルガス(タワーシールド)

 

松崎葵

剣:アイスドリル真(ショート)

装甲:抗貫通バックラー(バックラー)

 

 

 

 

 

 

      旧横浜駅 プラットホーム

 

 

 フェンリルマークの車で旧横浜駅に到着した神機使い達は、ボロボロになりつつあるホームでフェンリルが用意したという電車を待っていた。

「あれ? 赤島さんの神機は?」

 間は神機の動作確認をしながら、手ぶらで立ち尽くしている赤島に聞いた。彼女はアナグラ内でのショール姿ではなく、ゆったりしたシャツとズボンに着替えていた。

「あ、既にフェンリルの電車の中に入れてあります、実を言うと、私は今回オペレーターを担当するんです、電車内で」

 赤島は微かに笑みを浮かべてそう説明する。赤島は既にオペレーターの資格を取得しているというのだ。

 フェンリルのオペレーターの場合、資格といっても講習を数回受けるだけなのでそう大袈裟なことでもない、ことに人手不足の場合は資格を持っていなくてもオペレーターを務めることがあるため、資格の有無に関する厳密な規定はない。

「ざまさん知らなかったの? 今回使う電車はオペレーションシステムもあるんだぞ?」

 そう口を挟んだ佐々木は近くで体を動かしている。葵もその隣で同じようにストレッチしている。

「そろそろ来る頃なんだがな・・・・・・」

 青桐が腕時計を覗きながら言ったのを待ち受けていたかのように、遠くから電車の音が聞こえてきた。

 フェンリルの電車は全5両編成、既存の新幹線を改造した様なものだった。前2両はフロントガラス以外の全面が鉄板のようなもので覆われており、後ろ3両はそれに加えて、車両の上に出れるように柵と足場が設けてあった。

「ほほう、こりゃまた豪華車両だな。いろんな意味で」

 間がボソリと呟く。赤島を先頭に、神機使い達は車両へと乗り込んだ。

 車内は見かけの印象に反して明るく、室内が隅々まで見渡せる。1両目は運転席とオペレーションシステム。2両目は神機のマニピュレータなどの設備、3両目からは段ボールなどが積まれている倉庫のような車両だった。

 奥から、制服姿の男性と女性が一人ずつ現れ、佐々木達に敬礼する。

「神機使いの方々ですね、本作戦に参加できて光栄です。よろしくお願いします。運転手の村上です」

「助手の沢美です。よろしくお願いします」

「よろしくお願いしまーす。本作戦リーダーの佐々木竜太郎です」

 佐々木から始まって、順番に自己紹介していく、それが終わると、二人は奥へと下がった。赤島が仕切直すかのように小さく咳払いする。

「では、作戦開始までもうあまり時間もありませんから、私達は私達でブリーフィングをしましょうか、佐々木隊長。お願いします」

「ん? あぁ・・・・・・」

 佐々木はポケットから小さく折り畳んだ作戦書類を広げ、車両のモニターの電源を入れた。

「今回は電車型クアドリガを一掃する作戦で、この電車を拠点に行う。赤島がオペレーターとなって、全て撃破したのを確認したら作戦終了だ。響花ちゃん、映像よろしく」

 赤島が機械を操作すると、モニターに映像が映し出される。

「電車型クアドリガが最後に捕捉されたのがこの東海道線の保土ヶ谷駅の付近で、まだこのあたりに潜伏していると考え、この電車も東海道線を南下する。クアドリガの群れを発見次第、電車を止めずに戦闘に入り、討伐する。こういう作戦だ」

「走りながら討伐するのか? てことは銃撃しかできないのか」

 間が頭を掻きながら聞く。

「そうなるだろうね、だから3両目以降には補充用のオラクルをたっぷり積んでるらしい」

「青さん大歓喜だね」

 葵の言うとおり、青桐だけやたら楽しそうにしていた。

 本来リロードを必要としない新型神機だが、リロードができないわけではない。旧型神機従来のリロードをそのまま可能とする。

「そう、青さんには今回活躍してもらうからな! お前らも少しは青さんの射撃の腕に習って狙撃しろよ!」

「そういうお前はブラストを装備してきたところをみると、狙撃する気ないんだな?」

「当然だぜ! 俺は狙撃じゃない、爆撃するんだ!」

 佐々木の開き直りに間はただただポカンと呆れるしかない。何故か葵と意気投合してハイタッチまでかましている。

(佐々木のチームには佐々木の悪いところに似てしまう奴がいるんだな・・・・・・しかも松崎さんに至ってはタワーシールド推奨って書いてあるにも関わらずバックラーだったし・・・・・・)

 間は早くも頭が痛くなってきた。肩を竦めてふと、赤島を見る。彼女も微かに笑顔だ。

「それじゃあ、クアドリガを見つけるまでは電車内で休むとする。休憩!」

 その時、作戦開始時間に伴い。神機使い達を乗せた電車はゆっくりと動き出した。

 

 

 

 

 

 

「そろそろ保土ヶ谷駅を通過します」

 赤島が、誰にともなく報告する。

「そろそろ電車型の活動範囲かね?」

「皆、心構えぐらいはしといてくれよ」

 佐々木が隊長らしく警戒態勢を張る。間はソファで行動指針を練っていたが、少しだけその様子を眺めた。

(佐々木もやっぱりリーダーらしいねぇ、元々面倒見は悪くない奴だから、素行さえよければ昇進するんだがね・・・・・・ん?)

 間は肩に重い物が乗っているのを感じる。見ると、青桐が頭をうなだれて居眠りしているではないか。間は肘打ちをかまして青桐を起こした。

「起きろよおっさん。そろそろだぞ」

「ん? あぁ・・・・・・おう」

 またも暇になった間は青桐の長髪を一本抜きとり、それで結び遊びをし始めた。

「お前さぁ・・・・・・変人だよな」

「今更? 青さんだってよくわかってるだろ?」

 間は指先の髪の毛を凝視しながら器用に結び目を何度も作っていく。葵は赤島にもらったチョコパンを嬉しそうにかじっていた。当の赤島は無表情にモニターを眺めている。すると・・・・・・。

「「「「「ッッ!!」」」」」

 突然、電車内が大きく揺れた。まるで地震をくらったかのような衝撃が神機使いを襲う。さらに赤いパトランプと警報が鳴り、赤島がようやく振動の正体を掴んだ。

「隊長! 後方に複数のクアドリガ! スピードからして電車型だと思われます!」

 佐々木達はブリッジの階段を駆け上がり、外の光景を見た。

「あ・・・・・・あれが電車型!?」

 そこには強風をものともせず電車に追いつこうとするクアドリガが数体・・・・・・その脚部は折り畳まれていたが、明らかに普段のキャタピラ状ではなかった。

 クアドリガ達の脚部はキャタピラの代わりに、電車の車輪がついていた。排熱器官から煙をあげて電車を追ってきている。全てが同じ車線にいるのではなく、それぞれ別車線を走行してきていた。さらに、通常のクアドリガとは違う点がもう一つ。

「・・・・・・なんか小さくね?」

 青桐が呟いた。その通り、電車型クアドリガ達は通常の個体より一回り小さく、まるでクアドリガの子供のようだ。間は自分が抱いていた疑問の答えを見つける。

「そうか! 体のサイズを小さくすれば脚の間の幅も狭くなる・・・・・・!」

 直後、最前線を走るクアドリガがミサイルポッドを開き、数発のミサイルを放った。直撃こそしなかったが、衝撃でまた車体が揺れる。ミサイルそのものも体のサイズに合わせて多少小さくなっていたが、それでも何発も当たれば電車が持たないだろう。佐々木ははっと我に返って指示を出した。

「皆! 神機を持ってここに集合! 出撃するぜ!」

 間達は言われたとおり、車両のマニピュレータから各々の神機を持ち出し、再度屋根の上へ上った。同時に取り付けた無線から赤島からの通信が入る。

赤島:『あー、あー、聞こえてますか、皆さん』

佐々木:『聞こえてるぜ響花ちゃん!』

葵:『同じく~!』

青桐:『聞こえてるお~』

間:『感度良好です。赤島さん』

 全員が応えたのを確認して、赤島はさらに通信を続ける。

赤島:『では皆さん、攻撃に注意しつつ、標的を全て撃破してください。そちらの様子は随時、カメラとレーダーによってこちらに送信されています』

青桐:『おーけー』

赤島:『加えて、佐々木隊長の眼鏡を含め、皆さんのPDAに電車の損傷状況をHUDで表示します。電車の損傷により任務の遂行が不可能になった時点で撤退してください』

『『了解!』』

間:『赤島さん、クアドリガの兵装って確認できます?』

赤島:『現在確認されている中でも機銃とミサイルポッド、あと前面装甲内部に大きめのミサイルランチャーがあります』

佐々木:『機銃!? マシンガンまでついてんのかよ!』

赤島:『どうもその様ですね・・・・・・ところで、間小尉』

間:『ざまさんでいいよ、なんでしょう?』

赤島:「では、ざまさん。私のことは赤島と呼んでくださって結構ですよ。敬語も使わないでください」

間:『そうかい。じゃあ遠慮なく・・・・・・でもいきなりなんだ?』

赤島:『いえ・・・・・・別に。なんとなくざまさんとは仲良くなれそうです』

間:『? 変な人だねぇ』

佐々木&青桐:『『お前が言うな』』

赤島:『ふふっ・・・・・・では、各員。健闘を祈ります!』

 無線を切るのを待っていたかのように、電車を両サイドから挟みうちしたクアドリガはミサイルを射出してくる。間と青桐はとっさに装甲を開き、わずかに後ずさりながらもミサイル攻撃を防いだ。青桐は神機を手すりに乗せて照準を合わせ引き金を引いた。数本のレーザーが一体のクアドリガに当たる。

「青さん、ミサイルポッドを狙え! 俺は前面装甲を爆撃するッ! ざまさんは状況を見て適当に動け!」

 佐々木の指示を聞いて青桐は照準をミサイルポッドに合わせる。ミサイルポッドが開いた瞬間を狙い・・・・・・射撃!

「・・・・・・!」

 開いたミサイルポッドは青桐のレーザーに貫かれたが、それでも数発のミサイルを放ってくる。銃身の状態では装甲を開けない。青桐は横に跳び退いたのと入れ替わりになって装甲を開いた間が入る。一発が間の装甲に、もう数発は車体へ直撃した。車体がまた揺れる。

「ナイスだざまさん!」

「あぁ、だが電車へ数発入っちまった! なるべく早くミサイルを無力化しよう!」

 間達の反対側で、佐々木はもう一体のクアドリガに対して爆撃していた。

「くっ! なかなか前面の装甲に当たらない・・・・・・!」

 今佐々木達が交戦しているクアドリガは丁度電車の側面に位置しているため、前面が狙いづらいのだ。

 しかし、佐々木はクアドリガ全体に対して爆撃しているため、本体の装甲はかなり破壊していた。しかし、二つあるミサイルポッドは健在だった。

「! 弾切れだ。葵ちゃん! 装甲でできる限り防ぐから車内に戻って追加弾倉を!」

「了解ッ!」

 葵は階段を駆け下ってリロード用オラクルを取りに行った。

赤島:『青さんとざまさんが交戦しているクアドリガ、ミサイルポッドが二つとも破壊されました。結合崩壊です!』

 佐々木も振り返る。青桐達が照準をつけているクアドリガのミサイルポッドが大破し、煙をあげているのが見えた。

「やったな青さん!」

「おう! そっちも気をつけろよ!」

 車内から肩から袋を下げた葵が帰ってくる。葵が佐々木に駆け寄った瞬間、双方のクアドリガが一斉に攻撃を始めた。

「危ねぇッ! 皆装甲を開け! 葵ちゃんは俺の後ろに!」

 佐々木の指示に反応して、間と青桐、佐々木の三人が装甲を開く。その直後、佐々木の装甲にはミサイル砲撃が、間達には機銃による銃撃が浴びせられた。

「っ! 今だ!」

 間は素早く神機を銃に切り替え、今度は排熱器官を狙撃する。数本の高威力レーザーが排熱器官を貫き、爆発させた。

赤島:『ざまさん達が交戦中のクアドリガ、オラクル反応がかなり弱ってます。とどめを!』

「青さん!」

「おっしゃ!」

 二人は葵の持ってきたオラクルで素早くリロード、無照準連射でクアドリガに畳み掛けた! その内の一発が致命傷となったのか、クアドリガは金属の軋む音を響かせながら、身体のあちこちを爆発させて大爆発を起こした。

赤島:『オラクル反応消失・・・・・・ですが、残念な知らせです』

間:『どうしたッ!?』  

赤島:『後方、さらに複数体のオラクル反応を確認、増援です!』

葵:『数はッ!?』

赤島:『今データを送ります。現在観測されている数だけでも5体はいます』

 間達は線路の遠くを見た。確かに、後方に電車型クアドリガが5体・・・・・・いや、8体は来ていた。

「どうするッ!?」

「どうするも何も、迎え撃つしかねぇだろ!」

 四人は電車の最後尾へ移動し、佐々木と葵を先頭にする。先程のように側面に回られる前に前面装甲を攻撃しようという考えだ。それまで佐々木達が相手していたクアドリガを、青桐は数発の狙撃で撃破してしまう。

赤島:『この車両と同じ車線にもクアドリガが走行しています。その個体を最優先目標としてください。追突でもされたら困ります』

佐々木:『はいよー』

 前線を佐々木と葵に任せ、青桐と間は一度リロードする。

「くそっ! 弾切れだ! ちょっと降りるわ!」

 佐々木は空になった袋を引ったくり、車内に駆け降りる。狙撃準備のできた二人が、葵を下げて狙撃体勢に入ろうとしたときだった。

赤島:『青さん! ざまさん! 危険です! 至急装甲を開いて!』

「!」

 視力の良い間はすぐにその意味に気づいた。同じ車線で猛スピードで接近してきているクアドリガが前面装甲を開き、中から大型ミサイルを発射しようとしているのだ。

「まずいぞ青さんッ! 指示通りにッ!」

 二人で装甲を展開して密着させ、一つの大きな装甲を作る。その内側に葵を呼び寄せせ、衝撃に備えた。

赤島:『来ますよー・・・・・・発射!』

 無線の約2秒後、衝撃と爆風が装甲を押した。足に力を入れてなんとか押しとどめる。

「危ねぇなぁ・・・・・・あんまり何回も食らうと不利だぞ」

 青桐が珍しく危機を察知する。間髪入れず、隣の車線を走るクアドリガがスピードを上げ、間達の電車と並走し始めた。顔のような部分がこちらを向く。表情はないが・・・・・・なんとなく、悪魔的に笑った気がした。

「・・・・・・上等、受けて立つよ」

 自分の後ろでそう呟かれたのを、間は聞いた。次の瞬間、間と青桐の視界に、葵が映った。

 葵は手すりを踏み台にして、固定剣形態の神機を片手にクアドリガの上へ跳び移ったのだ。オラクル細胞によって身体能力が上がっている神機使いだからこそ躊躇なくできる行為だった。

「葵ちゃん何を!?」

 袋を抱えて戻ってきた佐々木が叫んだ。しかし、その佐々木でさえ、薄々勘づいていた。

「もう面倒くさいッ! お前らなんか・・・・・・こうだ!」

 オラクル細胞が感覚的に操作され、葵のアイスドリル真が作動し始める。神機を逆手に持ち直し、ドリルの先を思い切り本体に突き立てた! 騒音と共に、本体の装甲がこじ開けられ、クアドリガは悲鳴に似た音を出した。そんな葵に向けてミサイルポッドが回ったところで・・・・・・。

「てぇい!」

 同じく剣形態の神機を手に、佐々木が跳び移った。素早い斬撃で両側のミサイルポッドを切り落とす。切り落とされたミサイルポッドは後方に跳ねていき、後方のクアドリガにぶつかって戦線離脱させた。

「青さん! 今だよ!」

 葵は神機を引き抜き、青桐は慌てて神機を構える。そして二人がクアドリガから離れたと同時に排熱器官を狙撃した。それが致命傷となったのか、大きな爆発を伴って脱線していった。

「ひゅぅ~、やるぅ青さん」

「お前な、あんまり無茶すんなよな」

赤島:『クアドリガを計三体撃破、あ、皆さん伏せて!』

「え?」

「ッ! いいから伏せろ!」

 ぼんやりとしていた青桐を間はラリアットで強引に伏せさせる。その時、目の前を暗闇と騒音が覆った。やがて暗闇が消え、空が見える。

「な、なんだ?」

「トンネルだよ、東海道線はフェンリルもよく使うから、トンネルとかもちゃんと整備されてるんだ。他の路線は壊滅気味だけどな」

 佐々木が解説するが、伏せるのが遅れていたら頭か首の骨がエライことになっていたと思うと、青桐は背中に寒いものを感じた。

 間はふと、トンネルの方を見た。

「クアドリガ達は!?」

 トンネルの高さの関係で、もしやクアドリガは撃沈したのではと期待したが、それは甘かった。暗いトンネルから、あの機械系アラガミが暴走族のように次々と走ってくる。佐々木はある違和感に気づいた。

「あれ、あいつらって違う路線にいなかったっけ」

 佐々木の言う通り、トンネルに入る前はバラバラの路線にいたクアドリガ達は、今は全て佐々木達の電車と同じ路線にいるのだ。間が自分の考えをまとめる。

「多分あの車輪、今は折り畳んでいるがきっと普通の奴と同じように四足歩行にできるんだろ。脚を少し伸ばして・・・・・・それをバネにすれば横に跳び移るぐらいできるかもしれない。巨体に似合わない機動力を持つクアドリガだ・・・・・・あり得ないとは言い切れないぞ」

赤島:『ざまさんが正解です。このままでは追突されてしまいかねません。何とか撃破してください』

佐々木:『数はどうなってんの?』

赤島:『途中で一体加わったようで、現在6体です。密着しています』

 縦一列になったクアドリガ達が一斉にミサイルポッドを開いた。一番手前のクアドリガは機銃や前面装甲の大型ミサイルまで準備していた。

「させるか!」

 青桐が装甲を開く傍らで、佐々木は前面装甲に向けて爆撃。28型ガットの銃口から吐き出された氷の爆弾は先頭のクアドリガを凍てつかせる。

(・・・・・・!)

 ふと、間が無線を入れた。

間:『赤島! 運転手に速度を落とせと伝えてくれ!』

赤島:『え・・・・・・しかしざまさん、それでは後ろにぶつかって・・・・・・』

 そこまで言って、赤島も間の思惑に気づく。

赤島:『! ・・・・・・わかりました。伝えます』

「ざまさん、どうするつもりだぜ?」

 青桐が未だに作戦を理解できず、照準をつけながら言う。間は微笑を浮かべつつ、神機を刀身へ切り替えていた。

「さっき松崎さんがクアドリガに飛び乗ってただろ? 今ならクアドリガを伝って攻撃できるんじゃねぇかと思ってさ」

 佐々木や葵も気づいたらしく、刀身にした神機を構えて今か今かと待ちかまえている。電車の速度が落ち、クアドリガの隊列との距離が近くなっていく。

「青さんはそこで狙撃しててくれ! 私と竜と松崎さんで突撃しよう!」

「了解、じゃあ二人は俺の指示で突撃!」

 佐々木は間と葵の間に立ち、正面のクアドリガと対峙して片手を上げる。

 そして電車がクアドリガとぶつかるかどうかという距離まで近づいた時、佐々木の手が正面に振り下ろされた。

「今だッ! 突撃ぃぃーッッ!!」

 佐々木の号令を受けて、間と葵はクアドリガの上まで跳躍、着地と同時にミサイルポッドを切り落とした。佐々木も遅れて着地し、排熱器官を攻撃し始める。

「!」

 間は後ろのクアドリガ達のミサイルポッドが開いているのを見た。しかしそこに……違和感。

(装甲を・・・・・・いや、様子がおかしい。何故ミサイルポッドは上を向いているんだ)

 上へと向けられたミサイルポッドからミサイルが垂直発射される。佐々木や葵も上空を見上げた。10メートル近く打ちあがったミサイルは重力法則に従って一斉に地へ落ちてきた!

「危ね……お前ら装甲を!」

 上空へと乱射されたミサイルは、特別間達を狙うわけでもなく、所構わず無差別に着弾していった。

(クアドリガは拡散するものと敵の方向を向くものの二種類の小型ミサイルを持ってる。今のが前者とすれば、必ず後者も撃ってくるはず・・・・・・)

 間は思考しながらもふと、今自分達が立っている場所を見渡した。先程放たれたミサイルの落ちてきた場所が派手にひび割れている。それを見て間は、脳裏に閃くものを感じた。

「竜ッ! 今から装甲を使わずに回避だけで戦ってくれ! 松崎さんも!」

「はぁ!? お前それどういう事かわかってんのかッ!?」

 佐々木は驚きの表情で間を見る。間は構わず後ろへ走り出す。

「うおおおおおおッッ!!!」

 走りながら、間の氷刀改が排熱器官を斬っていく。呻いた何体かのクアドリガのミサイルポッドが開き、ミサイルを放ってきた。

(ほら来た・・・・・・あとは着弾地点・・・・・・)

 またしても上空に放たれた十数発のミサイルは、今度は間に狙いを定めていたが、走っている間には一発として当たらず、ただただクアドリガの機体に当たるだけだった。それを見て、佐々木もようやく真意に気づき、間を追って走り出した。それを撃ち落とそうとクアドリガ達はまたもミサイルを放つ、荒れ狂うミサイルの雨を駆け抜ける。

「うぉあッ!!?」

 佐々木が何かにつまづいて転んだ。不幸にもその頭上には、ミサイルが降りてきていた。

「竜ッ!」

「先輩ッ!」

 葵が向かうが、間に合わないことは明らかだった。ミサイルが頭上あと2メートル前後というところまで接近したとき、突如、ミサイルは空中で爆散した。

「!?」

 間は一瞬面食らったがすぐにその理由がわかった。

間:『すげぇな青さん、そんな射撃もできるんだ?』

青桐:『見直したろ? クレーも得意分野なんだぜ』

 見ると、電車の方で青桐がしたり顔で佐々木達を見ていた。間達は安堵し、再び攻撃に移る。

 全てのクアドリガの排熱器官を破壊し終えたときには、既にクアドリガの機体はボロボロになっていた。今はもう、ほとんど一番後ろのクアドリガの力だけで全体が動いているように見えた。

「よし、あとは・・・・・・」

 三人は一番電車に近いクアドリガまで移動してきた。再び攻撃が始まるまでに最後の指示が出される。

「よし、お前ら・・・・・・とどめを刺すぞ。ミサイルポッドを破壊しつつ、クアドリガを一体一体破壊する」

 佐々木は間と葵にそれぞれ指示を与え終えると、クアドリガ達が再びミサイルポッドを動かし始めた。

「指示通りに頼むぜ!」

「おうっ!」

 葵は神機を逆手に持ち、一体目の背中にもう一度深く突き立てた。作動したドリルがクアドリガの機体を抉っていく。

「とにかく突っ込むッ! グチャグチャにしてやるッ!」

 騒音とアラガミの呻きがごちゃ混ぜになっていった。

 葵が神機を押し込んでいく間、佐々木はミサイルポッドの切り落としにかかり、その佐々木を間が装甲で守る。

「隊長! そろそろいいと思うよ!」

「オーケー! ざまさん、次だ!」

「よっしゃ!」

 一番前のクアドリガがほとんど無力化されると、三人は後ろのクアドリガに飛び移り、さっきと同じ作業を繰り返していった。ニ体目、三体目と、ボロボロのクアドリガは次々に黒煙を上げて無力化されていく。

「これで・・・・・・最後だぁぁ!」

 葵が最後のクアドリガに文字通りとどめを刺した。誰もが任務の終わりと思ったその時、焦った赤島の無線が入った。

赤島:『大変ですッ!』

佐々木:『どうしたの響花ちゃん?』

赤島:『クアドリガの内部に強大な爆発の予兆反応が現れました! 全員急いで車内に退避してください!』

 ほぼ無力化されたはずのクアドリガ達が大きく呻き始めた。壊された排熱器官から強引に排煙し、機体を大きく振動させ始める。その様子だけでも佐々木達に危険を感じさせるには十分すぎた。

「まずいなッ! お前ら逃げるッ!」

「わかってるよバカッ!」

 三人は一斉に機体の上を全力疾走し始めた。最後尾のクアドリガの上にいたため、全力で走らなければならない。

赤島:『爆発まで想定2分前後! 急いでッ!』

 普段物静かな赤島の叫びが無線越しに響く、それだけでも押し迫る危機について実感したが、揺れる機体の上ではいまいち速度が出ない。

「まずい! 急がないと置いてかれるぞ!」

 事実だった。実はクアドリガは無力化された時点で、既に出力を失い速度が出ていなかったのだ。徐々にだが距離が離されていく。

「おーいタロスー、ざまさーん」

 葵が勢いに任せるがままクアドリガを蹴って跳躍、青桐の隣に転がり込んだ。間もそれに続いて飛び込む。

「よし、来い竜!」

 最後、佐々木が飛び移る番になった。既に大分距離が開いていて、流石の佐々木も躊躇してしまうが、既に30秒近く経過している今。迷っている暇はなかった。

「うぉぉおぉおあぁあぁあああッッッ!!!!!」

 助走をつけた佐々木の体が跳んだ。が、わずかに力不足だった。

「ッ! そんなッ!」

 葵が叫び、間がとっさに伸ばした腕に、佐々木の腕が伸びる、すんでのところでお互いの手が掴まれ、三人で強引に引っ張った。佐々木の体が神機ごと無造作に転がる。

「車内にッ!」

 ひょこっと頭を出した赤島の声で、四人は雪崩落ちるように車内へ飛び込みハッチを閉めた。電車が急加速を始める。残り時間が後1分あるか無いかの逃走。赤島が残り時間を見て悲痛な声で叫ぶ。

「皆さん衝撃に備えてくださいッ!」

 赤島と葵は机の下で身を寄せ合い、佐々木と間は長椅子の下で伏せていた。唯一青桐だけが取り残されてしまった。

「あれ? 俺どうすりゃいいの?」

 間抜けな声で青桐が首を傾げた直後、大きな衝撃が全員を襲い、青桐だけ派手にこけた。

 衝撃が止み、ハッチを開けて外を見てみると、後方の線路が広大な焼け野原と化していた。間達はただただポカンと、開いた口が塞がらない様子でそれを眺めていた。

 その後、電車はパトロールを兼ねて大船駅まで走り、神機使い達は支部から呼んだヘリに乗って帰還した。

 

 

 

 

      後日 民間新聞会社発行の新聞にて

 

 

 鉄道線上で大爆発!? 原因は電車型アラガミか

 先日発生した爆発事故について、フェンリルは電車に特殊変異したクアドリガによるものだと表明した。神機使い達によって討伐されたが線路と事故現場一帯が大破、被害者が出なかったのが救いだと話している。なお、この爆発の影響により東海道鉄道に支障が出ており、フェンリルと共同で修復に当たっているとのこと。

 

 

 

 

 

       横浜支部 ラウンジ

 

 

「はっ、適当に記事書きやがって。民間の新聞会社ってどうしてこうも適当なのかねぇ」

 青桐は民間新聞会社の新聞をテーブルに放る。先日のミッションメンバーが再び集っていた。

「まぁフェンリルの情報はあまり広く公開されないんだし、そのくらいの記事にしかならないのも当然といえば当然だよなぁ。フェンリルの広報紙には面白く書いてあるよ」

 間も手に持っていたフェンリル広報紙をぽいっとテーブルに放る。赤島は青桐が放った新聞を取って流し読みすると、はて、と首を傾げた。

「そうでしょうか青さん、十分な内容だと思いますけどねぇ」

「わかってないなぁ響花ちゃん、事実だけ並べた記事じゃ駄目なんだよ」

 佐々木がちっちっちとばかりに指を振る。青桐も同調するかのように熱弁を繰り広げた。

「そうだぜッ! この記事にはッ! 俺たちの活躍が書いてないじゃあねぇですかッ! 俺の狙撃とかッ! 俺の華麗なる狙撃とかッ! 俺の洗練された狙撃とかッッ!!」

「他にもあったろうに・・・・・・」

 間は紅茶に角砂糖を溶かしながら小さくため息。今度は葵が間の広報紙を取った。

「えーとこっちには・・・・・・『爆走! 電車型アラガミとのチキンレース! 最後には自爆!』・・・・・・うーん、面白く書きすぎじゃありませんかぁ? エンターテインメントコメディじゃないんだから」

「それもまた潔いじゃん、ねぇ葵ちゃん?」

 赤島はチョココロネをかじりながら微笑みかける。それを見て葵はふと、ミッションの最初の事を思い出した。

「そういえば響花ちゃん、任務の最初にざまさんとは仲良くなれそうですって言ってたけどなんで? 実は好きなの? 恋なの? ねぇねぇ」

「あぁいや、それはそのぅ・・・・・・」

 葵はいたずらっぽく根堀り葉堀り聞き始めた。佐々木や青桐も当時の発言を思い出して一緒になってはやし立てる。

「いや、その・・・・・・本当に深い意味はないんですよ? ただなんとなく、雰囲気でですね・・・・・・」

「雰囲気で恋に落ちちゃったってか? かぁー! 良いですわぁ~!」

 青桐や佐々木は他人を煽るとなると、これまた一気に加速する悪いタチなのだ。

「やれやれ・・・・・・」

 間は青桐がシェア用に持ってきたクロワッサンに大量のコショウをまぶして佐々木と青桐と葵の口に詰め込んだ。彼らのくしゃみが電車型クアドリガの如く大爆発したのは言うまでもない。

 

 

 

ーーTo Be Continuedーー

 




…………はいすみません。オリジナルアラガミ作っちゃいました。
いやぁ「クアドリガってキャタピラっぽいのつけてるのにそれで走ってる姿見ないな」なんて思ったのが始まりで「じゃぁあの脚がキャタピラじゃなかったらちょっとは違った動き方するのか」と派生して「オラクル細胞って人工物も吸収するよな、じゃぁ電車もいけるよな」とこうきたらもう「電車型のクアドリガ作るか」ってなるでしょう!!! 


え、なりません?(汗)
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