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鬼方カヨコは困惑の中にいた。
白い髪を基調とし、前髪の一部と後ろで結った部分は黒く染めていてゲヘナ生らしく後頭部には一対の角を有している。パンク調の柄が入ったパーカーにスカート。透けるような白い肌に鋭い目つき。一見すると怜悧で排他的な印象を与える風貌の少女だ。
「……これは」
カヨコが所属している組織は<便利屋68>。四人で構成される何でも屋だった。今回は大口の依頼という事で本拠地を離れ、砂漠で覆われたアビドス自治区の近くまでやってきている。
便利屋は学生のみで営む企業という体であり、母校である<ゲヘナ学園>からは支援どころか指名手配までされている始末。
経営も軌道に乗っておらず、メンバー達の実力と反比例した実績の組織だ。
残念ながら、ここまでたどり着いた時には資金を使い果たしており、食費すら枯渇している状態だった。メンバーの伊草ハルカがようやく現在の所持金で入る事のできる店を発見し、入店する。
そこにいたのはターゲットである<アビドス高等学校>の生徒達だった。
「……どういうことなんだろ」
これは会敵に外ならず、こちらの素性が割れていない内に仕事を済ませるという選択肢もあったのだ。
だが、入店したラーメン屋のアルバイトから憐れまれ──四人で入っておきながらラーメン一杯しか頼めなかったからだが──料金の数倍はするだろう超特盛の品を恵んでもらう。四人で分けあっても尚、満腹になる凄まじい量。
行き届いた気配りで、しかも味も良い。たまにテント生活が挟まる<便利屋68>メンバーからしてみれば、ここは天国のような場所だった。
敵から食事を与えられている状況でなければ、もっと素直に喜べただろう。
加えて店内には、アルバイト以外のアビドス生四人もいた。つまり在校生全員だ。どうしてか便利屋メンバーと彼女らは意気投合してしまい、今は楽しい食事時間の真っ只中である。
異常な状況だ。
カヨコはお手柄だったハルカに炙りチャーシューを食べさせてやりながら、カウンター席に目を向けた。
店主と何かを話しているのは、白い服を着た”大人の男性”だった。
癖のある髪、飾り気のない眼鏡をかけていて、やや地味な印象を与える細面。物静かで、どこか底知れないと思った。
<シャーレの先生>とされる人物だ。キヴォトスに着任してから今まで、派手な事しかしていない。サンクトゥムタワーを奪還するために付近のビルを薙ぎ倒したり、あの狐坂ワカモを手なずけたり、連邦自治区の治安を一週間で回復させたり、枚挙に暇がない。
アビドスに来てからも同様だ。SNS上では暫く滞在して治安の回復や学校の復興について尽力しているというくらいの情報しか無いが、実際は一晩でカタカタヘルメット団をほぼ壊滅させている。
(依頼主からデータは貰っているけど)
相手がアビドス生だけだったら、勝つことは難しくない。チームとしては破格の強さだが、それは便利屋だって負けていないのだ。たった五人相手の奇襲戦であれば勝機はいくらでもある。こちらは好きなだけ準備が出来るのだから。
しかしそれは、カタカタヘルメット団も同じだったはずだ。彼女らは”依頼主”から重厚な支援を受け続けていた。一〇〇人以上を養う資金も弾薬も、果てには戦車や自走砲まで。
それが壊滅しているのだ。原因ははっきりしている。
依頼を果たすのであれば、あの<シャーレ>を何とかしなくてはならないという事だ。
サンクトゥムタワーの件や他の仕事ぶりを見る限り、突出しているのは指揮能力と考えて間違いない。
敵味方の戦力を把握して、敵の長所と味方の短所を潰し、その逆の部分を活かす。言うだけなら簡単だが、今のキヴォトスに彼を上回れる人間は存在しない。
あの先生がいる状態での戦闘は無謀だ。だとすれば、なんらかの対処を講じる必要がある。殺しなどもっての外なので、作戦開始前に攫うなりするべきだろう。問題はそれが可能かどうかという事だ。
「どしたの、カヨコちゃん。あの先生が気になる~?」
小柄な女生徒が隣に座ってくる。
浅黄ムツキ。<便利屋68>のナンバー2であり、リーダーの幼馴染でもある少女だ。小柄な体格で、長い白髪をサイドテールに纏めている。黙っていれば品のある顔立ちの美少女なのだが、とにかく悪戯が好きで欲望に忠実と、ゲヘナの生徒らしい問題児であった。
食事を恵んでくれたのがアビドス生だと気づいているのは自分とムツキだけらしい。それはいつもの事なので、カヨコはため息を吐いた。
「仕事の邪魔になるからね」
「放っておくわけにはいかない? だよねー」
ムツキは子供っぽい振る舞いが目立つものの、抜け目がなく視野も広い。だから頼りにはなるのだが、
「じゃ、私がお話してくるー!」
状況を引っ掻き回すのも大の得意だった。
しかも、こちらをちらりと見やってくる。付いてこい、という事だろう。
ムツキが先生の左に座ったので、カヨコは右に着席する。
「ここ、失礼するね」
「どうぞ」
見知らぬ生徒二人に挟まれても、相手に動揺は見られない。ムツキはともかく、カヨコは外見を理由に怖がられたり絡まれたりすることが頻繁にある。大人らしく、第一印象を表に出さない懐の深さがあるのだろうか。
ムツキが訊ねる。
「SNS見たけど、先生はアビドスにしばらく滞在するんだってね?」
「ああ」
「それってどのくらい? ずっといるの?」
「D.U.に戻って仕事を片付けたりもするが、そうだな」
”室長”である浅黄ムツキは流石だと思った。<シャーレの先生>はアビドスだけの存在ではない。他の自治区に赴く事も当然の職務なのである。拉致などするよりは不在時を狙う方が良い。
「私の予定がそんなに気になるのか」
「もっちろん! だって<シャーレの先生>だよー? キヴォトスの生徒はみんな気にするって!」
そしてこの演技力だ。仮にカヨコがやれば相手は警戒してしまうのに、ムツキは持ち前の人懐っこさですり抜けてしまう。
感心したのも束の間、
「……そうなのか」
深刻そうな表情になり、大人は警戒を始める。ムツキの演技を見破った……?
「ちなみに、どんな噂が流れているか等はわかるか」
「え? なんで?」
「私は至る所で監視されているからだ」
意味不明な事を言い始めた。<シャーレ>といえば権力の塊であり、他の組織が立ち入ることすらできない位置だと思っている
「監視って、誰から?」
カヨコが初めて口を開いた。
「<シャーレ>に加入している生徒たち全てだ。それにはアビドス生も含まれる」
「…………」
どうして部下のような立場である参加生徒から監視をされているのか不明だった。
それにこの人物はアビドス生からしてみれば、恩人に外ならないはず。先ほど少し話したが、先生はかなり雑な扱いを受けているようだった。
聞くところによると、今日は銃殺されかけ、生徒から持ち物検査をされたらしい。アビドス生の表情を見る限り、とても好かれてはいるようだが、複雑な力関係があるようだ。
興味を抱いたらしいムツキが、本格的に面白がってくる。
「えー? 束縛されてるの? 生きづらくない?」
「それはある。柴関ラーメンへ来るにも制限がかかるからな」
「かわいそー。先生はお仕事頑張ってるのにね。もっと優しくしてくれる所の方が良いんじゃない?」
ムツキは大人を陥落しようという考えらしい。カヨコからしたら今後の事を考慮すると、余り干渉するべきではないと考える。依頼を果たそうとする限り、ここでの時間はマイナスに働いてしまうからだ。
既に施しを受けた身で、こちらには恩を仇で返す準備がある。アビドス側からどう思われるかは想像に難くない。
「周囲の私への評価は適正だ。そこに疑問はない」
自身への甘い言葉に先生は耳を貸さない。堅固な拒絶。
自己肯定感が低いと見える。連邦生徒会長から直々に推薦され、それだけの能力を有していながら、この態度。
謙遜や虚飾ではない何かが感じられた。
意外だと思う。大人というからにはもっと、自信に満ちた存在なのだと考えていた。
「…………」
型にはまった人格の持ち主ではない。思考が読めないという事は対策が立てられないという事だ。
カヨコは眉を顰めた。懐柔は諦めた方が良い。
「君たちはどうしてここへ来たんだ」
「仕事だよ。一応、会社って形で動いているからね」
「便利屋、なんだろう」
「…………」
先生は<連邦生徒会>の所属だ。高い情報力を備えている。もし仮に、カヨコ達の仕事について掴んでいるのなら一気に話が変わってくるのだ。ここを出た途端に殲滅されかねない。
「さっき、あのリーダーらしき子が自己紹介していたからな」
「あ、そう……」
「アビドスの生徒達と仲良くしてくれると嬉しい。様々な事情があって、彼女らは長らく五人だけのコミュニティだった」
「…………」
心配が杞憂だったのは良いが、それはそれとして聞きたくない情報が入ってきた。
<アビドス高等学校>の内情は知らされている。そうでなくても、カヨコは数年前からここがどういう状況だったか知っていたのだ。今回の仕事に関して乗り気になる事は出来なかった。
たった五人だけの学校を襲撃する。一見して簡単な依頼ではあるが、それは彼女達から居場所を奪うという事でしかない。
<便利屋68>も母校から指名手配をされ、ほとんど追放されているようなものだ。庇護してくれる場所が無い辛さは良く知っている。本当に運が無いと思った。何の恨みもない相手に対して非情になれるのは、その人となりを知らないからだ。出鼻を挫かれている。
カヨコは、アビドス生と団欒している自身の上司を見た。これからどうなるか手に取るように分かる。自分が感じる以上の罪悪感や後悔に挟まれることだろう。
「注文するが、君たちも何か食べるか」
「え……」
「先生の奢り?」
「そうだ」
「やったー!」
今までこちらを観察していたムツキは喜んでメニュー表を開く。先ほど超特盛を平らげているが、四人で分け合っていたし、空腹というのもあり、麺が伸びるのを避けるために急いで完食してしまった。日頃は大した食事をしていない事もあり、まだ食べられるくらいの余裕は生まれている。
「初対面の生徒にそこまでするの?」
「この店の売り上げに貢献したい」
「う……」
便利屋の四人は五八〇円の品を一つだけしか注文していない。しかも居座っている。提供する側が提示する客単価を満たしておらず、店からしたら単なる迷惑な客だった。先生はその事を言っているのだろう。背に腹は代えられない事情があったとはいえ、羞恥心を刺激される。
「じゃあムツキちゃんは豚骨ラーメンにチャーシューと野菜トッピングで!」
「…………」
「遠慮はしなくていい。アビドス生くらいになると、私の注文した物まで狙い始めるからな」
「……じゃあ、同じの」
栄養を摂取できる貴重な機会だ。これだけ世話になっている以上、今から自分だけ遠慮したところで何も変わらない。
先生が店員を呼ぶ。黒髪ツインテールの美少女が不機嫌そうな近づいてきた。
「はい」
「豚骨ラーメンを五つ。炙りチャーシューと野菜トッピングで」
「五つ」
「あちらの席にいる二人の分も含まれている」
「……そうですか」
「どうした」
「色んな学校の生徒に奢るんだなって。楽しそうで良いですね」
「ああ。この店における一番の太客でありたいからな。この座だけは譲れない。柴大将から認知され続ける必要がある」
「なるほど」
「何か言いたい事があるように見えるが」
「いいえ」
「じゃあ、セリカはどうして敬語なんだ。怒っているのか」
「お客様相手なので。商品の提供までしばらくお待ちください」
セリカと呼ばれた少女は、最後に先生へゴミを見るような目を向けて厨房へ向かっていく。まるで浮気現場を目撃したような反応だ。
「悪く思わないでくれ。いつもはもっと攻撃的で愛想が良いんだ」
当事者の男は何も理解していないらしい。眼鏡をくいと上げ、何やら知的な雰囲気を醸し出している。
室長がニヤニヤと笑みを浮かべ始めた。新しいオモチャを見つけた時の表情だった。
彼女は先生にしなだれかかり、
「ねえ? 先生は生徒みんなの味方なの?」
「そうだ」
「じゃあ、私たちが困ってたら助けてくれるの?」
「私にできる範囲なら、もちろんそうだ」
「へえ~」
その腕に額をすりすりする。先生に変わった様子はなかったが、アルバイトの眼には留まったようだ。彼女は無表情のまま、他のアビドスメンバーのいるテーブルへ近寄っていく。そして四人分の視線がこちらへ向いた。
カヨコは今すぐ離席したい気分になったが、店内に逃げ場はない。ため息混じりに全てを受け入れるしかなかった。
銀髪に獣耳の生徒がムツキを引きはがす。凄まじく素早く、そして無音。
「先生にくっついちゃダメ」
「えー? どうして?」
「とにかくダメ」
「そうです。先生にはそういった情緒が無いですし、今はアビドスの顧問ですので」
さらにおっとりした際立つスタイルの持ち主まで参戦してくる。穏やかそうな印象だが、妙な迫力があった。
「先生は喜んでるよ?」
「それが問題」
「喜ぶと問題があるのか」
「先生はちょっと静かにしていて下さい。他の学校の娘にまでそういう風にして……後でお話ですね」
「何のお話か分からない」
「それが問題」
「説明をしてくれ」
ムツキ室長の作戦を理解したカヨコは、運ばれてくるラーメンを見て額を抑えた。
◆
「な、ななななんですってぇえええーっ!?」
「アルちゃんの顔、おもしろーい!」
店で意気投合した生徒達が、ターゲットである<アビドス高等学校>の所属だと知った”社長”の絶叫が響く。
陸八魔アルという<ゲヘナ学園>の二年生だ。
淡い赤髪に一対の角、白いシャツと黒いタイトスカート。ファーの付いた上着を羽織っている。長い手足に威圧的な表情は一見して年齢に見合わぬ威厳と貫禄を醸し出している。
<便利屋68>のトップであり、孤高のアウトローを自称する女社長だ。そんな彼女だが、今は白目を剝いて動揺している。
「え、あ、あのラーメン屋で会った女の子たちが……?」
「そ、あれがターゲットだよー?」
アルの幼馴染であるムツキは廃棄された車両のボンネットに腰掛けたまま、両手に顎を乗せた姿勢で体を左右に揺らしている。
「じゃ、じゃあカウンター席にいたのが<シャーレの先生>……?」
一時間近く同じ店にいて、本当に気づいていなかったようだ。
「むちゅ、ムツキとカヨコは気づいていたの?」
「もちろん」
「じゃなきゃ、わざわざ挟んで座ったりしないよー。アルちゃんも気づいてたよね?」
「と、当然でしょう!? 二人が情報収集してくれるのを見込んで、あえて任せていたのよ!」
「さっすがー♪」
「それで、どうするの」
「なにがかしら?」
「アビドスへの襲撃。もう傭兵も雇っちゃったし、時間はズラせないでしょ」
「…………」
陸八魔アルは真っ白になって燃え尽きた。
孤高のアウトローを自称し、またそれを常に目指している少女だが、ゲヘナ育ちとは信じられないほど善良かつ良識に溢れているのが<便利屋68>の社長だ。
今回の仕事も、大手からの依頼だという事で深く考えずに引き受けてしまっている。
アビドスの戦力を鑑みて、余裕のある戦力を揃えた。他学園の生徒で構成される傭兵の雇用だ。アルバイトではあるが、最低限の戦力と統率力を備えている。
<アビドス高等学校>と<便利屋68>の戦力はほぼ互角なので、予備兵力のあるこちらが有利になる計算ではある。
しかし、相手には<シャーレ>が付いているのだ。未知数の要素であり、先に全滅させられているカタカタヘルメット団の件を考慮すると、単純な数的有利がどれだけ効くかは疑問が残る。
便利屋が人数分のラーメンすら注文できなかったのは傭兵を雇用した後だったからだ。既に契約手続きは済ませており、作戦開始日時も決定している。変更も後戻りも出来ない。
その事実がアル社長を追いつめる。
「あ、あんないい子たちを襲撃する……?」
「そうだよー? 学校に攻め込んで、ぐしゃぐしゃにして、居場所を奪っちゃうの。お金のためにね? でも、仕事として受けたからにはちゃんとするんだ。アルちゃんが決めた事だもん。ま・さ・か、今さら『やっぱ無し』なんて言い出さないよねー?」
「あわわ……」
今回の仕事を主導したのはアルだ。カヨコもムツキも反対しなかった。成功すれば莫大な報酬が貰えるからと張り切っている様子の社長を諫めることもせず、ここまでついてきた。<便利屋68>として、自分達にも責任はある。
こうなったからには腹を決めなくてはならないだろう。
依頼を成功させてアビドスを滅ぼすか、失敗して破滅するか。どちらかしかない。
(いや……)
アビドス生に囲まれて詰められていた大人の姿を思い出す。都合の良い考えだ。
柴関ラーメンに忘れ物をしていた四人目のメンバーが戻ってくる。
「す、すみません! お待たせしました……!」
伊草ハルカ。
紫がかった制服に身を包んだ女生徒だ。便利屋唯一の一年生であり、チームにおいては前衛を務める。
おどおどした性格で、いつも縮こまっているため小柄に見えるが、身長はカヨコと変わらない。自己肯定感が低く、ジメジメした暗い所を好み、趣味は雑草の育成。
自分に向けるべき愛情さえ<便利屋68>メンバーへ注いでいるため、かなり危うい所がある少女だった。
「ど、どうしたんでしょうか……?」
「さっき、ラーメン屋で会った生徒がアビドスだったの」
「え……!? じゃ、じゃあ今から追いかけて殲滅してきましょうか!?」
「そ、それだけは駄目よハルカ!」
あんまりな提案にまたしてもアルが絶叫する。ハルカが冷酷なわけではなく、彼女にとっての一番の優先順位は常にアルを始めとする便利屋メンバーで変わらない。その他の事象は遥か下に存在しており、その更に下にハルカ自身が置かれているのだ。
だから危険な発想をするし、それを躊躇なく実行に移す。今だってアルがすぐさま制止しなければ、ハルカはそのままアビドス生を襲撃していただろう。一途すぎるがあまりの行動力であった。
「で、どうするの社長」
「ん? なにかしら」
「アビドスの件。やっぱり<シャーレ>は無力化するべきだと思うけど」
「でも、ラーメン奢ってくれたし……恩を仇で返すにも程があるっていうか」
「えー? ぜんぶ想定内じゃなかったの?」
「もちろんよ! 私たちは金さえ貰えば、受けた依頼を確実にこなす<便利屋68>! あ、相手が誰であろうと容赦は……しないわ!」
「なら、アビドス襲撃は予定通りだね。あの先生はどうするの?」
「…………」
アルがフリーズした。理想と現実に挟まれると良くこうなる。相手が善人と知っていて銃を向けられるような人ではないのだ。
今回の依頼は特に酷い事態となってしまった。
「あの先生を消せばいいんですね!?」
「だ、だから絶対ダメ!」
「で、どうすんのー?」
「…………」
フリーズと覚醒を繰り返すこと六回。
作戦開始前に<シャーレの先生>を拉致する事で話はまとまった。