先生「バキバキの記憶喪失」   作:地産地消

36 / 40
時間がかかってしまい申し訳ありません。
感想、評価、ここすき、誤字報告ありがとうございます。


第26話 決別

 ◆

 

 まさか、この基地に<シャーレ>が現れるとは。

 基地内を進みながら、<カイザーPMC>の理事は口部ユニット奥のスピーカーでくぐもった唸り声を鳴らす。

 あの”黒服”から、アビドスがここに気づいているなどという報告は受けていない。カイザー側がヘルメット団や便利屋などを通した間接的な干渉しか続けてこなかったのは、あの不審人物からの口添えがあったからである。

 キヴォトスの生徒が有する神秘に強い関心があるらしい”黒服”は、滅亡寸前のアビドス自治区を利用してある種の実験をしたいらしい。有用な情報をもたらしてくれたからこそ重用していたが、こんな事態を招くようなら付き合い方を考えなければならないだろう。

 

(初めからカイザーの流儀を守れば良かったのだ)

 

 弱肉強食。それが<カイザー・グループ>の理念だ。弱者は強者のために存在する。たった一人の頂点のために、他者は生きているのだ。”強者”であるカイザーは”弱者”であるアビドスを蹂躙する権利がある。支配する資格がある。

 なのに部外者である”黒服”からの介入など許すから、アビドス側にも部外者である<シャーレ>が現れてしまった。

 

「…………」

「…………」

 

 上位のオートマタであるカイザー理事には、戦術データリンク機能の使用が許可されている。この基地内に存在している他オートマタやドローンのセンサー類は理事側から監視が可能だった。その機能を利用すれば、先頭を歩いている現在であっても招かれざる客人二名の姿を背後と左右から確認する事も容易い。

 

 一人は見知った顔だった。<アビドス高等学校>の三年生である小鳥遊ホシノ。腰まで届く長い髪と小柄な体躯が特徴的な、”黒服”の最優先実験対象であった、

 もう一人は<シャーレの先生>。もう一月近くアビドスに協力している、独立連邦捜査部の責任者だ。キヴォトスに赴任してからしばらくは入院していたそうだが、自身の組織が稼働すると同時に学園都市を救った実績の持ち主だった。

 白衣に似た専用仕様の制服に、不健康そうな細面。機械人間以上の無表情。報告によれば銃弾一発で死ぬ虚弱体質らしい。実際に会って、それが事実だとわかった。

 

 カイザー理事は内心で笑う。<シャーレ>とは既に戦闘済みだ。サンクトゥムタワーを巡る戦闘で、<カイザーPMC>はこの先生を相手に惨敗を喫している、戦車を要する機甲部隊が一分足らずで壊滅したのだ。

 各学園から寄せ集めた数名の生徒に、役立たずで有名な警察学校の部隊だけで、である。アビドスのこれまでの奮戦を見ても分かるが、その指揮能力で並べる者はこのキヴォトスに存在しない。

 

 しかし、ただそれだけだ。

 相手は二人のみで、こちらは理事を抜いてもフル装備の精鋭オートマタ兵士が六人。今この瞬間にだってひ弱な部外者を射殺する事も可能だった。

 そうしないのは協力者への義理立てと、一応は<シャーレ>という組織に対する配慮があるからだ。圧倒的な強者が持つ余裕といったところだろうか。いつでも、どうとでも出来るからこそ丁重に扱える。

 まだ建造から二年も経っていない。真新しい基地の施設内を移動し、管制塔の内部に設けられている応接室へと客人を案内する。

 ここまで互いに無言だった。<シャーレの先生>は見た目通りの社交性の持ち主らしい。これで良く思春期の生徒を相手に出来るなと不思議に思った。最高級のソファを勧められた白い大人は腰を降ろしつつ、唐突に口を開いた。

 

「そこの君」

『……自分でしょうか』

 

 声を掛けられたのは一人の兵士だった。

 

「良い散弾銃だな」

『……恐縮です』

『…………』

 

 気味の悪い男だと思った。

 敵陣の真っただ中。頼みの綱である護衛の生徒は一人だけ。そんな状況でもリラックスしている。よほど豪胆なのか、それともただ愚かなだけなのか。

 刺々しい警戒心を全面に押し出している小鳥遊ホシノの様子こそが常識的なのだろう。

 自身ではなく部下の一人に関心を向けられた事に気分を害しながら、それでもカイザー理事は音声を発した。

 

『なにせ全てが唐突だ。満足な歓迎もできんが、そこは理解をしてくれ』

「もちろん」

『砂漠の中心なのでな、満足な補給も難しい』

「物資は充実しているように見えるが」

『張り子の何とやらだ』

「そうか」

 

 この基地に常駐しているのは大隊規模の戦力だ。

 アビドス鉄道を流用した補給経路も確保している。ゲートからここまで、<シャーレの先生>は全貌の一割すら見ていないはずだが、その実情は理解できているようだった。 

 

 ここまで来られるくらいだ。

 事前の情報も持っているのだろう。理事はデータベースを参照する。この先生とやらが、よりにもよってこの基地へ訪れた理由を検索する。

 ここは<カイザー・グループ>にとっても極めて重要な拠点だ。武装拠点としても大規模だが、地下にはキヴォトスの全てを手中に収められるほど強力なオーパーツが眠っている。その採掘と防衛こそが何よりも優先される。

 ここを嗅ぎつけられたのはセントラル・ネットワークを使用したからだろう。ヘルメット団がアビドス生を拉致した際に使っているはずだ。でなければ、あの速度で対応できるはずがない。また無能な生徒が足を引っ張ってきたという事だ。

 

 気づかれたのは良くない。

 カイザーがアビドスへ過度な戦力投入をしなかったのも、この基地の存在を悟られないためだった。どれだけ弱小で滅亡寸前だろうが、<アビドス高等学校>を<カイザー・グループ>が武力で壊滅させてしまえば、それは<連邦生徒会>や他の学園自治区からも察知されてしまう。

 キヴォトス最大規模の超大企業であっても、”三大校”と正面から対立するのは得策ではなかった。

 

 アビドスへ金を貸してやったのも、それが理由だった。

 天変地異を理由に維持が困難となった、広大なだけの自治区。借金と人口流出、そして統治機構たる生徒会の解散。残された数人の生徒だけでは返済と治安維持など出来ず、やがては限界を迎える……自治区が消える理由としては全く不自然ではない。

 取り残された五人の生徒も、どこかから入り込んできた不良生徒の嫌がらせによって退学、転校したとなれば誰も不審には思われない。そういう筋書きだった。

 だから、最後の詰めだったのだ。補給できない状況を作り、数だけは多いカタカタヘルメット団で包囲を続ける。勝利したも同然だった。目的達成はしたも同然だった。

 それなのに、この男がやってきた。

 

「あまり長居をするつもりもない。こちらの目的を話そう」

『言われずとも分かっている。<アビドス高等学校>が抱えている借金の件についてだろう』

 

 どうして滅亡寸前の自治区に独立連邦捜査部が一か月近くも滞在しているのかと言えば、<アビドス高等学校>復興のためだろう。そう公式SNSにも記載があった。

 しかし、もはやこの自治区は死んでいる。手遅れだ。

 生徒だけでは返済が難しい額の借金を抱えて、その土地の九割以上を他者に譲渡している。肝心の生徒は五名だけで、そして滅亡の理由となった天変地異に関してはどうしようもない。

 ここからどう復興できるのか。不可能だ。誰だってそう考えるだろう。

 それは、この<シャーレの先生>とて同じはずだ。だが、理事にはこの男の考えが理解できた。

 

『私にも伝手があるからな。記憶喪失を抱えた人間が<シャーレの先生>となった事も当然、聞き及んでいる……』

「…………」

『記憶も実績もない。なにが出来るかも全く不明。同情を禁じ得んな。アビドスに協力するのは、仕事をしているという証拠が欲しいからだ』

 

 他者からの視線を常に意識しなくてはならない。大人ならば誰でもそうだ。業務を十全にこなしているのか、その姿勢は正しいのか、常に問われる。その上で結果を出す事を求められるのだ。

 この先生も大変なのだろう。全く気の毒に思う。どれだけ問題を抱えていても、仕事はしなくてはならない。だからアビドスに来たのだ。

 

 生徒に味方する大人として、絶大な権力を有する<シャーレ>として、どれだけ弱った自治区でも見捨てないというポーズを見せる事が重要なのである。そのために<アビドス高等学校>は理想的だった。

 復興というのは一朝一夕で叶う問題では決してない。適当に物資を渡して、不良生徒を追い払えば<シャーレ>が活動しているという実績にはなる。

 

『なにか問題が起きても困るのはたった五人の生徒だけだ。リスクは小さく、リターンは大きい。良い目の付け処だ』

 

 小鳥遊ホシノが殺意のこもった視線を向けてくる。

 だが、本当に<シャーレの先生>がキヴォトスの平和を願っているのなら、こんなちっぽけな学校などよりも優先すべき課題が無数にあるだろう。

 ”三大校”に含まれるゲヘナとトリニティの間では平和条約が結ばれようとしていた。それが進まなくなったのは連邦生徒会長が失踪したせいだ。連邦生徒会長は<シャーレの先生>にその権限のほとんどを譲渡している。

 

 ならば、その仕事を引き継ぐ事こそが急務なのではないか? 

 出来ないのだろう。連邦生徒会長はまさしく超人だった。長きにわたって続いてきた二校の関係を修復する直前まで事態を進めていた。それが出来る人物は彼女以外に存在しない。

 出来ない事は出来ない。それは、何ら悪い事ではない。出来る事をやる。ミスは揉み消し、功績は最大化する。大人には当然の事だ。

 しかしだ。哀れな男が始めたその場しのぎに<カイザー・グループ>を巻き込むのはやめてほしい。それは誰のためにもならない。

 

『こんな所まで来なくとも、電話の一つでもくれれば済んだ話だ。私ならアビドスの借金を帳消しに出来る』

「そうなのか」

 

 ぼんやりとした男だと思った。意識が朦朧としているのだろうか? しかし、その方がやりやすい。

 理事からしても、<シャーレ>を力尽くで追い払うのは避けたい。オーパーツ採掘は佳境に入っている。いまキヴォトスで騒ぎを起こすのは得策ではなかった。

 

 ただでさえ、ブラックマーケットで起きた恐ろしい強盗事件のせいで重要書類が学園都市中にばら撒かれたのだ。調査は一向に進んでいない。

 その首謀者とされるファウストという存在について探ろうとする者は一様に謎の攻撃を受ける。

 月に一度の会議でその名を口にした<カイザー・グループ>のトップですら巡航ミサイルの直撃を受けたのだ。ふざけた紙袋を被った謎の存在は、一日にして暗黒街の伝説となってしまった。

 あのファウストに比べたら、目の前の男など塵以下の存在でしかない。だからさっさと終わらせてしまいたかった。

 

「随分と親切なんだな」

『我々も鬼ではない。哀れな子供が苦しんでいるのなら、手を差し伸べるとはいかずとも、返済に関して便宜を図るくらいの事はする』

「ほう」

『<シャーレ>から無駄に睨まれる事も避けたいと考えている。これはグループ全体の方針だ。何の利益にもならんからな』

「借金を帳消しにすると言ったな。条件があるんだろう」

『もちろんだ……だが、そう難しいものではない。条件は二つ。一つはこの基地の件から完全に手を引く事。もう一つは今後、<アビドス高等学校>は一切の生徒を受け入れない事。この二つだ』

「ふざけるな!」

 

 小鳥遊ホシノが噛みついてくる。

 

「一切の生徒を受け入れない……? それはアビドスに滅びろって言っているのと同じでしょ!」

『その代わり、今の在校生は返済から解放される。五人で残された時間を大切に使うと良い。毎月数百万の金を返して何になる? そんな事よりも勉強をして、運動をして、友人と遊んで。人生がより豊かになるよう励む方が遥かに良い。……先生も同じ考えではないかな?』

「確かに、アビドスの現状は健全ではないだろう」

 

 あっさりと頷いた男に小鳥遊ホシノが目を見開く。裏切られたと感じたのかもしれない。

 好都合だった。この男がアビドスを訪れてもう一か月近く経つ。長い期間ではないが、引き際を悟るにはちょうど良い頃合いだ。

 

 絶え間のない戦い。終わりの見えない返済。そして解決するはずのない天変地異。

 こうしている間にもキヴォトスでは無数の問題が発生している。仕事は山積みだろう。今の生徒達の安全を確保したのなら、さっさと引き上げたいと考えるのが当然だった。

 理事としては、オーパーツの採掘さえ完遂できればそれで良い。アビドスの校舎が残っている以上、その自治能力の全てを奪えたわけではない。

 

 しかし、連邦生徒会長が失踪して<連邦生徒会>は身動きが取れない状態で、ゲヘナとトリニティは”エデン条約”を控えて他自治区に目を向けている場合ではない。アビドスと何の関係もないミレニアムを始めとした学園自治区が<カイザー・グループ>へ反抗してくる可能性は極めて低いだろう。

 つまり、目障りなのは<対策委員会>と<シャーレ>のみだ。理事の眼前にいる二人さえ退けてしまえば、学園都市の全てを手中に収められる。

 なんとも愉快な話だ。このちっぽけな会談が、今後のキヴォトスの未来を占っている。有利なのは誰か、言うまでもない。

 

『新入生は毎年いるようだが、それはアビドスの先人が遺した負の遺産に苦しめられる者が増えているだけに過ぎん。三〇〇年先まで続く返済に、どれだけの後輩を巻き込むつもりだ? 人生は一度きり。無駄な事はやめて、今の五人で学園生活を楽しむと良い』

「それは……」

 

 小鳥遊ホシノの視線が泳ぐ。愚かな少女だと思った。一年生だった頃に唯一の先輩を喪い、その後も愚直にあの校舎に残り続けている。以前は随分と有名な人物だったそうだが、今まで目立った成果は何一つない。その才能も他の学園だったら開花する事もあっただろうに……。であれば、無駄に苦しませるよりもさっさと介錯してやった方が遥かに情け深いというものだ。

 ぼんやりとした白い大人に目を向ける。無駄に権力と予算を与えられただけの青二才が。そう吐き捨てたい気持ちは大人として我慢してやった。

 

『どうだ? <シャーレの先生>。顧問としての意見を窺いたいものだが』

「たいへん興味深い意見だった」

 

 彼は頷き、そして変わらない様子で続けた。

 

「では、くだらない話は終わりにして本題に入ろう」

『なに?』

「この基地の存在理由だ。どうしてここに建てたのか、なぜここまでの戦力を配置しているのか……それを調査する権利が独立連邦捜査部にはある。ご存知だと思うが」

『…………』

 

 しばしの沈黙が流れる。

 この基地の存在理由はオーパーツの採掘のためだ。数十年前からアビドスの土地を削り取っていたのは、その地下に凄まじい力を有した古代文明の遺物が眠っている事を知っていたからである。

 だが、あまりに広大な自治区だ。手に入れたは良いものの、どこを掘れば良いのか分からない。その問題が解決したのは、二年ほど前に”黒服”が接触してきてからだ。あの存在からの情報提供により、採掘作業は飛躍的に進んだ。

 そこで新たな問題が発生する。アビドス砂漠から無限に湧き出す機械の兵隊達への対応だ。オーパーツを守護するように出現する障害物へ対処するため、充分な規模の軍事基地が必要だった。それを維持するための補給路も同様である。

 

 このタイミングで<アビドス高等学校>の存在が邪魔になった。オーパーツを探している間に滅ぶものだという計算だったのだが、それが早まってしまったせいで計画を前倒ししなくてはならず、未だに自治権だけは有している学園組織は目障りで仕方がなかったのだ。

 こちらの目的を嗅ぎつけられて、<連邦生徒会>や他の学園を呼び込まれては大事に障る。そのため。しょうもないチンピラ生徒達を裏から雇用し、残留した生徒を追い出すという極めて回りくどい手段を取らざるを得なかったのだ。

 それも最終段階まで到達していた。アビドス校舎を包囲し、補給を絶ち、後はトドメを刺すだけ。本当にあと一手だった。

 それを<シャーレ>が阻んできたのだ。

 

「もちろんだが、基地そのものの存在が違法だ。連邦規則には一定以上の人員、火器、設備を有する施設を築く場合は<連邦生徒会>へ届出をおこない、許可をもらう必要がある。私が調べた限りでは、この基地に関する申請は挙がっていなかった」

『…………』

「いくら<カイザー・グループ>が土地の所有権を持っているからといって、その上で何をしても良いわけではない。これはキヴォトスでも常識だ。知らなかったでは済まない話でもある……気の毒だが」

 

 ビキリという音が頭部の中で鳴った。いくつかの回路がショートしたようだ。

 

「さらに気の毒だが、この基地は即座に閉鎖してもらう。内部の物資は全て押収だ。その後に調査を進め、さらなる違反行為が見つかった場合は莫大な罰則金が課せられる事だろう。グループ全体へ営業停止命令が下る事もありえる。そうならない事を祈っているがね」

『調査だと? 令状はあるのか』

「ここにある」

 

 ”捜査令状”と書かれた書類がテーブルの上に置かれる。書式もなにも無い。ただ調査の目的と、独立連邦捜査部にはその権限が存在している事、そして<シャーレの先生>のサインが適当に書かれているだけの紙切れだった。

 ……そうだ。<シャーレ>はいつでも、どこでも、誰にでも介入する事が可能だ。捜査権の発動に<連邦生徒会>からの承認を得る必要すらない。目の前の男がやろうと思えば、こうして手書きの書類を適当に作るだけでそのまま行動に移すことが可能だった。

 

『フ……』

「それで、さきほどの質問だ。ここで何をしている」

 

 理事は手書きの書類を取ると、それを破り捨てた。

 何よりの意思表示だ。小鳥遊ホシノが表情を険しくする。

 

『答える義務はない』

「あると思うが」

『それよりも、こんな事をしても良いのか?』

「…………」

『我々はアビドスの土地を実質的に支配している。加えて<アビドス高等学校>が借金をしている相手でもある。小鳥遊ホシノがそちらに居る以上、関係の悪化は免れないだろう。これからどうなっても知らんぞ?』

「彼女は<シャーレ>所属の部員として活動している。アビドス自治区に最も詳しい三年生に同行を頼んだだけだ」

『関係ないな』

「あると思うが」

『なんにせよ、貴様は信用できん』

 

 紙片を床に放り、脚部ユニットで踏みにじる。なにもかもが理事の苛立ちを助長していた。

 このキヴォトスは学園都市などと呼ばれ、生徒によって運営されているなどと思われているが、実際に動かしているのは大人である自分達だ。その強い自負が自分にはあった。

 考えればわかるはずだ。どれだけ強大な学園でも、たった数年で構成員が変わる。権力者が代わる。しかも人格も能力も未熟な学生が政治を行うのだ。

 極めて不安定かつ危険である。

 なのにキヴォトスが今日まで存在できたのはどうしてか? それは周囲の大人たちが子供を支えてきたからだ。生産を、治安を、流通を、経済を支えてきた。

 その自分達を、たった一か月前に現れた記憶喪失の役立たずが糾弾してくる。あまりにも我慢ならなかった。この状況は、なにかの悪い冗談のようですらあった。

 

「ふむ」

『世の中を支えるのは大人の責務だ。子供の機嫌を取っていれば良いだけの貴様とは違う』

「そうだな。仰るとおりだ。だが、こちらの質問に答えていない」

『先生と名乗る男……本当に考えているのか? ここで張り切って何になる? アビドスはもう滅んでいる。生徒も五人しかいない。統治能力もない。アビドスだけではなく、他の自治区もそうだ。キヴォトスが破綻してないのは我々<カイザー・グループ>の尽力によるものだ。流通、飲食、娯楽、通信。エネルギー関係だけは連邦生徒会長のせいで携われていないが、ほとんどにカイザーの手が入っている。だから<連邦生徒会>もこれまで手を出して来なかった。なのに、ちっぽけな学園一つのためにこんな事をするのか? 後の事まで考えているのか?』

「もう話を逸らさなくて良い。さっさと質問に答えろ」

 

 しつこい男だ。いい加減に我慢の限界だった。理事はソファを蹴り倒して立ち上がる。

 

『キヴォトスの平和を守っているのだ! 役立たずの子供の代わりにな! アビドス侵攻のためだとでも思ったか? くだらん。あんな学園一つ、今この瞬間にも潰す事ができる』

「ならば堂々としていれば良い。どうしてコソコソする」

『<連邦生徒会>にはしかる後に話を通す予定だった。トップが失踪していなければ、既に済んでいたのだ』

「内通者に話を通すのか」

 

 過熱していた回路が一瞬でクールダウンする。

 

『……なんの話だ』

「サンクトゥムタワー襲撃の時に<カイザーPMC>が紛れ込んでいたな。あれはどうしてだ」

『民間軍事会社として依頼を果たしていただけだ。結果として重要施設の襲撃に加担してしまったのはキヴォトスが混乱していた影響だと認識している。責任者も処罰された。防衛室とも話は済んでいる』

「その責任者とやらの経歴も洗ったが、入社二年で主要な役職に就いているな。主だった実績もないのに、異例の出世スピードだ。そして今は行方不明……ただの身代わりじゃないのか」

『酷い言いがかりだな。社内人事にまで<シャーレ>は口を出すようだ』

「なんでも良いが、もう少し仕事はスマートにやってくれ。ボロを出すからつつかれる。やった後の事はちゃんと考えたのか」

『図に乗るなよ? 銃弾一発で死ぬ部外者が。連邦生徒会長から権力を貰って、子供からチヤホヤされて浮かれているな? 貴様が相手にしているのは強大な力そのものだ』

「やっと調子が出てきたな。続けてくれ」

『今までは見逃してやっていたが、貴様などいつでもどうにでも出来る。<カイザー・グループ>の社員は数万人以上。関係者はその数十倍いる。暗殺や謀殺が怖くないのか?』

「怖がってほしいなら、もう少し良い所を見せてくれないとな」

『良いだろう』

 

 理事が合図を出す。散弾銃を装備した兵士が武器を構えた。小鳥遊ホシノが先生を守るために身を乗り出す。

 無駄な事だった。

 四回の発砲。

 狙いは<シャーレ>ではない。散弾は全てが壁や床、天井に降り注いでいた。

 

「…………」

「……?」

 

 男の方は変わらぬ無表情。女生徒の方は事態を飲み込めていないのか、警戒しつつ混乱していた。

 相変わらず馬鹿な連中だと思った。

 

『……とても残念だ。まさか<シャーレ>から攻撃を受けるとはな』

「ど、どういうこと。……!?」

 

 ようやく気付いたらしい。兵士が装備しているのは小鳥遊ホシノと全く同じ銃だった。放たれたのも同じ銃弾である。

 

『こちらは丁重に迎えたにもかかわらず、交渉が決裂したからといって発砲をされてしまった。<シャーレ>所属の生徒から攻撃を受けた以上、こちらも制裁措置を取らねばなるまい』

 

 すでに手続きは済んでいる。理事は兵士の一人に合図を出し、部屋の壁一面を占拠しているディスプレイに情報を表示させた。

 

『<シャーレ>に加担している以上、<アビドス高等学校>の信用も地の底へと落ちた』

「ちょ、ちょっと待って……」

 

 金利は三〇〇〇パーセント上昇し、来月分の返済は九〇〇〇万以上となる。今回だけではない。これが毎月続くのだ。

 一度でも返済が滞れば、最後に残ったあの校舎が差し抑えられる。そうなったらアビドスは終わりだった。

 

『<シャーレ>に対しても同様だ。各種メディアを通して今回の件を発信する。貴様の味方は生徒だけだが……果たして何人が先生を信じてくれるのか興味があるな。活動期間のほとんどをアビドスに捧げている以上、貴様と会った事のある生徒の方が遥かに少ない』

 

 キヴォトスで生活している以上、ほとんど全ての生徒は<カイザー・グループ>のサービスを受けた事がある。現在も受け続けている。

 だが、<シャーレ>は違う。急に現れてサンクトゥムタワーを奪還し、その後も騒ぎを起こし続けているが、アビドス以外の生徒はその恩恵を享受していないのだ。

 この一か月を”三大校”のどれかにでも費やしていれば話は変わっていただろう。稼働の際に各校の関係者を集め、伝手は作ってあったのに、それを放り出して滅亡寸前の学校に関わってしまった。

 敗北は決定的だったのだ。

 

『<連邦生徒会>などどうとでも出来る。この基地の件も同様だ。メディアを操れば生徒の大半はカイザーの味方に付くだろう。貴様の負けだよ、先生』

「…………」

『アビドスに関わったのが運の尽きだったな』

 

 先生は理事の言葉に関心を示さず、小鳥遊ホシノの方をじっと見ていた。哀れな少女は愛銃を抱きしめ、全身を震わせている。

 強いショック症状が出ているようだ。母校の消滅が決定的になり、自分が今までやって来た事を全て否定された。ようやく表れた、唯一頼れる存在も敗北した。それどころか、これから先、<シャーレ>によって救済されるはずだった数多の生徒の希望すら奪ってしまったのだ。

 

『ここまで用意周到だとは思わなかったか?』

「…………」

『自身の地位、名誉、利益を守る。その上で責任を果たす。それが”大人”だ。記憶喪失の身には勉強になっただろう?』

「せ、先生……」

「今日はもう帰ろう、ホシノ」

「でも……!」

「用は済んだ」

 

 理事は勝利を確信した。

 馬鹿な連中だ。基地を抑えて勝った気になったのだろうが、これが能力の差だ。

 ヘルメット団や便利屋といった雑魚に勝ったくらいで勢いに乗っていたのだろうが、本物の”大人”が相手になれば途端にボロが出る。

 大声で笑いたい気分だったが、部下の手前でもある。理事は平静を装って兵士へ命令を出した。

 

『客人がお帰りだ。見送ってやれ』

 

 二人が退室する。その際、<シャーレの先生>がぼそりと言った。

 

「今日は会えて良かった」

『……ああ。私もだ』

「また来る」

 

 扉が閉まる。

 今度こそ、理事は大声で笑った。

 

 ◇

 

 スムーズに目的が達成できて良かった。そんな事を考えながら採掘基地を後にする。

 可動部に砂が入り込んでも問題なく作動する、油圧式の重厚な扉が開き進路が解放された。砂漠へと続く線路を辿り、合流地点まで徒歩で移動を始める。

 

『先生!』

 

 アロナが呼びかけてくる。内容は察しがついていた。あの理事とやらが騒いでいた事だろう。

 

『たったいま、複数のメディアを通じて<カイザー・グループ>から<シャーレ>の業務に関する告発が行われました!』

 

 思った通りの内容だった。<カイザー・グループ>が有する施設へ立ち入り捜査をおこなった<シャーレ>の行動について、違法なものが複数あったとするものである。

 交渉の決裂に伴う発砲。私が滞在しているアビドスの生徒を伴ったものであり、正当な被害者である<カイザー・グループ>は損害賠償及び<連邦生徒会>への抗議を行うという文面だった。

 立ち入り前に独立連邦捜査部の公式アカウントから公表していたので、この件を疑う者はいない。アロナによればSNS上で既に大きな話題になっているようだ。

 ホシノにはまだ気づいた様子は無い。この砂漠には強烈な電磁波が滞留しており、通常の電子機器は使用が著しく制限される。

 

「いや~、大変な事になっちゃったね~」

 

 口調だけはのほほんとした様子で言ってくる。私は目を細めた。出会った頃と比べて、彼女の作り笑顔には大分ガタが来ている。それはホシノの限界が近づいて来ているという証でもあった。いよいよ私も追いつめられてきたのだ。

 カイザーの理事が思っていたより単純な人物(?)だったのは助かったが、ここからはまた正念場がやってくる。

 

「先生もさ、相手があそこまでやってくるとは予想外だったんじゃない?」

「そうかもな」

 

 相手の出方に関しては、最初からあまり関心がなかった。<カイザー・グループ>の今までの動きを調べていれば、これくらいの事はしてくるものだという見方もあるだろう。

 どちらかといえば、ホシノと同型の散弾銃を利用された事への憤りはある。だが、あのガラクタ連中をバラバラにするのは次の機会だ。

 私が考えるべきはそちらだろう。今のところは問題ないが、これから先は他の学園を巻き込んでいかなくてはならなくなる。

 そしてこの、小鳥遊ホシノだ。

 

「三〇〇〇パーセントか~。ちょっと大変になっちゃうね」

「返済に関しては、もう無理な段階だろう。今の状態で<シャーレ>が<対策委員会>に資金提供をすれば、本当に世間から見放される」

「あはは……そうだよね」

 

 カイザーの狙いは<対策委員会>を孤立無援の状態に戻す事にある。だからこその情報攻撃だ。

 あちらの言い分は独立連邦捜査部による手柄目的の強引な捜査手法により、損害を被ったという事だ。違法建築された基地内での出来事だという点は露骨に伏せられている。

 キヴォトスの住民からしてみれば、サンクトゥムタワー奪還時の作戦で複数のビルを破壊した事、その翌日に事件の首謀者である狐坂ワカモを味方に引き入れた事などから、<シャーレ>への不信感を持ちたくもなるだろう。

 いま現在、学園都市の視線はこの<アビドス高等学校>に集まりつつある。ここが話題の中心だ。

 それは僥倖という見方も出来る。

 

「それよりも、ホシノ。これからの動きだが」

 

 今のところ作戦通りではあった。

 ここから先、私はアビドスを留守にして幾つかの自治区を回らねばならない。既にアロナから採掘基地の調査データをミレニアムの明星ヒマリへ提供してもらっている。そしてヒマリから纏めてもらった情報を交渉材料として、学園都市に眠る危機への対応に動いてもらうのだ。

 アビドスにはその間、基地突入作戦の準備をしてもらう。物資の搬入や列車の改造といった準備自体はほとんど終わっているが、どれだけ細部をこだわってもやり過ぎという事はない。小鳥遊ホシノ委員長には、その指揮を執ってもらいたかった。

 

「うん。……あのね、先生」

「なんだ」

「ご、ごめんね? こんな大変な事に巻き込んじゃって」

「……?」

 

 ホシノの言う大変な事というのが良く分からなかった。

 私はキヴォトスに来てから、大変な事にしか巻き込まれていない。記憶喪失のまま勢いで<シャーレの先生>をやっているだけの男だ。

 いま起きているアビドスとカイザーの諍いだって、部外者の私が勝手に首を突っ込んでいるだけでホシノが気負う必要などどこにもない。

 そう言うと、小柄な委員長は力なく笑った。

 

「次が最後の戦いになる。だからホシノにも──」

「先生さ」

「──力を……なんだ」

「また危ないことする気でしょ」

「場合によってはそうなるだろうな」

「そうだよね……そうなるよね」

「…………」

「出会った時から瀕死だったし、便利屋の子たちに拉致されたし、ゲヘナの子たちと戦った時は自爆したんだもんね」

 

 少女の表情は俯いているせいで窺えない。私は動揺した。

 な、なんだ? また吊し上げようとしているのか? だがいま述べられた件は既に吊し上げ済みだ。掘り返す意味が分からない。

 

「今度こそ、ホントに死んじゃうよ……?」

「…………」

 

 戦場に赴く以上、そうなる危険は常にあるだろう。覚悟はしておかなくてはならない。

 ホシノは何かを恐れている。梔子ユメが命を落とした件と関係しているのだろう。

 身内に死者が出る事を強く恐怖している。なにより避けようとしている。部外者ではあるが、一応は顧問という立場の私が死ねば、それは彼女の心にさらなる傷を刻む事になるのだ。

 しかし……ホシノの問題は梔子ユメの死に収束している。そこへ踏み込むにはカイザーという邪魔者を排除しておく必要があるのは事実だ。その上でどうあっても私は自分を危険に晒す必要が出てくるのだ。

 今は<シャーレ>と<カイザー・グループ>の対立という形にさせる事が出来ている。その中で生徒だけを戦場に立たせるわけにはいかない。

 ホシノにどう言えば良いかは、随分前から分かっている。

 

「私を……」

 

 信じて欲しい。

 その言葉だけだ。誰かの死を怖がる少女に向けるべきなのは、この言葉だけだ。

 言うべきだ。今だ。もう時間がない。失敗すれば、取り返しのつかない事になる。そんな予感があった。

 

「わ、私を……」

 

 真っ赤な記憶が頭をよぎる。どうしようもない苦痛の中で、誰かから銃を向けられている。殺意を向けられている。それは当然の事で、受け入れるしかない。

 眉間から頭の奥にかけて、酷く痛んだ。

 きっと私は──

 

「──いや、死ぬとは限らない。まずは作戦を成功させよう。話はそれからだ」

「……うん」

 

 それきり、また沈黙が支配した。

 

 ◇

 

 あれでは駄目だ。

 アビドス校舎に戻った私は陰鬱な気分で机に座っている。

 SNSは<シャーレ>を中心とした話題が完全に支配していた。失踪した連邦生徒会長が遺した独立連邦捜査部を疑う者は決して少なくない。

 異常な権力と予算を有した危険な組織だという見方が大半を占めている。カイザーの息がかかったメディアが一斉に世論を操作しようとしている。しかし、その動きが余りに露骨で迅速だという事、かねてから<カイザー・グループ>に疑念を抱いた者も多い。

 その他には騒ぎを面白がる者、自分も騒ぎを起こそうとする者、薄汚いブルジョアは両者とも全滅しろとデモを起こす者。様々だ。

 話を聞いたセリカが驚きの声をあげる。

 

「三〇〇〇パーセント!?」

「それだけじゃありません。<カイザー・グループ>より<アビドス高等学校>へ正式な通達がありました。信用情報の悪化に伴う預託金として、今月中に五億円を用意しろ……とのことです」

「五億円!?」

 

 借金全体の半分以上の金額だ。三十倍に膨れ上がった金利と併せて、もはや現実的な数字ではなくなって来ている。

 会計担当の黒見セリカはあわあわしているし、書記担当の奥空アヤネも厳しい表情を崩さない。

 

「まだ何とかなる金額ですね……」

「ノノミのゴールドカードは使わないって約束。それにもう、借金がどうなろうが関係ない」

「確かに。そうですよね? 先生」

 

 二年生組から話を向けられた私は頷いた。

 一方的な金利の変更と、預託金五億の通達。敵組織との関係悪化は規定路線だっただけに、特段驚くような事ではない。事前の会議でもこれくらいはしてくるだろうという予想は当然の如くあったのだ。

 しかし、子供からしてみれば純粋な悪意を直接向けられるのは初めての経験なのだ。

 アビドスは既に常勝かつ百戦錬磨のチームとなっているが、それは生徒相手の話である。カタカタヘルメット団から便利屋、ゲヘナの<風紀委員会>。弾丸を交わしたとはいえ、まだ子供同士の、同次元の軋轢だった。

 これからは違う。

 大人という存在が本気で牙を剝いて来る。組織力を存分に用いて、悪意を向けてくる。

 一年生であるセリカやアヤネが動揺するのは全くもって健全な反応だろう。

 

「で、でも……先生は大丈夫なの? <シャーレ>が、凄い叩かれてるけど」

「それは問題ない。今回の件は私の今後を左右するだけの一件だ。つまり……」

 

 これで真の意味で<対策委員会>と私は一蓮托生という関係になる。やっと部外者という立場ではなくなったのだ。

 負けたら終わり。後はどう勝つか考えるだけだ。それで良かった。

 

「背水の陣という事になる。勝つにしろ負けるにしろ、<対策委員会>と運命を共にする覚悟だ」

「先生……」

「また珍しくまともな事を言ってる……」

「なんだか玉砕直前のようにも聞こえますが……」

「でも、ここから先は他学園を巻き込む必要がある以上、先生を頼りにする他ありません。よろしくお願いします」

 

 シロコ、セリカ、アヤネとノノミからも初日振りに尊敬の眼差しを向けられる。これではく奪されていた指揮権の回復は叶っただろう。私は温かい気持ちになった。

 アヤネが挙手する。

 

「どうした」

「懸念点がありまして……。これから他学園の協力を募る必要があるというのに、今の<シャーレ>は世間から厳しい目で見られてしまっています。最悪のタイミングではないでしょうか」

「うん、その通りだと思う」

 

 それがカイザーの狙いなのだろう。<シャーレ>は強大な権力と莫大な予算を与えられてはいるが、直接的な戦力という点では不安定な要素がある。

 純粋な構成員はひ弱な私のみ。戦闘を行うには各学園から招集した生徒達の協力が前提となる。私の評判が悪化し、生徒から距離を取られてしまえば無力な存在になってしまうのだ。だからこそ<カイザー・グループ>はここを弱点だと認識して突いてきたのだろう。

 

「一連の動きを見る限り、あのガラクタ連中は以前から準備をしていたんだと思う」

 

 余りにも動きが速すぎる。採掘基地が探知されている事は知らなかったようだが、独立連邦捜査部と揉める事は想定していたようだ。

 サンクトゥムタワー襲撃にも関与していた事すらある企業だ。キヴォトス転覆を目的とした場合、<シャーレ>の排除は最優先目標となるのは当然である。

 

「評判の悪さという点では、<カイザー・グループ>も相当なものだ。それが今回の動きで判った」

 

 弱点を把握しているのはこちらも同じだ。

 あの理事の様子から窺えたのは、絶対的な自信だった。自分が動けば、世界はそれに従うという確信。何もかもが上手く行って当然という思想である。

 大人として、子供を見下していた。一連の動きを見る限りそれがあの企業全体の姿勢と考えて良い。

 では、子供達から見た<カイザー・グループ>はどういった存在なのか? キヴォトスは生徒のための世界だ。その生徒達から、あの企業は本当に必要とされているのか? あの自信は本物なのか? それらが全て明らかになる。少なくとも、私が出会った生徒の中でカイザーに肯定的な者はいなかった。それが全てではないが、決して分の悪い賭けではない。

 スーパーAIであるアロナから連絡がある。

 

『先生! トリニティの<ティーパーティー>及び、ゲヘナの<万魔殿>とアポイントメントが取れました! しかし──』

 

 ゲヘナのトップは入院中のため会えないらしい。どうやら<風紀委員会>の空崎ヒナから襲撃を受けた事が原因のようだった。理由は不明だ。アロナに調べて貰った限り、同様の事件は過去に何度か起きている。

 ゲヘナの生徒会である<万魔殿>から来た返事としては、全ての対応を<風紀委員会>に委ねるというものだった。

 

「…………」

 

 政治的な意図を強く感じた。ヒナの在籍している組織と<万魔殿>は良好な関係ではない。<風紀委員会>のトップが<万魔殿>のトップを病院送りにした直後、<シャーレ>との会談に臨むというのは極めて外聞が良くないのだ。武力組織が政治に関与していると取られかねない。

 

 空崎ヒナとは一度しか会った事がないが、そういった面倒事を最も嫌う性格だという事くらいは理解できていた。

 下手を打てば、彼女との関係が悪化するだろう。それが<万魔殿>の狙いなのかもしれない。

 なにより、<風紀委員会>の業務を圧迫してしまっている。ただでさえキヴォトス最悪と言われる治安のゲヘナにおいて、治安維持を担当している組織だ。平時から忙殺されているのは想像に難くなく、そこへ対外組織への折衝まで加わるのは致命的な状況になりかねない。直近で戦闘行為すら経験しているのだ。

 ……休暇が欲しいと言っていた少女の顔が脳裏によぎった。

 

 どこの学園も内部に問題を抱えている。アビドスだけが例外ではないのだ。<シャーレの先生>として、やらなくてはならない事は無数にある。不良品のガラクタにいつまでも構っている場合ではない。

 

「カイザーが事を大きくしてくれたのは私としても助かる。これで、連中はアビドスへ攻め込めなくなった」

「……それは確かに」

「今は<シャーレ>へ抗議をおこない、その動向を注視している状態ですからね。抗議した側から性急な動きはできなくなりました」

 

 ノノミの言葉に頷く。<カイザー・グループ>は現在、被害者として振舞っている。こちらがオーパーツや闇銀行に関する情報を持っていないという認識だからだ。

 被害者ぶりたいのに金利の上昇だの預託金だの言いだした理由は理解できないが、カイザー側からアビドス校舎へ先制攻撃する事は出来なくなってしまった

 都合の良い情報のみを拡散するのは世論を味方につけたいからだ。<シャーレ>へ抗議している状態でアビドスを襲えば世間の目を集めた事が逆効果になりえる。

 これから私はアビドスを離れてゲヘナとトリニティを廻らなければならない。そこを狙われる危険が大幅に低下したという事だ。

 狙い通りという事になる。

 

「おお……なんか大人っぽい!」

 

 私が私にとって都合の良いように情報を拡散すると、真っ先にセリカが騙さ──感心している。

 

「なんにせよ、ここからは賭けになる。<対策委員会>の皆は最終決戦に向けての準備を頼む」

 

 そう言うと同時に、<シャーレ>の公式SNSが更新された。私が”三大校”の<ゲヘナ学園>と<トリニティ総合学園>へ赴くという内容だ。即座にサーバーへ凄まじい量のアクセスとハッキングがおこなわれる。

 ゲヘナの空崎ヒナ、トリニティの桐藤ナギサ。両者とも”エデン条約”を推進してきた中心人物だ。アビドスの件を超えて、今後の話にも関わってくる相手だった。

 賭けなどと言ったが、全てにおいて失敗は許されない。

 採掘基地へ再び攻め込むのは三日後という事に決まり、この日の会議は終了した。

 

 ◇

 

 夜の校舎。

 小鳥遊ホシノから呼び出しを受けた私は体育館裏へ向かっていた。

 

『先生! <カイザー・グループ>のサジェスト汚染は完了しています!』

「ありがとう」

 

 阿慈谷ヒフミの件では失敗してしまった私とアロナだが、今回の情報統制はそつなく進められていた。気味の悪いマスコットのグッズを収集していただけで暗黒街の神となってしまった少女には気の毒だが、負の経験を上手く活用出来ている。

 労働法を大きく逸脱する違法な勤務実態や、薄汚い献金、従業員教育を超えた過剰な指導、技術の盗用や、公共事業における異常な中抜き。そういった暗い噂が噴出している。

 練習というか、ブラックマーケットでの件に対するリベンジ的な仕事だったのだが、アロナはどや顔でふんすとしている。

 

『それよりも……ホシノさんは何の用事なのでしょうか』

「わからない。私にしか出来ない話と書いてあったが」

 

 個人間のモモトークで送られてきた内容だ。既にホシノ以外の生徒が全員下校した後にも関わらず、わざわざ私を校外に呼び出す理由が分からない。

 

『夜の体育館裏……誰にも出来ない話……はい、スーパーアロナにはわかりました!』

「聞かせてくれ」

『告白ですよ! 告白!』

 

 キャー! とアロナは盛り上がっている。告白という行為には彼女が奇声をあげるような成分が含まれているらしい。

 理解できなかった私は首を傾げ、そして思考をくすぐるような違和感によって足を止めた。

 

『そうですよねぇ、先生がいくら究極的な朴念仁だとしても、年頃の男性と女の子ですから。えへへ……とはいえ、さすがスーパーAIの私ですね。まさか恋路にまで理解が深いとは』

「…………」

『先生、これはこの私からのアドバイスですが、最初はいつもの調子を抑えた方が良いですよ。いつも言っていますが……先生は真面目なモードが長続きしませんからね。女性を手籠めに出来るようなシチュエーションでも百点満点のノンデリで台無しにし続けてしまうのは感心しませんよ』

「いま手籠めと言ったか」

『…………』

 

 スーパーAIを名乗るアロナは暇な時、惰眠を貪るか菓子を貪るかネットサーフィンをしているかなので、こういった話題に関心があるらしい。特にインターネットにアップロードされている恋愛に関する漫画や小説、アニメを視聴しては自身を恋愛マスターだと自称する。気に入った作品は”シッテムの箱”内のフォルダに格納され、私にオススメされるという流れだ。

 ファウスト事件を引き起こし、公式SNSの更新も自動生成が疑われているアロナだが、自信満々の様子だった。

 

「それよりも、妙な感覚がある」

『妙な感覚?』

 

 知的アピールのためか、丸渕眼鏡を着用したアロナが訊ねてくる。

 

「この連絡には、別の意図がある……そういう事か」

 

 紅い記憶がフラッシュバックする。それは何かの警告のようだった。

 舌打ちをする。これを送って来たホシノではなく、危うくその思惑にはまりそうになった自身に対してだ。生徒への理解が足りていないから、こういう事になる。

 全速力で引き返し、校内に入ってからは一転して気配を消す。息も、足元も、心拍も全て極限まで抑えた。相手の思惑は不明だが、<対策委員会>の部室へ向かった。そうするべきだと思った。

 正解だったらしい。月光以外に灯りの無い教室から廊下へ、一人の少女が出てきたところだった。

 

「ホシノ」

 

 相手の背筋が跳ね上がる。本気で驚いたらしい。

 

「驚かせてすまない。呼び出しの連絡があったから、会いに来た」

「…………」

 

 無言。

 ホシノの表情は窺えない。ちょうど影になっている。だが、月明りに照らされている少女の拳は、小刻みに震えている。

 

「あ、あれ~? 体育館裏って書いたつもりだったんだけどな~」

「陽動だと思った」

「……正解だよ。うへ、もう勝てないか~」

「目的は部室の中か」

 

 <対策委員会>の部室に用事があったのだろう。

 そこで校舎に生息している私が邪魔になった。一時的に外へ連れ出すためにモモトークを送って来たのだと思われる。時間通りにホシノが現れずとも、しばらくはそのまま待つ。こうして最初から生徒の行動を疑うのは、先生として不適格だ。

 胸の中に苦いものが混じった。

 

「ほんと、先生には敵わないな」

 

 私の言葉には答えず、ホシノが深く息を吐く。観念したような雰囲気だ。少し安心する。

 

「また、退部届か」

「……もう時間が無いんだ」

 

 いや、観念などしていない。

 

「これだけは教えて欲しい。ホシノは、何に怖がっているんだ」

「…………」

「カイザーでも、あの不審者でもない。何かを恐れている。だから退部届を書いたんだろう」

「怖がっている……か。そうだね。本当にそう」

「…………」

「おじさんさ、アビドスに入学する前から、けっこう実力には自信があったんだよね。自分が一番強いって思ってた。誰にも負けないって思ってた。なのに……」

 

 ホシノの視線が窓の外に流れるのが分かった。それをなぞる。

 

「もう二年近く経つんだ……」

「…………」

「昔のアビドスって、キヴォトスで一番大きくて強い学校だったんだってね。でも、おじさんが入学した時にはもう、ぜんぶ滅茶苦茶で」

「そう聞いている」

 

 過去へ想いを馳せるホシノに、私は首肯する事しか出来なかった。

 ここへ来た初日に聞かされた内容だ。小鳥遊ホシノの入学時には既に<アビドス高等学校>は死に体で、当時の生徒会も一人の生徒を残して事実上の解散状態だったという話である。

 梔子ユメ。アビドス最後の生徒会長で、恐らくは小鳥遊ホシノの中心に今でも残っている人物。二年ほど前に他界している。

 

「当時のおじさんって、生意気な後輩でね? あの人……ユメ先輩にいっつも噛みついてたんだ。危なかっしいのに無防備で、フラフラしてて、何にも考えてなくて、なのに根拠もなく他人を信じてて。理解できなかった」

「……ホシノ」

「最後に会った時もそう。私は凄くイライラして……」

 

 指先が痺れるようだった。

 貧血を起こしたように視界が狭まり、揺れる。これまでに無いくらいの緊張状態だ。暗がりの中にいる少女の声は酷く穏やかで、しかし信じられないほどに虚ろだった。彼女に限界が迫っている事くらいは私にも理解できた。

 今の言葉を聞く限り、小鳥遊ホシノが苦しんでいるのは梔子ユメの死の直前に喧嘩別れした事が原因だと考えられる。

 放っておくと危ないという性質を理解していながら、突き放してしまった。それはホシノの中に罪の意識として根深く残り、今もなお癒えることなく刻まれている。

 

 それは──私にはどうしようもない事だと思えた。例え”奇跡”が起きて梔子ユメが蘇ったとしても、一度起きた事実は変えられない。きっとそうなったとしても、ホシノは梔子ユメへ謝罪をして、そしてやはり姿を消すだろう。

 何も言えなかった。過去の無い私に、ホシノの過去について言及する資格などない。

 ただ、そこまでボロボロになっても、たった独り校舎に残り、<対策委員会>を立ち上げて学校を守り続けてきた。それはホシノにしか出来ない事のはずだ。

 少女が一歩、前に出る。月明りに照らされた少女の横顔は、見た事も無いほどに儚げだった。その表情を見ただけで彼女が何を考えているのか理解できた。

 打って変わって明るい声音で、

 

「ノノミちゃんはね、最初会った時は箱入り娘で、世間知らずで、大丈夫なのかな? って不安になったもんだよ。シロコちゃんなんかもっと酷くてさ、おじさんにしょっちゅう喧嘩吹っ掛けてくるし、なんでも強奪しちゃうし……ほんと懐かしいよ~。今じゃ二人とも立派になって、やっぱり後輩が出来ると変わるもんだよね~」

 

 ノノミはともかくとして、シロコの育成には失敗してしまったホシノは感慨深そうにしている。確かにそうだ。大人として生まれてくる人間などいない。守るべき対象が出来て、責任が生じる事で成長できる。

 ノノミやシロコは、アヤネやセリカという後輩が現れた事で”先輩”としての自覚が芽生えたのだろう。ホシノだって同じはずだ。

 

「ならどうして、退部なんて考えるんだ」

「…………」

「”黒服”だったか……例の不審者は。どういった条件を提示されているんだ」

「借金全額の九割を肩代わりしてくれて、しかも金利も免除だって」

「都合が良すぎる」

「そうだよね~? でも、先生だって似たようなもんじゃない? アビドスのために何でもしてくれて、でも何も求めない」

「だが、”黒服”は違うんだろう」

「そうかもね」

 

 ホシノが勧誘を受けたのは<カイザー・グループ>の基地へ潜入するよりも前だ。恐らく変質者は、アビドスが近々あの基地へ接触する事を読んでいた。そこで借金の金額が手に負えなくなる事まで見据えて、あらかじめ提案の内容を用意している。黒服とやらはカイザーより上位の存在なのだろう。情報を網羅しているからこそ先手を打てる。そこまでして小鳥遊ホシノの身柄を欲しがっている。

 となれば、所属を移した先でホシノがどういう扱いを受けるのか──頭の中で撃鉄が起こる音がした。

 

「おじさんもけっこう強いからさ~。良い戦力になると思われてるんだろうね~」

「黒服の言う通りにする必要なんて無い。カイザーも変質者も、簡単に倒せるはずだ。ホシノが犠牲になる必要はどこにもないだろう。<対策委員会>はどうするんだ」

「皆の事は、先生に任せるよ」

「ホシノ……!」

「先生は一人しかいないんだよ。もしなにかあったら、アビドスだけじゃない。キヴォトス全体の話になっちゃうでしょ? 私達以外にも先生の助けが必要な子はたくさんいる。だから……ここは私が責任を取る」

「責任を取るというのは、何かの犠牲になる事じゃない」

「先生は違うの?」

「それは……」

 

 反論できなかった。

 キヴォトスで目覚めてからの私は、常に自分を嫌悪していた。強く、強く、強く憎悪していた。だから自身の命を軽く扱い、どれだけ周囲に指摘されても根本的な部分を改善できずにいたのだ。本心を言うなら、改善する必要性を感じていなかった。

 こんな人間が死んだところで、周囲は気にしないという考えがあるからだ。私だったら、私のような人間が死のうがどうでもいいと思う。キヴォトスにとって、自分が害悪だからという認識があるからだ。

 それが、今までの行動に繋がっていた。

 連邦生徒会長の失踪に関与し、与えられた責任すら果たせない自分に、どうしようもない程の罪悪感を抱いている。

 だが、罪の意識が源泉にあると言う点では、小鳥遊ホシノも同じだろう。

 自罰的な言動に終始している私に、ホシノの決意をとやかく言う資格など最初から存在しなかったのだ。言葉ではなく行動で、示し続けてきた結果だった。

 もはや、全てが手遅れなのだ。

 

「…………」

「先生が来てから、ぜんぶ変わったね」

「よせ」

 

 歩み寄るべきだ。なのに、体は微動だにしない。見えない誰かが抑えつけているようだった。

 

「シロコちゃんもノノミちゃんも、セリカちゃんもアヤネちゃんも……みんな前を見てる。おじさん以外は、皆」

 

 ホシノが背を向ける。その視線の先には誰かがいるように窺えた。

 

「私には、ついていけない」

「ホシノ……」

「だから、さよなら」

 

 ただでさえ小さい背中が、さらに遠ざかっていく。

 最後のチャンスだという思いから、私は見えない力を振り切るようにして足を踏み出した。

 その瞬間、

 

「──っ!」

 

 視界が真っ赤に染まる。おびただしい量の血液をぶちまけたような酷い景色。見慣れた校舎の中はまるで地獄のように様変わりした。

 幻影にしては余りにも鮮明だった。気が付けば頭から地面に倒れ込んでいた。”動く”という権利をはく奪されたかのようだった。

 

(これは……)

 

 焦げた匂いが充満していた。アビドスの校舎ではない、知らないどこか。銃撃と爆撃の痕。照明類は全てが破壊されていて、周囲に広がる炎だけが世界を照らしていた。

 誰かが銃口を向けて来ている。一人ではない。

 見知った顔ばかりだった。

 シロコとセリカ、ノノミ。アビドス校のメンバーが一様に私を攻撃していた。ホシノの姿もある。アヤネは後方担当のためいないようだが、何が起きているのかすぐに理解できた。

 私は彼女らの”敵”となったのだ。

 全員が確かな敵意をもって引き金をひいている。いつものじゃれ合いではない、本当の意味での戦闘行為。

 私は倒れ、膝をつく。

 額に突きつけられる固い感触。そして乾いた音。何かが弾ける。

 

「私は……」

 

 そこで記憶の残滓は途切れた。残ったのは私以外に誰もいない校舎と、冷たい床の感触、そして役立たずの男が一人だけだ。

 

「…………」

 

 今のは幻覚ではない。過去なのか未来なのか不明だが、確かに起きた出来事だ。

 結局全てを間違えて、子供達からあんな目を向けられて力尽きた。生徒達に、あんな表情をさせてしまった。

 あらゆる記憶を失って、それでも燃え盛るような自己嫌悪だけが残るのも理解できる。”先生”として、自分にどれだけ適正がないのか思い知らされていたからだ。

 

「…………」

『──先生!』

 

 どれだけ倒れ伏していただろうか。月の位置から考えて一時間弱といったところか。

 アロナの声が聞こえる。

 

『先生! 起きてください! 先生!』

「……アロナ」

 

 我ながら死体のような声だと思った。音もなく立ち上がり、それでもまだ床を見つめている。

 

『い、意識が戻られたんですね。良かった……!』

「…………」

『ホシノさんが……』

 

 アロナに応えられない自分にも、ホシノを追跡する気も起きない自分にも絶望した。<対策委員会>の教室へ入る。

 長机の上に、小鳥遊ホシノからの手紙が置かれていた。その中身を見る気にはなれなかった。

 それが決定的だった。

 私は”シッテムの箱”を取り出すと、手紙の隣に置いた。

 

『先生……?』

「すまない、アロナ」

 

 全てに背を向ける。

 

「私には無理だ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。